ビジネス能力検定ジョブパス(B検)とは、社会人に必要な仕事上の能力を測る試験のこと。ビジネス能力検定の概要や試験内容、取得のメリットなどを解説します。
目次
1.ビジネス能力検定ジョブパス(B検)とは?
ビジネス能力検定ジョブパス(B検)とは、業種や職種をとわず、業務遂行に必要となる基礎能力を測る試験のこと。1995年に企業や教育機関が連携して開発され、文部科学省も後援しています。試験を実施する機関は一般財団法人職業教育・キャリア教育財団です。
特徴
ビジネス能力検定ジョブパス(B検)には受験資格の制限がなく、年齢や学歴などをとわず誰でも受験可能です。そのため学校や企業などでも導入されており、多くの人が受験しています。2022年の受験者数や合格率は次のとおりです。
- 3級:受験者数1万491人、合格者数7,880人、合格率75.1%
- 2級:受験者数1,971人、合格者数1,474人、合格率71.9%
- 1級:受験者数74人、合格者数35人、合格率47.3%
なお受験者の男女比は同率です。
技能の概要
ビジネス能力検定ジョブパス(B検)では、次のような技能を問われます。
- 時事用語やビジネス用語の知識
- ビジネスマナーやコミュニケーションの基本知識
- 文章に対する理解力
- 問題解決能力および改善の提案
いずれもどの業種や職種で必要とされる技能です。そのため学生はもとより、入社して数年経過した社員も受験しています。なお1級では統計分析問題が出されるため、統計に関する知識、論理的思考力なども求められるでしょう。
参考 ビジネス能力検定ビジネス能力検定ジョブパス2.ビジネス能力検定ジョブパス(B検)の難易度と内容
ビジネス能力検定ジョブパス(B検)は1級から3級まで設けられ、級の数字が小さいほど難易度が上がります。試験はパソコンなどを用いる「CBT方式」と、用紙を用いる「ペーパー方式」があり、受験方式や申込方式によっても会場が異なるのです。
- 1級の試験:全国のCBT会場にて行われるCBT方式試験のみ
- 2級と3級の試験:全国のCBT会場で行われるCBT方式の試験、または自団体が設営する試験会場で行うペーパー方式の団体試験
1級
就職面接を控える就活生や入社1年目から3年目の社会人などを想定した試験になっています。試験の概要は次のとおりです。
- 試験日:年に2回開催(2月上旬から中旬、9月中旬から下旬)
- 試験方式:CBT方式(電卓の持ち込みが可能)
- 試験時間:90分
- 合格基準:100点満点中60点以上(体系的知識問題25点、実践応用問題20点以上が必須)
- 結果発表:試験の約1か月後
- 検定料:8,500円(2級合格者が1年以内に1級を受験する場合は、1回限り5,500円で受験が可能)
難易度と内容
2級の技能を前提としたうえで、論理的思考力やデータ分析力、基礎的なマネジメント力などがとわれます。試験問題の構成は次のとおりです。
- アチーブ問題10問(体系的知識問題)
- 統計分析問題5問(体系的知識問題2問、実践応用問題3問)
- ケース動画問題3問(実践応用問題)
体系的知識問題25点・実践応用問題20点以上を獲得したうえで、100点満点中60点以上得点すれば合格です。体系知識問題で25点に満たない場合、実践応用問題は採点されません。
2022年の合格率は47.3%です。統計も出題範囲に含まれるため、難易度はやや高めといえます。
2級
就職を控える学生や入社1年目から2年目の社会人を想定した試験で、2級と3級は併願が可能です。試験の概要は次のようになっています。
- 試験日:年に2回開催(7月上旬、12月上旬)
- 試験方式:CBT方式またはペーパー方式
- 試験時間:90分
- 合格基準:100点満点中65点以上
- 結果発表:試験の約1か月後
- 検定料:4,200円
難易度と内容
3級の知識を前提としたうえで、企業の役割や責任、権限といった知識、問題解決力や情報活用力などがとわれます。またクレーム対応やプレゼンテーションなど、実際の職場を想定した問題が多いのも特徴です。試験問題の構成は次のようになっています。
