バーナム効果とは?【効果をわかりやすく】具体例、活用方法

バーナム効果とは、誰にでも当てはまる事柄を「自分だけに当てはまる」と感じる心理現象のことです。ここではバーナム効果の具体例やビジネスにおける活用方法を分かりやすく解説します。

1.バーナム効果とは?

バーナム効果とは、誰にでも当てはまる一般的な特徴や説明を「自分だけに当てはまる」と勘違いしてしまう心理現象のこと。心理学者のバートラム・フォア氏が検証したことから、「フォアラー効果」とも呼ばれています。権威がある人や信頼できる人から特徴や説明を伝えられた場合、バーナム効果がより高まる傾向にあるのです。

バーナム効果には、自分にとって都合のよいことを信じる心理現象「確証バイアス」が大きく影響すると考えられています。

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プラシーボ効果との関係性

プラシーボ効果とは主に医療分野で利用される心理効果で、プラセボ(偽薬)であっても患者自身が「自分が飲んでいる薬には効果がある」と信じて飲むと、実際に症状が改善するもの。

バーナム効果とプラシーボ効果には「思い込み」が共通して発生しており、プラシーボ効果の影響でバーナム効果が生まれる可能性があります。

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2.バーナム効果の具体例

バーナム効果は日常生活やビジネスシーンで使われています。ここではバーナム効果の活用例をご紹介しましょう。

占い

バーナム効果の事例としてよく挙げられるのが占いです。

たとえば「あなた、今悩みがありますね」と質問されたとしましょう。多くの人は何かしらの悩みを抱えているので、「ひょっとしてあのことかも」と思うのです。

このように多くの人に該当する曖昧な表現を使い、バーナム効果を促す場合もあります。「言い当てられた」と感じた人は、その占い師を信頼しやすくなるのです。

血液型診断

A・B・O・ABの血液型に分類して性格や特徴などを診断する血液型診断も、バーナム効果の身近な例です。血液型診断には科学的な根拠がないにもかかわらず、多くの人に支持されています。

「几帳面な一面」や「おおらかな一面」など誰もが持つ特性であっても、バーナム効果で「自分に当てはまる」と思い込むのです。さらに確証バイアスが働くと、都合のよい特性だけを信じてしまうでしょう。

おみくじ

おみくじには「吉」「凶」などの運勢や「待ち人が来る」「旅行は北が吉」といった、誰にでも当てはまる曖昧な予想やアドバイスが記されています。

さらにおみくじには「自分が引いた」という要素があるため、多くの人は「当たっているはず」「結果を受け入れたい」という確証バイアスが働きやすいのです。カードを自分で選ぶタロット占いも同様の傾向が見られます。

恋愛

恋愛において相手との距離を縮めたい場合、バーナム効果を活用できます。人は自分に向けられた褒め言葉やポジティブな言葉を、「自分に合っている」と感じて受け入れる傾向にあるからです。

「あなたは細やかな気遣いができる人」「純粋な心を持っていますね」など、誰にでも当てはまる曖昧な指摘をすると、相手は「自分を理解してくれている」と感じて好感を抱くでしょう。

人材育成

バーナム効果は、企業の人材育成にも応用できます。

たとえば部下との面談で、「あなたは周りをよく見て行動していますね」「相手によって話し方を変えられるのは素晴らしいですね」など、誰にでも当てはまる内容で誉めるもの。

部下は「自分をよく見ていてくれる」「理解してくれている」と感じ、上司を信頼してアドバイスを素直に受け入れられるでしょう。

採用活動

バーナム効果は、企業の採用活動でも実践されています。

たとえば採用面接において「あなたは自分に合う仕事が本当に見つかるか、不安に感じていませんか」など、ほとんどの求職者に当てはまる悩みを問いかけるのです。

求職者は「自分の心情を言い当てられた」「自分を理解してくれた」と感じて、企業や面接官に好感を抱き、本音や本心を話しやすくなります。

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3.バーナム効果のメリット

ビジネスにおいて、バーナム効果を活用する主なメリットは3つです。それぞれのメリットについて以下で説明します。

  1. コミュニケーションの上達
  2. 信頼度の向上
  3. 売上の拡大

①コミュニケーションの上達

バーナム効果では相手への呼びかけが必要となるため、その人とのコミュニケーションが深まります。「◯◯さんは」「あなたは」という呼びかけを多く使い、相手に「自分だけに話している」と感じさせるのがポイントです。バーナム効果を活用すれば、初対面の相手や、まだ信頼関係が構築されていない相手との距離を縮められます。

②信頼度の向上

バーナム効果を使って部下の相談に乗ると、部下は「この人は自分を理解してくれる」と感じて好感を抱く可能性があります。バーナム効果をきっかけにして良質なコミュニケーションを重ねていけば、部下からの信頼が高まっていくでしょう。

