キャリアデザイン研修とは?【20代~50代向けの内容】目的

キャリアデザイン研修とは、自分の経験やスキルなどを振り返り、今後のキャリアを設計するために行うものです。研修の意義や内容、注意点などについて解説します。

1.キャリアデザイン研修とは?

キャリアデザイン研修とは、労働者が自身の経験を振り返って自身への理解を深め、これからの職業人生を設計するための研修のこと。スキルや知識を磨くのではなく、「マインド」を変えるために行われます。一般的に研修で行われるのは次のようなことです。

  • 自己診断によって強みを理解する
  • 周囲からの期待や役割を知る
  • キャリアの棚卸しをする
  • 中長期的なキャリアプラン・行動目標を設定する

キャリアデザイン研修は人生の節目ごとに開催する場合が多く、次のキャリアへ進むためのきっかけ作りに適しています。

キャリアデザインとは? 意味、必要な理由、考え方を簡単に
日々多忙なのに、従業員のキャリア形成を考える時間なんてない! そう思ったら人事業務もキャリア支援も「カオナビ」でまとめて効率化です。 ⇒ 【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセ...

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?

・1on1の進め方がわかる
・部下と何を話せばいいのかわかる
・質の高いフィードバックのコツがわかる

効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【評価業務の「めんどうくさい」「時間がかかる」を一気に解決!】

評価システム「カオナビ」を使って評価業務の時間を1/10以下にした実績多数!!

●評価シートが自在につくれる
●相手によって見えてはいけないところは隠せる
●誰がどこまで進んだか一覧で見れる
●一度流れをつくれば半自動で運用できる
●全体のバランスを見て甘辛調整も可能

カオナビの資料を見てみたい

2.キャリアデザイン研修の意義と目的

キャリアデザインの意義と目的について、解説します。

意義

キャリアデザイン研修の主体は従業員です。しかしキャリアデザイン研修の実施により、従業員の自発性が高まり、会社への信頼感も向上します。

よって企業側と従業員側の双方にメリットがあるうえ、大きな意義もあるのです。個々人に合ったキャリアの積み方を進められれば、各従業員が社内で活躍して企業全体も底上げされるでしょう。

目的

キャリアデザインの主な目的は、下記のようなものです。

  • 主体的なキャリア設計の重要性を理解する
  • キャリアデザインの具体的なプロセスを明確にする
  • 参加者同士でキャリアデザインをシェアする

従業員が主体性やモチベーションを獲得し、企業は従業員が望むキャリアやライフスタイルをサポートすることが、理想的な組織といえます。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

3.キャリアデザイン研修の効果

キャリアデザイン研修の効果は、人材だけでなく企業にも表れます。

  1. 自律型人材の育成
  2. モチベーションの向上
  3. 離職率の低下
  4. 生産性の向上

①自律型人材の育成

キャリアデザイン研修の狙いは、自分でキャリアを描ける主体的な人材の育成。たとえば「ほかの人から指示を受けなくても自分の価値観で業務を進められる」といったものです。

自分で考えて判断し行動できる「自律型人材」を育成できれば、企業の永続的な発展が見込めます。社会環境の変化が目まぐるしいなか、必要なスキルを自分で研鑽できる人材が求められる時代だからこそ、キャリアデザイン研修が必要なのです。

自律型人材とは? 特徴とメリット・デメリット、育成方法を解説
自律型人材とは、業務の意味を理解して自らの判断で責任を持って行動できる人材のこと。ここでは自律型人材のメリットや特徴、育成方法などを解説します。 1.自律型人材とは? 自律型人材とは、業務の目的や意...

②モチベーションの向上

キャリアデザインによって、自分が目指すべき「こうでありたい姿」がはっきりします。それにより理想とする姿を実現するために取るべき行動がクリアになるのです。

目標を達成するために取るべき行動が具体的になると、努力すべき方向性がわかります。そしてそのための計画を立てられるので、ゴールまでの距離を実感できるのです。それにより従業員のモチベーションが向上し、組織の活性化や生産性の向上なども見込めます。

③離職率の低下

企業が「従業員のキャリアビジョンを大事にする」姿勢を見せると、従業員エンゲージメントが向上しやすくなります。従業員自らキャリアビジョンを描くため、貢献につなげる重要性を認識できるようになり、人材の定着率も上がるのです。

