第二創業とは? 手法やメリット、事例、事業承継との関係を解説

第二創業とは、企業の経営刷新を目的として新規事業に参入すること。今回は、第二創業の概要と、事業継承の種類について解説します。

1.第二創業とは?

第二創業とは、企業が新しい事業や分野に進出し、経営を更新することを指す言葉です。法人格を次の後継者に引き継ぐ「事業継承」の1つであり、M&Aや株式譲渡も第二創業に該当します。大企業よりも中小企業がよく実施し、経営者の交代時に行われることも少なくありません。

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2.第二創業を行う理由

第二創業は、事業の飛躍をもたらすために実施される一方で、何らかの理由で廃業や倒産の危機を迎えている企業を再建する目的で行われることもあります。こちらでは、危機的経営状態にある中小企業が第二創業を選ぶ理由を解説します。

経営者の高齢化と後継者不足

高齢化が進む企業の多くは事業が衰退し、後継者不足で苦しんでいるところも少なくありません。後継者不足という状況下で次の一手を打つ体力や方法がなく、廃業や倒産が迫っている企業が国内では多いのです。

現状維持でも経営状態はジリ貧で衰退します。しかし、第二創業を実施することで組織変革を促せる可能性もあります。

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自社の立て直し

創業から長く経過した企業は衰退期に入ることも多く、業績が悪化し続けることも珍しくありません。企業には「導入期・成長期・成熟期・衰退期」のライフサイクルが存在し、高齢化が進んでいる歴史ある企業は、成熟期や衰退期に突入している可能性があります。

そのため、第二創業によって新しい事業へ参入し、自社を立て直そうと画策するのです。

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3.第二創業のメリット

既存事業で実績を上げている企業が第二創業を行う場合、新規創業と比べて3つのメリットが得られます。こちらでは、そのメリットについて解説します。

既存の経営基盤が利用可能

第二創業は、既存の事業基盤を活用できるため、失敗しにくいのは大きな利点です。既存事業には顧客や人材が一定数存在し、これを利用することで新たな事業に生かして好調なスタートアップを図れます。

資金調達が有利

第二創業では過去の事業実績を引き継ぐため、金融機関からの信用が厚く、資金調達が容易です。新しい事業の経営基盤を構築する際に、ゼロから資金を調達するよりも有利な点は、大きなメリットといえます。

成長による企業価値の向上

新事業や新分野への挑戦は、既存事業の行き詰まりを打破し、自社を成長させるきっかけとなりえる。自ら破壊的イノベーションを起こすことで、組織変革を促すのです。新事業が成功すれば企業価値が向上し、顧客や資金の獲得がより容易となります。

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4.第二創業のデメリット

第二創業は企業の経営刷新を起こすため、メリットだけでなくデメリットも少なくありません。こちらでは、第二創業によって引き起こされるデメリットについて解説します。

社内の批判的な意見

経営陣が新事業で会社を立て直したいと思っても、全従業員が賛成するとは限りません。なかには現状維持思考の従業員や反発意見も発生するものです。そのため第二創業においては一方的な押しつけではなく、既存社員との交渉が必要です。

なぜ第二創業を実施するのか、新事業の理由や意図を説明し、理解を得られるよう努めましょう。

意思決定や行動の柔軟性が低下する恐れ

既存の事業慣習に固執し縛られると、ときとして柔軟な行動が制限される可能性があります。関連事業ならまだしも、多角化戦略のようなまったく畑の違う分野だと、事業の回し方も大幅に変更しなければなりません。第二創業では、従業員の理解を得ながら、根気よく取り組むことが重要です。

人材確保が困難

新たな市場への挑戦では、専門性の高い新人材の採用も欠かせません。既存の従業員だけで新たな市場へ参入するのはリスクが高いため、市場に精通した人材は必須といえます。

ただし、昨今の人材市場の競争は激しく、専門性の高い人材確保が難しい状況なのが現実です。人材の早期離職を防ぐためには、組織内の人間関係にも注意を払う必要があります。

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5.第二創業の手法

第二創業には「事業承継」と「M&A」という2つの方法があります。どちらを選ぶにしても、会社の未来に大きな影響を与える重要な決定といえるため、判断は慎重に行わなければなりません。

事業承継とM&Aの特徴や違いを事前に理解しておくことが成否において重要なため、以下にて詳細を解説します。

事業承継

こちらでは、第二創業の方法の一つである「事業承継」について説明します。事業承継は自社を後継者に引き継ぐことであり、方法は「親族内事業承継」と「社内事業承継」の2パターンです。ここではその2パターンについて紹介します。

親族内事業承継

経営者の家族や親戚に事業を引き継ぐ方法です。国内企業においては親族内事業承継を用いる企業は多く、自身の子どもや子どもの配偶者に事業を承継するといったケースは珍しくありません。