- アチーブ問題(用語知識・行動理解)20問
- 新聞問題 5問
- ケース問題(実践事例)5問
- 統計分析問題 5問
100点満点中65点が合格ラインです。合格率は71.9%と高く、統計問題は出題されるものの難易度は低めといえます。
3級
就活中の高校3年生や、学生から社会人になる人を想定した試験です。試験の概要は次のようになっています。
- 試験日:年に2回開催(7月上旬、12月上旬)
- 試験方式:CBT方式またはペーパー方式
- 試験時間:60分
- 合格基準:100点満点中70点以上
- 結果発表:試験の約1か月後
- 検定料:3,000円
難易度と内容
ビジネス常識やコミュニケーション力、情報の利活用など、社会人として必要となる基礎知識をとわれます。試験問題の構成は次のとおりです。
- アチーブ問題(用語知識・行動理解)20問
- 新聞問題 5問
- ケース問題(実践事例)5問
- 統計分析問題 5問
100点満点中70点が合格ラインです。合格率は75.1%と高く、難易度は低めといえます。ただしビジネスマナーや時事用語に関する出題(アチーブ問題)が多いので、事前の対策は必要でしょう。
3.ビジネス能力検定ジョブパス(B検)を取得するメリット
ビジネス能力検定ジョブパス(B検)の取得をとおして、社会人に求められる一定の技能を身につけられます。ここでは3つのメリットを解説しましょう。
- 幅広くビジネスの基礎を学べる
- 知識を証明できる
- 留学生や外国人でも日本のビジネスを理解できる
①幅広くビジネスの基礎を学べる
ビジネス能力検定ジョブパス(B検)をとおして、ビジネスパーソンに必要とされる知識やスキルをバランスよく学べます。
実際に出題範囲は幅広く、仕事や企業、経済など関する知識から時事問題やビジネスマナー、データ活用や税金・法律までさまざま。
データ分析やプレゼンテーション、電話対応や報連相など、実務に直結する設題も多く見られます。また課題解決力や提案力、発信力やコミュニケーション力の向上も期待できるでしょう。
②知識を証明できる
課題解決力や提案力、コミュニケーション力といったビジネススキルの多くは「どこまでできるか」を示すのが困難です。ビジネス能力検定ジョブパス(B検)を取得すれば、自身が持つビジネス知識や能力を定量的に証明できます。
取得すれば一定の能力を証明できるため、人事評価でプラスに働く可能性もあるでしょう。文部科学省が後援している検定なので、就職活動のアピール材料としても活用できます。
③留学生や外国人でも日本のビジネスを理解できる
ビジネス能力検定ジョブパス(B検)は、日本で働く留学生や外国人が日本のビジネスを理解するのに役立ちます。日本における会社の仕組み、産業や経済、法律などにくわえて、日本企業が仕事において何を重視しているのかなどもわかるからです。
また日本企業への就職に限らず、自国で日本と取引する企業で働く場合も重宝される人材となるでしょう。
4.ビジネス能力検定ジョブパス(B検)が役立つ仕事
ビジネス能力検定ジョブパス(B検)を取得した人は、ビジネスの知識やコミュニケーション力が身についているため、あらゆる業種や職種で活躍できます。
ビジネスマナーやプレゼンテーション、データ分析などが身につくため、とくに営業や企画、カスタマーサービスや人事(HR)に関する職種との相性がよいでしょう。1級を取得すればマネジメント力も備わるため、リーダー職や管理職として活躍していけます。
5.ビジネス能力検定ジョブパス(B検)の履歴書の書き方
文部科学省が後援するビジネス能力検定ジョブパス(B検)は、信頼度の高い資格です。就職や転職で自らのビジネス能力をアピールしやすいため、ぜひ履歴書に記載しましょう。
履歴書には、次のように正式名称で記載します。
- ビジネス能力検定(B検)ジョブパス
- 文部科学省後援ビジネス能力検定ジョブパス ○級 合格