コンフォートゾーンとは、慣れていてストレスや不安感じずに過ごせる空間や仲間のこと。コンフォートゾーンから抜け出す方法などを解説します。
目次
1.コンフォートゾーンとは?
コンフォートゾーンとは、その人が慣れ親しんでいてストレスや不安を感じずに過ごせる、心理的な安全領域のこと。コンフォートゾーンは具体的な空間を指す場合もありますし、仕事の内容や交友関係などにコンフォートゾーンが存在する場合もあります。
自分にとって先が読めるコンフォートゾーン内では、安心安全な日々を送れます。しかし未知の領域に踏み出すことに不安や恐れを持つようになり、同じことを繰り返すようになるのです。新たなチャレンジをしなくなり、成長が停滞する恐れもあります。
2.コンフォートゾーンの具体例
具体的なコンフォートゾーンには次の状況や環境が挙げられます。
- 自分の部屋や家
- 通学や通勤に使う道
- 数年通っている学校や職場
- 行きつけのお店
- やり慣れている仕事
進学や就職したばかりのころ、学校や会社はまだコンフォートゾーンになりません。長く通って気心が知れた仲間ができると、コンフォートゾーンとして定着するのです。
一方、快適とはいえない状況でも、脳や体が慣れてしまうとコンフォートゾーンだと錯覚してしまいます。そのため誰かといがみ合っている状況や、つねに叱責される環境などもコンフォートゾーンになりえます。
3.コンフォートゾーンとラーニングゾーン、パニックゾーンの関係
心理的な領域には、コンフォートゾーンのほかに「ラーニングゾーン」と「パニックゾーン」があります。ビジネスパーソンとして日々成長していくためには、コンフォートゾーンを抜け出して、ラーニングゾーンに身を置くことが重要とされているのです。
ラーニングゾーン
「自分がかんたんには予測できない」あるいは「自分の能力を超える体験をする」領域のこと。コンフォートゾーンを抜けた先の領域です。
ラーニングゾーンには未知の状況や環境が該当し、不安やストレスを感じやすくなります。ビジネスにおける具体例は新しい業務や初めての取引先、知らない場所への出向や転属などです。
ただし適度な緊張感が生まれて集中力やパフォーマンスが向上する場合もあります。よって、社外の業務や研修を取り入れてラーニングゾーンを設けるときもあるのです。
パニックゾーン
自分の力がまったく通用せず、正常な判断や状況把握ができなくなるほど強いストレスや不安を感じる領域のこと。ラーニングゾーンを超えるとパニックゾーンに入ります。
ビジネスにおける具体例は、高すぎる目標設定や過酷な環境での業務など。ただしパニックゾーンの広さは人によって異なります。
パニックゾーンでは強いストレスや不安を感じるため、挑戦自体を諦めてしまうのも少なくありません。社員に高度な目標設定をしたあとは、つねにその社員の状況や状態を把握し、必要に応じて適切な支援を行いましょう。
4.コンフォートゾーンを抜け出すメリット
コンフォートゾーンを抜け出してラーニングゾーンに身を置くと、新たな課題に直面します。この課題解決が成長の機会となりえるのです。
- 適用力の強化
- 作業効率の最大化
- 創造性の向上
- 自己肯定感の向上
①適用力の強化
コンフォートゾーンの外では今までになかった環境や状況にさらされるため、適応力が高まります。新しい刺激を受けて考え方や価値観が変わってき、新しい環境や状況への抵抗が薄れるからです。
たとえばラーニングゾーンである異動や出向を経験すると、新しい環境での就業に適応できるようになり、以降は異動や出向を受け入れやすくなります。
②作業効率の最大化
コンフォートゾーンから出ると、適度に緊張した状態が続いて集中力が高まり、作業効率が最大化する場合もあるのです。
コンフォートゾーン内の仕事は安心して取り組めるので、それなりに作業効率は高いでしょう。しかし慣れた仕事は飽きて退屈に感じやすく、集中力が途切れてしまう場合も多いのです。
少しだけ新しい要素がある業務にチャレンジすると、人は最大限の能力を発揮できるといわれています。作業効率の最大化を実現するには、コンフォートゾーンを出る必要があるでしょう。
③創造性の向上
コンフォートゾーンを出ると新しいことへの挑戦が必要となるため、創造性が高まります。コンフォートゾーン内の業務では物事を深く考えたり、想像力を駆使したりする機会が乏しく、手法や工程などがマンネリになってしまうでしょう。
④自己肯定感の向上
コンフォートゾーンを出て新な挑戦に取り組むと、自己肯定感が高まります。
たとえば「努力しないと達成が難しい」目標を仕事で設定した場合、達成したときは「自分ならできる」と感じて自己肯定感が高まるのです。
失敗しても「新しいことに挑戦した」という体験は残ります。挑戦へのハードルが下がるため、目標達成への意欲を維持しやすくなり、いずれ達成を実現できるでしょう。チャレンジと達成のサイクルを繰り返すほど、自己肯定感は向上していきます。
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5.コンフォートゾーンから抜け出せない理由
コンフォートゾーンは、自分でコントロールできる領域であるため、ストレスが少なく快適に過ごせます。この平穏な状況を維持したいという気持ちから、コンフォートゾーンを抜け出せなくなるのです。
- 不安や恐怖感
- 平穏の追求
①不安や恐怖感
慣れ親しんだコンフォートゾーンから抜け出すと、未知の領域に対する不安や恐怖が大きくなります。
