一般扶養親族とは?【わかりやすく解説】要件、特定扶養親族

一般扶養親族とは、税金の控除対象となる扶養親族です。ここでは一般扶養親族についてさまざまなポイントから解説します。

1.一般扶養親族とは?

一般扶養親族とは、住民税や所得税といった税金の控除対象になる扶養親族のこと。「納税者が金銭的に養っている親族である」「その年の12月31日の時点で16歳以上」などの要件を満たさなければなりません。

なお16歳未満の年少親族は、住民税の制度である非課税限度額の計算には関わります。扶養控除は対象外です。

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2.一般扶養親族の意味や要件

一般扶養親族の意味や要件について、ポイントを解説します。

扶養

経済的な理由をはじめ、さまざまな理由で生活能力のない親族を経済的に面倒をみること。扶養には、下記2つがあります。

  1. 健康保険上の扶養
  2. 税法上の扶養

親族が一定水準以上の収入を得るようになったとき、扶養から外れます。扶養から外れると、所得税など税金の要件が変わるため、税金負担が増えるのです。

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①健康保険上の扶養

健康保険法で定められた以下にあげる3つの扶養に関する要件を満たした親族です。

  • 配偶者や子、孫や弟妹、父母等の直系親族
  • 上記以外の3親等内の親族(義父母、兄姉等)で同居している人
  • 内縁の配偶者の父母、連れ子で同居している人(内縁の配偶者死亡後も認められる)
  • なお、健康保険上の扶養の注意点は以下のとおりです。
  • 扶養家族には収入限度額が設けられている
  • 75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の被保険者は扶養家族の範囲にならない
  • 40~64歳の被扶養者の介護保険料が別途必要となる

②税制上の扶養

「扶養家族の給与年収が103万円以下」のように一定要件を満たした際に加入できる扶養です。税制上の扶養に入れば、所得税と住民税の税負担が軽減されます。税制上の扶養でも給与年収が103万円を超えれば扶養から外れます。

なお所得税法上、扶養控除と配偶者控除は別のもので、配偶者は扶養家族に含まれません。

税制上の一般扶養親族の要件

税制上の一般扶養親族には、範囲と年齢、生計同一と所得、青色・白色申告者の事業専従者の要件があります。それぞれの要件について解説しましょう。

  1. 範囲要件
  2. 年齢要件
  3. 生計同一要件
  4. 所得要件
  5. 青色・白色申告者の事業専従者の要件

①範囲要件

範囲要件は以下のとおりです。

  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)
  • 都道府県知事から養育を委託された児童
  • 市町村長から養護を委託された老人

所得税といった税制上の控除対象扶養親族になるためには、「親族が扶養親族に該当する」「その扶養親族の年齢が16歳以上である」両方を満たす必要があります。条件にあてはまっているかどうかを、正しく認識しましょう。

6親等内の血族および3親等内の姻族

6親等内の血族および3親等内の姻族とは以下のとおりです。姻族とは配偶者の血族を意味します。

  • 1親等の血族範囲は、父母、子
  • 2親等の血族範囲は、祖父母、兄弟姉妹、孫
  • 3親等の血族範囲は、曽祖父母、曽孫、叔父叔母、甥姪
  • 4親等の血族範囲は、高祖父母、玄孫、祖父母の兄弟姉妹、いとこなど
  • 5親等の血族範囲は、高祖父母の父母、来孫、いとこの子など
  • 6親等の血族範囲は、高祖父母の祖父母など

②年齢要件

毎年12月31日の時点で16歳以上の親族であること。所得税法では、12月31日の時点での状況をもとに所得税を算出します。そのため、その時点での年齢を扶養親族の要件にしているのです。

なお、16歳未満の子どもに対しては児童手当が支給されています。児童手当と扶養控除
、ダブルの適用は過剰であるとの判断から、16歳未満の子どもは税制上の扶養親族から除外されているのです。

