業務効率化とは?【アイデア・手法一覧】ツール、生産性向上

業務効率化とは、企業全体の生産性を高める取り組みのこと。業務効率化の手法やメリット、導入の際のアイデアやツール、成功事例を解説します。

1.業務効率化とは? 意味と目的

業務効率化とは、業務プロセスに必ずある「ムダ」「ムリ」「ムラ」を削減して業務達成までの時間を短くし、生産性を向上させる施策のこと。長いスパンで考えて大幅なコスト削減につなげれば、生産性も向上しやすくなります。コスト削減はすべての企業にとって重要な課題。業務効率化は欠かせない施策といえるでしょう。

業務効率化を実現するため、企業によってはマニュアルを設定しています。しかし実際はマニュアルどおりに業務が実行されていない場合も多いです。このようなときは業務効率化を目的とした社内体制の見直しが必要でしょう。

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2.業務効率化と生産性向上の違い

似た意味で用いられる「業務効率化」と「生産性向上」。ふたつは厳密に意味が異なります。

  • 業務効率化:業務達成までの時間の短縮とコスト削減を目的として、業務プロセスのなかから「ムダ」「ムリ」「ムラ」を省くこと
  • 生産性向上:より少ない資源(リソース)で今以上に高いパフォーマンスと結果を実現すること

生産性向上のための施策はさまざまあり、業務効率化はそれら施策のひとつという位置づけです。

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3.業務効率化のメリット

業務効率化は、企業と社員の両方にメリットがあります。ここから、業務効率化の主なメリットを3つ説明しましょう。

  1. 利益の増大
  2. 業務時間・経費の削減
  3. 社員のモチベーション向上

①利益の増大

業務効率化で業務の時間が短くなると、それまで取り組めなかった業務への着手や、新しい分野へのチャレンジをする余裕が生まれます。それにより時間をより効果的に使えて、利益の増大が見込めるのです。

②業務時間・経費の削減

業務効率化によって、業務をスムーズに進めたり量自体を減らしたりできます。それにより時間が生まれ、また人件費や光熱費といった経費も減っていくのです。

③社員のモチベーション向上

業務効率化によって、働きやすい労働環境が実現しやすくなります。それにより社員の満足度やモチベーション、定着率も向上するでしょう。

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4.業務効率化のデメリット

業務効率化はメリットだけでなくデメリットもあります。主なデメリットをふたつ解説しましょう。

  1. 新しい工程を覚える時間が必要
  2. ITツールの導入によるコストやセキュリティリスクの発生

①新しい工程を覚える時間が必要

業務効率化とは、業務プロセスに必ずある「ムダ」「ムリ」「ムラ」を削減して業務達成までの時間を短くし、生産性を向上させる施策のこと。

よってそのなかには、既存の業務プロセスを新しい業務プロセスへ変更する場合も存在します。そして新しい業務プロセスへ移行する際、、業務の内容やフローも大きく変わるでしょう。

社員がそのような新しい業務プロセスに慣れるには、マニュアルの作成や研修の実施といった施策やそれらにかかる時間が必要です。また変化にともなう社員への心理面にも配慮しなければなりません。

②ITツールの導入によるコストやセキュリティリスクの発生

業務効率化にITツールを利用する場合、導入や運用でコストがかかります。またITツールの導入によって、セキュリティリスクが発生する可能性もあるでしょう。

ITツールを導入する際は、予算に見合ったツールの選択や、セキュリティリスクに関する社内研修などの実施が欠かせません。

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5.業務効率化の進め方

当たり前のように日々こなしている業務に、多くの「ムダ」「ムリ」「ムラ」が潜んでいる場合も多いです。業務効率化を考える際はまず、業務における現状の課題を洗い出すとよいでしょう。ここでは業務効率化を進める際の効果的なステップを、説明します。

  1. 現状の把握
  2. 課題や問題点の洗い出し
  3. 改善箇所の優先順位の決定
  4. 改善計画の立案
  5. 改善計画の実施

①現状の把握

業務効率化の最初のステップは、現状把握です。「何が課題なのか」「どこにムダやムラがあるのか」などを全体的に把握しましょう。それにより、現状に合った業務効率化の施策を策定していけます。

