マルチサイドプラットフォームとは?【意味を簡単に】事例

マルチサイドプラットフォームとは、ビジネスモデルのひとつです。ここでは、マルチサイドプラットフォームについて解説します。

1.マルチサイドプラットフォームとは?

マルチサイドプラットフォームとは、スポンサーモデルとも呼ばれるひとつのビジネスモデルです。

個人に対して無料・法人に対して有料の価値提案を行い、有料顧客が無料顧客分のコストを負担することで成り立っています。GoogleやFacebook、・エージェント企業などがこのビジネスモデルを採用しています。

2000年ごろからすでにGAFAが注目

マルチサイドプラットフォームは、GAFAから2000年頃に注目されていました。GAFAとは、下記頭文字をとった巨大IT企業です。

  • Google
  • Apple
  • Facebook
  • Amazon

GAFAは設立が2000年頃と新しい企業でありながら、マルチサイドプラットフォームを採用することで莫大な利益を得ています。

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2.マルチサイドプラットフォームの「プラットフォーム」とは?

マルチサイドプラットフォームの「プラットフォーム」は、舞台や乗降場といった一段高くなった平らな場所を指す言葉です。ビジネスでは、下記のように2つの意味があります。

  1. OSが、システムやアプリケーションなどシステムを起動するための環境や基盤
  2. 情報や商品、サービスなどを集積する場所

プラットフォームとは? プラットフォームビジネス、企業例
プラットフォームとは、システムやサービスの提供に必要な「土台となる環境」のことです。プラットフォームの種類や事例、メリットを解説します。 1.プラットフォームとは? プラットフォームとは、システムや...

ワンサイドプラットフォーム

特定のサービスや機能を顧客に対して提供し、対価を得るもっともシンプルなプラットフォームです。シンプルな構造のため利益を得にくく、事業の継続に困難な側面があります。

ツーサイドプラットフォーム

売り手と買い手といった異なるユーザー同士が提携関係を結ぶためのインフラを提供するサービス、製品のことです。異なるユーザーに共通するプラットフォームを提供し、ユーザー間の仲介を担うことによって収益をあげます。

ツーサイドプラットフォームでは、ユーザーの両者にコストと利益が発生します。

オープンプラットフォーム

製品やサービスを提供する際に必要となる技術を公開したものです。ユーザー側のメリットは、「取引事業者以外から製品やサービスの提供を受けられる」「製品やサービスを組み合わせて活用できる」などです。

クローズドプラットフォーム

閉ざされたプラットフォームのこと。下記のような特徴があります。

  • アプリケーションの開発や配布などの動作に制限がある
  • 利用に制限がある
  • ユーザーが限定されている

マルチサイドプラットフォームと混同しやすいフリーミアム

マルチサイドプラットフォームと混同しやすいフリーミアムとは、「無料を意味するフリー」と「割増料金を意味するプレミアム」を組み合わせた造語です。基本的なサービスを無料、高度なサービスを有料として利用者や収益を得ていきます。

プラットフォームの機能

プラットフォームには5つの機能があります。それぞれについて解説しましょう。

  1. マッチング機能
  2. コスト削減機能
  3. 検索コストの低減機能
  4. コミュニティ形成による外部ネットワーク効果・機能
  5. 三角プリズム機能

①マッチング機能

売り手と買い手など、複数グループの出会いの場を提供すること。

出会いの場では、決済システムやトラブル対応などを共有できるインフラを整備します。それにより個々で対処すべき課題を共通のシステムで対応でき、新たな出会いの場にもなるのです。

②コスト削減機能

個人やひとつの組織が個別対応していたものを、規模の経済を生かしてプラットフォームで対応すること。個々で対応すると、コストや時間が必要なものを大きな組織で解決するため、事業の効率化をはかれます。

③検索コストの低減機能

プラットフォームの活用によって、ユーザーに安心感を提供したり、製品やサービスの質の担保を実現したりすること。個々で広告宣伝するよりもプラットフォームの集客力で、検索コストを大きく減らせます。

④コミュニティ形成による外部ネットワーク効果・機能

いわゆる口コミといった効果のこと。情報が広まり、プラットフォームへの信頼度が高まるため、より効果的なバイラル効果を生み出せます。

⑤三角プリズム機能

第三のグループを間に置いて、スムーズな交流を生み出す機能です。たとえばSNSは商品販売サイトではありません。しかしSNSに掲載されている情報を呼んだユーザーが掲載製品やサービスに興味を持ち購入するといったケースが、三角プリズム機能に該当します。

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3.マルチサイドプラットフォームが用いられる「プラットフォーム戦略」とは?

商品やサービス、情報を取引する組織に対し、取引の場を提供するための戦略です。多くのIT企業がプラットフォーム戦略の勝者を目指してプラットフォームを開発しています。ここでは、戦略誕生の背景や普及理由について解説します。

プラットフォーム戦略が生まれた背景

プラットフォーム戦略が生まれた背景には、デジタルに関するテクノロジーの発展があります。インターネットが普及して以来、さまざまなネットワークが構築されてきました。

そしてネットワークが複雑化していくなか、インターネットの中にプラットフォームを提供する企業が誕生。その結果、プラットフォーム戦略を検討する企業が急速に増加したのです。

プラットフォーム戦略が普及した理由

プラットフォーム戦略が普及した理由は3つです。それぞれについて解説しましょう。

  1. ネットワークから得られる効果が高い
  2. 顧客分析がしやすい
  3. 複数の業界が関与できる

①ネットワークから得られる効果が高い

ネットワーク効果とは、ユーザーの増加に比例してユーザーが得られる価値も増加すること。ユーザーが一人しかいなければ、プラットフォームの価値はありません。一旦ユーザー数が増加に転じればそのスピードは加速し、プラットフォームの価値は高まります。

