ソーシャルスタイルとは? 4つのタイプ、16分割、理論を簡単に

ソーシャルスタイルとは、人の言動を4つに分けたコミュニケーションパターンのことです。ここでは各スタイルのコミュニケーションのコツや活用方法、注意点などについて解説します。

1.ソーシャルスタイルとは?

ソーシャルスタイルとは、1968年にアメリカの産業心理学者、デビッド・メリル氏が提唱したコミュニケーション理論のこと。ものの言い方や感情表現の傾向を組み合わせて、人の言動を以下4つのスタイルに分類します。

  1. Driving(ドライビング)
  2. Expressive(エクスプレッシブ)
  3. Amiable(エミアブル)
  4. Analytical(アナリティカル)

人の言動を単純にわけるのは難しいもの。しかしソーシャルスタイルの活用により大まかな方向性がわかり、どのような人とでもよりよく接する方法を考えていけるのです。

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2.ソーシャルスタイルの目的

コミュニケーションをより円滑に、より効果的なものにすること。

たとえば営業職や販売職、コンタクトセンターのオペレーターなどは直接顧客とかかわる状況が多いです。そこでお互いのソーシャルスタイルを理解、活用すると、スムーズなコミュニケーションができるようになります。

もちろん顧客とかかわらない仕事でもコミュニケーションは発生するでしょう。感情や自己主張を主軸としたソーシャルスタイルによって、社内でもスムーズなコミュニケーションを取っていけるのです。

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disc理論との違い

disc理論も、人の特性を4つにわけて適切なコミュニケーション方法を導き出す理論です。どちらもコミュニケーションを円滑にさせることが狙いであるものの、それぞれ分割する主軸が異なります。

  • ソーシャルスタイル:「自己主張するか、聞く側に回るか」「感情が表に出やすいか、抑える傾向が強いか」の2軸
  • disc理論:「外交的か、内向的」か「タスクや問題を重視するタイプか、人間関係を重視するタイプか」の2軸

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3.4タイプのソーシャルスタイル

コミュニケーションをより円滑にするためのソーシャルスタイルは、以下の4つに分類されます。各スタイルの特徴や有名人について説明しましょう。

  1. Driving(ドライビング)
  2. Expressive(エクスプレッシブ)
  3. Amiable(エミアブル)
  4. Analytical(アナリティカル)

①Driving(ドライビング)

自分の意見を主張しつつも感情を抑えるタイプのこと。合理的に物事を達成していく傾向にあり、プロセスよりも結果を重視するビジネスライクな性格です。

決断力に優れており上昇志向も高いです。やや固い言葉を使って無駄な話を多くしません。人によってはぶっきらぼう、衝突が多いタイプと見られるときもあります。

ドライビングタイプは経営者にも多いといわれています。戦国武将にたとえると織田信長、ドラえもんのキャラクターに例えるとジャイアンのタイプです。

②Expressive(エクスプレッシブ)

声や態度、感情などを大きく表現するタイプのこと。仕事においては効率や成果よりも人間関係を優先する傾向にあります。

雰囲気を明るくできるムードメーカー的な存在で、流行や話題性にも敏感です。チームに新しいメンバーが入ってきても問題なくコミュニケーションが取れるタイプで、みずから先頭に立って人を率いる傾向にあります。

戦国武将でいうと豊臣秀吉、キャラクターでいうとドラえもんのタイプです。

③Amiable(エミアブル)

相手の意見に身を傾け、自分が注目されるよりも全体の調和を重視するタイプのこと。ドラえもんのキャラクターではのび太くん、戦国武将では徳川家康がこのタイプです。

親しみやすい雰囲気を持っており、ソフトな話しぶりで柔らかい言葉を使います。周囲を励ましたりサポートしたりすることが得意な一方、優柔不断な一面もあるのです。マメに情報を共有して「チーム力」を支えるこのタイプは日本人に多いといわれています。

④Analytical(アナリティカル)

いわゆる分析型のこと。感情表現も主張も控えめですが、時間やデータ、事実を重んじる傾向にあり、理路整然としています。

会議でも進んで発言することはなく、どちらかといえば冷静に話を聞いているタイプですが、ゆっくりと順序だてて話すことが得意です。

戦国武将では明智光秀、ドラえもんのキャラクターではスネ夫にたとえられます。自分のなかでじっくり物事を考え、感情に振り回されず物事の本質を見抜く力を持っているのです。

