創造力とは? 想像力との違い、ある人の特徴、鍛え方を簡単に

創造力とは、一から新しいもの・価値を生み出す能力です。ビジネスにおいて重宝される能力の一つであり、経済産業省が提唱する「社会人基礎力」にも含まれます。

今回は創造力について、ビジネスにおける重要性や創造力がある人の特徴、創造力を鍛える方法などをご紹介します。

1.創造力とは?

創造力とは、まったく新しいものを一から創り出す能力のこと。単に新しいだけのアイデアを生み出すのではなく、社会に価値をもたらす力といえます。ビジネスで重要とされている能力の一つであり、創造力をもって常識にとらわれない方法で課題を解決し、現状よりも高い成果を生み出すことが求められます。

創造力は経済産業省が提示する「社会人基礎力」の一つでもあり、「前に踏み出す力」「考え抜く力」、「チームで働く力」のうち、「考え抜く力」に含まれます。

なお、社会人基礎力とは、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として2006年に経済産業省が提唱したものです。

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2.創造力と想像力の違い

創造力と想像力は同音異義語です。想像力とは、実際に存在しない、見たり触ったりできないものをイメージする力です。一方、創造力はモノや価値を創り出すことであり、イノベーションを生み出すために必要な能力といえます。

「こんな商品・サービスがあったらいいな」と空想することが想像力であり、それを実際に形にして、世の中に新たな価値をもたらすことが創造力です。

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3.なぜ創造力がビジネスで必要なのか?

社会人基礎力にも含まれ、ビジネスにおいて重要とされる創造力。なぜ想像力がビジネスで必要なのかを5つの理由から解説します。

基礎的なスキルとして求められるため

創造力は、ビジネスにおける基礎的なスキルとして求められます。特定の業界や職種に限らず、どの仕事にも必要になることからも経済産業省が提唱する「社会人基礎力」に含まれます。

社会人基礎力のなかで、創造力は「考え抜く力」の一つとして「課題発見力」や「計画力」と並んで必要とされるスキルです。

チームワークを向上させるため

創造力は、チームワークを向上させるためにも役立つものです。チームが目標を達成するには、チームメンバーが協働する必要があります。

創造力を持って仕事に向き合うことで、生産性や成果物の品質が向上し、良い職場環境が構築されることで良好な人間関係も形成されます。さらなる成果向上を目指してお互いに協力する意欲が生まれる結果、チームワークの向上につながるのです。

社会の変化に適応するため

創造力があることで、社会の変化にも適応できるようになります。VUCA時代と呼ばれる現代では、社会の価値観が絶えず急速に変化しています。そうした中で市場のニーズも多様化・複雑化し、競合も日々増加し続けているのです。

このような社会の中で個人・企業として存続していくためには、想像力を発揮し、新しい価値を生み出し続けて選ばれる存在になることが必要になります。

生産性を向上させるため

創造力は、生産性を向上させるためにも必要な能力です。少子高齢化の進む日本では、労働人口の減少に伴う人手不足が深刻化しています。

生産性を向上させるには、これまでの仕事の手順や仕組みを見直すことも必要であり、効率化を図るための業務改善には創造力が不可欠です。働き方やビジネスの仕組みを根本から変えるイノベーションにより、大きな改善が見込めるでしょう。

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AIに置き換えられにくいスキルであるため

創造性や意思決定力は、AIに代替できないスキルとされています。すでに多くの仕事がAIで代用され始めているなか、社会に求められるのは意思決定や判断、創造性に関わるヒトにしかできない仕事です。

AIを活用しつつ新たな価値を生み出していくためには、創造力を身につける必要があります。

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4.創造力がある人の特徴

創造力がある人とは、具体的にどのような人なのでしょうか。下記で、創造力がある人にみられる5つの特徴をみていきます。

知的好奇心が旺盛

創造力がある人は物事への興味関心が高く、とくに知的好奇心が旺盛です。さまざまな分野から情報を収集しているため、知識やアイデアの引き出しが豊富です。

自分のなかに蓄積された知識やアイデアを日々の業務でも生かし、新しい課題や疑問を発見したら改善に向けて自分なりの方法を試したりする姿勢が見られます。

オープンマインドである

ひとつの考えに固執せず、オープンマインドであることも創造力がある人の特徴です。知的好奇心が旺盛な点も相まって、他人の意見を聞くことを楽しみ、自分と違う意見も受け入れることができます。