特定扶養親族

税法上の控除対象扶養親族のなかで、その年の12月31日時点の年齢が19歳以上23歳未満の親族のこと。

扶養控除申告書を提出した時点で18歳であっても、その年の12月31日までの間に19歳の誕生日を迎える場合、特定扶養親族になります。特定扶養親族として扱われるのは、19歳から4年間の4回です。

老人扶養親族

以下の5つの要件を満たした親族です。

  • 6親等内の血族、3親等内の姻族
  • 合計所得金額が48万円以下
  • 生計を一にしている
  • 扶養親族が他の控除対象配偶者または扶養親族としての控除の対象とされていない
  • 年齢70歳以上である

ただし、2020年の年末調整および2021年3月期の確定申告では、昭和26年1月1日以前に生まれも該当します。

③生計同一要件

「生計を一にしている」とは、家計が一緒であるという意味です。たとえば「納税者の生活費で養ってもらっている」「生活費を一緒に負担している」「仕送りをしている」場合、生計同一要件を満たしていることになります。

同居しているケースのみが該当すると考えがちでしょう。生活費を支援していれば、離れて暮らしている親族も要件を満たしていると見なされる場合があります。

④所得要件

「年間所得が48万円以下」「給与所得のみの場合、年間給与収入が103万円以下である」点です。

令和元年まで、「年間所得が38万円以下」「給与所得のみの場合は給与収入103万円以下」となっていました。税制改正によって、令和2年から前述の要件に改正されています。

なお所得税を計算する際、「19歳以上23歳未満の特定扶養親族」「70歳以上の老齢扶養親族」は、区分により所得控除額が異なるのです。所得の計算や所得控除額の確認などをしっかり確認するとよいでしょう。

⑤青色・白色申告者の事業専従者の要件

扶養控除の対象になりません。青色・白色申告者とは、個人事業主を指します。

  • 青色申告専従者は「専従者給与」を経費にできる
  • 白色申告専従者の給与は経費にできないが、 一定額を白色申告専従者控除にできる制度があるため原則、扶養控除の対象にならない

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3.扶養控除と配偶者控除、配偶者特別控除の違い

扶養控除と配偶者控除、配偶者特別控除には違いがあります。ここでは、それぞれのポイントを解説しましょう。

扶養控除と配偶者控除、配偶者特別控除との違い

扶養控除とは、16歳以上の子どもや高齢者などを扶養親族とした場合に受けられる控除のこと。扶養という言葉が使われているため、配偶者も扶養控除の中に含まれると誤解しがちです。しかし扶養控除を受けられる扶養親族に、配偶者は含まれていません。

配偶者がうけられるのは、「配偶者控除」「配偶者特別控除」。ここでは、配偶者が受けられる控除についてポイントを解説します。

配偶者控除

配偶者が一定額の所得控除を受けられる制度のこと。控除額は、下記のとおりです。

  • 所得税38万円
  • 住民税33万円
  • 配偶者控除を受けるためには、要件は以下のとおりです。
  • 民法の規定による配偶者である(内縁関係では該当しない)
  • 納税者と生計を一にしている
  • 年間合計所得金額が38万円以下、ただし令和2年分以降は48万円以下、給与のみの場合は給与収入103万円以下
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて給与の支払を一度も受けていない、もしくは白色申告者の事業専従者でない

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配偶者特別控除

「配偶者の合計所得金額が48万円を超えているために配偶者控除が適用されない」という場合に利用できる控除です。配偶者の所得金額に応じ、一定額の所得控除を受けられます。

配偶者特別控除を受けるための主な要件は以下のとおりです。

  • 民法規定の配偶者である(内縁関係では該当しない)
  • 納税者と控除対象者が生計を一にしている
  • 配偶者の年間合計所得額が48万円超133万円以下
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて給与の支払を一度も受けていない、もしくは白色申告者の事業専従者でない
  • 納税者本人の年間合計所得金額が1,000万円以下
  • 配偶者が、源泉控除対象配偶者がある居住者として源泉徴収されていない

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4.一般扶養親族に関する扶養控除を受けるためには?

