向上心とは? ある人の特徴、高めるメリット、高め方を簡単に

向上心とは、現状よりも高みを目指して自分を成長させようとする意識のこと。仕事に意欲的に取り組める人や成果を出せる人は向上心がある人に多く、ビジネスにおいては重要な意識です。

今回は向上心について、向上心がビジネスで重要な理由や向上心がある人の特徴、高めるメリットなどを詳しく解説します。

1.向上心とは?

向上心とは、現状よりも高いところに目標を設定し、自分を成長させようとする心のこと。ただし、そうした気持ちがあっても、行動が伴わなければ向上心があるとはいえません。つねに高みを目指すという意味で「野心家」や「目標を持ち行動を起こせる人物」と表現することもできます。

モチベーションとの違い

モチベーション(motivation)は「動機づけ」や「やる気、刺激」という意味を持つ言葉です。向上心は目標に向かう恒常的な心であるのに対して、モチベーションは外的要因や内的要因が刺激になり、状況に応じて高低差があるものです。

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2.向上心がビジネスで重要な理由

ビジネスシーンで向上心が重要視されるのはなぜでしょうか。主な2つの理由をみていきます。

主体的な行動が求められるから

多くの企業は、主体的に課題を見つけ解決に向けて動ける人物を求めています。なぜなら向上心があることで自ら課題を発見し、企業の成長に貢献しようとする主体性が生まれるからです。

なお、主体性は経済産業省が2006年に提唱した「社会人基礎力」にも含まれています。

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価値観が新しくなったから

現代は終身雇用や学歴社会といった常識が薄れ、自己実現を重視する価値観にシフトしてきています。

そのため、自分がどのように働きたいのか、何を目標にしているのかを個人が認識する重要性が高まっています。向上心は、自分の実現したい姿に向かって行動を起こすために不可欠な要素です。

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3.向上心がある人の特徴

ここでは、向上心がある人の考え方や行動の特徴をご紹介します。

目標がある

向上心がある人は、夢や目標を持っています。たとえば、長期的な目標であれば将来的に目指す人物像やキャリアプラン、または理想のライフスタイルを実現することなど。短期的なものでは、月間の目標達成や残業時間の削減などといった目標があるでしょう。

向上心がある人は現状に甘んじず、つねに次のステップを目指しているため受け身になりません。積極的に課題を見つけて改善に取り組むため、モチベーションを高く保ち続けられるのです。

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前向き

向上心がある人は、物事に対してつねに前向きです。自ら課題を見出し、どうすれば解決できるか、さらに改善する方法はあるかと考えられます。なぜなら現状に甘えることなく、目標を見据えて日々を過ごしているからです。

また、そのプロセスで経験を積むことが成長につながり、失敗やミスがあっても「次はどうすれば良いか」と学びに変えながら前向きに改善につなげられています。

行動できる

向上心がある人は、失敗を恐れるよりも、成長のために行動する特徴があります。目標を掲げるだけでは向上心があるとはいえず、行動を起こせるかが重要です。なぜなら新しい挑戦や経験を経ることで学び、目標に向けて改善していけるからです。

また、そうすることで成功する機会が増えるだけでなく、失敗から学ぶチャンスも増えます。勇気やリスクを伴うことでも、向上心がある人は進んで挑戦する傾向にあります。

内省できる

向上心がある人は、内省(自分の考えや行動・結果を客観的に分析し、振り返ること)できます。仕事において、何かしらの結果に対して、他人の責任にして放り出す人もいるでしょう。

しかし向上心がある人は、内省によって改善点を見出したり、失敗から学んだりできます。そのように内省と行動を繰り返すと、少しずつ改善を重ね、自分を成長させているのです。

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地道に続けられる

向上心がある人は目先の結果にとらわれず、目標に向かって地道な努力を続けられます。何かに向けて取り組むときは、すぐに成果が出るとは限りません。そのため結果を出すために工夫をしたり、粘り強く改善を続けたりすることが必要です。

