人事評価システムを選ぶ際は、自社の課題や導入の目的を明確にする必要があります。ここではシステム選びの重要性や事前準備、具体的な選び方などについて解説します。
目次
1.なぜ人事評価システムの選び方が重要なのか
なぜ人事評価システムの選び方が重要なのか、それは自社にマッチした人事評価システムを選べれば、業務の効率アップはもちろん社員満足度やモチベーションのアップ、さらに企業の持続的な成長につながるからです。
そもそも人事評価システムとは、会社の人事評価制度にもとづいて、従業員の評価データを管理するシステムのこと。人事評価システムにはさまざまな製品があります。
しかし提供会社のうたう効果が、必ずしも自社の評価制度や仕事の進め方にマッチするとは限りません。人事評価システムは選び方を間違えると、業務効率を上げるどころかかえって効率を下げる可能性もあります。
人事評価システムとは? 比較方法、機能、メリットを解説
Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
⇒ 【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセス...
2.人事評価システムの選び方を知る前に明確にすべきこと
人事評価システムを選ぶ際、システム導入の目的を明確にすることが重要です。間違っても、人事評価システムの導入を目的してはいけません。具体的に次のような目標を定め、手段の目的化を防ぎます。
- 現在の人事評価制度に限界を感じている
- 公正な人事評価によるモチベーションアップを狙いたい
- 目標設定プロセスが形骸化している
- 人事評価作業を効率的に行いたい
- 膨大なデータを活用してより科学的な分析を行いたい
3.人事評価システムの選び方10のポイント
人事評価システムの選び方としては、以下10のポイントがあります。
- クラウド型かオンプレミス型かパッケージ型か
- 必要な機能はなにか
- 信頼できる実績はあるか
- 運用しやすいか
- 自社でカスタマイズ可能か
- ほかシステムと連携しやすいか
- セキュリティは万全か
- サポートは充実しているか
- 自社に近い導入事例はあるか
- 導入しやすい価格か
①クラウド型かオンプレミス型かパッケージ型か
人事評価システムには次の3種類があります。それぞれ異なるメリット、デメリットを持つため、じっくりと比較して自社に合ったものを選びましょう。
- オンプレミス型:自社のサーバー上で稼働する。カスタマイズ性も高いが、サーバー構築に高額なコストがかかる
- クラウド型:ベンダーのサーバー上で稼働するため自社サーバーの構築が不要。カスタマイズやセキュリティレベルが劣ることも
- パッケージ型:自社のパソコンにインストールする買い切り型。月額料金の発生はないものの、カスタム性が低い
②必要な機能はなにか
人事評価システムにはさまざまな機能が搭載されています。機能数の多いシステムが必ずしもよいとは限りません。機能性に優れた製品はどうしてもコストが高くなり、操作性も複雑になります。
先に定めた人事評価システム導入の目的と照らし合わせながら、自社の評価制度にあった機能を見極めることが重要です。たとえば下記のように見ていくとよいでしょう。
- 自社独自の特殊な評価基準がある→カスタマイズ性の高い、人事評価そのものに特化したシステムがおすすめ
- 人事評価以外にもタレントマネジメントや人材育成などに生かしたい→人材マネジメント全般を効率化できるシステムがおすすめ
③信頼できる実績はあるか
人事評価システム提供会社の実績を確認するのも重要です。人事評価システムは基本的に長く使い続けるもの。事業や経営が安定していないベンダーの製品は、突然サービスが終了したり、機能アップデートが停止したりするリスクもありえるのです。
こういったトラブルが発生してしまうと、別製品移行のコスト発生やデータ保守の手間などさまざまな問題が生じます。長くシステムを使い続けられるよう、ベンダーの導入実績や経営状態、業界でのシェア率などを確認しておきましょう。
④運用しやすいか
人事評価には現場の従業員もかかわります。そのため担当者だけでなく誰にとっても使いやすい操作性であることが大切です。
どれだけ機能が充実していても、またどれだけ人事担当者が優れていても、システムそのものが使いにくければ業務効率は上がりません。また本当に使いやすいかどうかは説明を受けただけではわからないのです。
システムの多くは無料のトライアル期間やデモ版を用意しています。これらを活用し、操作性を確認したうえで実導入に踏み切るとよいでしょう。
