法務トラブルの回避やコンプライアンスの遵守のために企業内に弁護士を置いておきたいという需要が大企業を中心にあります。そこで今回は、人事担当者が気になる企業内弁護士(インハウスローヤー)について、採用において留意する点やどんな業務をお願いするのかなど使い方を紹介します。
「企業内弁護士」とは?
企業内弁護士とは、企業が直接雇用している専任の弁護士のことです。「社内弁護士」や「インハウスローヤー」、「組織内弁護士」などさまざまな呼び方があります。
従来の企業と弁護士の付き合い方といえば、直接的な雇用関係がない「顧問契約」がメインでした。企業が弁護士を直接雇用することで、自社の法務問題の処理に専念し、コンプライアンスの遵守を行うための指導などに携わり、法務リスクの軽減を目指します。
迅速かつ的確な対応をすることで、問題が拡大してしまうのを避けることができます。社外だけではなく、社内の労使問題などにも効果を発揮するので、企業内弁護士の潜在的なニーズは高まっているかもしれません。
企業内弁護士(インハウスローヤー)の採用
企業内弁護士として採用されている人材は、経験豊富な弁護士だけではなく、経験の少ない新人弁護士も多くいます。
すでに自社で法務部門を持っていて、従来のやり方を引き継ぐ形で弁護士を必要としている場合は、ほかのやり方に染まっていない新人弁護士のほうが受け入れやすく、都合が良いこともあります。法務以外の部門に配置する企業もあるようです。
即戦力となる弁護士を求める企業は、すでに実戦を積み経験豊富な弁護士を採用しています。経験豊富な弁護士といっても、法律事務所と企業では行う業務が異なるため、どんな実績を積んできたのか、どんな人材が欲しいのかを明確にしておかないと採用のミスマッチが起こる可能性があります。経験が長いだけではなく、どんな業務についてきたのかもしっかりと確認をしましょう。
企業内弁護士の使い方
企業内弁護士は、社外とのトラブルを解決するだけが仕事ではありません。社内の労使問題や、契約時のリーガルチェックに対応できます。そして顧客対応も企業内弁護士が活躍できる場といえます。個人情報管理などは、弁護士が有する知識をいかせる業務です。
また、法務や訴訟などに専門で対応を行うだけではなく、通常業務の現場や経営戦略などの部門で活躍している企業内弁護士もいます。これは、日ごろから現場に常駐することで、実際の業務内容をよく知った上で法務チェックを行い、業務全般に必要な法令遵守を行きわたらせることを期待して配置しているという目的です。
法務部門に必ずしも弁護資格が必要とは限りません。人事担当者は、企業内弁護士の起用を考える際、「何故企業内弁護士が必要なのか」、そして「どんな役割を求めるのか」を明確にし、採用時のミスマッチをなくすよう心がけましょう。