変化にも柔軟で、新しい業務ツールの導入や新規プロジェクトへの参加にも前向きであり、その中で新たな視点や知識、経験を得ようとします。そうした姿勢が創造力を形成し、新たな価値を生み出すことにつながるのです。

物事を客観的に見ることができる

創造力がある人は、物事を客観的に見ることができます。目の前にある課題や物事をさまざまな角度から客観的に分析できるため、新しい解決策やアイデアを導きやすいのです。

また、自分のアイデアも客観的に見直し、さらにブラッシュアップして創造力につなげていきます。

積極的に行動できる

新しいことに対して前向きであるため、積極的に行動できます。目標を達成するために新しい方法を試したり、発見した課題について自らリサーチして解決しようと試みたりします。

自分のアイデアを実行したときにどのような結果が出るか試してみたいという一種の好奇心が、創造力を形成・発揮する原動力になるのです。

チャレンジを繰り返している

失敗を恐れるよりも、多くのチャレンジを繰り返していく傾向にあります。行動した結果、万が一うまくいかなかった場合も次のチャレンジに向けて、クリエイティブな改善策を生み出し、実行する力があります。失敗を恐れない姿勢が多くの経験をもたらし、創造力を形成する要素として積み重なっていくのです。

反対に、チャレンジを恐れることはイノベーションの妨げとなります。

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5.創造力を養うメリット

創造力を養うことは、ビジネススキルの向上、ビジネスパーソンとしての価値向上につながります。創造力を養うメリットを具体的にみていきます。

問題解決能力が高まる

創造力を養うと物事をさまざまな角度から見る力がつくため、問題解決力が高まります。なぜなら、物事を柔軟にとらえられるようになると、問題の原因や解決方法を導きやすくなるからです。

創造力が足りないと新たな視点から対応できず、日々起こる新しい問題に迅速に対処しにくくなります。

新しい価値を生み出せる

創造力を養うと既存のアイデアを掛け合わせたり、自分の持っている知識やスキルを活かしたりして、新たな市場価値を生み出せる可能性が高まります。

モノにあふれ、AI活用が進む現代において、新たな価値を生み出す人材の必要性が高まっています。商品やサービスの開発に限らず、仕事の取り組み方や業務改善においても創造力が大いに発揮できるでしょう。

人間関係を良好にする

創造力は、良好な人間関係の構築にも役立ちます。創造力を持って仕事に取り組むと、生産性や品質が高まりやすくなります。質の高い仕事ができると仕事に対して意義ややりがいを感じやすく、良好なチーム状態を保ちやすくなるのです。

結果、お互いに協力しようという姿が生まれ、良好な人間関係が構築されます。

キャリアアップにつながる

キャリアアップのためには専門知識などのハードスキルだけでなく、創造力なども含めたソフトスキルも必要になります。創造力は社会人基礎力に設定されていることからもわかるように、どの部署・役職においても発揮できるポータブルスキルの一つです。

創造力を養う過程でさまざまな知識やノウハウが吸収でき、問題解決力なども鍛えられます。

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6.創造力を鍛える・身につける方法

創造力は、後天的に習得・高められる能力です。ここでは、創造力を鍛える・身につける方法をご紹介します。

インプット・アウトプットを増やす

インプットとストプットを増やすことで、創造力の源となる知識が蓄えられます。インプットは読書など体系的に行うだけでなく、普段あまり話さない人と積極的に会話することも有効です。新たな視点や思考を知ることができ、創造力として蓄積されます。

アウトプットではインプットしたことをメモに書き出すほか、人に話すことがおすすめです。

前提を疑うトレーニングをする

前提を疑うトレーニングは、創造力を鍛えるのに効果的です。前提を疑うことで既存の常識や固定観念に捉われず、新しい視点から物事を見られるようになります。

考えるトレーニングとして、クリティカルシンキングやロジカルシンキングなどのメゾット、5W1Hといったフレームワークも活用できます。

新しいことを試す

新しいことを試し、自分が今まで見なかった枠外の世界に触れることでも創造力が鍛えられます。身近な例でいえば、いつもとは違う道を歩いてみる、普段は読まないジャンルの本を手に取ってみるといったことが挙げられます。

