データサイエンスとは? 仕事内容、必要なスキル

データサイエンスとは、さまざまな方法で収集した情報を分析し、新しい価値を引き出すこと。ここではデータサイエンスという言葉の概要やデータサイエンティストの仕事内容などを解説します。

1.データサイエンスとは?

データサイエンス(Data Science)とは、収集された膨大な量のデータを分析してデータの価値を引き出すこと。直訳すると「データ科学」です。

データサイエンスでは、データのパターンや関連性、傾向や共通性といったデータの価値を見出し、ビジネスや研究に生かします。

まず統計学や科学、人工知能(AI)や機械学習などを活用し、多様性に満ちたデータを収集。そして比較や要約、分類などで分析され、さまざまな予測が立てられるのです。

分野や収集したデータの特性に合った最適な方法で分析を行えると、より価値の高い情報が得られます。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?

・1on1の進め方がわかる
・部下と何を話せばいいのかわかる
・質の高いフィードバックのコツがわかる

効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【評価業務の「めんどうくさい」「時間がかかる」を一気に解決!】

評価システム「カオナビ」を使って評価業務の時間を1/10以下にした実績多数!!

●評価シートが自在につくれる
●相手によって見えてはいけないところは隠せる
●誰がどこまで進んだか一覧で見れる
●一度流れをつくれば半自動で運用できる
●全体のバランスを見て甘辛調整も可能

カオナビの資料を見てみたい

2.データサイエンスが注目される背景

IoTの急速な発展は、データサイエンスが注目されるようになった理由のひとつ。昨今、パソコンやスマートフォンだけでなく、生活家電や自動車などにもIoTが導入されています。こうした変化は生活をより豊かにすると同時に、ユーザーに関するさまざまなデータの収集を可能にしました。

またIoTがもたらした変化は、世界中で扱われるデータの量を激増させたのです。大量なデータの収集と分析を実現するデータサイエンスは、ビジネスのみならずさまざまな分野で注目されています。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

3.データサイエンスはさまざまな分野で応用できる

データサイエンスは医療や教育、製造といったさまざまな分野で応用できます。ビジネスでは、マーケティングや商品開発、事業戦略や経営戦略などにも有効です。

たとえば「データドリブン経営」では、客観的なデータにもとづいた経営戦略や意思決定が行われるため、データサイエンスが応用されています。またWebサイトやECサイト、SNSなどのアクセス数や顧客情報を分析すると、より適したアプローチや商品開発などを採択できるのです。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

4.データサイエンティストの仕事内容

データサイエンティストとは、データサイエンス業務を担う職種です。データサイエンティストの主な仕事を解説します。

  1. 問題定義
  2. データ収集と加工・整理
  3. データ分析と仮説検証
  4. 課題の可視化と提案

①問題定義

データサイエンティストの仕事では最初に問題定義(解決すべき課題の設定)を行います。解決すべき課題は企業によって異なるので、企業の現状や表面化している問題を理解していなければなりません。

企業課題を理解するにはビジネスに対する理解も不可欠です。そのためデータサイエンティストには、業界や企業に関する知見と多様な視野が求められます。

②データ収集と加工・整理

解決すべき課題が明確になったら、データサイエンティストは解決に必要なデータを収集します。そして仮説を立て、どのようなデータを収集するべきかデータサイエンティストが決めるのです。

必要なデータが集まったら、クレンジング(重複や誤記、揺れなどを修正して正規化する)で加工し、分析ツールで読み込みができるデータ形式へ整えます。そのあと必要に応じて統合や分割、グループ化などの整理を実施するのです。

③データ分析と仮説検証

データの分析と仮説の検証もまたデータサイエンティストが行う作業のひとつ。加工や整理がなされたデータから全体像を解析して、統計的な視点から有用性の高いデータ項目に着目します。その後、法則や因果関係などがないかを探し出すのです。

そしてこれら分析結果から立証できるかを検証し、立証できれば課題解決に有効なデータだと判断されます。立証できなければデータ収集からやり直すのです。

④課題の可視化と提案

データ分析と仮説の検証を行ったら、課題の可視化と提案を行います。具体的には分析結果をレポート化し、定義した課題やその問題点などをより多くの人が理解できる状態にするのです。

またデータサイエンティストは、分析されたデータに新しい価値をもたらさなくてはなりません。そのため分析したデータから考えられる解決策やとるべきアクション、データの活用方法なども提案します。

このような提案を行うためには業界や経営、業務や市場などについての知識が不可欠なのです。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

5.データサイエンスに必要なスキル

データサイエンティストには、下記の3つが必要です。それぞれについて解説しましょう。

  1. ビジネス力
  2. ITスキル
  3. 統計解析スキル

①ビジネス力

データサイエンティストが行うデータ分析では、ビジネスの観点から仮説を立て、有効な解決策を提案しなければなりません。そのためビジネス力が不可欠となります。たとえば業界や業種、業務およびそのプロセス、経営戦略や事業戦略などの知見です。

さらにクライアント企業の情報だけでなく、市場のトレンドや競合他社などの情報も、分析に必要となります。また提案力や問題解決力、論理的思考などのスキルも求められるのです。

②ITスキル

データサイエンティストには高いITスキルも求められます。扱うデータの量は極めて膨大であり、それらを処理するにはITを駆使しなければならないからです。たとえば以下のITスキルが挙げられます。

  • 大規模なデータを分析するツールやアルゴリズムに関するスキル
  • データベース構築スキル
  • データの収集や分析を行うシステムの構築およびプログラミングスキル
  • AIや機械学習に関するスキル