「悪いことが起こったらどうしよう」「失敗したらどうなるのか」と考えてしまい、行動するのが怖くなってしまうのです。最悪のケースを想定したときは、とくに大きな不安や恐怖を感じるでしょう。
このような不安や恐怖は自身が作り出しているものだと認識し、必要以上にリスクを恐れないことが大切です。
②平穏の追求
「現状を維持して平穏に暮らしたい」と、あえてコンフォートゾーンを抜け出さない人もいます。
とくに年を重ねてある程度経験を積んだ人は、「余計なリスクは犯さず、楽に過ごしたい」と考えてしまいがちです。長く同じ部署へ配属されている高齢な社員などに、このような傾向が見られます。
6.コンフォートゾーンに居続けるデメリット
コンフォートゾーンに長くとどまっていると挑戦への意欲が低下し、自己成長ができない人材になる恐れもあります。目標達成へのモチベーションも上がりにくく、組織や周りの人へ負担や悪影響を与えかねません。
また変化への対応経験が少ないほど不安が大きくなるため、よほど大きなきっかけがないとコンフォートゾーンから抜け出せないでしょう。
7.コンフォートゾーンから抜け出す方法
現状を把握して小さな変化や気軽に取り組めることからチャレンジすると、無理なくコンフォートゾーンから抜け出せます。ここでは7つの方法を解説しましょう。
- 自分のポジションを把握
- ビジョンや目標の明確化
- 恐怖心のコントロール
- 脱出後の未来を想像
- 小さなゴールを設定
- 定期的に範囲を調整
- ポジティブな気持ちで継続
①自分のポジションを把握
まずは今自分のいるポジションが「どのゾーンにあたるのか」把握します。
「まったくストレスがない」「惰性でも仕事ができる」と感じているなら現状のポジションはコンフォートゾーンであり、抜け出すための取り組みが必要です。適度な緊張感や新鮮な発見があるなら、すでにラーニングゾーンへ達しているでしょう。
ただしストレスを感じているからといってラーニングゾーンにいるとはかぎりません。その状態に慣れてしまい、負のコンフォートゾーンがつくられた可能性も高いからです。
②ビジョンや目標の明確化
自分がコンフォートゾーンにいると気づけたら、自分自身が将来的にどうなりたいのか、決めていきましょう。決めるべき内容はビジョンや目標、理想など。理想像が決まったら現状とのギャップを確認し、ギャップを埋めるためのチャレンジに取り組みましょう。
③恐怖心のコントロール
コンフォートゾーンから抜け出す際は、不安や恐怖がつきまとうため、対処法を習得しておくと役立ちます。大きな恐怖を感じてすくんでしまうと、ラーニングゾーンだと思ったチャレンジがパニックゾーンになりかねないからです。
恐怖心にかられたときには、次のような方法が効果的ですので、覚えておきましょう。
- 息をゆっくり吐く
- 目を閉じて、うまくいくイメージを描く
- 過去の成功体験を思い出す
- 信頼できる人に現状をフィードバックしてもらう
- いつも聞いている音楽を聴く
恐怖心をコントロールできると、次のチャレンジへの意欲も高まるでしょう。
④脱出後の未来を想像
たどりつきたい未来を鮮明に描くと期待感が不安や恐怖を抑えるため、コンフォートゾーンを抜けやすくなります。
できるだけ具体的な姿を想像して文章や絵、写真などで形に残しましょう。不安を感じたときに見返すと、「困難を乗り越えてたどり着こう」という活力が湧いてきます。
⑤小さなゴールを設定
コンフォートゾーンから抜け出す際には、小さなゴールの設定と達成を繰り返すことが重要です。
小さくても達成感を得られると自信がつき、次の目標への意欲が高まります。また達成するたびに適用力が高まり、より大きな変化にも対応できるようになるでしょう。このような積み重ねを行うほど、ラーニングゾーンが自分にとって快適な領域になっていきます。
⑥定期的に範囲を調整
コンフォートゾーンを抜けるときは、定期的に変化の範囲を調整し、負担を最小限に抑えましょう。
急激にラーニングゾーンの範囲を拡大するとストレスが極大化しやすく、失敗のリスクが高まるからです。少しの変化に慣れることを繰り返していくと、無理なくコンフォートゾーンを抜けられます。
⑦ポジティブな気持ちで継続
失敗も経験になるとポジティブに考えましょう。コンフォートゾーンを抜け出すためのチャレンジには、失敗がつきものだからです。途中であきらめてしまうと失敗体験として記憶に刻まれてしまい、チャレンジに対して不安や恐怖が増してしまいます。
失敗しても振り返りを行えば成長につながるもの。とにかくあきらめず続けることがポイントです。
8.コンフォートゾーンの広げ方
コンフォートゾーンを広げるには、新たに安心や安全できる領域を増やす必要があります。つまりラーニングゾーンに慣れて安心できる領域にしてしまえば、新たなコンフォートゾーンを得たことになるのです。
- 小さなチャレンジを継続的に実行
- 未知の環境を経験
①小さなチャレンジを継続的に実行
気軽なチャレンジから、コンフォートゾーンの境界線を広げていく方法が有効です。
仕事で必要となるスキルや資格の勉強を始めたり、新しいビジネスツールを使ってみたりするような小さなチャレンジでもかまいません。成功すれば安心できる領域を増やせます。
②未知の環境を経験
自分を未知の環境に置いて大きな変化にチャレンジすると、大きなラーニングゾーンを得られます。
このチャレンジに成功すれば、コンフォートゾーンを大きく広げられるかもしれません。たとえばまったく経験のない職種や部署を経験するなどの方法が挙げられるでしょう。ただしあまりに変化が大きいとパニックゾーンに入る恐れがあるので、注意が必要です。