⑤自社でカスタマイズ可能か
カスタマイズ性や拡張性も確認しておきましょう。とくに自社独自の評価制度を実施している場合、一般的なシステムで採用している評価制度が合わない可能性も考えられます。
自社制度に適合する項目や評価手法を設定すれば、新システムに切り替えても従来と同じ評価運営が可能です。また人事評価制度は法律や制度の変更によって変わる場合も多々。システムが社会の変化に対応できるかも確認しておきましょう。
ただし先にも触れたとおり、カスタマイズ性が高いものは運用も複雑になります。操作性とカスタマイズ性のバランスを見極めましょう。
⑥ほかシステムと連携しやすいか
人事評価システムの多くは、勤怠管理や採用管理などほかシステムと連携可能です。従業員の数が多ければ多いほど、情報入力の作業に時間がかかるもの。複数の管理システムを連携して情報を一元化すれば、データ加工による人為的ミスも防げるでしょう。
またたとえば人事評価システムと採用管理システムを連携して、採用段階で人材配置を検討するのも可能です。人事評価システムを選ぶ際は、既存システムや今後利用予定のシステムと連携できるか、またデータの入出力は可能かなどを確認しておきましょう。
⑦セキュリティは万全か
人事評価システムでは企業の機密情報や従業員の個人情報を取り扱います。これらに関してトラブルが発生すると、経営そのものにダメージを与えかねません。
そこで重要なのがセキュリティ対策。とくにクラウド型の場合、セキュリティはベンダーに一任されています。ベンダーがどのようなセキュリティ対策を行っているのか、しっかりと確認しておきましょう。
あわせて自社でもデータの流出対策、バックアップ手段などを整えておくことが重要です。
⑧サポートは充実しているか
人事評価システムの導入前はもちろん、導入後に疑問や不具合が生じる場合も考えられます。万が一システムにトラブルが生じた際、利用できない期間が長くなるほどダメージが大きくなります。
そこで頼みの綱となるのがサポート体制です。このサポート体制もシステムによって異なるため、あらかじめ以下を確認しておくとよいでしょう。
- 対応方法は何か(電話やメール、チャットや来社など)
- 対応時間(24時間なのか、営業時間内なのか)
- 専任担当者はいるか
- 無料と有料の範囲はそれぞれどこまでか
⑨自社に近い導入事例はあるか
過去の導入実績に、自社と近い会社がないか確認してみるのも効果的です。同業種の会社が何社も導入しているのであれば、その業界に必要な機能を備えている可能性が高いでしょう。他社から成功ノウハウを学び、自社に活用できます。
また同じ課題を抱えた企業が多く使用しているため、導入後のイメージを具体的に描けるのもメリットです。業界に精通した担当者が所属していたり、サポート窓口から具体的なサポートが受けられたりする可能性もあります。
⑩導入しやすい価格か
人事評価システムの価格も確認ポイントです。パッケージ型やオンプレミス型はまとまった初期費用が必要であるものの、月額費用は安く抑えられます。一方クラウド型は初期費用を抑えられるものの、月額料金といったランニングコストが発生します。
システム料金は従業員の数や使用する機能によって異なります。初期費用と月額費用の両面から見て、総合的に費用対効果の高いものを選びましょう。
4.より効果的な人事評価システムの選び方
人事評価システムの基本的な選び方は以上ですが、次の方法でより効果的なシステムを選ぶのもおすすめです。
- 提供企業に相談する、デモンストレーションを受ける
- 無料のトライアルを利用する
①提供企業に相談する、デモンストレーションを受ける
人事評価システムのなかには、ベンダーに相談してデモンストレーションを受けられるものもあります。デモンストレーションでは実際の画面を使いながらシステムの機能を理解可能です。
具体的な操作方法がわかるのはもちろん、それまで気づかなかったさらに効果的な使い方を学べるでしょう。また相談窓口にオンライン通話を活用する企業も増えています。言葉や文章だけでは伝えきれないような、細かい部分まで相談するのもひとつの方法です。
②無料のトライアルを利用する
百聞は一見にしかず。無料トライアルやデモ版、テスト環境などを使って実際にシステムを触ってみましょう。プロモーションサイトや話を聞くだけではわからなかった部分に気づけます。
「自社に必要な機能が搭載されていない」「機能があっても操作性が悪い」「この機能は自社のこの問題に活用できそうだ」などさまざまな気づきが得られるうえ、導入後のミスマッチも減らせるでしょう。