信頼関係とは、お互いを信用でき、頼ろうと思える状態です。信頼関係は職場やビジネスにおいて欠かせないものであり、信頼関係がないとさまざまなリスクが生じます。
今回は、信頼関係が築けている具体的な状態や信頼関係を築くメリット、信頼がない場合のリスク、そして信頼関係の築き方などについて詳しく解説します。
目次
1.信頼関係とは?
信頼関係とは、お互いを信じて頼れる関係性にあることです。相手の思考や行動がある程度予測でき、その結果に期待できる状態です。
仕事においては「あの人に任せれば納期までに確実に対応してくれるだろう」「こんな時にあの人に頼めば解決してくれるだろう」と想像できれば、信頼関係が構築されている状態です。
チームで仕事を進めることの多い職場では、信頼関係が重要です。信頼関係が築けていると円滑なコミュニケーションが行え、効率的に業務が進められます。
2.信頼関係が築けている状態とは?
信頼関係を築くということがどういう状態かは、抽象的にしか理解されていない場合も多いでしょう。具体的には、以下のような状態が信頼関係が築けている状態といえます。
- 困ったことを素直に言い合える
- 心理的安全性が確保できている
①困ったことを素直に言い合える
悩みを打ち明けられる、困ったことやトラブルを素直に報告できる状態では、信頼関係が築けているといえます。
相手に迷惑になるかもしれないことでも素直に伝えられる、良い意味でわがままを言い合えることは、お互いの信頼がないとできません。ネガティブなことでも「この人になら安心して言える」状態であれば信頼関係が築けています。
②心理的安全性が確保できている
心理的安全性が確保されている状態も、信頼関係が築けている状態です。心理的安全性とは、相手に対して自分の考えや意見を安心して率直に言い合える状態のこと。信頼関係なくして、心理的安全性は確保できません。
心理的安全性が確保できている組織はその根底に信頼関係があるため、失敗を恐れずにチャレンジできたり、素直に意見を言い合ったり、支援を求めたりできます。
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3.信頼関係を築くメリット
信頼関係を築くことは、以下のようにさまざまなメリットが得られます。
- コミュニケーションが円滑になる
- 生産性が高まる
- チームワークが向上する
- ストレスの少ない労働環境になる
- 定着率が高まる
ビジネスや職場において信頼関係を築かないことはリスクにもなりえます。ここでは、信頼関係を築くメリットを詳しくみていきましょう。
①コミュニケーションが円滑になる
信頼関係が築けると、悩みや不安を素直に打ち明けられたり、報連相や情報共有が行いやすくなったりと、コミュニケーションが円滑になります。
信頼関係が築けていない状態では、相手の様子をうかがってスムーズに報連相できなかったり、怒られることを危惧してトラブルを迅速に報告できなかったりするでしょう。円滑なコミュニケーションが行えることで、業務の質向上や効率化につながります。
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②生産性が高まる
信頼関係があると、最小限のコミュニケーションで仕事が回せるようになるため、生産性が高まります。細かい指示をしなくても仕事を任せられ、過度な進捗確認をしなくても安心して任せられるようになるでしょう。
反対に、信頼関係がない状態では細かい指示出しや頻繁な進捗確認がないと、仕事を任せる側が不安に感じてしまいます。指示出しや進捗確認に工数がかかり、業務効率が悪くなってしまう恐れもあるでしょう。
最小限のコミュニケーションで仕事が回せれば、本来時間をかけるべき業務に集中でき、生産性と業務効率が上がります。
③チームワークが向上する
円滑なコミュニケーションのもと、仕事の連携がとりやすくなることもメリットの一つです。信頼関係が築けているチームでは、お互いをフォローし合えたり、必要な支援を申し出ることができます。
コミュニケーションの壁がなくなることで円滑に業務が進められ、チームの成果も創出しやすくなるでしょう。
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④ストレスの少ない労働環境になる
仕事ではストレスを抱えてしまうことも多いでしょう。不安や悩みを相談できずに抱え込んでしまったり、周囲から適切なサポートが得られなかったりする状態が長期的に続くと、最終的に離職を選択してしまうケースも少なくありません。
