営業成績は、ビジネスの成功に直結する重要な指標です。しかし、成績が思うように上がらないと悩む営業担当者も少なくありません。
そこで、この記事では、営業成績が悪くなる原因を分析し、営業成績を向上させるための具体的な方法について詳しく解説します。また、営業成績がいい人の特徴を知ることで、営業成績を向上させるヒントもお伝えします。
1.営業成績が悪くなる原因とは?
営業成績が上がらない理由にはどのようなものがあるでしょうか? ここでは営業成績が悪くなる理由を10個紹介します。
- ターゲット顧客が明確でない
- 顧客ニーズが把握できていない
- 顧客に最適な提案ができていない
- 商談後のフォローアップが不足している
- 決裁者やキーマンとの関係を構築できていない
- 商品知識が不足している
- 基本的な営業スキルが不足している
- 教育体制が整っていない
- 目標達成までのステップや次に取るべき行動が明確でない
- 目標に向けた進行状況の共有が不足している
ターゲット顧客が明確でない
ターゲットが曖昧だと、効果的な営業活動ができません。具体的には、自社の製品やサービスに最適な顧客層(エリア、業種、企業規模など)にアプローチできず、時間と労力を無駄にしてしまいます。
まずは、以下の要素をふまえながら、ターゲットを絞り込むことが重要です。
- 企業属性(企業規模、業種、取扱い品目、創業年数、売上、業績)
- 地域属性(商圏、本社所在地、国内/国外)
- 購買動機(問題意識、理想、ニーズ/ウォンツ、企業文化/風土)
- 関係性(新規顧客、既存顧客)
顧客ニーズが把握できていない
顧客のニーズを正確に把握することは、成功する営業活動の基本です。十分なヒアリングを行わずに提案を進めると、顧客の真のニーズとずれた提案になってしまい、成約に結びつきにくくなります。
顧客の課題や要望を丁寧に聞き取り、適切な解決策を提示することが重要です。
顧客に最適な提案ができていない
顧客のニーズを把握できていても、それに合わせた最適な提案ができなければ成果は上がりません。
単に製品の特徴を列挙するだけでなく、顧客の課題解決にどのように役立つかを具体的に説明することが大切です。たとえば「この機能を使うことで、○○の作業時間が△△%削減できます」など、数字や事例を交えた説得力のある提案を心がける必要があります。
商談後のフォローアップが不足している
商談後のフォローアップは、成約率を高めるうえで非常に重要です。商談直後のお礼メールだけでなく、定期的に顧客とコンタクトを取り、信頼関係を築きます。
商談で出た質問や懸念点に対する追加情報、解決策の提示を行うことで、悩まれている顧客の成約につなげることができます。
決裁者やキーマンとの関係を構築できていない
決裁者やキーマンと良好な関係を築ければ、営業成績が向上する可能性があります。これらの人物との関係がなければ、商談がスムーズに進んでも提案が最終決定者まで届かず、成約に至らない可能性が高くなります。
まずは、ヒアリングの段階で、担当者に意思決定権があるか確認しましょう。もし決定権がない場合は、商談に決裁者やキーマンが同席できるよう交渉してください。
決裁者やキーマンの視点や懸念点を理解し、それに応える提案を行うことで案件の成約確率が高まります。
商品知識が不足している
自社の商品やサービスについて十分な理解がないと、顧客からの質問に適切に答えられず、信頼を失ってしまいます。商品の特徴や利点、競合他社との違いなどを深く理解することで、顧客に対して説得力のある説明ができ、成約率の向上につながります。
また、顧客がその商品やサービスを使うとどのようなメリットがあるのかを伝えることで、顧客の商品への理解を深められます。
基本的な営業スキルが不足している
基本的な営業スキル(傾聴力、質問力、コミュニケーション能力、プレゼンテーション力、交渉力など)の不足は、営業成績の低下につながります。
これらのスキルは経験を積むことで向上するものの、先輩社員からのアドバイスをもらうことや、研修や自己学習を通じて積極的に磨いていくことも大切です。
教育体制が整っていない
効果的な教育体制がないと、営業スキルの向上や新しい知識の習得が難しくなります。特に新人や経験の浅い営業担当者にとっては、適切な指導や研修が不可欠です。
新人研修、商品知識研修、スキルアップ研修など、体系的な教育プログラムを整備し、継続的なスキルアップの機会を提供することが重要です。また、経験豊富な先輩社員が新人をサポートする仕組みを作り、定期的なフィードバックを行うことも効果的です。
目標達成までのステップや次に取るべき行動が明確でない
営業活動において、目標達成までの道のりが不明確だと効率的に成果を上げることは難しいです。