②課題や問題点の洗い出し

企業の現状を全体的に把握したら、課題や問題点を細かに洗い出していきます。たとえば以下のような内容です。こうした「ムダ」「ムリ」「ムラ」を洗い出し、問題点として羅列していきます。

  • 社員の業務で重複している部分がある
  • 同じような作業が繰り返し発生している
  • 特定の業務で必要以上に時間がかかりすぎている
  • 個人の社員に依存した業務(属人的な業務)がある

③改善箇所の優先順位の決定

課題や問題点を洗い出したら、それらに優先順位をつけましょう。洗い出した問題点を、まとめて一気に改善するのは難しいからです。

「ここから手をつけて改善する」と優先順位を決め、順序良く手をつけていくとよいでしょう。優先順位を決める基準として挙げられるのは、以下のような要素や視点です。

  • 問題点の影響範囲(影響の大きさ)
  • どのくらいの工数がかかっているか
  • ほかの業務効率化にもつなげられるか

④改善計画の立案

取り組むべき優先順位を決定したら、詳しい改善計画を立案します。このときに「いつまでに目標を達成するか」「工数をどれくらい削減するか」を明確にしておきましょう。

スケジュールを明確にすればするほど、問題解決するスピードがアップします。課題の緊要度をふまえて、適切な計画の開始時期と、達成目標時期を速やかに決定しましょう。

⑤改善計画の実施

改善計画を策定したら実際に運用を開始します。その際のポイントは、定期的な効果検証の実施です。

効果を検証すると「計画どおりに業務効率化が進んでいるか」「どの程度の改善効果があったか」などを把握できるうえ、今まで気づかなかった新しい課題を発見できる可能性も高まります。

計画を進める際は「計画実施、効果検証、改善(行動)」のサイクルを繰り返し、無駄無く業務改善の精度をブラッシュアップしていきましょう。

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6.業務効率化のアイデアと手法

業務効率化と一口にいっても、進め方は一様ではありません。自社にとってどのような業務効率化がフィットしているか、見極めることが大切です。業務効率化を進める際のアイデアや手法を説明します。

  1. 「ムダ」「ムリ」「ムラ」の排除
  2. 業務の分業化
  3. 業務の集約化
  4. 業務のマニュアルの作成
  5. 業務のフローチャートの作成
  6. データベースの活用
  7. アウトソーシングの活用
  8. 担当者の変更

①「ムダ」「ムリ」「ムラ」の排除

業務の「ムダ」「ムリ」「ムラ」をなくす方法のこと。

メリットは、既存の業務をなくすだけで効果が期待でき、コストもかからない点です。別の新しい手法を取り入れるとなると、導入にコストがかかったり、社員が慣れるまでに時間がかかったりする場合もあります。

「無駄な業務をなくす」手法なら、既存の業務をやめるだけで済むため気軽に実行できるのです。費用対効果の面でもメリットは大きいといえます。その際、「この業務は本当に必要なのかどうか」を突き詰めて、簡素化を目指すとよいでしょう。

②業務の分業化

業務の分業化とは、ひとりでこなしていた業務や特定のグループがこなしていた業務を複数人でわけて担当する、あるいはいくつかのグループにわけて実施すること。

特定の社員やグループのみで多くの業務を抱え込むより、ほかの社員やグループに振りわけたほうが効率は向上しやすくなります。

その際のポイントは、社員やグループの能力、得意分野に合わせて仕事を振りわけること。苦手な業務は振りわけないといった工夫をすると、より効率化が図れます。

③業務の集約化

分業化していた業務をひとつにまとめて効率を改善する方法です。業務を分業化する場合、「こまめに情報共有ができない」「各部署や各工程間での連携が取りづらくなる」といった問題が起こりえます。

