リソース管理とは、企業活動に必要な経営資源を効率的に活用できるよう管理することです。管理対象となる主なリソースは、ヒトやカネ、モノや情報など。リソースが適切に管理できていなければ、適切かつ円滑な企業活動が行えなってしまう恐れがあります。
今回はリソース管理について、その重要性や管理対象、リソース管理を行うメリットややり方などを詳しく解説します。
目次
1.リソース管理とは?
リソースとは企業活動に必要な経営資源のことで、具体的には下記要素を指します。
- ヒト
- モノ
- カネ
- 情報
- ノウハウ
- 時間
- 知的財産
経営資源はプロジェクトの進行・完遂に欠かせないものであり、リソース管理とは経営資源を効率的に活用できるよう管理することです。
リソース管理の目的は、経営資源を効率的に活用できるよう管理し、プロジェクトの完遂や経営目標の達成、利益の最大化を目指すこと。リソースは有限であるため、限られたリソース内で最大化する必要があります。反対に、リソース管理できないと不足が発生し、目的を達成できなくなります。
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2.リソース管理の管理対象
管理対象となるリソース、つまり経営資源は主に下記6つです。
- ヒト
- モノ
- カネ
- 情報
- 時間
- 知的財産
リソースはヒトやモノ、カネのように目に見える資源と時間や情報、知的財産といった目に見えない資源にわかれます。ここでは、管理対象となるリソースがどういったものかを詳しくみていきましょう。
①ヒト
人的リソースであるヒトは、管理対象の中でも最も重要であると同時に最も管理が難しいリソースです。従業員のスキルや経験、キャパシティを把握したうえで、各プロジェクトに采配することがヒトのリソース管理にあたります。
うまく管理できないと人手不足やスケジュールに余裕がなくなるなど、プロジェクト進行に支障や遅れが生じてしまうでしょう。
人的リソースの管理では、適材適所への配置やモチベーション管理が重要といえます。なぜなら、マネジメントの結果によって、プロジェクトの成功率や効率性が変わってくるからです。
②モノ
物理的資源であるモノは、プロジェクト進行に必要になるもの。オフィスや設備、備品をはじめ、ソフトウェアやサーバー、ネットワークといったインフラなど、業務を遂行するにあたって必要となる設備や道具全般が管理対象です。
モノがないと作業できませんが、モノには購入・維持にはコストがかかります。費用対効果を見極め、コストが利益を上回らないよう管理することが必要です。
③カネ
カネは、運営資金ともいえるリソースです。人材を確保するため人件費や作業するための設備投資・原材料費、備品購入費のほか、株式や債券、借入金などもリソースとしてのカネに含まれます。
カネのリソース管理とは、自社の抱える資金を把握し、必要に応じて適切に分配すること。資金があるほど、ヒトやモノに投資できるため事業拡大につながる一方、資金がないとプロジェクトが進行できず、利益の損失も起こりかねません。
④情報
リソースとしての情報は、経営のために企業が保有する情報のこと。具体的には、顧客情報や売上データ、マニュアルや技術、ノウハウを指します。
技術やノウハウは従業員が保有するため、人的リソースともいえるでしょう。一方、情報は無形財産となるため、ヒト・モノ・カネの管理よりも疎かになりやすい傾向にあります。
しかし、情報を活用してこそイノベーションを起こせるため、リソース管理によって役立つ情報を抽出し、必要に応じて従業員が活用できるよう加工・共有することが重要です。どのような情報をどう活用するか、仕組みを整備することが情報管理といえます。
⑤時間
時間は有限であり、従業員には勤務時間という平等な時間が与えられています。限られた時間を有効活用し、その中でいかに生産性を上げるかが時間の管理です。
プロジェクトやタスクの期限も時間に含まれ、限られた時間で期限内に成果を上げるには、業務の優先順位づけや業務効率化などが求められます。
時間は目に見えない資源であるため、工数表や進捗管理などを通じて可視化する必要があるでしょう。誰がどういった業務にどれだけの時間をかけ、どれほどの成果を出せたかを見える化し、より効率的に進めるための改善を図ったりすることが主な管理方法です。
⑥知的財産
知的財産とは、企業が開発・保有するブランドやアイデア、制作物や著作権、特許など法的に保護できる資源のこと。管理には、まず特許を取得して法的に保護できる状態にする必要があります。
知的財産権の活用は他社との差別化につながり、最終的には企業の利益につながるもの。企業の魅力や強みとして、あらゆる面で生かせるよう、うまく管理・活用して自社の経営活動を最大化することが求められます。