とくに商談後に次に何をすべきかがわからない状態を避けることが重要です。商談のプロセスを具体的に設定し、各段階での目標や次のアクションを明確にすることで、顧客への適切なフォローが可能になり、成約の確率が高まります。
さらに、各段階での進捗を確認することで、どの時点でどの程度進んでいるかを把握しやすくなり、適切なタイミングで軌道修正や改善ができます。これにより、目標達成に向けた戦略を柔軟に調整できます。
目標に向けた進行状況の共有が不足している
チーム内で目標達成に向けた進捗状況を共有することは、個人やチーム全体の成績向上につながります。なぜなら、定期的にチームメンバー間で進捗状況や成功・失敗事例を共有することで、より確度の高い営業活動を行うことが可能になるからです。
また、目標達成までの道のりを共有することで、一体感が生まれやすくなり、チーム内での協力も得やすくなります。
2.営業成績がいい人の特徴
営業成績がいい人には、以下の6つの特徴があります。それぞれの特徴について詳しく説明していきます。
- 顧客への熱意がある
- 優れたコミュニケーション能力
- 商品知識と提案力が高い
- 粘り強さと目標達成への意欲
- 報連相を徹底している
- チーム連携ができる
顧客への熱意がある
優秀な営業職は、顧客に対して強い熱意を持っています。単に商品を売ることだけでなく、顧客の課題解決や成功に真剣に取り組む姿勢があります。顧客のニーズを深く理解し、最適なソリューションを提供しようとする姿勢が、高い成約率につながります。
熱意を示す具体的な行動としては、迅速な対応、細やかなフォローアップ、顧客の業界や企業についての深い理解などが挙げられます。
優れたコミュニケーション能力
優秀な営業職は、高いコミュニケーション能力を持っています。これは単に話が上手いということではなく、相手の話をよく聞き、真のニーズを把握し、適切な提案ができるよう、相手の立場に立って考えることです。
また、表情やジェスチャーなどの非言語コミュニケーションも巧みに活用し、信頼関係を構築します。
商品知識と提案力が高い
優れた営業職は、自社の商品やサービスについて深い知識を持っています。さらに、業界全体の動向や競合他社の情報にも精通しています。
この豊富な知識を基に、顧客の状況に合わせた的確な提案ができます。単なる商品説明ではなく、顧客の課題解決につながる具体的で実現可能な提案力が、高い成約率につながります。
粘り強さと目標達成への意欲
成功する営業職は、高い目標達成意欲と粘り強さを持っています。営業活動では断られることも多いですが、それにめげずに前向きに取り組む姿勢が重要です。
断られても諦めずに別のアプローチを試みる、長期的な視点で顧客との関係を構築するなど、困難な状況でも諦めずに粘り強く取り組む姿勢が、最終的な成功につながります。
また、目標や期限を明確に設定し、その達成に向けて計画的に行動します。目標を可視化し、小さな成功の積み重ねをすることで、営業成績を向上させられるでしょう。
報連相を徹底している
成績の良い営業職は、報告・連絡・相談(報連相)を徹底しています。上司や同僚と情報を共有することで、問題の早期発見や迅速な対応が可能になります。また、顧客との関係においても、適切な報連相が信頼獲得につながります。
チーム連携ができる
優秀な営業職は、個人の成績だけでなく、チーム全体の成功を重視します。同僚と情報や経験を共有し、互いに協力し合うことで、組織全体の営業力を高めます。
また、営業以外の部門(マーケティング部門、カスタマーサポート部門など)とも良好な関係を築き、顧客に対して総合的なサービスを提供できるよう努めます。
3.営業成績を上げる方法
実際に営業成績を上げるためにはどのような方法があるのでしょうか?ここでは、営業成績を上げるための6つの方法について、詳しく紹介します。
- 目標を明確にする
- 顧客に合わせて表現や提案内容を調整する
- 相手の期待以上を目指す
- 顧客との接触回数を増やす
- 決裁者(キーマン)に直接会う
- 上司や成績優秀な同僚から助言をもらう
目標を明確にする
営業目標は、方向性やゴールを明確にするために重要です。営業目標を立てると、「やらなければならないこと」ととらえてしまう営業職もいるかもしれません。
しかし、営業目標の本質は「どうすれば達成できるか」を考えること。明確な目標を設定することで、達成するための方法を自分で考えることができ、工夫しながら改善を続けることが可能です。
また、自分のやるべきタスクが見えてくるので、仕事へのモチベーションも自然に向上します。
SMART(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性がある、Time-bound:期限がある)な目標を立てることがポイントです。また、短期目標と長期目標のバランスを考え、目標を細分化して進捗管理しましょう。
