育休の条件とは? 取得、延長、社会保険料の免除、産後パパ育休、助成金の条件

育休の条件とは、育児休業制度に関わる条件のことです。ここでは、育休の条件についてさまざまなポイントから解説します。

1.育休の条件とは?

育休の条件とは、育児休業制度に関する条件のこと。育休とは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」によって定められた、「子を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業」です。

育休にはさまざまな条件が付されています。制度概要を理解したうえで、正しい育休を取得しましょう。

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2.育休を取得する条件

育休が取得できる人は、1歳未満の子どもを持つ労働者です。男女ともに対象ですが、日雇い労働者は対象外となります。また下記の場合、別途定めがあるのです。

  • 雇用期間に定めのある労働者
  • 有期・無期を問わず継続雇用1年未満の労働者
  • 休業申出から1年以内に雇用関係が終了すると明らかな労働者

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3.育休手当を取得する条件

育休手当とは、育児休業中、国から手当が給付される制度のこと。この育休手当を取得する条件は、下記のとおりです。

  • 1歳未満の子供がいる
  • 雇用保険に加入している
  • 育休前の2年間で、11日以上働いた月が12カ月以上ある
  • 育児休業期間中の1カ月ごとに休業開始前の1カ月の賃金の8割以上が支払われていない

支給金額は、育児休業開始時賃金日額×支給日数(通常30日)の67%です。ただし育児休業の開始から6カ月経過後は50%になります。

企業が行う申請手続き

育休手当を取得する際、以下の書面が必要になります。

  • 休業開始時賃金月額証明書
  • ハローワークから交付される育児休業給付受給資格確認票
  • ハローワークから交付される(初回)育児休業給付金支給申請書

また添付書類として、賃金台帳か出勤簿のどちらかが必要です。

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4.育休を延長できる条件

育休を延長するためには、下記の期間までに申請が必要です。

  • 1歳6カ月になるまでの延長は1歳の誕生日の2週間前までに
  • 2歳になるまでの延長は1歳6カ月になる翌日の2週間前までに

また「子どもが保育所に入れなかった」「子どもを育てる予定だった人が死亡やけが、病気によって育児が難しくなった」といった別途要件を満たした場合に限り、育休が延長できます。

企業が行う申請手続き

育休を延長する場合、下記のような手続きが必要です。

  • 労働者から「育児休業期間変更申請書(任意書式)」を提出してもらう
  • 「育児休業取扱通知書」「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届」などを作成する
  • 必要書類を持参し、ハローワークで育児休業給付金の延長の手続きを行う

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5.育休中社会保険料が免除になる条件

育休中、社会保険料が免除になる条件とは何でしょうか。企業が行う手続きとともに解説します。

社会保険料の免除に条件はない

育休中、社会保険料が免除になるための条件はありません。育児中は、産休・育休どちらも休業の開始月から終了前月までの期間の社会保険料が免除になります。ただし免除期間中でも被保険者としての資格は継続します。

そのため将来の年金額計算においては、保険料納付期間として扱われるんどえす。

企業が行う申請手続き

産前産後の休業期間中、対象者の「産前産後休業取得者申出書」を、健康保険組合と日本年金機構(事業所の所在地を管轄する年金事務所)に提出します。これにより被保険者と企業、双方の社会保険料が免除になるのです。

免除期間は、下記のようになっています。

  • 産前産後休業の開始月から終了前月まで
  • 産前産後休業終了日が月の末日の場合は、産前産後休業終了月まで

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6.正社員以外の労働者が育休を取得する条件

正社員以外の労働者、たとえばパートタイマーや契約社員といった期間の定めのある労働者が、育休を取得するための条件は何でしょうか。それは下記のとおりです。

  • 同一事業主に引き続き1年以上雇用されている
  • 子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれる
  • 子どもの2歳の誕生日の前々日までに労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないと明らかである人は除く

また日々雇用される者は育児休業を取得できません。

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7.産後パパ育休(パパ休暇)を取得する条件

産後パパ育休(パパ休暇)とは、家庭と仕事の両立を目標とした制度のこと。妻の産後8週間以内に夫が育児休業を取得した場合、特別な事情がなくても2回の育児休業が取得できます。