そこで業務を集約化すると情報を一元化でき、連携力も高まるのです。企業やプロジェクトによっては、業務の一元化により効率化が進むケースもあります。

「分業化するとかえって効率が悪い」「スムーズに進めるうえでこまめな情報共有が欠かせない」ときは、業務をひとつにまとめたほうがよいでしょう。

④業務マニュアルの作成

業務マニュアルとは、業務のフローや手順をまとめたもの。業務マニュアルがあれば、社員は同じルールとフローで作業できるようになり、効率化が図れます。

たとえば「社員に同じ説明を何度もする必要がある」「業務の仕方が社員やグループによってバラバラ」といった課題がある場合、業務マニュアルの作成が効果的です。また業務マニュアルがあれば、社員のミス防止や仕事のクオリティの維持につながります。

業務マニュアルは業務に慣れていない人が使うと想定し、できるだけ簡潔かつ具体的な表現で、読みやすく理解しやすい内容にまとめましょう。

⑤業務のフローチャートの作成

業務のフローチャートとは、1日の業務の流れ(フロー)を図としてまとめたもの。フローチャートを作成すると業務の流れを可視化できるため、「どんな仕事をすべきか」が明確になり、社員が迷わなくなります。

現場の社員や担当者はもちろん、トップ層も業務の流れを確実に把握できるようになるため、企業全体で効率化が進みます。またフローチャートの作成は、社員の仕事の質を均一化する点もメリットです。

「業務の流れ」と「業務の内容」の両方を把握するためにも、「フローチャート」と「業務マニュアル」はセットで準備したほうがよいでしょう。

⑥データベースの活用

データベースには、「過去の取引内容」「顧客と商品の詳細」「顧客の意見」「アンケート結果」などさまざまな情報がまとめられているため、その情報を業務に生かせます。

またデータベースを活用すれば、顧客への対応も統一可能です。たとえ業務の担当者が代わっても、データベースを活用すればスムーズに引き継ぎできます。

質問への対応を省くため、データベースをもとにしたF&Qをサイトに公開するのもひとつの方法です。

⑦アウトソーシングの活用

ビジネスにおけるアウトソーシングとは、外部委託のこと。通常、自社の専門業務は社内スタッフが担当するでしょう。内部で「リソースが足りない」「スキル不足」という場合、外部企業に委託すると業務効率が向上する場合もあるのです。

また外部委託を活用すると、「人件費を抑えられる」「社内のコア業務にリソースを集中できる」などのメリットを得られます。アウトソーシングの活用が目立つのは、以下のような分野です。

  • 経理
  • 総務
  • Webデザイン作成業務
  • 人事業務
  • 広報業務

ただしアウトソーシングで逆に経費がかかってしまう場合もあります。コスト管理と費用対効果の把握は欠かせません。

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⑧担当者の変更

業務の効率化を進めるには、適正な人材配置が効果的です。

社員によって得意不得意な業務があるため、できるだけ得意分野を任せると業務が捗りやすいでしょう。特定業務の担当者を変更したら、それまでより業務がスムーズになったというケースもしばしばあるからです。

人事担当者と社員がよく話し合って、各社員の能力や得意分野を把握し、適材適所の人材配置を進めましょう。たとえば「コミュニケーシュン能力が高い社員は事務的業務よりも営業部門に配置する」「英語が堪能な社員は海外部門に配属する」などです。

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7.業務効率化に役立つツール

ツールを活用すると業務効率化をスムーズかつ効果的に実施できます。ただし課題や現場の状況によって、最適なツールは変わるのです。ここでははおすすめのツール5つとそれぞれの効果を説明します。

  1. タレントマネジメントシステム
  2. オンラインストレージサービス
  3. RPA
  4. タスク・プロジェクト管理サービス
  5. チャットツール

①タレントマネジメントシステム

社員のデータを一元管理できるシステムのこと。各社員の情報をひとつに集約すれば人材マネジメントが効率化し、業務に合わせた適切な人材配置をスムーズに行えます。管理できる社員のデータは、「個人情報」「スキル(能力)」「経験値」などさまざま。