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3.リソース管理が重要な理由
プロジェクトを動かすのはリソースであり、必要な経営資源を把握・分配して初めてプロジェクトが動くもの。リソースを動かさないことにはプロジェクトが進行せず、企業活動が進みません。
また、リソースは有限であり、限られたリソース内で有効活用することが必要です。くわえて、リソースの最適化やコスト削減は、利益の最大化にもつながります。
また、リスク管理の面でもリソース管理は重要です。リソースが適切に管理できていれば、急な人手不足や備品の故障などによるリスクを軽減し、想定外の問題にも対処しやすくなります。
限られた資源を有効活用し、かつリスク管理しながらプロジェクトを円滑に進め、パフォーマンスと利益を最大化するためにはリソース管理が欠かせません。
4.リソース管理を行うメリット
リソース管理を行うことは、企業に多くのメリットをもたらします。ここでは、リソース管理を行うメリットを詳しくみていきましょう。
全体像が把握しやすくなる
リソース管理が適切にできていると、プロジェクトの全体像が把握しやすくなります。また、必要なリソースを把握する過程では、プロジェクトの規模感や難易度も把握可能です。
全体像がわからないことには、適切なリソースが分配できなくなってしまうもの。チーム効率を最大化して従業員の業務過多や責任の偏りをなくしたり、潜在的な問題に気づいたりするためにも適切なリソース管理から全体像を把握することが重要です。
リソースを適切に分配できる
リソースを適切に分配すると、プロジェクトの成功にも直結します。各工程に適切にリソースを分配するには、現状のリソースと不足するリソースを正しく把握することがポイントです。
また、リソースの適切な分配はプロジェクトを進める過程で遅延や品質の低下を防ぐためにも重要でしょう。リソース状況を正しく把握し、必要に応じてリソースの追加・再分配を行うことで円滑なプロジェクト進行が実現します。
限られたリソース内で最大化できる
リソースを適切に分配できると、限られたリソース内で成果を最大化できます。プロジェクトがうまく進行できていない場合も、全体像が把握できており、かつ正しく現状のリソースがわかっていれば、遅延やトラブルが発生する前に手を打てるでしょう。
円滑なプロジェクト進行は、従業員のモチベーションやパフォーマンス向上にも欠かせない要素です。
スケジュール設定に役立つ
プロジェクト進行にはスケジュール設定が欠かせません。スケジュールを見誤ってしまうと、リソース不足や納期の遅れなどに支障が出る恐れがあります。
リソースをしっかりと把握・管理できていれば、全体像を把握したうえで現実的かつ適切なスケジュール設定ができます。また、従業員にも根拠あるスケジュール設定が説明でき、納得感を持って取り組んでもらえる効果に期待できるでしょう。
リスクマネジメントにつながる
ある工程で人手が足りなくなった、仕様変更によりスケジュールに遅延が生じるなど、プロジェクトの進行中は予期せぬトラブルが起こる可能性もあります。
一方で適切なリソース管理ができていればリスクを軽減できるだけでなく、リスクが生じた場合でも早急に対応できるでしょう。トラブルが起こってからどれだけ迅速に対応でいるかも重要なポイントです。
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5.リソース管理のポイント
リソース管理を行ううえで、重要なポイントを解説します。適切にリソースを管理し、プロジェクトの成功や利益最大化を目指しましょう。
必要なリソースと過不足を正しく把握する
まずは現状のリソースを正しく把握したうえで、必要なリソースを特定することがポイントです。とくに把握すべきは人的リソースであり、ここがうまく把握できないと、プロジェクト進行に支障が出てしまいます。
人的リソースの管理では、従業員が現状抱えている仕事やスキルを明確にし、適切に分配します。各工程で適切な分配ができるよう過不足も確認し、進行過程で不足が発生しないよう余裕を持って分配するなど、不足が発生した場合のリスクマネジメントも必要です。
適材適所を実現する
適材適所の実現は、人的リソースにおける重要なポイントです。従業員が保有するスキルや経験は人によって異なるため、適材適所な分配によって業務効率化や生産性、エンゲージメントの向上につながります。
ただ管理して分配するだけでは不十分であり、一人ひとりの詳細なリソースを確認し、見極めることが大切です。適材適所が実現できているかによって、プロジェクトの成功率や効率性も変わってきます。
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優先度・重要度を見極める