向上心がある人は、自主性を持って工夫や改善に取り組めます。なぜなら、その向上心が内的動機として働き、モチベーションを高く保てるからです。

アドバイスを素直に受け止める

向上心がある人は、自己改善の意欲が高く、まわりの意見も成長の糧として取り入れる姿勢があるため、他人からのアドバイスや批判にも耳を傾けられます。

また自分で掲げた目標やイメージが明確であるため、周囲の言葉に影響を受けにくい特徴もあります。そのため、向上心がある人は、自分の状況を正確に把握し、前向きに改善していけるのです。

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4.向上心がない人の特徴

一方で、向上心がない人には以下のような特徴があります。

目標が定められていない

向上心がない場合、夢や目標が定められていない可能性も高いでしょう。「仕事で頼られる人になりたい」「年収を上げてこんな家に住みたい」など自己実現につながる目標だけでなく、会社やチームの目標に対しても消極的な傾向にあります。

目標を持たず日々をなんとなく過ごしていると、向上心は生まれません。

失敗や成功の経験が少ない

向上心がないと変化を嫌い、挑戦を避けようとするため、失敗や成功の経験がおのずと少なくなります。

また、過去の失敗にとらわれて次の挑戦ができなくなっている場合もあるでしょう。対して向上心がある人は挑戦し、失敗や成功を重ねてさらに成長していくことができています。

責任感が薄い

責任感が薄いことも、向上心がない人の特徴の1つ。たとえば与えられたタスクをこなしているとしても、なにかトラブルやミスが発生したときにと他人に責任を押し付けることは責任感が薄い一例です。

向上心がないと、物事を受け身で捉えてしまう傾向にあることから、おのずと責任感が薄れてしまいます。

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自己分析をしていない

向上心がない人は、自分の仕事をより良いものにしようという姿勢がないため、自己分析をしません。

また、ビジネスにおいて重要な上司や顧客からの客観的な評価を把握していないため、改善したいという意欲につながらないのです。一方向上心がある人はつねに自分の行動を評価し、まわりからの評価も聞き入れて成長につなげています。

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5.向上心のない人が組織にもたらす悪影響

向上心のない人は、組織にも悪影響をもたらしてしまうもの。具体的にどのような悪影響を与えてしまうのかをみていきます。

チームのモチベーションが下がる

向上心のない人は、ネガティブで消極的な態度や発言をとる傾向にあります。そのような姿勢は上司や部下などの立場にかかわらずチームのメンバーに伝播し、全体のモチベーションを下げてしまう恐れもあります。

とくに、上司や先輩となる立場であるにもかかわらず向上心のない姿勢であれば、部下・後輩への悪影響は大きいものです。

仕事の生産性が下がる

向上心のない人がいる組織では、生産性が下がりやすくなります。向上心がないと、積極性がなく「最低限のことをやっていればいい」「ここまでで十分だ」となりがちです。また、成長意欲が低いため知識や技術の吸収にも時間がかかる傾向にあります。

さらに、チームとしても目標に向かって一致団結することが難しくなり、職場全体の生産性が低下する恐れもあります。積極的な改善案も出てこないため、目標達成や業務上での課題もなかなか改善されないでしょう。

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6.向上心が高いメリット

向上心が高いと、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、自身に対するメリットと組織にとってのメリットをみていきます。

仕事における人間関係をスムーズに構築しやすい

向上心が高いと、前向きな発言や行動が増えるため上司から信頼されやすくなります。またチームになにか課題があれば解決しようと自ら働きかけるため、チーム内でも良好な関係を構築しやすいでしょう。

その結果、仕事が円滑に進められるようになったり、生産性が高まることで組織・自分自身ともに良い成果につながりやすくなったりします。

目標を達成しやすい

向上心があると、自分自身にとってのメリットも大きいもの。向上心がある人は、目標を達成するために何をするべきかを考える習慣が身につくため、つねに目標を意識して行動できます。