理由を問わず2回取得できるため、子の出生につき1回限りが原則となっている通常の育児休業と比較すると、使い勝手がよいでしょう。

男性の育休取得率

男性の育休取得率は、女性の育休取得率と比べると低くなっています。女性の取得率は、2007年度以降は8〜9割で推移し、2020年は81.6%。一方、男性の2020年の育休取得率は12.65%でした。

女性と比較すれば低い水準ではあるものの過去最高の取得率だったのです。そして認知度は高まりつつあります。

産後パパ育休(パパ休暇)の条件

産後パパ育休(パパ休暇)の条件は、下記のとおりです。

  • 父親が子の出生後8週間以内に育児休業を取得している
  • 父親が子の出生後8週間以内に育児休業を終了している
  • ただし特例の対象となる1回目の育児休業は、以下のように利用できます。
  • 出産予定日前に子が生まれた場合は、出生日から出産予定日までの期間から8週間後まで
  • 出産予定日後に子が生まれた場合は、出産予定日から出生日までの期間から8週間後まで

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8.企業が育休に関する助成金を受給する条件

企業が育休に関する助成金を受給する条件があります。ここでは下記について解説します。

  1. 両立支援等助成金(育児休業等支援コース)とは?
  2. 両立支援等助成金(育児休業等支援コース)でもらえる金額
  3. 受給要件
  4. 受給の流れ

①両立支援等助成金(育児休業等支援コース)とは?

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)とは、仕事を続けながら子の養育を行う労働者の雇用の継続を目的とした助成金のこと。

育児休業の円滑な取得と職場復帰に資する取り組みに関する「育休復帰支援プラン」を策定、実施した中小企業事業主に対して支給されます。

また育児休業取得者の代替要員を確保したり、休業取得者を現職に復帰させたりした場合にも支給されるのです。

②両立支援等助成金(育児休業等支援コース)でもらえる金額

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の育児休業取得時、職場復帰時でもらえる金額は、以下のとおりです。( )内は、生産要件を満たした場合の金額となります。

  • 育休取得時、28.5万円(36万円)
  • 職場復帰時、28.5万円(36万円)
  • 育休取得者の職場支援の取組みをした場合、19万円(24万円)

また代替要員確保時でもらえる金額は、以下のとおりです。

  • 支給対象労働者あたり、47.5万円(60万円)
  • 支給対象労働者が有期労働者の場合、9.5万円(12万円)

③受給要件

受給要件は、下記のように状況で異なります。

  • 育休取得時
  • 職場復帰時
  • 代替要員確保時
  • 職場復帰後支援

育休取得時

育休取得時の受給要件は、以下のとおり定められています。

  • 対象者の休業までの働き方、引き継ぎスケジュール、復帰後の働き方などについて上司または人事担当者と面談を実施し、面談結果を記録する
  • 育休復帰支援プランを作成する
  • 育休復帰支援プランにもとづき、対象者の育児休業開始日までに業務の引き継ぎを実施する
  • 対象者に、3カ月以上の育児休業を取得させる(産後休業を取得する場合は産後休業を含め3カ月以上)
育休復帰支援プランとは?

育休復帰支援プランとは、中小企業が、「労働者の円滑な育休の取得」「育休後の職場復帰の支援」を目的として策定するプランのこと。実施によって、下記が実現すると期待されているのです。

  • 労働者の円滑な育休取得
  • 労働者が安心できる職場復帰
  • 職場のマネジメントの改善
  • 業務の効率化

職場復帰時

職場復帰時受給要件は、下記のとおりです。

  • 育児休業中、対象労働者に対して職務や業務情報、資料提供を実施する
  • 育児休業終了前に対象労働者と上司や人事労務担当者の間で面談を実施し、面談結果を記録する
  • 面談結果を踏まえ対象労働者を原則、現職に復帰させ、現職復帰後も申請日までは雇用保険被保険者として6カ月以上継続雇用している

代替要員確保時

代替要員確保時受給要件は、下記のとおりです。

  • 育児休業取得者の職場復帰前に、育児休業が終了した労働者を現職に復帰させる旨を就業規則に定める
  • 対象者が3カ月以上育児休業を取得し、事業主が休業期間中の代替要員を新たに確保する
  • 対象者が規定にもとづき現職に復帰したうえ、6カ月以上継続雇用される

職場復帰後支援

職場復帰後支援受給要件は、下記のとおりです。

  • 育児・介護休業法を上回る「子の看護休暇制度」または「保育サービス費用補助制度」を導入している
  • 対象の育児休業取得者が1カ月以上の育児休業(産後休業を取得する場合は産後休業1カ月)から復帰後6カ月以内にて、導入した制度の一定の利用実績(子の看護休暇制度は20時間以上の取得、保育サービス費用補助制度は3万円以上の補助)がある
子の看護休暇制度とは?

