コミュニケーションとは、伝達や意思疎通、あるいはこれらを示す行動のことです。ここではコミュニケーションの重要性やコミュニケーション能力を高めるメリット、コミュニケーション能力不足がもたらす悪影響などについて、解説します。
目次
1.コミュニケーションとは?
コミュニケーション(Communication)とは情報伝達や意思疎通などの表現、また意思を伝え合う、交流を図るなどの行動を指す言葉のこと。
Communicationの語源はラテン語のコミュニス(Communis)、「同じものを持つ、あるいは共通したもの」という意味があります。
意味や定義
コミュニケーションという言葉はビジネスシーンのみならず、さまざまな範囲、分野で使用されています。岩波書店の『広辞苑』ではコミュニケーションという言葉を「社会生活を営む人間のあいだで行われる知覚や感情、思考の伝達」と定義しているのです。
2.コミュニケーションをとる重要性
コミュニケーションでは、どのような情報をやり取りしているのでしょう。ここではコミュニケーションをとる重要性について、以下4つの視点から説明します。
- 信頼関係の向上
- 情報共有の円滑化
- ストレス解消
- チームワークの向上
①信頼関係の向上
コミュニケーションは相手とのあいだにある心と心の距離を縮め、信頼関係を作るために欠かせない要素です。それほど関係が深くない相手とわかり合うには、相手とのあいだに信頼関係を築かなくてはなりません。
この信頼関係を作ったうえで要求やアドバイス、依頼などをして相手を望ましい姿にするのがコミュニケーションです。
②情報共有の円滑化
コミュニケーションをとる文化が日常化していると、スムーズな情報共有につながります。情報共有が不足していると進捗状況がわからず生産性が悪化したり、部門間で連携が取れず顧客対応を十分に行えなかったりする可能性もあります。
情報共有を円滑化すると「情報をひとりで抱え込まなくていいんだ」という安心感になり、組織全体の雰囲気をよくできるのです。
③ストレス解消
「こんなことを相談するのは相手にとって失礼かもしれない」「わからないことがあるけれど相手の時間を取るわけにいかない」このような心理的抵抗があると、相手と良好な意思疎通を図れないためストレスが増加します。
とりわけ人間関係の不満は離職原因のひとつ。しかし誰かに相談できる環境があれば多少なりともストレスを解消できます。
④チームワークの向上
会社は基本、組織単位で動くもの。組織のチームワークがよいと生産性も高くなります。このチームワークをよくするためには、情報共有や情報交換がスムーズに行えるコミュニケーションが必要です。
チームワークがよく、気軽に相談しやすい雰囲気ができている組織からは、何気ない雑談から新たなアイデアや挑戦が生まれる可能性も高まります。
3.コミュニケーションにおける4つの手段
コミュニケーションにはいくつかの手段があります。その手段を4つに分類して説明しましょう。
- 口頭
- テキスト
- 非言語コミュニケーション
- ビジュアル
①口頭
口頭でコミュニケーションをとると、言語と言語以外の両面から情報を伝えられるため、認識齟齬や誤解を招く可能性が低くなります。聞き手は直接的な会話の内容だけでなく、表情や声のトーン、身振り手振りを見て話し手の真意を探るのが可能です。
②テキスト
口頭に比べて誤解が生じやすいのが、言語のみの伝達となるテキストコミュニケーション。時間を気にせず送受信できるものの、重要な連絡が埋もれやすい、感情が伝えにくいといったデメリットもあります。
③非言語コミュニケーション
非言語コミュニケーションとは、話し手の身振りや表情、声のトーンなど、言語に頼らないコミュニケーションのこと。話し方や表情、間の置き方などによって受け手の印象は変わるもの。情報発信者の印象を大きく左右するのが、非言語コミュニケーションです。
④ビジュアル
情報発信者の服装や映像など、視覚的イメージが受け手に働きかけるビジュアルコミュニケーションも、非言語コミュニケーションのひとつ。
多くの場合状況説明を補完する目的で使われます。なかには言語で説明するよりも効果的なコミュニケーション方法として用いられる場合もあるのです。
4.コミュニケーション能力を高めるメリット
コミュニケーション能力を高めるとさまざまなメリットを得られます。