なお実際、データサイエンティストがすべて担当するわけではありません。データ収集と分析を行う「データアナリスト」や、システム構築や運用を担う「データエンジニア」などとチームを組んで進めていきます。

③統計解析スキル

集まったデータから意味を見出すデータ分析では、統計解析の基礎知識と使われる手法などのスキルも欠かせません。もちろん分析システムの構築や分析ツールを使いこなすためにも必要です。

まず確率や統計、微分積分、行列や指数といった高校レベルの数学知識は必須です。そのほかには以下のようなスキルが挙げられます。

  • 回帰分析やクラスター分析
  • グルーピングや予測のモデリング
  • 検定(帰無仮説や対立仮説)
  • データマイニング

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

6.データサイエンスをビジネスに生かすポイント

データサイエンスをビジネスに生かすポイントは何でしょう。それぞれについて見ていきます。

  1. 人的リソースの確保
  2. 豊富なデータを収集
  3. チームの構築
  4. PPDACサイクルを円滑に回す

①人的リソースの確保

優秀なデータサイエンティストと、データサイエンスに知見を持つ人材が不可欠です。

データサイエンスにおけるデータ収集や分析の精度は、データサイエンティストの能力に左右されます。またそれを活用する部署や部門はデータサイエンティストと連携しなければなりません。

データサイエンティストを確保する際、外部へ委託する方法があります。しかし社内の人材は自社での教育が必要でしょう。

②豊富なデータを収集

優秀なデータサイエンスがいても、データの量が不十分では精度の高い分析は行えません。またデータサイエンスのビジネス活用では、収集したデータの保管に課題が生じる場合も少なくありません。

たとえば部署によって使用している業務システムが異なっていて、データ項目や属性情報が統一されていないケースです。収集したデータの保管場所をはじめとした環境の整備も課題として挙げられます。

③チームの構築

上述したようにデータサイエンスには多様なスキルが求められます。しかし一人のデータサイエンティストがすべてのスキルを身につけるのはたやすくありません。ひとつの課題に対し、複数名のデータサイエンティストで分担して対応するのが現実的でしょう。

効果的な方法は、異なる強みを持つ複数の人材でチームを結成することです。

④PPDACサイクルを円滑に回す

データサイエンスでは「課題設定、仮説、検証、実地」という「PPDACサイクル」を円滑に回す必要があります。PPDACとは以下の用語の頭文字を取った造語です。

  • Problem(問題の特定)
  • Plan(プロジェクトの方向性の定義)
  • Data(データの収集)
  • Analysis(収集したデータの分析)
  • Conclusion(結果の検証)

これらの工程を反復しながら課題を解決していきます。よってサイクルを円滑に行うための組織や体制、仕組みなどの構築も不可欠です。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

7.データサイエンスの活用事例

データサイエンスはさまざまな分野で活用されています。4つの事例を見てみましょう。

証券会社

ある証券会社では顧客への商品の提案が成約に結びつきにくいという課題が表面化していました。課題解決を目的として同社ではデータサイエンスを導入。顧客ごとの購買実績や閲覧実績などのデータを収集して、分析したのです。

データサイエンスの分析結果から、特定の商品に対する顧客ごとの期待販売額を数値化したリストを作成。各々の顧客に対してその人が興味を持つ可能性の高い商品を紹介し、より多くの成果を生み出せるようになりました。

コールセンター

多くのコールセンターでは、多数の見込み顧客へ電話をかけるアプローチ手法を採用しています。ある企業もこの手法を用いて電話セールスを行っていましたが、なかなか購買に結びつきませんでした。

同社ではこの問題解決のためにデータサイエンスを導入。今までは営業担当者が経験や感覚などで架電リストを作成していました。しかしそこでこれまで購買履歴といったデータを分析して見込客をリストアップしたところ、セールス効率の向上が実現したのです。

小売業者

データサイエンスは小売業でも活用されています。あるショッピングセンターでは、来店客の購買履歴や店内での行動などをデータとして収集し、AIを使用して分析。その結果、顧客ニーズが可視化でき、商品の仕入れや陳列などが改善されました。

さらに曜日や天気などの条件なども分析し、商品発注に無駄が生じているとわかったのです。売上アップだけでなく無駄な人件費や食品ロスの削減といった副次的な成果を生み出すのにも成功しました。

タクシー事業者

データサイエンスは広義のサービス業でも活用されています。

あるタクシー事業者では、コスト削減を目的にデータサイエンスを導入しました。そしてドライバーごとの走行データや日報の内容、車両ごとの燃費、運転パターンなどをデータ化し、ドライバーごとの稼働コストを分析したのです。

分析結果から改善を要するドライバーが見出だされ、運転パターンといった面を指導し、無駄なコストの削減に成功しました。なお同社は曜日や時間帯、天候や地域、イベントなどのデータを分析した需要予測への取り組みも開始しています。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

8.データサイエンスの未来

IoTを取り入れた製品などの普及が進み、データサイエンスはより多くの分野で活用されると予想できます。それに応じてデータサイエンスに対する注目度はさらに高まりを見せると想定されるものの、課題がないわけではありません。

たとえば現状、データサイエンスに携われる人材は不足しているため、その育成や発掘は急務です。またそのための組織や制度の見直しも必要ですし、データサイエンスを広く活用する環境の整備も行わなければなりません。

これらの課題を解決したとき、データサイエンスは本当の意味で私たちの生活をより豊かなものにしてくれる存在となるでしょう。