②顧客分析がしやすい

プラットフォームに参加するとき、顧客情報の登録を求められます。企業は収集したデータをさまざまな企業活動に活用できます。マス広告では対応しきれなくなった個々の嗜好を蓄積したビックデータをもとに解析すれば、企業活動に大きなプラスとなります。

③複数の業界が関与できる

プラットフォームには、業界や業態を問わず参加できます。さまざまな業界とのコラボレーションが出現するだけでなく、新しいビジネスモデルの誕生やユーザーのニーズにレバレッジを効かせるといった、新たな展開も期待できるのです。

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4.マルチサイドプラットフォーム戦略の考案に役立つビジネスモデルキャンバス

マルチサイドプラットフォーム戦略の考案に役立つのが、ビジネスモデルキャンバス(ビジネス構造の可視化を目的としたフレームワーク)です。9つの要素で構成されており、要素ごとのテンプレートに沿って作成していきます。

  1. 顧客セグメント(Customer Segments)
  2. 価値提案(Value Propositions)”
  3. チャネル(Channels)
  4. 顧客との関係(Customer Relationships)
  5. 収益の流れ(Revenue Streams)
  6. 経営資源(Key Resources)
  7. 主要活動(Key Activities)
  8. パートナー(Key Partnerships)
  9. コスト構造(Cost Structure)

①顧客セグメント(Customer Segments)

自社における主要顧客の特徴を記入します。属性だけでなく、具体的なニーズや特徴的な消費行動、消費する際の価値観や消費態度などを、具体的な人物像に落とし込みます。

②価値提案(Value Propositions)

顧客セグメントで挙げたユーザーが価値を見出す製品やサービスが提供できる便益を記入します。製品の特徴ではなく、選ばれる製品である所以やほか製品と異なる優位性をまとめます。

③チャネル(Channels)

自社の製品やサービスに関する認知や評価、販売や提供、アフターサービスの経路を記入します。チャネルの設計によって、ターゲットとなるユーザーの獲得経路を効率化できるのです。

④顧客との関係(Customer Relationships)

顧客セグメントであげた、ユーザーとの関係を構築・維持する方法を記入します。これにより、製品やサービスごとのユーザーとの関係性を明確にできるのです。

⑤収益の流れ(Revenue Streams)

収益とは、物販や利用料、仲介料やライセンス料、会費などのこと。「ユーザーが収益をいくら払うか」「収益をなぜ払うか」について記入します。具体的には、マネタイズや課金方法などを検討します。

⑥経営資源(Key Resources)

経営資源とは、価値を生み出すために必要不可欠なもの。具体的には、下記のようなものがあり無形財産や有形財産を問わず記入します。

  • 資金
  • 固定資産
  • 人材
  • 企業風土
  • 経験や知識、技術
  • ブランド価値
  • ノウハウ
  • 特許などの知的財産
  • システム

⑦主要活動(Key Activities)

自社のビジネスモデルを成功に導くために必要な活動を記入します。具体的には、下記のような2つの面を考えます。

  • ユーザーへ提供するための製品やサービスの価値を創造する活動
  • リソース面を強化するための活動

⑧パートナー(Key Partnerships)

自社の事業基盤をより盤石にするために必要と考えられる、仕入れ先企業や販売代理店、外注先企業や共同出資者などを記入します。戦略的アライアンスパートナーは、非常に重要な存在です。

⑨コスト構造(Cost Structure)

人件費や材料費、販売促進費や外部委託費などすべての費用を記入します。コスト構造を再確認すると、コストや収益とのバランスからビジネスモデルの持続性を考えていけるのです。

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5.マルチサイドプラットフォーム戦略を成功させるポイント

マルチサイドプラットフォーム戦略を成功させるポイントは2つです。それぞれについて解説しましょう。

  1. 集客性や交流性を高める
  2. 新しい価値を提供する

①集客性や交流性を高める

「宣伝なしでも人が集まる」「口コミで人が人を呼ぶ」仕組み作りが重要です。ポイントを付与したり、口コミしやすい機能を追加したりすると、集客と交流を効果的に高められるでしょう。

②新しい価値を提供する

社会におけるフリクションを低減させるとユーザーに新しい価値を提供できます。そして新しい価値をユーザーに分配すると、マルチサイドプラットフォームの規模をより大きくできるのです。

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6.マルチサイドプラットフォームの成功事例

マルチサイドプラットフォームの成功事例はどのようなものでしょうか。下記2社の事例を見ていきます。

  1. Uber
  2. Google

①Uber

Uberは、ユーザー・ドライバーをつなぐライドシェアサービスを提供しています。

ユーザーとドライバーをアプリでマッチングし、アカウントを利用して自動精算して両者をつなぎ、ドライバーから手数料を徴収するビジネスモデルを確立しました。コロナ禍の現在、63カ国700都市以上で事業展開して、ビジネスを拡大しています。

②Google

Googleは、検索を利用して情報を得たいユーザーと情報を得たいと思っているユーザーに売り込みをかけたい企業、2つを検索サービスをとおして結びつけることに成功した企業です。

検索サービスの利便性が多くのユーザーを集め、広告宣伝効果を生み出し、情報量の多さからさらなるユーザーを生むという好循環のビジネスモデルを確立しました。