社会保障にはさまざまな方法があります。その中の1つが、ワークフェアで、貧困者を救済する手法の1つです。
ワークフェアとは何をするもので、どんな問題点があるのでしょう?また、アクティベーションとの違いはなんでしょうか?
「ワークフェア」とは?
ワークフェアとは、働くことを条件に公的扶助を行うもの。働くことで精神的・経済的自立が促進できる、また、働くことでやりがいや生きがいを感じられる、という考えに基づいています。また、ワークフェアという言葉は造語で、ワーク(労働)とウェルフェア(福祉)の組み合わせです。
ワークフェアを取り入れる場合、生活保護などの受給者には労働が課せられます。「働いた対価が給付」という構図にすることで、精神的自立が促進できると考えられているのです。また、働くことは訓練になりスキルが身につきます。そのため、経済的自立につながるとも考えられています。
しかし、ワークフェアを取り入れる場合、生活保護についても組み立てなくてはなりません。なぜなら生活保護の場合、「働くと損をしてしまう」という部分があるからです。
ワークフェアの問題点や課題とは?
労働を条件とすることで、自立への一歩は進みます。しかし、ワークフェアのもと働いた人たちが、不利ともいえる賃金や福利厚生に遭遇。結果、貧困である現状が変わらないという問題点が取りざたされているのも事実です。そのため、一定基準の貧困者へは直接現金や現物を支給したほうがよいのでは?という話もあがっています。
しかし、一定基準をどのように調査するか、どこで基準を決めるか、課題でしょう。調査結果によっては、本当に困った人へ支援が行き渡らない場合も。また、一律ですべての人に支給をするという方法もありますが、これもコスト面から見て非現実的です。ワークフェアには、多くの問題点や課題が存在しています。
アクティベーションとワークフェアの違い
アクティベーションとは、ケアや教育などでサポートを行いながら、対象の社会参加を促進するもの。対してワークフェアは、労働を条件に公的扶助が行われるというものです。明確な違いは「労働」でしょう。アクティベーションは、社会参加を促進するという考えではありますが、「働くこと」を必須条件とはしていません。あくまでも社会参加への可能性を高める、というスタンスです。
また、国の主義によってどちらを取り入れているか、異なります。
自由主義国ではワークフェアが、社会民主主義国ではアクティベーションが、保守主義国では、強化はしているものの、どちらともいえないという形です。これは、それぞれの主義が、社会の基本単位を、個人とするか、家族とするかによって変わるともいえます。