就労に対する価値観も年々変化しており、ワークライフバランスだけでなくキャリアサポートも重要な要素となってきました。人材が流動化しやすい状況のなか、組織に対する帰属意識を高めるためにも、キャリアデザイン研修の導入は重要です。

④生産性の向上

キャリアデザイン研修の過程で過去を振り返ると、キャリアの棚卸しができます。やりたいことが明確になれば、業務に対する意識の変化が生まれ、生産性や効率も大幅に変わるでしょう。

研修では、自分自身の目指すべき姿や行動計画をまとめた「キャリアプランニングシート」を設計します。シートの確認によって、業務における目的意識を持ちやすくなるでしょう。それによりモチベーションと生産性が向上するのです。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

4.年代ごとのキャリアデザイン研修と内容

従業員は年代によって組織や社会から求められる役割が変わります。そのため、研修者の年代によってキャリアの描き方にも違いが現れるのです。

  1. 20代
  2. 30代
  3. 40代
  4. 50代

①20代

20代の従業員に求められるのは、業務をこなせるようになり、いち早く組織の一員になること。しかし、いきなりすべての業務を覚えられるわけではありません。

担当業務の意味やキャリアとのつながりを徐々に意識できるよう、支援の工夫が必要です。また30代になったときの自分のキャリアをイメージできるかどうか、も重要になります。そのような20代に対する研修内容は、次のようなものがあります。

ワークショップでほかの受講者と接しながら、貪欲にスキルアップしていく重要さを認識させる

予期しないトラブルに取り込まれても、計画的にステップアップする機会に変えるマインドを学ぶ

②30代

30代になると社内での業務もいろいろと任されるようになります。その一方、伸び悩みや行き詰まりを感じる年代でもあるのです。30代では自身のキャリアの方向性を改めて認識する機会とし、仕事に対する悩み解消を目的とします。

研修内容としては挙げられるのは、下記のようなものです。

  • 自律的キャリアマネジメントの重要性や仕事の意味づけの確認
  • 価値観の考察
  • 自身の強みの認識
  • 課題の整理
  • 環境変化と活躍領域についての考察
  • キャリアプランニング

また自身と組織のベクトルを合わせるため、自己理解や環境理解、将来への視点を学びます。

③40代

40代は、仕事や生活にさまざまな変化が生まれる年代。今後のライフプランに沿ってキャリアを考えるようになり、「今後30年」という大きなスパンで考察する必要もあります。この年代の研修で行うこととして挙げられるのは、下記のようなものです。

  • 自身の強みや弱みを考える
  • これまでに培ったスキルを見つめ直す
  • 成長の軌跡を振り返る
  • 将来をイメージし、具体的に行動できるようにする

また40代が組織に期待される役割やスキルについて、学ぶ場合もあります。今後培うべきスキルについて悩んでいる場合、指針を示すための参考になるでしょう。

④50代

50代になると、業務のプレーヤーではなく若手の育成や管理に回る機会が増えます。そうなるとキャリアに対して停滞した印象をいだき、今後どのようなキャリアを構築できるのか、不安を感じる従業員も少なくありません。

こうした50代向けの研修内容として、次のようなものがあります。

  • 定年を見据えた働く意味の考察
  • 自身の強みを再認識して貢献できる領域を考える

ライフプランと現在の労働環境などを重ね合わせるだけでなく、まだ組織に貢献できるというキャリア設計を持つと、働くことへの原動力を高められます。

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

5.キャリアデザイン研修を成功させるポイント

キャリアデザイン研修を成功させる方法として、下記ふたつを紹介します。

  1. フォローアップ
  2. キャリアデザインブックの作成

①フォローアップ

実際に作成したキャリアビジョンを業務レベルに落とし込み、リアリティを持たせます。業務の遂行によってどれだけキャリアビジョンに近づけるのか、自然と結びつけられる状態が理想です。

また従業員によってキャリアデザインの理解が深まったとしても、上司が理解できていなければ従業員のストレスが溜まります。

個別カウンセリングや上司・人事面談、管理職向け部下のキャリア開発支援研修などを実施してフォローアップし、管理職の認識も合わせていくのです。

②キャリアデザインブックの作成

キャリアデザインブックとは、社内のキャリア支援に関する情報をまとめた冊子のこと。冊子に掲載する内容は、下記のようなものです。

  • 自社のキャリア開発の定義
  • キャリア相談窓口を利用する方法
  • 自己診断のチェックリスト

こうしたハンドブックを作成しておくと、従業員がキャリアに悩んでも必要な情報をすぐに見つけられます。また企業がキャリア形成に力を入れていると、従業員に伝えられるのです。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

