チェンジエージェントとは?【意味と役割をわかりやすく】

チェンジエージェントとは、経営者とともに組織変革を促進していく人のこと。チェンジエージェントの役割、ふさわしい人、求められる能力やスキルについて解説します。

1.チェンジエージェントとは?

チェンジエージェントとは、経営者の組織変革をサポートし、改革を促進する人のこと

多くの場合、組織改革を先導するのは経営者です。しかし経営者の指示で改革が進められると、現場では反発が生じる場合もがあります。このような対立関係が深まってしまうと、組織改革が失敗に終わりかねません。

そこで経営者と従業員の間に立ち、双方の間をとりもちながら経営者の改革をサポートするチェンジエージェントが必要とされるのです。

日本語に言い換えると?

チェンジエージェント(Change Agent)の直訳は「変化の代理人」です。日本語に言い換えると、「変革推進者」「変革促進人」「変革媒体者」などが挙げられます。言い換えは複数存在するものの、いずれも変革を主導する意味は持ちません。

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2.チェンジエージェントが注目される理由

企業が成長し続けていくには、既存の経営戦略や方針の変革と、それにともなう組織変革が必要になるからです。

市場のグローバル化や人材不足の深刻化、働き方の多様化など、社会の変化スピードが加速している近年、企業が生き残っていくにはこれらの変化に適応していかなければなりません。

経営者が全従業員を巻き込んで円滑に組織変革を進めていくのは困難です。そこで従業員への影響力を持つチェンジエージェントが改革をサポートする必要があります。

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3.チェンジエージェントの役割

組織改革をサポートするチェンジエージェントには、3つの役割が求められます。

  1. 改革への動機づけ
  2. 改革の組織化
  3. 改革の見届け

➀改革への動機づけ

組織が改革へ意欲的に取り組むように、動機づけを促す役割を持ちます。

実際に改革を行うのは従業員であり、一人ひとりが自発的に取り組まなければ組織の改革は成しえません。そこでチェンジエージェントが従業員へ組織改革の必要性や重要性を伝え、動機づけを行うのです。

チェンジエージェント自体にも経営戦略や方針、組織改革の目的などの十分な理解が求められます。

②改革の組織化

改革を実際に行う人員を集め、実行組織をつくる役割があります。

組織改革には従業員全員が携わるものの、一人ひとり独自の施策を進めてよいわけではありません。組織改革計画にもとづき、実行組織で「誰が何をいつまでに行うか」を決め、各従業員がやるべきことを割り当てる必要があります。

従業員側の目標を明確化して、改革へのモチベーションを高めるのもチェンジエージェントの役割です。

③改革の見届け

試行錯誤をくり返し、組織改革を成功に導くことがもっとも重要な役割です。

組織改革の達成までには、数か月あるいは数年といった長い時間がかかるもの。組織改革には課題がつきもので改善方法の考案・実施・検証を繰り返す必要があるからです。チェンジエージェントはこれらのサイクルを継続し、改革の成功を促進する役割を持ちます。

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4.チェンジエージェントは誰がふさわしい?

チェンジエージェントにふさわしい人材は、社内だけでなく社外にも存在します。

社内のチェンジエージェント

  • 社内のチェンジエージェントにふさわしいのは、次のような人材です。
  • 組織開発の知識やスキルを有している人材
  • ビジネスの知見を持ち、経営者の方針や考え方を理解できる人材
  • 従業員へ指導やコーチングを行なえるリーダー人材

組織開発の専門部署、あるいは日ごろから組織管理を担っている人事部などがチェンジエージェントになる場合も多いでしょう。経営企画部門が組織改革を計画し、そのままチェンジエージェントの役割を担うケースもみられます。

社外のチェンジエージェント

社外のチェンジエージェントにふさわしいのは組織開発を専門とする外部コンサルタントです。

外部コンサルタントを雇うメリットは、高い専門知識を持ったプロ人材を活用できたり、組織を客観視できたりすること。外部コンサルタントが、自社で気づかなかった課題を発見し、的確なアドバイスを提供するので組織改革をスムーズに進められます。

ただし外部コンサルタントには報酬を支払うため、永続的というわけにはいきません。組織改革の内製化に向けて、外部コンサルタントのノウハウをできるだけ吸収しておきましょう。

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5.チェンジエージェントに求められるスキル

組織改革を促進するチェンジエージェントには、さまざまなスキルが必要です。ここでは7つを解説しましょう。

  1. コミュニケーション力
  2. ファシリテーションスキル
  3. マーケティングや心理学に関する知識
  4. ポジティブで柔軟な思考力
  5. 多角的視点
  6. 診断力
  7. 強いメンタル

➀コミュニケーション力

チェンジエージェントには、人と良好な関係性を築くためのコミュニケーション力が欠かせません。経営者と従業員の橋渡し役を担ったり、従業員の改革に対するモチベーションを高めたりなどで、組織の全従業員とかかわるからです。

求められるスキルとして挙げられるのは、従業員の本音を引き出す傾聴力や、組織改革の重要性を伝えて納得と理解を与える発信力など。また従業員の気づきや自主的を高めるため、コーチングスキルも求められるでしょう。

②ファシリテーションスキル

チェンジエージェントには、物事の進行を円滑化するファシリテーションスキルが必要になります。組織改革を進めるうえで会議やミーティング、インタビューなどが必要となり、これらを円滑に進める必要があるからです。

限られた時間のなかで相手から本音を引き出して結論へ着地させるための進行や段取りができる人が望ましいでしょう。

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③マーケティングや心理学に関する知識

チェンジエージェントには、人の思考や行動を把握するためのマーケティングや心理学の知識が求められます。従業員を巻き込むには、「どのようにすれば人が興味を示すか」「どんなときに人は意欲が高まるのか」などを考えなければならないからです。

マーケティング部や人事部など、行動心理学の知識を持つ人材をチェンジエージェント組織にくわえるのもよいでしょう。

④ポジティブで柔軟な思考力

組織改革を成功させるには、ポジティブかつ柔軟に物事を考えられる思考力が求められます。組織や個人の強みや価値を生かししながら、変革の効果を最大化する施策を計画するためです。また変革を受け入れる風土の醸造にもつながります。

実際に組織開発の手法として、「アプリシエイティブインクワイアリー(AI)」というポジティブアプローチが活用されているのです。

⑤多角的視点

チェンジエージェントには、ひとつの視点にとらわれず組織改革を進めていく視野の広さが求められます。

経営者と個人の考え方、組織の強みや外部環境などを踏まえたうえで、もっとも最適な施策を進めていかなければならないからです。ときには前提を取り払って物事をゼロから考える「クリティカルシンキング」も必要になるでしょう。

⑥診断力

組織改革を進めていくうえでは組織の現状を的確に把握し、状況を分析する診断力も求められます。チームや個人の状況を知り、現在どのような組織課題が生じているのかを見極める必要があるからです。

当事者へのヒアリングや、さまざまなデータの分析をとおして課題を発見し、さらにその原因を特定して施策を講じるという問題解決力が必要になります。

⑦強いメンタル

どんな厳しい状況でも、相手の声に耳を傾けながら改革を推し進められる強靭なメンタルが必要です。

組織改革を進めていると、ときには経営者や従業員から厳しい意見が寄せられたり、思うように状況が改善しなかったりする場合もあるでしょう。さまざまな困難が立ちふさがっても諦めずに取り組んでいける強い精神力が求められます