親族内事業承継の実現においては親族間で揉める事態も起こり得るため、遺言書作成や事前の指名など、各種手続きを早めに行っておくことが重要です。

社内事業承継

企業内の従業員や役員から後継者を選び、事業を引き継ぐ方法を指します。この方法は親族内事業承継より従業員から後継者への理解が得やすく、信頼関係があれば従業員も後継者についていく傾向にあります。

また、後継者も既存事業に精通しているため、経営方針が一貫しており、顧客にも好印象です。

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M&A

M&Aとは、「Mergersd & Acquisitions」の略称で、企業の合併や買収のこと。後継者問題を抱える中小企業が選ぶ手段の一つとして、関連会社とM&Aを実施するのも候補に挙げられます。

この方法は、既存の取引先関係や従業員の雇用を維持しながら事業を発展させられるため、生き残りの戦略としても効果的です。こちらでは、M&Aの具体的な手法の特徴について解説します。

株式譲渡

企業の経営権を売却する取引方法で、売り手は株主として金銭を受け取り、買い手は企業の経営権を獲得します。企業の規模拡大や事業継承に利用され、手続きが簡易なため中小企業のM&Aでよく使われる手法です。

株式交換

対象会社の全株式を親会社が取得し、対象会社が完全子会社となる手法のこと。通常は親会社の株式を対象会社の株主に渡しますが、三角株式交換(株式交換の対価に完全親会社ではなく親会社の株式を受け取ること)や現金支払いも可能とされています。

事業譲渡

会社のすべてまたは一部の事業を他の会社に譲渡することです。譲渡内容は契約で選択でき、資産や負債も選別できます。事業譲渡では債権者や従業員の同意も必要で、不動産を含む場合は登記手続きも必要です。

合併

複数の会社を統合してひとつにする方法で、譲受企業に消滅する譲渡企業の権利義務が引き継がれます。多くは2社または3社以上で行われ、手法には「吸収合併」と「新設合併」の2パターンがあり、吸収合併が一般的に採用されます。

会社分割

会社の一部またはすべての事業を切り離して別会社に移す方法です。多くは第三者が事業を継承し企業再編を行います。移転先の会社には、対象事業の義務や権利が引き継がれます。

第三者割当増資

会社が資金を調達する手法の一つです。株主であるか否かに関わらず、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与えます。

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6.第二創業を成功させるためのポイント

第二創業の成功の鍵は、自社の資産や経験を最大限に活用することです。こちらでは、第二創業を成功させるために抑えておくべきポイントについて解説します。

事業基盤を生かした事業計画

第二創業において、メリットである既存事業の基盤は、最大限活用する必要があります。まったく新しい市場に移る場合は既存事業の基盤が通用しない可能性もあるため、既存の事業をベースに新しい事業計画を立てることが重要です。

経験のない新規事業への急な転換はリスクが高いため、経営の立て直しを図るなら避けたほうが無難です。

経営理念の引き継ぎ

第二創業で事業継承を選択する場合、後継者が経営理念を無視する傾向にあります。経営理念は会社の根幹であり、継承時に無視されると経営方針が曖昧になり衰退のリスクが高まります。経営理念も既存事業の基盤であるため、変えずに引き継ぐことが重要です。

しかし、時代やニーズに合わせて定期的に見直す必要があります。

補助金を活用して資金調達

起業には多額の資金が必要で、特に中小企業は融資難に直面する場合も珍しくありません。前の看板の信用力で融資を受けられないなら、資金や担保不足という課題に対応するため設けられた「創業促進補助金」という公的資金の活用が成功のポイントです。

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7.第二創業の企業事例

こちらでは、第二創業の困難を克服し、成功した企業のケースを紹介します。各企業の第二創業内容を具体的に解説するため、ケーススタディとしてご活用ください。

アパグループ

アパグループは全国的に知名度があるビジネスホテルチェーンの大手企業です。創業者の元谷一族は、もともと木工製作所やアパート経営事業を営んでいました。

元谷外志雄(もとやとしお)氏の代でホテル事業を開始し、今や全国に700以上のホテルを運営する大グループにまで成長しています。

2022年4月、元谷外志雄氏はCEOの地位を長子の元谷一志(もとやいっし)氏に事業継承しました。もともと元谷一志氏は1999年にアパホテルの常務取締役として入社しており、そのなかでOJTを始めとした人材育成に力をいれ、不揃いな人材でも成長できる体制を構築しました。

株式会社エアウィーヴ

総合寝具メーカーである株式会社エアウィーヴの社長の高岡本州(たかおかもとくに)氏は、名古屋大学工学部で応用物理学を学び、父親が経営する日本高圧電気に入社しました。

その後、叔父の経営する中部化学機械製作所へ入社しましたが、当時の会社に将来性はなかったといいます。

高岡氏は弾力性の高い樹脂をマットレス材に使うというアイデアを創出し、エアウィーヴを開発し販売を開始しました。結果として、エアウィーヴは国内トップシェアを誇る大ヒット商品となったのです。