反芻思考とは?【止め方をわかりやすく解説】原因、うつ病

反芻思考とは、過去のネガティブな出来事を繰り返し思い出して悩み続ける考え方のことです。ここでは精神疾患との関係性や反芻思考による悪影響、原因や止め方などについて解説します。

1.反芻(はんすう)思考とは? 意味や読み方

反芻(はんすう)思考とは、過去に起きたネガティブな出来事を繰り返し思い出し、抑うつ気分を増長させる考え方のこと。もともと「反芻」とは、牛が一度胃に入ったものを口に戻し、咀嚼して食べ物を消化しやすくする行為を指します。

過去のネガティブな出来事を繰り返し思い出しては落ち込む行動が反芻に似ている点から、心理学的には「反芻思考」、あるいはわかりやすく「ぐるぐる思考」や医学的に「抑うつ的反芻」と呼ばれているのです。

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2.反芻思考とうつ病などの精神疾患との関係

反芻思考はうつ病や不安障害、強迫性障害などとも深く関係しています。とりわけ普段から過去の不快な記憶を思い出す場合の多い反芻思考のひとは、ストレスに弱い傾向があるといわれているのです。

反芻思考では自分にはどうにもできないことについて繰り返し悩み、そのたびに抑うつ気分を増長させます。もちろん問題の原因は解決していません。時間とエネルギーを消費するだけなのは、ストレス以外のなにものでもないでしょう。

反芻思考に陥った結果、ストレスにつながる出来事が起きただけで無気力状態になったり、精神疾患と判断されるレベルにまで悪化したりする可能性もあります。

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3.反芻思考の2つのタイプ

同じ反芻思考でも、思い出すスタンスによって2つのタイプにわかれます。ここでは反芻思考の2タイプについて説明します。

  1. リフレクション(Reflection)
  2. ブルーディング(Brooding)

①リフレクション(Reflection)

過去の不快な出来事そのものを思い返すというより、不快な出来事が起こった理由を振り返る反芻思考のこと。「あのときなぜ自分は失敗してしまったのだろうか」「なぜ自分はいつも失敗を繰り返してしまうのだろうか」のように、失敗の原因を自己分析します。

この自己分析が同じ失敗を回避する前向きな気持ちにつながるため、比較的未来に生かせる反芻思考といわれています。

②ブルデーディング(Brooding)

失敗の理由を自分自身の不甲斐なさや自身を取り巻く環境の理不尽さなどに探してしまう思考のこと。下記のように、過去の自分を否定して理不尽な状況に不満を募らせます。

  • 自分が失敗を繰り返すのは自分が無意味な人間だからだ
  • もっと自分がこうならよかったのに
  • こんな体に生まれていなければ

「リフレクション」はうつ病との関係が低いといわれていますが、「ブルーディング」はうつ病との関係が強いネガティブな反芻思考といわれています。

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4.反芻思考の悪影響

ときに前向きさをもたらす反芻思考の多くは、うつ症状や不安感の増大、集中力や注意力の低下などマイナスの影響があると考えられているのです。具体的な悪影響として以下の例があります。

  • 不安感が増加
  • うつ状態が悪化
  • 集中力や問題解決能力、睡眠の質、幸福度や満足度が低下

精神医学の領域では、自分自身の欠点や問題点を繰り返し考える反芻思考(抑うつ的反芻)は危険な精神的習慣と考えられています。反芻思考により抑うつ状態が深刻化した場合は、早期にメンタルクリニックを受診して適切な治療を受けたほうがよいでしょう。

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5.反芻思考の原因

反芻思考の原因として「目標と現実の乖離」や「注意資源の枯渇」などが挙げられます。なかでもとくに多いのが「ネガティブな気分」によるものです。

ネガティブな気分

過去の研究によって、反芻思考はネガティブな気分のとき、つまり抑うつ状態のときに生じやすいと明らかになっています。

「気分一致効果(特定の感情がつながりの深い記憶を想起させること)」という現象があり、ポジティブな状態のときはポジティブな記憶が、ネガティブな気分のときはネガティブな記憶を引き起こしやすいといわれているのです。