逆算して行動するため、仕事やプライベートにおいて目標を達成しやすくなるのです。

人材育成がスムーズに進みやすい

上司の立場から考えると、向上心があるメンバーの育成はスムーズに進みやすいもの。なぜなら向上心があると自主的に課題を見出して行動し、成長していけるからです。

向上心は伝達するものであるため、自分が上司である場合にはまず自分自身が向上心を高く持つことが重要です。

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7.向上心がないデメリット

向上心がないことで、どのようなデメリットが生まれるのでしょう。主な3つのデメリットを確認しましょう。

ネガティブになり生活を楽しめない

向上心がないと、物事に対して主体的に考えたり、行動を取ったりするモチベーションが湧きにくくなります。

その結果、何かトラブルが起きると「なんで自分がこんな目に」とネガティブな思考に陥ってしまうもの。また物事に対して積極的に取り組んでいないため、つねに言われたことをやるだけになり、日々の生活を楽しめなくなってしまいます。

変化についていけない

向上心がないと、変化を恐れるようになり、なるべく現状を維持しようと考えてしまう傾向にあります。ビジネスにおいて、社会情勢の変化、もしくは異動や転勤などの変化はつきもの。

変化に対応するためには前向きさが必要なので、向上心がないと前向きな思考が難しく、変化についていくことを負担に感じてしまいます。

チームや後輩に悪影響が生じる

向上心を持つことは強要されることではありません。しかし向上心がないことによって組織に悪影響を与えてしまう恐れもあります。

前述したように、向上心がない人はネガティブな発言が増えたり、消極的な姿勢をとったりする傾向にあります。

そういった雰囲気は、チームや後輩にも伝播するもの。結果的に仕事の流れが全体的に遅くなり、他社との競争に勝てず、会社として存続するのが厳しくなるといったことにもつながりかねません。

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8.向上心の高め方

「向上心がない」人は、一時的に失っているか目を背けている状態であるだけで、本来は誰もが持ち得るものです。向上心を高めたい場合、どのようにモチベーションを高めていけばよいかをお伝えします。

10年後の自分の姿を想像する

10年後の自分を想像すると、危機感や焦りが生まれ、向上心を引き出しやすくなります。10年後に「自分はこうなっていたい」「反対に、こうはなりたくない」など、会社での立ち位置や年収、結婚・出産などのライフスタイルにおける目標の姿をイメージしてみましょう。

そうすると、日々の過ごし方に疑問や危機感が生まれ、自ずと向上心を引き出せます。

目標を決める

向上心を高めるためには、目指すべき目標を明確にするとよいでしょう。たとえば10年後の自分の姿から、「年収を〇〇万円まで上げる」といった目標、もしくはチームの売り上げ目標や業務上の個人目標などが一例です。

目標について上司と部下で話し合う場合は「なぜこの目標に取り組むのか」といった共通認識が取れているかしっかり確認しましょう。育成においては、目標設定の自由度を広げることでメンバーの自主性を高められます。

自分を客観的に分析し評価する

ありのままに自分を「評価」してみることでも向上心を引き出せます。自分を評価するためには、上司からの期待値と自分が出した実際の成果などを書き出してみるのをオススメします。

客観的に分析し評価することで自分の伸び代に意識が向き、次に自分がやるべき行動が明確になります。部下や後輩の向上心を高めたいという場合は、フィードバックの機会を作って行動を褒める、次のステップを明確にすることを意識してみましょう。

小さなことから挑戦してみる

向上心を高めるには、成功体験や失敗からの立ち直りの経験が大切です。その際、いきなり大きな目標に取り組む必要はありません。

成功や失敗を何度も経験し、学んでいく姿勢が重要であるため、ミーティングで発言してみるなど、まずは小さなことから挑戦し成功体験を積み重ねていきましょう。

そのためにも、チームでは小さな挑戦がしやすいような環境づくりが必要です。

前向きな質問を投げかける

向上心がある人は、つねに前向きです。しかし、「ポジティブになろう!」と意気込んだからと実際に前向きになることは難しいもの。

そんなときは、前向きな質問を自分に投げかけると、受け身の姿勢から主体的な姿勢に切り替えることで向上心を高められます。

たとえば普段「面倒だ」「どうせ上手くいかない」と考えている場合、どうしたら楽しくなるだろうか?」「成功させるには何ができるか?」などと自分自身に問いかけてみましょう。

また、部下やチームメンバーとの会話では、普段からポジティブな言葉を使うと前向きな姿勢が伝播していきます。