6月病は、新卒社員が新しく配属の決まった6月ごろに無気力になることです。6月病は一体どんなものか。特徴、問題点、対策、予防などについて解説します。
目次
1.6月病とは?
6月病とは、新卒として会社に入った新卒社員に見られる症状の名称です。新入社員研修や配属が終わった6月ごろに、元気がなくなったり、仕事に対する意欲をなくしてしまったりするなど、心身の不調を感じることを指します。
6月病という呼び方は、医学的な正式の病名ではありませんが、5月病などと同じく社会で認知されつつあります。
2.5月病とは?
5月病とは、ゴールデンウイーク明けごろから心身の不調を訴えるケースです。
大学生や新入社員などに多く見られる症状で、新しい環境に馴染めない、環境への適応を急ぐあまり頑張りすぎてしまって無気力に陥るといったものです。5月病も医学的な正式の病名ではありません。
3.6月病の特徴
6月病は適応障害のひとつとされています。
適応障害の一種
6月病は、適応障害の一種であると考えられています。
適応障害とは、日常のストレスに対する処理が上手にできない、社会環境に適応することができないなどが原因で、さまざまな心身の不調が現れてしまう精神疾患のこと。
6月病は医学的に正式な病名ではありませんが、症状から考えると精神疾患に分類される適応障害の一種と捉えてよいでしょう。
具体的な症状
6月病の症状には、心の症状と体の症状の2つがあります。それぞれの症状について説明しましょう。
心に出る症状
心の症状として代表的なものは、下記の通りです。
- 集中力がなくなる
- イライラし、怒りの気持ちがおさまりにくくなる
- やる気が急に失せる
- 気持ちが落ち込みやすくなる
- 将来のことを考えて焦燥感にかられる
- いつもなら楽しいと思えるようなことが楽しいと思えなくなり、楽しいことがないと考えてしまう
体に出る症状
体の症状として代表的なものは、下記の通りです。
- 夜、寝つきが悪くなる
- 夜中、何度も目が覚めてしまう
- 寝ても疲れがとれず、朝から体がだるい
- 食欲がなくなったり、食事をおいしく食べられないと感じたりするようになる
- 心臓がドキドキして苦しくなったり、頭がズキズキ痛んだりする
- めまいや吐き気などに悩まされることが増える
4.6月病の問題点、課題
6月病は、企業側にもいくつかの問題を引き起こします。
コスト
新入社員には、募集、採用、入社、新入社員研修、人材育成などでさまざまなコストがかかります。しかし育成した新卒社員が6月病によって休職・退職してしまうと、それまでかけたコストがすべて無駄になってしまうのです。
人材不足
企業が人材を採用する場合、各部署に必要人員などをヒアリングし、綿密な人員計画を作成して採用活動に臨みます。社内で必要と判断したから採用したにもかかわらず新卒社員が6月病になれば、職場は予定していた人材を確保できません。
結果、新たな採用までの期間、人材不足に陥ってしまうのです。
業務が滞る
6月病にかかるのは新卒社員がほとんどですので即戦力になる可能性は低いです。そのため、それほど業務へ悪影響を及ぼさないと考えるでしょう。
しかし、配属直後から何らかの業務に就いている、配属先部署が少数精鋭で業務を進めているという場合、現場の業務が滞る可能性は否定できません。
5.6月病を改善するための対策、対応、対処法
6月病の改善には、早期対処がカギとなります。一体どのような対策を取ればよいのか、解説しましょう。
心身を休める
各部署に配属された直後ですと、職場環境に慣れる、上司や同僚といった人間関係に慣れるといったことで精一杯でしょう。
「だらける」という意味ではなく、できる限り睡眠を取る、できる限り栄養のバランスがよい食事を取る、などで心身をいたわり、十分に心身を休めてみましょう。
生活リズムを整える
社会人になると、学生時代のように朝寝坊しても済むような生活はできません。始業時間前には会社に着き、いつでも業務を開始できるよう準備する必要があります。
早寝早起きの習慣を身に付ける、朝日を浴びて体内時計を正常化させる、などで生活リズムを整えるとメンタルも整いやすくなります。
運動などで体を動かす
配属先で、自分のデスクに座りっぱなし、一日中パソコンに向き合っているなどデスクワークが多い場合、適度に体を動かすとリフレッシュになります。一駅歩いて通勤する、仲間とスポーツをするなど、積極的に体を動かす機会づくりも有効です。
コミュニケーション
社内の人間や仕事外の知人、友達など、必要に応じてコミュニケーションを取るのもよいでしょう。悩み事を相談する、友達とお茶をして楽しいおしゃべりの時間を持つなど、他者とのコミュニケーションを積極的に進めるのも、6月病対策に有効です。
6.6月病の予防
6月病にならないためには、何をすればよいのでしょうか。日常生活で気を付けたいポイントについて解説します。
セロトニンに注目
セロトニンは、心の安定に深く関与する脳内神経伝達物質のことで、幸せホルモンとも呼ばれ、不足すると精神が不安定になるとされているのです。6月病を予防するためには、セロトニンの分泌が促されるような生活を心掛けてみてください。
運動する
セロトニンの分泌を増やすには、適度な運動が欠かせません。リズミカルな運動を反復すると、セロトニンの分泌を促進できます。
6月病の改善策でも運動の重要性を指摘しましたが、予防策の面から考えた場合でも、適度な運動を定期的に行うことは非常に重要なポイントとなります。
食事に気を付ける
セロトニンの分泌には、トリプトファンが重要ですがこのトリプトファンには、ビタミンB6が欠かせません。
- 納豆や豆腐などの大豆製品
- サンマやイワシなどの魚、肉類
- 牛乳やチーズなどの乳製品
といった食材をバランスよく食事に取り入れてみましょう。
メリハリをつける
簡単にセロトニンを分泌させたいのなら、日光浴がおすすめです。タイミングとしてよいのは、起床してから30分以内。また、朝日を浴びると一日の始まりを体に知らせることができ、一日を清々しくスタートできます。
一日24時間を、活動時と休息時のメリハリをつけて過ごすと、6月病の予防に効果的です。
- 運動
- 食事
- 日光浴とメリハリのある生活
などを心掛けてみてください
7.6月病の注意点
6月病の注意点についても、簡単に解説します。日常生活を考える上で参考にしてください。
- アルコール
- 暴飲暴食
- 甘い食べ物
- 眠り方
①アルコール
アルコールを摂取すると、肝臓に負担をかけ、肝機能が低下して、疲労が増すと考えられます。ただでさえ新卒社員は、新しい職場環境や人間関係に適応するためストレスが多いです。そこにアルコールを摂取すれば、さらにダメージを与えかねません。
②暴飲暴食
暴飲暴食は、胃腸に過度な負担をかけます。胃腸が弱ってくると、栄養の吸収や新陳代謝などが悪くなる、体の疲れが取れにくくなる、さらに胃腸が弱ってしまうといった悪循環に陥ります。
しっかりと働くためにも、腹八分目を意識した適度な摂取を心掛けましょう。
③甘い食べ物
疲れたときに甘いものを食べると急激に血糖値が上昇し、高揚感が得られます。しかし、急激に上昇した血糖値は、その後、急速に下がってしまうのです。急激な血糖値の上がり下がりは、体に余計な負担をかけてしまうでしょう。
④眠り方
アクティブに活動したほうがリフレッシュできる場合もあります。しかし、本当の意味で心身が休息できるのは、眠っている間だけです。睡眠を軽んじてしまえば、心身の不調につながるでしょう。上質な睡眠を十分に取る、これも6月病の予防には不可欠です。