つまりネガティブな気分が生じるとさらにネガティブな記憶が引き起こされ、マイナスの意味合いが強い反芻思考が持続するという悪循環に陥ってしまいます。

すでに精神疾患になっている可能性

「反芻思考をどうしてもやめられない」「気分が落ち込むと頭ではわかっているのに、ネガティブな記憶を引き起こす思考が止まらない」場合、すでに精神疾患を発症している可能性も高いです。

反芻思考によって注意力が欠如したり、失敗に対して他者から指摘や叱責を受けることが増えたりすると、さらなるネガティブ思考に陥り精神状態を悪化させます。生活に支障が出ている場合は早めに精神科、心療内科を受診しましょう。

セルフチェックを実施して自身の状態を客観的に判断するのも重要です。

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6.反芻思考の止め方6選

「もしかしたら自分はいま反芻思考に陥っているのかもしれない」と自覚できたら、以下の方法を試して反芻思考をストップしましょう。

  1. 別のことに集中する
  2. アウトプット
  3. 自然に触れる
  4. 運動
  5. 反芻思考の原因を避ける
  6. マインドフルネス

①別のことに集中する

「ネガティブな思考になっている」と感じたら、一度現在の状況から注意をそらしてみましょう。自分の好きなものを見たり読んだり聞いたりする、身体を動かすなど、今自分が悩んでいること以外の何かに集中します。

「考えないようにする」と意識するとかえって考えすぎてしまいます。「考えないようにする」のではなく「別の何かをする」ことで意識をそらす方法です。

②アウトプット

自分の中にネガティブな思考をしまい込んでいると、いつまでも消化されずに増大します。このようなときには早めに自分の外に吐き出しましょう。

信頼できるひとに今の状況や気分を話すもよし、考えるままに思考を書き殴るでもよし、どのような方法でもかまいません。話せる相手がいなかったり紙に書けなかったりする場合は、スマートフォンのメモ機能を活用する方法もあります。

③自然に触れる

2015年に行われたスタンフォード大学の研究では自然環境で90分散歩した場合、都市環境で90分散歩するよりも反芻思考の回数は少なかったという結果が報告されています。反芻思考で抑うつ状態になっていると感じたら、意識的に自然に触れてみましょう。

ミシガン大学の研究では、わずか20分自然のなかで過ごすだけでもストレスホルモンのレベルが大幅に減少したという結果も出ています。

④運動

身体を動かすことにも精神疾患の症状を改善する効果があります。入院中の精神疾患患者を対象に運動と気分の研究を行ったところ、運動によって反芻思考が減少したという結果が報告されているのです。

運動といっても負荷の高い運動を長時間続ける必要はありません。研究ではノルディックウォーキングや筋トレ、体操や球技などを中程度の強度で行ったところ、気分の改善や注意力の改善、疲労や反芻の減少といった効果が見られました。

⑤反芻思考の原因を避ける

まずは反芻思考に陥る原因やきっかけを調べましょう。たとえばある駅に行くことでネガティブな出来事が思い出され、反芻思考が始まってしまう場合、その駅を使わずに生活して反芻思考の原因を回避します。

完全に原因を避けることは難しいかもしれません。しかし一時的に原因から離れることで症状が改善する場合もあります。

⑥マインドフルネス

今現在の自分に集中して、ありのままを受け入れる心のあり方のこと。GoogleやYahoo!などが研修プログラムとして導入していることでも注目を集めました。

マインドフルネスを実践して、反芻思考に陥っている自分、あれもこれもと考えすぎている自分から距離を置いてみましょう。過去の良し悪しを評価せず、現在のありのままに意識を向けるのです。

これにより抑うつ状態になる頻度を減らして、精神的に余裕を持った状態を保てるようになります。

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