SMARTの法則とは? 目標設定の重要性、目標の立て方、具体例について
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顧客に合わせて表現や提案内容を調整する
顧客によって知識レベルや関心事、決定基準は異なります。そのため、同じ商品やサービスでも、顧客に合わせて説明の仕方や提案内容を調整する必要があります。
たとえば、技術に詳しい顧客には専門的な説明を、経営者には投資対効果を重視した説明をするなど、相手に合わせたコミュニケーションを心がけましょう。
相手の期待以上を目指す
顧客の期待を上回るサービスを提供することで、顧客の満足度が高まり「この企業は信頼できる」と感じさせることができます。期待以上の成果を何度も提供することで、企業に対する信頼が蓄積されます。
たとえば、納期を前倒しする、追加のサポートを提供する、予想外の問題に迅速に対応するなどして、「プラスアルファ」の価値を提供することを心がけましょう。また、顧客の潜在的なニーズを先回りして対応することも重要です。
信頼関係が深まることで、リピート注文や紹介につながる可能性が高まります。
顧客との接触回数を増やす
顧客との接触頻度を高めることで、顧客との信頼関係が構築され、ニーズの把握や商談の機会が増えます。定期的な訪問や電話、メール、SNSなどでフォローアップを行い、顧客の状況変化やニーズの変化をタイムリーに把握しましょう。
ただし、単なる営業目的の接触ではなく、有益な情報提供や問題解決のサポートなど、顧客にとって価値のある接触を心がけることが重要です。
決裁者(キーマン)に直接会う
商談を成功させるためには、決定権を持つ人物と直接コミュニケーションを取ることが重要です。担当者としっかりと信頼関係を築いた後で、決裁者に挨拶だけでもさせてほしいと面会をお願いしてみましょう。
上司や成績優秀な同僚から助言をもらう
一人で悩むのではなく、上司や成績優秀な同僚からアドバイスを求めることも効果的です。彼らの経験や知識を活用することで、自分では気づかなかった改善点や新しいアプローチ方法を見つけられる可能性があります。
フィードバックをもらったら、建設的に受け止める姿勢が大切です。
4. 営業成績を上げるために必要なスキル
営業成績を上げるためには、成績の良い営業マンから学ぶことが大切です。ここでは、営業成績が高いトップ営業マンに共通する8つのスキルについて説明します。
- 顧客から好かれる人間力
- コミュニケーション力
- ヒアリング力
- 論理的思考力
- 体力・精神力
- クロージング能力
- 結果にこだわる能力
- 人の心を動かす心理学テクニック
顧客から好かれる人間力
人間力は営業の基礎となる重要な能力です。誠実さ、礼儀正しさ、親しみやすさなど、顧客と良好な関係を築くために必要な要素が含まれます。いくらプレゼンが上手でも、人として信頼されなければ、顧客は商品を購入しません。
一方で、プレゼンが上手でなくても、人間力が高ければ顧客に信頼され、関係を続けることができます。
人間力はもともとの性格にも影響されるため、短期間で身につけるのは難しいものの、相手の話を真剣に聞く、約束を守る、相手の立場を理解して共感する、指摘を真摯に受け入れ改善するなど、日々の営業活動で実践することで人間力を高められます。
コミュニケーション力
コミュニケーション力は、顧客と良好な関係を築くために必要です。相手の話をよく聞き、適切に応答する能力が求められます。
また、自分の考えを明確に伝える力も重要です。コミュニケーションには、言語的コミュニケーション(話し方、聞き方)と非言語的コミュニケーション(表情、姿勢、声のトーンなど)があります。
非言語コミュニケーションにも注意を払い、相手に好印象を与えることが大切です。
ヒアリング力
ヒアリング力は、顧客のニーズや課題を正確に把握するために不可欠です。単に聞くだけでなく、適切な質問を投げかけ、相手の課題やニーズ、予算、今後の計画などを聞き取る能力が求められます。
傾聴する姿勢を示しつつ、ヒアリングした情報を整理し、的確な提案につなげることが重要です
論理的思考力
論理的思考力は、顧客の課題を分析し、適切な解決策を提案するために必要です。情報を整理し、因果関係を理解し、合理的な結論を導き出す能力が求められます。また、複雑な情報をわかりやすく説明する力も重要です。
「MECE(漏れなくダブりなく)」や「ロジックツリー」など、論理的思考のフレームワークを活用することが効果的です。
体力・精神力
営業活動は肉体的にも精神的にも負荷がかかる仕事です。長時間の移動や立ち仕事、断られることへの耐性など、体力と精神力が必要です。自己管理能力を高め、ストレス解消法を見つけましょう。