16分割されることも

以上4つのスタイルをメインに、さらにそれぞれ4つのサブスタイルをつけて16分割することもあります。しかしすべての人がきれいに4つにわかれるわけではありません。どちらかというと、2番目に近い性質を選んだ複合型の人が多いとされています。

たとえば下記のとおりです。

  • 自分のメインスタイルは「アナリティカル」だが「ドライビング」的な傾向もある
  • この人はいつも「エミアブル」なタイプだが、シーンによって「エクスプレッシブ」な一面が見える

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4.ソーシャルスタイル診断表とコミュニケーションのコツ

コミュニケーションのコツは各ソーシャルスタイルによって異なります。スタイルごとのコミュニケーションのコツや相性について説明しましょう。

ソーシャルスタイル診断表

まずは自分や相手がどのタイプになるのか、把握しましょう。各ソーシャルスタイルのどれに該当するかを調べる際は「ソーシャルスタイル診断表」を活用します。以下は各タイプにおける特徴の一例です。

  • ドライビング:仕事は結果重視、統率力がある、感情を表に出さない
  • エクスプレッシブ:人を巻き込むのが得意、オープンな性格、明るく楽観的
  • エミアブル:聞き上手、面倒見がよい、結果より周囲の関係が大事
  • アナリティカル:理路整然としている、時間に厳格、自分のペースを守る

コミュニケーションのコツと相性

どのスタイルに分類されるかわかったら、会話のコツや相性のよいコミュニケーションを理解していきます。

ドライビングタイプ

自分でしっかり物事をコントロールしたいタイプで、他人からむやみやたらに指図されることを嫌います。コミュニケーションを取る際は主導権を相手に渡し、本人に「自分で決めた」と思われることが大切です。

例:「〇〇について、〇〇さんの意見を聞かせていただけませんか?」「〇〇さんを見習って自分もこの勉強をしています」

同じく意見を主張するタイプの「エクスプレッシブタイプ」と組み合わせると、新しいアイデアが次々と浮かんできます。

エクスプレッシブタイプタイプ

流行や新しいことを好む傾向にあり、発想や創造が得意です。ムードメーカー的な高い社交性と楽観的な思考を持っていますが、楽しさを重視するあまり、時間や予定にルーズになりがちなので注意しましょう。

活発なコミュニケーションを行いたい場合はドライビングタイプと、感情を重視した話し合い、相談をしたいときはエミアブルタイプとの相性がよいタイプです。

アナリティカルタイプとは正反対になるものの、互いの弱点をうまく補えれば非常に効率のよいチームワークが生まれます。

エミアブルタイプ

協調的で高い共感力を持っています。また他人との衝突や激しい意見のぶつかりを避ける傾向にあり、個人で仕事を進めるよりチームで仕事を進める環境のほうが向いています。

一方、相手の頼みごとを断れない、気づいたら仕事を抱え過ぎているときも多いです。ドライビングタイプやエクスプレッシブタイプの人と一緒にいると自分のやることが明確になり、バランスのよいチームワークを築けます。

アナリティカルタイプ

黙々と作業を進める職人や、研究者気質を持った人に多いタイプです。表面的な情報を鵜呑みにせず、矛盾点やあいまいな点があれば徹底的に調査します。

アナリティカルタイプと付き合う際は、相手の専門性を褒めたり、会話時に相手に考える時間を与えたりするとよいでしょう。

なおドライビングタイプやエクスプレッシブタイプとは対局的な性格で、なおかつ感情に訴えかけるような対応も効果的ではありません。

ミーティングでははじめに「目的」や「効果」、「進め方」などを提示して、あとから資料をチェックしてもらう方法が適しています。

スタイル別の相性

4つのソーシャルスタイルは「自己主張の強弱」を縦軸、「思考表現の強弱」横軸にして、それぞれの相性を相対的に分類します。

左上から「ドライビング」、その右に「エクスプレッシブ」、左下に「アナリティカル」、右下に「エミアブル」を置き、上下左右、対角線上に位置するタイプの相性を判断するのが一般的です。

この場合、上下左右に位置するタイプ(ドライビングとエクスプレッシブ、ドライビングとアナリティカル)は比較的相性がよく、対角線上にあるタイプ(ドライビングとエミアブル)は考え方が真逆なため、比較的相性が悪いと判断されます。