- 説明上手になれる
- 良縁に結ばれやすくなる
- スキルアップを目指せる
- 信頼される人になれる
①説明上手になれる
コミュニケーション能力の高い人は、自分の考えをまわりに伝えるのが得意です。身振り手振りや表情、声のトーンなどを活用してスムーズに情報を伝達できます。説明上手な人材にはチームを活性化させ、作業効率を高めるメリットがあるのです。
②良縁に結ばれやすくなる
よく知らない相手をいきなり信じるのは難しいでしょう。しかし互いにコミュニケーションをとり、相互理解を深めていけば信頼関係を構築して良好な関係が築けます。コミュニケーション能力の高さは良縁につながり、商談成立につながる可能性も高いです。
③スキルアップを目指せる
コミュニケーション能力の高い人は総じて傾聴力や社会的なマナーレベルが高いです。そのため、コミュニケーション能力を高めることが人間としてのスキルアップ、キャリアアップにつながります。
④信頼される人になれる
ある調査では、回答者の多くが信頼できる人の特徴に「腹を割って話せる人」「報告や連絡をしっかりする人」を挙げています。信頼される人は相手の気持ちに寄り添える共感力、すなわちコミュニケーション能力の高い人でもあるのです。
5.コミュニケーション不足が引き起こす悪影響
コミュニケーション能力が不足していると「モチベーション低下」や「生産性ダウン」などさまざまな悪影響をおよぼします。
トラブルが増加
ビジネスシーンでコミュニケーションが不足していると、業務上必要な連携がうまくいかず、不要なトラブルをまねく恐れがあります。視野が狭くなりやすく、足並みがそろわないまま業務が進み、結果として非効率的な組織運営となる可能性も高いでしょう。
モチベーションの低下
個人で対処できる業務量や難易度にも限度があります。コミュニケーションが不足していると個人レベルで対応しきれない事態に遭遇しても助けを呼べないため、結果としてモチベーションが低下してしまいます。
またテレワークの増加によってコミュニケーションが不足し、不安や孤独を感じやすくなったという調査結果もあるのです。
モチベーションとは? 意味や下がる原因、上げる方法を簡単に
従業員のモチベーションの可視化と分析ができる「カオナビ」
⇒人材管理システム「カオナビ」の資料はこちらから
ビジネスの現場では「モチベーション」という言葉がよく使われます。本記事では、意味やビジネスで...
生産性がダウン
コミュニケーションが不足していると、業務上必要な質問をしたり確認をとりにくかったりためトラブルが増えます。「全体の進捗状況がわからない」「仕事のノウハウが引き継げず、若手社員が育たない」などのデメリットも生じやすいです。
生産性とは? 意味や計算式、低い理由、向上の取り組みを簡単に
組織の生産性をあげるなら
人材情報を戦略的に活用できる「カオナビ」
⇒人事管理システム「カオナビ」の資料はこちらから
生産性を向上させるためには、単にオートメーション化するのではなく、社員の労働環境を...
6.コミュニケーション能力が高い人の特徴と要因
コミュニケーション能力が高い人の特徴と要因について、見ていきましょう。
- ポジティブ思考
- 会話の引き出しが多い
- 親身になって聞いてくれる
- 伝え方が上手
①ポジティブ思考
自分と異なる価値観を持った相手に対して「あの人は変な人だ」と話すのと「あの人は個性的でおもしろい人だ」と話すのでは印象がまったく異なるもの。
仕事で思うような結果が出ないときに「だから無理だっていったんだ」と話すネガティブ思考の人と「おもしろい」「やりがいがある」と話すポジティブ思考の人、どちらと話したくなるでしょうか。
②会話の引き出しが多い
コミュニケーション能力の高い人は、さまざまな会話に対応できます。会話のネタを多く持っていたり、相手に合わせた話題を見つけたりするのが得意だからです。
必ずしも博識である必要はありません。しかし相手が話しやすいテーマを選べれば、コミュニケーションも取りやすくなります。
③親身になって聞いてくれる
コミュニケーションは一方的な情報の伝達ではないため、相手の話を最後まで聞くための傾聴力も必要です。「この人は自分の話をちゃんと聞いてくれているんだ」と感じる相手には安心感を抱き「また話したい」と思うようになります。