また、長期的に高いパフォーマンスを維持するためには、仕事とプライベートのバランスを取ることも大切です。
クロージング能力
クロージング能力は、商談を成約に結びつける力です。お客様は強引にぐいぐいクロージングされるのを嫌がります。タイミングを見極め、適切なタイミングで決断を促す能力が求められます。
まずは、顧客の現在の意思や状況を確認するために、「今気になっているプランはAとBだとどちらですか?」「契約いただけるなら、いつごろになりそうでしょうか?」など答えやすい質問をしてみましょう。反論への対処法を用意しておくことも大切です。
「検討します」で終わらせないように、次回は決裁者と面会する約束を取りつけるなど、契約につながる機会を作りながら商談を締めくくります。
結果にこだわる能力
結果にこだわる人は、常に目標達成への強い意志を持っています。目標を達成するためには、必要な行動を明確にし、着実に実行する力が重要です。ここで大切なのが「逆算思考」です。逆算思考とは、目標から逆算して計画を立てる考え方です。
まず、達成したい売上目標や成約件数などの最終ゴールを設定します。次に、そのゴールに到達するために必要な行動や中間目標を逆算して決めます。
たとえば、月間売上目標が100万円の場合、1件あたりの平均単価や成約率を考慮し、必要な商談件数や新規訪問件数を算出します。これにより、日々の具体的な行動目標が明確になります。
逆算思考を用いることで、漠然と目標を追うのではなく、計画的に営業活動を行うことができるようになります。
人の心を動かす心理学テクニック
心理学のテクニックを活用することで、顧客の心理をより深く理解し、効果的なアプローチを行うことが可能になります。ここでは、営業で使える代表的な心理学テクニックを3つ紹介します。
ミラーリング効果
ミラーリング効果とは、相手の動作や話し方を自然に真似ることで、相手との親和性を高める心理テクニックです。例えば、相手の姿勢や身振り、話すスピードや口調を意識的に合わせることで、無意識のうちに相手に好印象を与えられます。
ただし、あからさまな模倣は逆効果なので、さりげなく行うことが重要です。このテクニックを上手く活用することで、顧客との信頼関係構築に役立ちます。
ザイオンス効果
ザイオンス効果は、人は繰り返し接するものに対して好意を抱きやすくなるという心理効果です。営業活動では、定期的に顧客と接触を持つことで、この効果を活用できます。
たとえば、メールや電話でのフォローアップ、定期的な訪問などを通じて、顧客との接点を増やすことで、徐々に親近感や信頼感を醸成できます。ただし、過度な接触は逆効果になる可能性もあるので、適度な頻度を保つことが大切です。
ドア・イン・ザ・フェイス効果
ドア・イン・ザ・フェイス効果は、最初に大きな要求をして断られた後に、より小さな要求をすると承諾されやすくなるという心理効果です。
営業では、まず高額な商品やサービスを提案し、それが断られた後により手頃な選択肢を提示するという方法で活用できます。この効果を利用することで、顧客の心理的抵抗を下げ、成約率を高める可能性があります。
5.営業成績を上げる際の注意点
営業成績を上げる際の注意点について、3つの重要なポイントを説明します。
- 競合他社の批判をしない
- 過剰な割引や値引きをしない
- 短期的な営業成績UPを狙わない
競合他社の批判をしない
競合他社の悪口を言うことは、プロフェッショナルな営業職として避けるべきです。他社を批判することで、一時的に自社の優位性を示そうとする人もいるものの、これは逆効果です。
むしろ、自社の製品やサービスの強みを客観的に説明し、顧客にとってのメリットを具体的に提示することに集中しましょう。競合他社の存在を認めつつ、自社の独自性や付加価値を強調することで、より信頼性の高い提案ができます。
過剰な割引や値引きをしない
安易な値引きは製品やサービスの価値を下げる危険性があり、長期的には利益率の低下や顧客の価値認識の低下につながります。
代わりに、顧客にとっての価値を丁寧に説明し、適正な価格で取引することが重要です。必要に応じて付加価値サービスを提案するなど、価格以外の面で顧客満足度を高める工夫をしましょう。
短期的な営業成績UPを狙わない
短期的な数字にとらわれすぎると、長期的な顧客関係や会社の評判を損なう危険性があります。一時的な数字を追うのではなく、顧客との信頼関係構築や、顧客の事業成長への貢献を重視しましょう。
長期的な視点で顧客のニーズに応え、継続的な取引につなげることが、結果的に安定した営業成績につながります。また、顧客からの紹介や口コミによる新規顧客の獲得にもつながる可能性が高まります。