③売上の拡大

バーナム効果をセールストークや広告に応用すると、顧客との信頼関係を高めて商品への興味を促進するため、売上の増加につながります。

「自分の悩みを理解してくれている」と感じた顧客は「自分にピッタリの商品だ、ぜひ買いたい」と思い、購買意欲が高まるでしょう。

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4.バーナム効果のマーケティングでの活用方法

上述したように、バーナム効果はマーケティングやセールストークにおいて効果的です。ここでは「営業」「広告」「コンサルティング」における有効な活用法をご紹介します。

営業

営業活動でバーナム効果を利用すると、顧客との信頼関係を高めて商品やサービスへの興味を促進するため、成約の可能性が高まります。

ポイントは、商品説明に入る前にまず顧客の悩みや課題に対するトークで相手の信頼を得ること。多くの顧客にも当てはまる一般的な悩みや課題について、担当者の名前や企業名を呼びかけながら語りかけます。

さらに「自社が悩みを解決するパートナーである」ことを強調すると、顧客の関心を引き、商品やサービスへ興味をもってもらえます。

広告

広告においてバーナム効果を効果的に活用するポイントは、ターゲット層に当てはまる悩みや、その悩みに共感する文言を冒頭に配置すること。

たとえばビジネスパーソンをターゲットにした栄養補給商品の広告なら、「疲れやだるさが取れず、仕事に集中できない方」と呼びかけると、多くのビジネスパーソンが自分に当てはまると考えて広告の内容に興味を持つでしょう。

さらに「その原因は〇〇不足かも」「この商品で〇〇を摂取できます」などと続けて、商品の購買へ誘導するのです。

コンサルティング

バーナム効果はコンサルティングにも有効といえます。クライアントとの信頼関係を早期に構築して、相手の本音や方向性を引き出して、それを尊重したアドバイスができるからです。

クライアントの心を開くポイントは、表面に見える性格と相反する要素を伝えること。

たとえば穏やかなクライアントには「〇〇さんは、物腰が柔らかくて周りの人の意見をよく聞いていらっしゃいますが、一方で厳格でしっかりした信念もお持ちですね」などと伝えてみましょう。

「自分の内面を理解してくれている」と感じてコンサルタントへの信頼が高まる可能性があります。

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5.バーナム効果の効果を高めるポイント

単純に当てはまることを伝えるだけでは、十分なバーナム効果を得られません。ここではバーナム効果を有効に使うための4つのポイントをご紹介します。

「あなた」に向けた発信

バーナム効果を活用する際には、特定の相手に向けて発信することがポイントです。対話する相手を絞り込み、「みなさん」ではなく「あなた」や「〇〇さん」と呼びかけることを徹底しましょう。

同じを部下全員へ訪ねる場合でも、名指しを含めて「◯◯さんは、仕事の進め方に不安を持っていませんか」などと伝えると、相手は「自分だけに向けられた質問」だと思うため、バーナム効果を高められます。

信頼関係の構築

バーナム効果を高めるには、発信者が信頼できる人物や企業かどうかも重要です。たとえば発信者が占い師や職場の上司である場合、相手がすでに一定の信頼を寄せているため「この人は私を理解してくれる」と感じてバーナム効果が高まる可能性もあります。

ビジネスでバーナム効果を有効に活用するなら、先に相手との信頼関係を構築しておくべきです。

ポジティブな言葉の使用

ポジティブで前向きな言葉は心地よく相手の心に残るため、バーナム効果を引き出しやすくなります。

たとえば「寝ても疲れがとれない」と悩むビジネスパーソンをターゲットにする商品なら、「爽快な朝を迎えるために」などよい未来をイメージできるキャッチコピーが効果的です。なおネガティブな言葉は、比較対象として使用するとよいでしょう。

幅広い解釈ができる表現

特定の人にしか通じない言葉やニュアンスは避け、幅広く解釈できる言葉を選択すると、相手が「自分に当てはまる」と感じやすくなります。とくに最初の問いかけは、できるだけ多くの人に当てはまるものを選びましょう。

たとえば「今は健康でも、5年先、10年先の自分に不安はないですか」と問いかけると、現在健康な人にも、将来の健康に不安を感じる人にも当てはまり、どちらの人にもバーナム効果が発生するでしょう。

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6.バーナム効果活用の注意点

バーナム効果を有効に活用するには、適切な使い方が重要です。ここではバーナム効果を活用する際の3つの注意点を説明します。

悪用や多用はNG

バーナム効果の過度な使用や信じやすい人への悪用には注意が必要です。

バーナム効果は相手からの好感度を上げて信頼関係を構築するために有効な手段といえます。しかし誰にでも当てはまる抽象的な内容で会話をするため、多用すれば相手が不信感を抱きかねません。相手の信頼を獲得したあとは、話を具体的に進めていきましょう。

誇張表現はトラブルの元

とくに広告においては、煽り口調や誇大表現をしないように注意が必要です。場合によっては顧客が不快感や不安感を持ち、トラブルを引き起こす恐れもあります。またこれらの表現は、法律や規制に抵触するリスクが高まるのです。

バーナム効果を成功させるためにも、相手とのコミュニケーションを大切にし、誠実で信頼できる表現を心がけましょう。

情報収集の徹底

バーナム効果を活用する際は、相手の情報をよく分析し、適切な情報を伝える必要があります。

たとえば独身の方に子育ての悩みを投げかければ、当てはまらないだけでなく不快に感じるかもしれません。その後の信頼関係構築が困難になる可能性があります。

相手の立場や環境などの情報を分析したうえで、相手が共感しやすい内容や興味を引きそうな切り口を用いることが大切です。