ハードスキルとは、特定の専門知識や研修で得られるスキルのことです。ハードスキルとソフトスキルの重要性、ハードスキルの例、ソフトスキル、鍛え方などをくわしく解説します。
目次
1.ハードスキルとは?
ハードスキルとは、過去の仕事で学んだり、教育を受けて得た技術的な知識や訓練のこと。たとえば下記のようなものです。どのような仕事でも、その業種専門の知識や技術が求められます。
- 小売店で働いていた人が覚えたPOSシステムの使い方
- デスクワークに従事していた人が習得するMicrosoft Excelの使い方
- 建築士であれば資格や製図ソフトも使い方
- 外国語を学んでいる人が、流暢にその言語を話せるスキル
21世紀に求められるスキル
近年、グローバル化やインターネットの普及といった社会を取り巻く環境の変化により、これまで存在しなかった新しいスキルが必要とされているのです。逆に既存のスキルが通用しなくなっているケースも多々あります。
こうした状況下、コミュニケーション能力や論理的思考力などソフトスキルが重要視されるようになりました。
2.ハードスキルとソフトスキルの重要性
ハードスキルは業務の遂行にて重要視されています。たとえば弁護士や会計士など資格取得によって能力をはかれる職業は、スキルが可視化しやすいです。しかし資格を持っていてもパフォーマンスにつながらない人もいるでしょう。
またハードスキルの力だけでは十分に対応しきれない現場が増えているのも事実です。そこで近年、分析力や柔軟さなど幅広い用途に活用できる、ソフトスキルと両立させることが重要とされています。
3.ハードスキルの例
ハードスキルは実際、どのようなものなのでしょう。ハードスキルの例を説明します。
- プログラミング
- マーケティング
- SEO・SEM
- UI・UXデザイン設計
- データサイエンス
- クラウド・コンピューティング
- 語学力
①プログラミング
システムやソフトウェアを作り上げるため、プログラミング言語を扱ってコードを書き込むスキルのこと。プログラマーに求められます。
プログラミング言語にはいくつもの種類があり、システムの内容や企業のニーズによって使用する言語は異なるのです。開発する目的に応じてさまざまな言語を習得します。
②マーケティング
市場調査をする行動力や調査後の分析を行う能力のこと。マーケティングを行う人をマーケターと呼びます。仕事内容は下記のとおりです。
- 調査結果の分析
- 新商品販売時の戦略、計画を立て検証を行う
- 検証し、商品やサービスが売れ続ける仕組みを作る
そのほか情報収集力や会議やプレゼンを行うコミュニケーション力も必要になるでしょう。
③SEO・SEM
SEOとは、サーチエンジンの検索結果の上位にサイトを表示させるよう工夫するための技術やサービスのこと。SEMとは、検索エンジンから、あるWebサイトやランディングページに対して、訪問者を増やすためのマーケティング手法です。
SEMはWebマーケティングの一部で、主なものとしてSEOがあります。
④UI・UXデザイン設計
UIとは、ユーザーがPCとやり取りする際の入力や表示方法などの仕組みのこと。UXとは、サービスなどによって得られるユーザー体験です。
UI ・UXデザインは、デザイン能力も重要なハードスキルとなります。現代の課題はデザインによって解決される側面もあります。しかし価値あるものになるには、ハードスキルとソフトスキルの両方を開発する必要があるとされているのです。
⑤データサイエンス
統計やAI、科学的手法やデータ分析など複数の分野を駆使して、データから価値を引き出すこと。Webやスマートフォン、顧客やセンサーなどの情報源から収集されたデータを分析します。
結果を確認してパターンを明らかにし、情報にもとづいたインサイトを引き出せるようにするのです。
⑥クラウド・コンピューティング
既存のシステムをクラウドに乗せたり、クラウドを利用するための技術的な基本設計を行ったりすること。デジタル技術を活用したビジネス変革と深いつながりがあるとされています。
有効に活用するためには、経営トップが「なぜクラウドを活用するのか」「ビジネスの観点から何を目指すものなのか」を理解するとよいでしょう。
⑦語学力
語学力は典型的なハードスキルのひとつです。海外赴任や外資系企業との商談など、グローバル時代には必須となる能力といえます。
翻訳ソフトなどが発達している今日では、より実践的なスキルが求められているのです。外国語が話せるというレベルでは意味がなく、その言語で商談ができるというレベルを身につける必要があります。
4.ハードスキルとソフトスキル
ビジネスシーンではハードスキルに加えてソフトスキルが必要とされています。ソフトスキルには何があるのか、例を見ていきましょう。
- リーダーシップ
- 柔軟性・創造性
- 時間管理
- コミュニケーション