④伝え方が上手
コミュニケーション能力が高い人の特徴として「伝え方がうまい」も挙げられます。コミュニケーション能力が高い人は、話の5W1Hを明確にして、相手の反応を見ながら話を進めるからです。
目的や結論を明確に伝えられれば、相手も「もっと話を聞きたい」「この人に相談したい」と思うでしょう。
7.コミュニケーションが苦手な人の特徴と原因
コミュニケーションが苦手な人の特徴と原因について、見ていきます。
- ネガティブ思考
- 答えのない話し方
- 相手の話を聞かず一方的
- 対人関係が苦手
①ネガティブ思考
コミュニケーションが苦手な人は、楽しい会話のなかでも水を差すようなネガティブな発言が目立ったり、空気を読まずに発言してしまったりします。周囲から「空気の読めない人」「建設的な会話ができない人」といった評価を受けるタイプです。
また自分の考えが正しいと思い込む傾向も強いため「こういった点を改善すればよいのでは」とアドバイスを受けても「でも」「いや」とネガティブな言葉から話してしまいます。
②答えのない話し方
話の内容に目的や結論がないタイプも、コミュニケーションが苦手です。思いつくまま無計画に話してしまうため、聞き手から「この人は結局何が言いたいのかわからない」「話の結論はなんだろう」と評価されてしまいます。
ビジネスシーンでは結論から話すことが重要です。この場合、5W1Hや主語を意識すればコミュニケーションは飛躍的にスムーズになります。
③相手の話を聞かず一方的
コミュニケーション能力が高い人は親身になって相手の話を聞けます。つまり相手の話を聞けず、一方的に自分の話ばかりしている人はコミュニケーション能力が高いとはいえません。
またコミュニケーションが苦手な人は、人と視線を合わせるのも苦手です。しかしアイコンタクトも非常に重要なコミュニケーションツール。適度に視線を合わせながら相手の話を聞くことは重要です。
④対人関係が苦手
コミュニケーションが苦手だから人と会うのが疲れる、つい家に引きこもりがちになってしまう、というタイプも存在します。
しかし対人関係はコミュニケーション、共感の積み重ねで成り立つもの。「沈黙が気まずい」「何を話していいかわからない」と自分の世界に閉じこもってしまうと、いつまでも共感経験ができず、かえって苦手意識を強めてしまいます。
8.コミュニケーションスキル向上のポイント
コミュニケーション能力は生まれ持った才能ではなく、誰でも高められる能力です。ここではコミュニケーションスキルを高めるためのポイントを5つ説明します。
- 挨拶を欠かさない
- 話し方を工夫する
- コミュニケーション研修をする
- 共通点を見つける
- 報連相を欠かさない
①挨拶を欠かさない
挨拶は日本だけでなく世界中で基本となるコミュニケーション。初対面の人に気持ちよい挨拶ができれば、相手からの印象がよくなるでしょう。
もちろん毎日会う人にも大きな声で挨拶すれば「元気ですね。何かよいことでもあったんですか?」「昨日は遅くまで仕事をしていたみたいだけど、疲れは残っていない?」など、コミュニケーションのきっかけにつながります。
②話し方を工夫する
話し方や情報の伝え方を工夫するのも、コミュニケーションスキルを高めるひとつの方法といえます。
たとえば「業務連絡のメール返信を箇条書きにして要点をまとめる」「1から詳細に話して説明するのではなく結論から話し始める」などです。
③コミュニケーション研修をする
コミュニケーション研修に参加して、傾聴のコツや相手に合わせた話し方のポイントなどを身につけるのも効果的です。座学だけでなくグループワークやロールプレイングなどを取り入れた研修なら、より実践的にコミュニケーション能力を高められます。
④共通点を見つける
相手との共通点を見つけられると、その話題で盛り上がります。「趣味が同じ」「出身地が同じ」という人に親近感を抱いたという経験を持つ人も多いでしょう。共通点を見つけられると親しい気持ちになるため、結果として互いの距離を近づけられます。
⑤報連相を欠かさない
仕事上のコミュニケーションとして欠かせないのが報告、連絡、相談の、いわゆる「報連相」。報連相では相手にわかりやすく情報を伝えることが重要になります。
報連相を欠かさず行えれば、自然とコミュニケーション能力が鍛えられ、周囲から信頼、信用を得られるでしょう。