子の看護休暇制度とは、子の看護を目的として労働者が休暇取得できる制度のこと。また疾病予防には予防接種や健康診断の受診なども含まれるのです。企業は制度利用者に対し、年次有給休暇とは別に休暇を与えなければなりません。

保育サービス費用補助制度とは?

保育サービス費用補助制度とは、小学校就学の始期に達するまでの子に係る保育サービスの費用の一部を補助する制度のこと。受給要件には、制度整備や費用補助の利用実績のほか、下記のような条件が求められます。

  • 事業主が制度にもとづき、労働者一人につき3万円以上補助している
  • 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業を受給していない

④受給の流れ

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)を受給する流れについて解説します。

育休取得時・職場復帰時

育休取得時・職場復帰時の受給の流れは以下のとおりです。

  • 就業規則等への明文化と労働者への周知
  • プラン作成のための面談
  • プランの作成
  • プランにもとづく引き継ぎ
  • 育児休業の取得
  • 育休取得時の支給申請
  • 職場復帰
  • 職場支援加算の支給申請

代替要員確保時

代替要員確保時の受給の流れは以下のとおりです。

  • 現職等復帰の取扱を就業規則へ規定
  • 新たな雇い入れ、派遣による代替要員の確保
  • 育児休業の取得
  • 育児休業取得者の業務を代替
  • 職場復帰
  • 支給申請

職場復帰後支援

職場復帰後支援の受給の流れは以下のとおりです。

  • 1カ月以上の育児休暇取得
  • 子の看護休暇制度または保育サービス費用補助制度を就業規則等に規定
  • 職場復帰
  • 子の看護休暇制度または保育サービス費用補助制度の利用

職場復帰後支援の支給申請の締め切りは、育児休業取得者の育児休業終了日の翌日から起算して6カ月経過する日の翌日から2カ月以内です。

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9.パパママ育休取得応援奨励金を取得する条件

パパママ育休取得応援奨励金とは、東京都が(公財)東京しごと財団と連携し、育児中の労働者の就業継続や男性労働者の育児休業取得を支援する企業に対して奨励金を支給する制度のこと。

パパママ育休取得応援奨励金には2つのコースがあります。取得する条件とともに解説しましょう。

  1. 働くママコース
  2. 働くパパコース
  3. 取得する条件

①働くママコース

働くママコースとは、育児中の労働者の雇用が継続しやすい環境の整備を目的する制度のこと。コースの名前に「ママ」と記載があるものの男女は問いません。

具体的には、下記のように育児・介護休業法に定められている以上の環境整備を行い、制度を就業規則に記載します。

  • 育児休業等期間の延長
  • 育児休業等延長期間の延長
  • 看護休暇の取得日数上乗せ
  • 時間単位の看護休暇導入(中抜けを認めるもの)
  • 育児による短時間勤務制度の利用年数の延長

②働くパパコース

働くパパコースとは、男性労働者に育児休業を取得させて、育児参加の促進や職場環境の改善を目的とする制度のこと。

このコースでは、養育する子が2歳になるまでの間に、男性労働者が連続する15日以上の育児休業を取得した後、現職に復帰し3カ月経過する必要があります。

育児休業と職場復帰を企業努力だけでなしえるのは、難しいでしょう。しかし代替要員の確保や周囲の理解促進など、男性も育児休業を取得しやすい社内の雰囲気を作るとそのサポートになります。

③取得する条件

取得する条件は、都内の企業であること。なおコースによって別途条件があります。

働くママコースは、下記のとおりです。

  • 労働者数300名以下の都内の企業が対象
  • 都内勤務の常時雇用する労働者を2名以上、かつ申請日時点で6カ月以上継続して雇用している

働くパパコースは、下記のとおりです。

  • 東京都内の規模不問の企業、法人が対象
  • 都内勤務の常時雇用する労働者を2名以上、かつ申請日時点で6カ月以上継続して雇用している
  • 連続15日以上の育児休業を取得した後、現職に復帰し復帰後3カ月以上継続雇用されている男性労働者がいる