正社員とパートタイム労働者の「均等待遇」はしばしば問題となっており、人材確保の面からも早急に改善したい課題の1つといえます。そこで、人事が知っておきたいパートタイム労働者の対象と、賃金格差の原因について紹介します。
「均等待遇」とは?
均等待遇とは、同じ仕事をしている労働者に対して、給与や労働条件を均等にすることです。たとえば、正社員と短時間勤務を行うパートタイム労働者が同じ仕事に就いているのに、パートタイム労働者の給与が安いというケースは珍しくありません。また、均等待遇で問題になるのは、給与の金額だけではなく、休暇の日数や交通費の支給などもあげられます。
1993年には「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)」が制定されました。しかし、努力義務であるため、パートタイム労働者の待遇の向上は難しく、日本では賃金格差が広がっているといわれています。
非正規雇用で生計を立てたり、配偶者控除を外れて働く人が増えてきている中で、この賃金格差は大きな問題となってきています。
パートタイム労働者と正社員の違いについて
正社員とパートタイム労働者を考えた時、一番の違いは「労働時間」と「雇用形態」です。パートタイム労働者はフルタイムではなく短時間勤務であったり、勤務日数が少なかったりします。
また、雇用形態も期間を定めない継続雇用ではないケースも多くあります。前述の「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)」では、以下のように対象者を規定しています。
対象である「短時間労働者(パートタイム労働者)」は、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」
厚生労働省「パートタイム労働者とは」(http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1e.html)
つまり、契約社員や準社員など、社員という言葉がついていたとしても、条件にあてはまる労働者は全て「パートタイム」に分類されるのです。
賃金格差が生じる原因とは?
賃金格差が生じてしまう原因は、フルタイム勤務と短時間勤務の差ではなく、業務範囲の差だとされています。パートタイム労働者であっても、業務の補助や定型的な仕事を担当するだけではなく、正社員同様の業務を行う人も多くいます。
そのため人事では、業務の範囲を明確にし、同一の仕事内容の場合には、賃金格差が起こらないように配慮する必要があります。たとえ勤務時間が短かったとしても、2~3倍にもなる賃金格差は、従業員のモチベーションを低下させる原因になってしまいます。
人材の確保が難しいとされている中、パートタイム労働者の採用率は高まってきています。特に首都圏を中心に求人が増えていて、金銭面や勤務時間の待遇も改善されてきています。
そのため、労働条件が悪いと採用が難しくなるばかりではなく、従業員の離職にも繋がる可能性があります。有期契約であっても適正な評価と雇用条件になるよう、企業側が努力をすることで、優秀な人材の流出を防ぐことができます。