タレントマネジメントシステムの活用は、「社員の人材育成」「パフォーマンスやモチベーションのアップ」の点でも効果的です。

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②オンラインストレージサービス

クラウド上(ネット上)でデータを保存し共有できるサービスのこと。画像や動画、音声やデザインなどさまざまなファイルを大容量で保存し、複数のユーザーが同時にデータへアクセスできます。

オンラインストレージサービスの代表例は、「Google Drive」「DropBox」「iCloud」などです。

データをインターネット上で共有するためメールの配布や回収が不要になり、これらにかかっていた手間を削減できます。またデータに行った更新もその場で反映されるため、古いデータを参照するといったミスも防止できるのです。

③RPA

ロボットを活用した業務自動化のことで、「Robotic Process Automation(ロボティックプロセスオートメーション)」の略です。RPAでは、データ入力やデータ収集といった人間による事務的な作業をロボットに任せられるのです。

繰り返しの単純作業を昼夜問わずロボットが代行してくれるため、「人間が作業するよりもはるかに高い業務効率化」と「生産性の向上」が見込めます。また人間の長時間の単純作業における集中力低下やミス、メンタル不調の防止にも効果的です。

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④タスク・プロジェクト管理サービス

タスクの管理や記録、進捗情報の確認といった管理業務を効率化するツールです。代表的なものとしては、「monday.com」「Backlog」「Trello」などがあります。

各社員のタスクを可視化して一元管理できるため、優先順位の決定や業務量の適正化などに活用でき、業務の円滑化かつ効率化が図れるのです。またツールに付属している通知機能を使えば、業務の見落としを防げます。

⑤チャットツール

チャットツールは、ネット上のコミュニケーションツールのひとつ。たとえば「Chatwork」や「Slack」など。メールのやりとりと違い、リアルタイムでスピーディーにコミュニケーションを取っていけます。

チャットツールはコミュニケーションの速度を上げるだけでなく、人事業務を効率化する点でも効果的です。

たとえば社内における情報共有や仕事の依頼をチャット上ですみやかに済ませられます。ケースによっては一斉連絡の機能を有効活用できるでしょう。それにより、社員や部署間の連携強化も見込めるのです。

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8.業務効率化の成功事例

「企業の競争力強化」や「社員のワークライフバランスの充実化」を目的に、多くの企業がツールを用いて業務効率化を図っています。ここではタレントマネジメントシステム「カオナビ」を活用し、業務効率化に成功した企業事例をふたつ説明します。

  1. 一休
  2. バンドー化学工業

①一休

一休は、旅館・ホテルのオンライン予約サイト「一休.com」や、レストラン予約サイト「一休.comレストラン」などを展開する企業です。

同社がカオナビの導入を決めた背景にあるのは、社員数の増加。社員が200名を超えようとしていた際、「記憶を頼りに人材を管理するのは難しい」と考え、人材を一括管理できるカオナビの導入を決定しました。

カオナビでは顔写真つきで社員のデータをスムーズに確認できます。それにより人物検索に20分から30分かかっていた時間が約1分に短縮され、大幅な効率化を実現したのです。

またカオナビで社員の能力の詳細をいち早くチェックできるため、業務やプロジェクトに合わせた抜擢人事を迅速に実施できるようになりました。

参考 2時間の人事業務が30分に短縮!! 人事責任者が伝える生産性向上につながる「カオナビ」の効果とは?カオナビ

②バンドー化学工業

バンドー化学工業は、産業用ベルトの製造をメインに行う関西屈指の老舗メーカーです。同社は人事評価の効率化を目的としてカオナビを導入。

それまで人事評価は紙とエクセルを中心に行っていたため、工数の多さにより時間がかかっていました。

導入後はカオナビの機能である「SMART REVIEW」で社員の評価をクラウド上で素早く共有できたり、アラート機能で不備や督促を簡単に送信できたりと、多くの面で業務の効率化を実現。

人事部や総務部、管理職などの業務を総合して年間100時間以上の工数削減を達成しました。自社でフォーマットを柔軟にカスタマイズできる点も、導入の後押しとなったようです。

参考 人事評価業務が年間100時間以上削減! フィードバックの「見える化」で、従業員の納得感も向上カオナビ