賃上げは従業員にとってうれしいもの。しかし、固定費がかさむため企業にとっては悩ましい問題でもあります。
この賃上げに関する用語「ベースアップ」をご存じでしょうか?ベースアップの概要や定期昇給との違い、春闘についてお話しします。
賃上げは従業員にとってうれしいもの。しかし、固定費がかさむため企業にとっては悩ましい問題でもあります。
この賃上げに関する用語「ベースアップ」をご存じでしょうか?ベースアップの概要や定期昇給との違い、春闘についてお話しします。
「ベースアップ」とは?
ベースアップは、基本給の水準が一律で上がることを指し、略して「ベア」とも呼ばれます。しかし、いきなり上がるわけではありません。折衝の場で、企業と労働組合との交渉がまとまって決定するのです。また、上がる条件に個人の業績などは影響しません。
例えば、「ベースアップ2%」が決まったと仮定しましょう。すると、従業員の基本給がすべて2%アップします。仮に、25歳の社員の基本給はみな25万円だとするなら、ベースアップ2%により、25歳の社員の基本給が一律25万円5000円になります。
しかし、交渉した時点で企業の業績が良かったとしても、その後、業績が下がることも。従業員への還元と今後の見通しとで、企業にとっては悩ましい問題でもあります。
ベースアップと定期昇給の違い
ベースアップは、基本給そのものが一律で上がります。対して定期昇給は、一定の期間で訪れる何らかの機会によって給料が上がるものです。何らかの機会としては、勤続年数や業績などさまざまな点が考えられますから、個人によって昇給に差が出ます。しかしベースアップは一律で上がるため、個人での昇給差は出ません。
基本給の一律アップということで、働く側には喜ばれます。しかし企業にとっては、人件費が一律で上がるため、負担が増えるという面も。定期昇給の場合、従業員の数や勤続年数から、負担の想定が割り出せますが、ベースアップは交渉次第で変わるため、想定外の負担とも言えるのです。
このベースアップ決定に向けて、労働者と企業が折衝を行う場が、後述する「春闘」です。
ベースアップと縁の深い「春闘」とは?
春闘は、労働者と企業がベースアップをめぐって折衝をする場のことです。とはいえ、賃金だけでなく、他の要求が含まれていることも多々あります。ニュースではベースアップをメインに報道されることもありますが、春闘は基本、「労働者側の雇用条件を改善するための場」と考えるとよいでしょう。
現在実施されている方式は1956年に始まったと考えられています。春闘は、50年以上にもわたる歴史を持つ折衝の場なのです。
2017年1月時点でのニュースでは、トヨタ自動車労働組合が「2017年春闘」で、月額3000円の上昇を求める案をまとめた、と報じました。今後、他企業の労働組合も賃上げについて意向を発表するでしょう。企業の業績や経済面での動きを含め、春闘でどのような結果になるか、注目です。
春闘とは?【目的と要求内容を簡単に】賃上げ、いつから?
「春闘」とは、労働組合が使用者に対して賃金の引上げや労働条件の改善を目的として議論・交渉を行う労働運動のこと。春闘は、毎年春に行われ、日本の労働市場における労働条件の基準を形成する重要な役割を果たして...