信頼関係が構築されていることで、ストレスの原因となる悩みや不安を打ち明けられ、必要な支援を受けやすくなるでしょう。問題が大きくなる前に然るべき対処ができることで、ストレスの少ない労働環境がつくれます。
⑤定着率が高まる
信頼関係の築けている職場は心理的安全性が高く、居心地の良さを感じられます。
実際に人間関係を理由に離職する人は多く、厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」においても、男女ともに人間関係は離職理由のトップ3に入ります。
信頼関係のもと、上司や同僚、部下と良好な人間関係を築けていれば、定着率の向上に期待できます。労働人口の減少により人材確保が難しい現代において、定着率を高めることは組織力強化のためにも欠かせません。
4.信頼関係を築くのが上手い人の特徴
信頼関係はお互いが歩み寄って築いていくものです。しかし、人によって信頼関係を築くスピードや上手さは異なります。なかでも、信頼関係を築くのが上手い人には、以下のような特徴があります。
- 約束を必ず守る
- 発言と行動が一致している
- できないことは素直に言える
- 相手の話を聞くのが上手い
- 自ら歩み寄れる
- 相手の気持ちに配慮できる
①約束を必ず守る
内容の大小にかかわらず、どんな約束も必ず守る人は信頼されやすいです。頼まれたことは期日までに仕上げる、時間通りに動くなど、約束を守ることはビジネスマナーの基本です。
必ず約束を守れる人は、ビジネスにおいても成長やキャリアアップのチャンスが回ってきやすくなります。
②発言と行動が一致している
発言したことに責任を持ち、最後までやり遂げる有言実行な人は周囲から信頼されます。発言と行動に矛盾がないことは、見方を変えれば嘘をつかないということ。有言実行な人には、安心して仕事を任せられるでしょう。
反対に、口だけで行動しない、行動したとしても責任を持たずに中途半端な人は周囲から信用されず、頼られることもなくなってしまいます。
③できないことは素直に言える
有言実行が重要であると同時に、できないことはできないと言える素直さも大切です。信頼されるためには有言実行することも大事であるものの、できないときは素直に言えるかも重要です。
素直になれないことで約束を守れなくなってしまっては、信頼も損ねてしまいます。信頼関係を築くのが上手い人は、こうした素直さも兼ね備えているのです。
④相手の話を聞くのが上手い
相手の話を最後までしっかりと聞き、共感の姿勢を持てる人は周囲から信頼されやすいでしょう。話をしっかりと聞き入れてくれる人に対しては安心感が持てます。
「この人なら話を聞いてくれる」「安心して話せる」と感じてもらえることで、信頼関係が築きやすくなります。
⑤自ら歩み寄れる
信頼関係を築くにあたっては、どちらかが歩み寄らなければなりません。自分のプライベートな話をしたり、何気ない会話を大事にできたりする人は、相手が自己開示しやすい雰囲気がつくれます。
きっかけがないと、信頼関係を築くのは難しいでしょう。誰にでも分け隔てなく接することができ、かつ自己開示ができる人は周囲と信頼関係を築くのもスムーズです。
⑥相手の気持ちに配慮できる
信頼関係を築くにはコミュニケーションが大切ですが、身勝手なコミュニケーションはかえって信頼関係を損ねてしまいます。そこで重要なのが、相手の気持ちに配慮したコミュニケーションをとることです。
相手のプライベートに深く踏み込んだり、自分の意見を押し付けたりするようなコミュニケーションは厳禁です。相手の気持ちに配慮した、丁寧なコミュニケーションができてこそ信頼関係が築けます。
5.信頼関係を築けない場合のリスク
信頼関係を築けないことは、ビジネス・職場においてさまざまなリスクが生じます。具体的にどのようなリスクが生じるかを詳しくみていきましょう。
生産性が低下する
信頼関係が築けていないと安心して仕事を任せられず、細かく指示を出したり、頻繁に進捗を確認したりと業務工程が増えてしまいます。非効率になってしまうだけでなく、指示・確認される側もストレスを感じやすくなってしまうでしょう。
余計な手間が増えることで生産性が低下するだけでなく、コミュニケーションコストが増加したり、うまく報連相されないことで業務が滞ったりする恐れもあります。
トラブルが増える
コミュニケーションがうまくとれないことで必要な情報の共有や相談がなされず、本来最小限に抑えられるはずのトラブルが大きくなったり、増えたりしてしまいます。
トラブルを完全に回避するのは難しいですが、未然に防いだり、最小限に抑えたりするための対処が必要です。そのためには安心して話せる環境が必要であり、信頼関係が欠かせません。