両者が同じタイプならもちろん考え方も似ているため、自然とわかりあえるのです。

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5.ソーシャルスタイルの活用方法

ソーシャルスタイルをコミュニケーションで活用する際の方法とステップを見ていきましょう。

自分のスタイルを知る

まず自分自身が4つのうちどのソーシャルスタイルに属しているのか、確認します。コミュニケーションで、自分の特性を知らずに相手を理解するのは難しいもの。
「相手に誤解される」「いつも本来の自分を認めてもらえない」といったトラブルは、相手の見る姿と自分の認識がずれている点に原因があります。自己判断にこだわらず、上司や同僚など他者の視点からも、自分のスタイルを診断してみましょう。

相手のスタイルを知る

自分のソーシャルスタイルを理解したら、相手のソーシャルスタイルを分析します。前述した「ソーシャルスタイル診断表」を活用したり、以下2つの質問で簡易的に相手のソーシャルスタイルを診断したりしましょう。

  • 問1.話し合いの場ではどのように振る舞いますか?
    • A:自分から進んで発言する
    • B:話を振られたら、または順番が回ってきたら話す
  • 問2.リラックスした状態のとき、感情が顔に出やすいですか?
    • C:感情が表情に出やすい
    • D:感情は表面にあまり出ない
  • 答えの組み合わせによる判定
    • AとC:エスクレッシブタイプ
    • AとD:ドライバータイプ
    • BとC:エミアブルタイプ
    • BとD:アナリティカルタイプ

相手に合わせたソーシャルスタイルを選ぶ

相手のソーシャルスタイルを分析できたら、そのタイプが好ましいと感じるコミュニケーションスタイルを実行してみましょう。重要なのは「自分のルール」を前提に話を進めないこと。

「相手のルール」に合ったコミュニケーション方法を選択すれば、致命的なコミュニケーショントラブルはほとんど発生しません。この考えは仕事だけでなくプライベートでも同様です。

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6.ソーシャルスタイルをマネジメントに活用するメリット

ソーシャルスタイルをマネジメントに活用すると、組織全体として最高のパフォーマンスが発揮できます。

  1. 業務の効率化
  2. 交渉力や提案力の向上
  3. 人間関係のストレスを軽減

①業務の効率化

ソーシャルスタイルをマネジメントに活用すれば相手や状況に応じた臨機応変な対応力が身につき、業務を効率的に進められるでしょう。それぞれのソーシャルスタイルは、不足している部分を互いに補える関係性となっているのです。

たとえば分析力に長けたアナリティカルタイプと直観的に動くエクスプレッシブタイプがうまく手を組めば、バランスのよい効率的なチームになります。能力の偏りや重複、衝突を防ぎ、効率的に業務を進めるためにも、ソーシャルスタイルが必要なのです。

②交渉力や提案力の向上

ソーシャルスタイルは提案力、交渉力のアップにも欠かせません。自分の提案と相手のニーズが重なれば重なるほど、お互いの納得感が高まるもの。

相手のソーシャルスタイルを分析して、相性のよい対応を取っていければ、相手に満足感を与えながら自分の望ましい方向に落ち着かせられます。営業活動やクレーム対応など、幅広いシーンに活用できる理論です。

③人間関係のストレスを軽減

いわゆる「誰とでもうまくやれる人」は「相手のルールに合わせたコミュニケーション」ができる人でもあります。チームで仕事をしていると、苦手なタイプや相性の悪い相手とかかわる場合もあるでしょう。

しかし「自分のルール」を大事にすればするほど「苦手だ」「相性が悪い」と感じる幅は広くなるもの。ソーシャルスタイルを意識すれば苦手なタイプへの対応やコミュニケーションのコツがわかるため、人間関係のストレスを減らせるでしょう。

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7.ソーシャルスタイル活用の注意点

ソーシャルスタイルのタイプに良し悪しはありません。ソーシャルスタイルはどのタイプが優れていて、どのタイプが劣っているかを分析するものではなく、コミュニケーションの取り方がそれぞれ異なることを表しているに過ぎないからです。

またすべての人々が、4つのうちいずれかのタイプに当てはまるわけでもありません。ソーシャルスタイルの分析に夢中になるあまり、組織全体の価値観が偏ったり、視野が狭くなったりしないよう注意しましょう。