- 課題解決
- 自己管理
①リーダーシップ
プロジェクト全体を見渡し、効率的できめ細やかに物事を進めていくスキルのこと。身につけると、上司やメンバーと意識をともにして、全員の能力を引き出しながらプロジェクトを進行できます。
限られたリソースで結果を出すために必要とされる能力です。
②柔軟性・創造性
柔軟性とは、突然のトラブルが起きても、ルールや規則にとらわれ過ぎず、物事を解決していける能力のこと。創造性とは、既成概念にとらわれずに思考し、画期的なコンセプトやアイデアを練る能力を意味します。
2つを持つ人材は、革新と進歩をもたらし、柔軟に対応できるチームづくりを可能にするでしょう。
③時間管理
自身の仕事のやり方や進め方を管理する能力のこと。「遅刻をしない」「締め切りを守る」だけでなく、「業務の優先順位の付け方」「スケジュール管理」「時間を最大限に活用する方法」なども含まれます。
時間管理をすると仕事の効率化が実現するため、成果を生み出せるでしょう。新たなことに挑戦する時間も作れます。
④コミュニケーション
相手の話をよく聞き、意図を的確にくみ取れる能力のこと。また自分の考えをわかりやすく正確に伝える能力も含みます。
会議やプレゼンテーション、クライアントの電話対応、オフィスにおける上司や部下との日常会話など、ビジネスを円滑に進めるために役立つスキルです。
⑤課題解決
問題を細かく分解し、解決するため直接かつ論理的な策を実施する能力のこと。予期しないトラブルが起こっても、課題解決スキルを身につけていれば、トラブルの解決に向けて迅速に判断を下し、的確な行動をとっていけます。メンバーの信頼も高まるでしょう。
⑥自己管理
目標に向けて適切に行動する能力のこと。たとえば下記のようなものです。
- 適切な自己評価を行う
- 締め切りを守る
- 問題を解決する
- 適切な優先順位をつける
- 適切な決断を下す
- ストレスがあっても能力を最大限発揮して自分の任務を果たす
- 他者とコミュニケーションをとる
5.ハードスキルとソフトスキルの鍛え方
「スキルを身につける」というと、ハードスキルをイメージしがちです。しかしビジネスシーンでは、ハードスキルとソフトスキル、双方のバランスよい向上が求められているのです。それぞれのトレーニング法を紹介しましょう。
ハードスキル
ハードスキルは勉強や訓練によって身につけられるスキルです。
- 大学院で勉強する
- 研修へ参加する
- 資格取得をめざす
①大学院で勉強する
大学院で専攻するのは、職務に関する知識と専門性を高めるコースです。特定の研究分野を学べば専門的な事柄が理解できるため、キャリアアップも期待できます。
特定の状況における知識を組み合わせて、仕事のスキルを高めると、自身の専門分野について包括的な理解を高められるのです。
②研修へ参加する
組織全体に対しての研修、または特定の社員を対象とした研修に参加するとスキルアップを目指せます。専門の講師から学ぶため最新の情報が得られ、自分が持つスキルをさらに磨きあげるだけでなく、向上させたい分野で自らを教育するのも可能です。
セミナーやワークショップなどに参加すれば、業界の知識も深められるでしょう。
③資格取得をめざす
資格取得の勉強をすると、知識を体系的に身につけられるため、スキルの底上げにも役立ちます。また資格取得という明確な目標があるので、勉強するモチベーションが持続しやすいのです。企業によっては定められた資格取得があります。
資格取得は就職活動が有利になるのはもちろん、昇進や昇給によい影響が出る場合も多いです。
ソフトスキル
ソフトスキルは、他者とのかかわりの中で鍛えられるスキルのことです。たとえば次のような方法が考えらます。
- 注意力を向上させる
- 自分のソフトスキルを特定する
- 上司や先輩に相談する
①注意力を向上させる
集中力・注意力を向上させると、自らの価値を高められます。たとえば次のような点を確認するとよいでしょう。
- メールやチャットなど、メッセージを適切な相手に送る
- メールに添付するファイルは正確なものか確認する
- メッセージ内容に誤字脱字はないか、正しい日本語かをチェック
②自分のソフトスキルを特定する
たとえば自分の強みや弱みを特定するため、ソフトスキルを客観的に振り返り、足りない部分を見つけます。自分が持っているソフトスキルについて、信頼できる上司や友人、家族からフィードバックをもらうのもよいでましょう。
それにより自身のソフトスキルも開発できます。
③上司や先輩に相談する
ソフトスキルを身につけるため、経験が豊富な上司や先輩にアドバイスをもらうのも効果的です。
ビジネスマナーやクライアントとの信頼関係の築き方、社内の対人関係やトラブル時の対応など、どのような点に気をつけているのかを聞くのもよいでしょう。経験を通して得られたものに、ソフトスキルを身につけるヒントがあるはずです。