6.キャリアデザイン研修の注意点

キャリアデザイン研修を行ううえでの注意点について、解説します。

  1. 従業員目線で研修を組む
  2. サポートする
  3. 研修後にフォローする

①従業員目線で研修を組む

企業目線だけで研修を組んでしまうと、従業員のスキルや個性が生かされず、適切にキャリアを構築できなくなってしまいます。もし、従業員の出世だけを目的とした研修を行うと、次のようなことが起こるかもしれません。

  • 目先の出世にとらわれる
  • 自分の利益だけを考えてしまい、組織力が弱まる
  • 視点が狭くなる

こうした状況を防ぐためにも、従業員目線そして個々に合わせたカリキュラムを用意しましょう。

②サポートする

キャリアに関する悩みは、従業員によって異なるもの。個人のキャリア形成をサポートするためにも、次のようなことに気をつけて研修を実施しましょう。

  • 従業員個人の年代
  • 個々の従業員が置かれている立場
  • 従業員が持っているスキルや特徴

研修を実施する側は、このようなポイントを理解して研修の計画を立てていきます。

③研修後にフォローする

研修が終わったあと、受講した従業員をフォローするのも忘れてはなりません。期末や年度末など時期ごとに面談し、アクションプランをどれだけ達成しているか確認します。

確認する内容として挙げられるのは、下記のようなものです。このような内容について従業員自身で考え、積極的な成長を促します。

  • 目標の進捗度
  • 理想的なキャリア実現のために今後どのように動くのか

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

7.キャリアデザイン研修実施のステップ

キャリアデザイン研修を実施する際、どのようなステップで進めていくのでしょうか。それぞれについて見ていきます。

STEP.1
課題の把握
研修の前にまず「なぜ研修をするのか」を明確にします。研修する理由をはっきりさせるため、管理職や従業員にヒアリングをして課題を把握しましょう。また経営者の要望も事前に把握しておきます。

次のような声が聞かれた場合は、研修に最適な状況といえるでしょう。

  • 社員が将来のキャリアに迷っている
  • キャリアを自律的に構築する意識が従業員に欠けている
STEP.2
研修目的の設定
ヒアリングで課題を洗い出したら、研修の目的を設定します。研修の目的を明確にすると、次のような効果が期待できるのです。

  • 研修を実施した後の効果をより測定しやすくなる
  • 新たな課題を発見できる
  • 研修内容のブラッシュアップにつながる
  • 参加者に研修の意義を伝えやすくなる

目的の設定は、研修後のフォローを考えるうえでも非常に大切です。

STEP.3
プログラムの決定
研修の目的をはっきりさせたら、プログラムの内容を決めていきます。プログラムを設定する際は、次のような項目に沿って考えていくとよいでしょう。

  • 対象者…参加者の年齢・階層など
  • プログラム…実際の研修の流れ
  • スケジュール…研修の日程(期間は1~2日間ほど)
  • 講師…経験豊富な外部講師が理想的
  • 場所…自社の会議室やセミナールームなど
STEP.4
効果測定方法の設定
キャリアデザイン研修の効果を測定方法として挙げられるのは、下記のふたつです。

  • アンケート
  • キャリアプランニングシート

アンケートは研修後に配布して、下記のような内容を回答してもらいます。

  • 感想
  • 効果
  • 学んだこと
  • 研修内容の良かったところ
  • 改善すべきポイント

キャリアプランニングシートは、研修期間中に参加者自身が作成します。研修後も定期的に見て振り返ると、業務における効果を測定できます。

STEP.5
キャリア研修の実施
キャリア研修を行う準備ができたら、講師を選定したうえで受講者を募りましょう。研修のトレーナーは、重要な役割を担います。トレーナーに求められるスキルとして挙げられるのは、下記のとおりです。

  • 仕事上の経験を語る力
  • キャリアに関連する知識
  • 研修の場作りをするためのファシリテーション能力
  • 受講者自身やグループの自発的な気づきを生み出す力