限りあるリソースを有効活用するには、各プロジェクトやタスクの優先度・重要度を見極めてリソースを分配することがポイント。
平等にリソースを割り振るだけでなく、納期や難易度、リソースによって、柔軟かつ戦略的に分配することが求められます。この時、優先度と重要度を見極めるための軸も明確にしましょう。
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6.リソース管理のやり方
リソース管理のやり方を下記4つのステップから解説します。
- 現状のリソースを把握
- 必要なリソースの特定
- プロジェクトの計画・実行
- 課題・問題の把握・改善
①現状のリソースを把握
まず、現状のリソースを把握するところから始めます。目にみえるリソースから重点的に整理し、とくに人的リソースの把握は徹底しましょう。
適材適所な分配を実現するためにも、スキルや経験、キャパシティといった従業員個々のリソースを把握することがポイント。リソース状況によっては新規で採用が必要など大きな影響が出るため、しっかり把握する必要があります。
②必要なリソースの特定
次に、必要なリソースを洗い出します。この時、とくに重要なのは「ヒト」「モノ」「カネ」「時間」です。
どういったスキルや経験を持つ人員がどのくらい必要か、予算はどれくらいで必要な設備は何か、どのようなスケジュールかを洗い出します。あわせて、進行するにあたってどういった情報や知的財産が必要かも特定しましょう。
③プロジェクトの計画・実行
特定したリソースをもとに、プロジェクトの計画の中で適切に分配します。まずは、各工程のリソースやスケジュール設定など、プロジェクトの進行を現実的なものにするための要素を洗い出しましょう。
同時に起こりうるトラブルも想定し、起こってしまった場合の措置も考えておくことがポイントです。計画に問題がなく、従業員にもスケジュールや采配の納得と理解が得られれば、プロジェクトを実行します。
④課題・問題の把握・改善
プロジェクトを進めるなかで発生した課題や問題は早期に発見し、対処する必要があります。なぜなら、小さな課題や問題でものちに大きな影響を与える恐れもあるからです。
進捗を確認するだけでなく、メンバーから話を聞いたり予算消化の状況を確認したりするなどして、リソースの稼働状況もチェックしておきます。見つかった課題・問題に対しては分析し、解決策や対策を講じましょう。
実行後は経過観察し、費用や時間が無駄になっていないかを確認しながらスケジュール通りプロジェクトが進むよう、引き続きリソース管理しながら進捗をみていきます。
7.リソース管理で役立つツール
リソース管理が適切にできていないと、プロジェクト進行もうまくいきません。しかし、リソース管理も人の手によって行われるもの。業務効率化を目指しつつ、適切にリソース管理するにはツールの活用がオススメです。
ここでは、リソース管理で役立つ3つのツールをご紹介します。
Excel
無料で利用できるリソース管理ツールでは、Excelがオススメです。どの企業でもExcelは基本的に使用しているため、新規で導入する必要がない点がメリット。
またテンプレートがあるだけでなく、カスタマイズ性が高く、自社にあったリソース管理ができるといったメリットもあります。
一方、リソース管理に必要なフォーマットの作成には関数を組む必要がある、管理表の更新が属人化しやすいといったデメリットもみられるのです。
リソースを細かく管理したい、大規模なプロジェクトに活用したい場合は適さない可能性があるため、有用性をしっかりと確認してから利用しましょう。
リソース管理ツール
リソース管理に特化した専用ツールです。リソースや進捗、従業員が抱えているタスクなどを可視化ができ、リソース管理に必要な機能が備わっているため、リソース管理の効率化や質向上に役立ちます。
リソース管理ツールの利用は基本的に有料であり、組織規模が大きくなるにつれて月額料金も高くなるのが一般的です。
ツールによっては必要な機能が備わっていない、拡張や追加といったカスタマイズができないといったデメリットもあるため、必要な要素を洗い出したうえで適切なリソース管理ツールを導入するとよいでしょう。
タレントマネジメントシステム
タレントマネジメントシステムとは、従業員情報を集約・一元管理するシステムです。人員の過不足を把握し、適材適所な人材配置やミスマッチのない人材の採用を可能にするなど、人的リソースの管理に役立ちます。
リソース管理の中でも、人的リソースの管理は重要度と難易度が高いもの。同時に、プロジェクトの成果にも大きくかかわるため、人的リソースを集中的に管理・活用できるタレントマネジメントシステムは重要な役割を発揮します。
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