離職率が高まる
信頼関係が築けていない環境では、人間関係のトラブルも起こりやすいもの。また、悩みや不安を相談できる相手がいない、孤立感が高まってしまうなどして最終的に離職につながってしまう恐れもあります。
少子高齢化によって労働人口が減少している現代では、今いる人材を定着させることが重要です。離職率が高いと後継者が育たず、つねに人材不足の状態が続き組織力も低下してしまうでしょう。
6.信頼関係を築く方法
信頼関係を築きたくとも、具体的にどうすればよいのかわからないという人も少なくないでしょう。ここでは、信頼関係を築く方法をご紹介します。
相互理解の場を設ける
信頼関係を築くには、相互理解が不可欠です。一緒に仕事していく中でも相互理解していくことは可能ですが、理解を深めるには不十分でしょう。
そこで、懇親会やランチ会、社内イベントやチームでの研修・勉強会の実施など、改めて場を設けることがポイントです。
仕事外での場では、気軽にプライベートなことも話せます。相互理解を深めることを目的に、意図的にお互いを知る機会を設けましょう。
オープンな姿勢で接する
お互いに壁を感じている状態では、相手も自己開示しにくいもの。相手が安心して接せられるようにも、オープンな姿勢でいることも大切です。
こちらから先にオープンな姿勢を見せることで、相手も壁を感じずに接することができるでしょう。距離を縮められればそれだけ相互理解を深めやすくなり、信頼関係も築きやすくなります。
有言実行を心がける
約束したことを責任を持ってやり遂げる機会を積み重ねていくことで、信頼関係が構築されていきます。信頼関係は短期的に築けるものではないため、有言実行を積み重ねていくことが大切です。
短期間で信頼関係を築きたい場合には、納期の前日には仕上げる、相手の意図を汲み取って指示以上のことを実行するなど、期待以上の行動を起こせるとよいでしょう。信頼関係が築けた後も有言実行を続けていくことで、信頼関係が強化されていきます。
肯定的なコミュニケーションをとる
相手が快適にコミュニケーションが取れるかも、信頼関係を築く上で大切なポイントです。相手を褒めたり、積極的に感謝の言葉を伝える肯定的なコミュニケーションをとることで、安心感を与えられます。
肯定的なコミュニケーションが取れる相手だと認識してもらえることで、相手からも積極的にコミュニケーションをとってもらえ、信頼関係が築きやすくなります。
相手の話をしっかりと聞く
相手の話を遮ることなく、最後までしっかり聞く姿勢を持つことも信頼関係を築くために重要です。コミュニケーションの基本ではあるものの、意外とできていない人も少なくありません。
話を最後まで真剣に聞いてくれる人の前では、心理的安全性のもとコミュニケーションが取れるようになります。信頼関係を築く第一歩として、相手の話を最後までしっかり聞く意識を持ってコミュニケーションをとりましょう。
7.信頼関係を築く際の注意点
信頼関係を築く方法を実践するうえで、以下のポイントに注意が必要です。
強引に信頼関係を築こうとしない
早急に信頼関係を築こうとしたり、焦ってしまうことで強引に相手に歩み寄ったりしないよう注意しましょう。強引に信頼関係を築こうとする行為は、相手を不快にさせてしまうだけでなく、お互いの関係に溝ができてしまう恐れもあります。
信頼関係は双方が相手に思いやりを持つことで構築できるものです。たとえば、相互理解を深めるために飲み会を開催する場合、参加を強制してはなりません。相手のペースも考慮して、ゆっくり信頼関係を築いていくことが大切です。
自分本位なコミュニケーションをしない
自分の意見や価値観を押し付けたり、相手との関係性によっては冗談で言ったことでも不快感を与えてしまったりすることがあります。
また、相手の状況を顧みずに話しかけたり、急に仕事を依頼したりするような自分本位なコミュニケーション・行動は信頼関係を損ねてしまいます。
相手の立場を完全に理解するのは難しいですが、考慮する姿勢と意識を持ったコミュニケーションが大切です。相手を思いやる姿勢は目に見えなくとも感じ取ることはできるため、相手ファーストで接する意識を持ちましょう。
無理をしない
信頼関係を築くことを急ぐあまり、頼まれごとをなんでも引き受けたり、周囲に相談せずに自分だけの力で実行しようとした結果、納期に間に合わない、品質が低いなどしてかえって信頼を損ねてしまう恐れもあります。
信頼関係を築く上では、相手に対して素直になることも大切です。本当に無理な場合は素直にそのことを伝えることも、信頼関係を構築するうえで必要です。自分のキャパシティや状況を理解した上で、焦らず無理せず信頼関係を築いていきましょう。