また、他者との協働で新たな発見を得られることもあるため、他者に意見や協力を求めてみるのもよいでしょう。

なぜ?を繰り返す癖をつける

物事に対して「なぜ?」を繰り返すことであらゆる視点から解釈する力がつき、創造力が鍛えられます。創造力を発揮するには、前提として深い思考が必要です。

日常で起こる事象に対し、「なぜ?」を掘り下げていくことで物事を深く掘り下げて考える癖をつけてみましょう。

仮説思考を鍛える

仮説を立てることは、さまざまなパターンを検証する思考のトレーニングになり、創造力を鍛えるのに有効です。

仮説思考とは、効率的に問題解決するための思考法です。「仮説→検証」のサイクルを数多く繰り返すことでアイデアの引き出しが増え、創造力の強化につながります。

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7.創造力を発揮するため工夫する

創造力を発揮するため、以下のような工夫を取り入れてみることもポイントです。

肯定的に考える/受け止める

自由に思考し、恐れずに発言できる環境が創造力を引き出すため、創造力を発揮するには周囲が肯定的に考え、受け止める環境が大切です。1人で考える場合、会議など人前で話す場も、自分のアイデアをネガティブに評価する必要はありません。

創造力は、自分のアイデアに自信を持つことで促進されるものです。誰かのアイデアを聞くと時も同様に、肯定的に受け止めることを意識しましょう。

日常で感性を磨く

日常で感性を磨くことも、創造力を高めるために有効です。いつもと同じ日常を繰り返すだけでは感性を磨きづらいため、外からの刺激が必要です。

いつもとは違ったコミュニティに参加してみる、行ったことのない場所に行ってみる、通勤中に街並みを観察して新しい発見をするなど、日常の中でも感性を磨く工夫はできます。新しい体験や発見を通して、創造力を引き出すきっかけをつくってみましょう。

環境を変えてみる

環境を変えることも、創造力の発揮に役立ちます。職場環境は、創造力を発揮できるかどうかに影響するといわれています。

可能であれば、いつものデスクとは違う開放的なエリアで仕事してみる、PCではなくホワイトボードにアイデアを書き出してみるなど、いつもと違った環境に身を置くことで、新たな視点や思考が得られる可能性が高まります。

リーダーや経営陣は、従業員の創造力発揮・向上のためにも、職場環境の改善を検討してみましょう。

十分な休息を取る

十分な休息を取ることも創造力の発揮に重要な要素です。ドイツのリューベック大学神経内分泌学部の研究では、8時間以上の睡眠で創造力が高まることがわかりました。また別の研究では、10分間の昼寝でも注意力が上がるといった究結果があります。

睡眠の質と時間は創造力の発揮に非常に重要であり、十分な時間と質の睡眠を確保できると創造力が発揮しやすくなるでしょう。

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8.創造力を活かす仕事の具体例

創造力は、特定の職業ではなくどの仕事にも必要とされるスキルです。創造力が仕事でどのように活かされるのかを3つの仕事から詳しくご紹介します。

業務改善・効率化

業務改善とは、すでにある工程や作業を時代や社会状況の変化にあわせて改善し、より良い状態にすることです。企業全体で取り組む場合もありますが、個々の業務プロセスを見直してムダをなくすなど、個人で取り組めることも多くあります。

業務改善・効率化における課題は企業によってさまざまであり、今までとは違う新たな視点が求められる点で創造力が必要な領域です。

施策立案

施策の立案は、創造力が生かしやすい仕事です。施策はあらゆる部署で行われるものであり、目標や解決したい課題がある場合に必要です。

立案に携わるチャンスが少ない場合には、自ら考案して提案するのもよいでしょう。施策立案では過去事例や他社事例を参考にすることもできるものの、自社に合わせた方法を立案するには創造力を発揮すべきです。

企画/プレゼンテーション

クライアントに提案するための企画や社内イベントの企画などでも、創造力を活かすことができます。創造力とそれを実行する企画力が作用することで、今までにない価値を持った企画を生み出せるでしょう。

創造力には企画のアイデア自体を生み出すだけでなく、「未来に向けた創造が起こる」ことを目的とした「創造プレゼンテーション」という考え方もあります。