「会社に勤めている場合、「扶養控除等等(異動)申告書」を会社に提出する」「会社は提出書類をもとに年末調整をする」と一般扶養親族に関する扶養控除を受けられます。

一方、個人事業主や年途中で退職し、年末調整をしていない場合、確定申告で扶養控除を受けられるのです。

  1. 年末調整
  2. 確定申告

①年末調整

給与から源泉徴収されている所得税額を年末に再計算して、1年間の適正な所得税を計算すること。毎月給与から源泉徴収されている所得税額は、個人の状況に応じた控除額が考慮されていない概算の税額となっています。

年末調整では、本来納めるべき所得税額と源泉徴収された所得税額の差額を計算します。
そして払い過ぎていれば還付・支払いが少なかった場合には差額を徴収していくのです。

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②確定申告

毎年1月1日~12月31日の1年間に生じた、総所得金額・総所得金額にかかる所得税と復興特別所得税の額を計算して納税する手続きのこと。納税者自らが自己申告で納税額を確定していくため、確定申告という名称で呼ばれています。

確定申告の主な対象者は、個人事業主やフリーランス、一部の給与所得者など。ここでは、会社員でも確定申告が必要となるケース・確定申告をする必要のないケースについて解説します。

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会社員でも確定申告が必要となるケース

会社員でも確定申告が必要となるケースがあります。

2カ所以上から給与が支払われているケース

2カ所以上から給与の支払いを受けていると、会社員でも確定申告が必要になります。
この場合、扶養控除申告書を提出している主たる事業所のみで年末調整が行われているので、年末調整が未実施のほうの給与所得は、確定申告を行うのです。

なお、転職して結果的に1年間で2社以上から給与をもらった場合、転職前の会社からもらった源泉徴収票を転職先に提出すれば転職先で年末調整を行えます。よって確定申告は不要です。

年収2,000万円を超えるケース

年収2,000万円を超える会社員は、確定申告が必要です。給与所得が2,000万円を超えると年末調整は行われないため、確定申告が必要になります。そして配偶者控除や社会保険控除など各種控除を受けられるのです。

源泉徴収票のほか必要に応じて、生命保険や地震保険の払込証明書や医療費領収証、住宅借入金等特別控除申告書と金融機関が発行する残高証明書の用意が必要です。普段から書類を整理しておき、必要なときにすぐ用意できるようにしておきましょう。

給与以外の所得が1年で20万円を超えるケース

給与以外の所得が、1年で20万円を超える会社員も確定申告が必要です。副収入と呼ばれる以下のようなものが該当します。

  • 衣服や雑貨家電など資産の売却所得
  • 自家用車の貸付けによる所得
  • ホームページの作成やベビーシッターなどの役務の提供による所得
  • 暗号通貨の売却等による所得
  • 競馬などの公営競技の払戻金による所得

このような収入が20万円超あった場合、確定申告を行います。

確定申告をする必要のないケース

確定申告をする必要のないケースもあります。

年末調整しているケース

年末調整をしていれば原則、確定申告は必要ありません。会社が行う年末調整や個人で申告する確定申告は、ともに適正な所得税を納めるための手続きです。

そのため、会社で年末調整を行った場合、所得税の過不足金の精算がすでに済んでいることになります。よってあらためて個人で確定申告を行う必要はありません。

公的年金400万円以下で源泉徴収をうけているケース

下記両方の要件を満たした場合、確定申告の必要はありません。

  • 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下
  • 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下

ただし、以下の注意点があります。

  • 所得税及び復興特別所得税の還付には確定申告書の提出が必要
  • 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下で確定申告不要のケースでも、住民税の申告が必要な場合もある
所得が少額であるケース

所得が少額である場合、年間の所得金額が38万円以下であれば、収入があっても確定申告の必要はありません。

所得税の38万円の「基礎控除」は誰もが利用できる控除です。所得が38万円以下の場合、基礎控除を差し引くと課税所得額が0円になるため、所得税がかかりません。そのため、確定申告が必要なくなります。

この場合の所得とは、収入から経費を引いた金額のこと。確定申告が必要ないといっても、問い合わせや調査などの際に回答できるよう、経費と収入の一覧表などを作成して明らかにしていく必要があります。