仕事・業務の引き継ぎとは? 失敗の原因、効率的なやり方を解説

引き継ぎとは、現担当者の仕事内容や進め方などを後任の担当者に伝達すること。担当者の離職や異動などにより、担当者が変わる場合には引き継ぎが必要です。引き継ぎを行わないまま前任者がいなくなってしまうと、後任者はどのように仕事を進めるべきか、今何をすべきかがわからなくなってしまいます。

今回は仕事・業務の引き継ぎについて、重要な理由や引き継ぎが失敗するリスク、具体的な引き継ぎのやり方などを詳しくご紹介します。

1.仕事・業務の引き継ぎが重要な理由

仕事・業務の引き継ぎが重要な理由は、担当者がいなくなった後も滞りなく仕事・業務を進行するためです。引き継ぎをしないまま担当者がいなくなってしまうと、業務の進行に支障が出るだけでなく、今まで通りの業務品質が維持されず、顧客や取引先からの信頼を失う恐れもあります。

また、引き継ぎは生産性を落とさないためにも重要です。前任者から何も引き継がれていない場合、手探りとなって異動・退職後も問い合わせがきてしまう可能性があるでしょう。

後任者だけでなく、前任者の業務にも支障が出てしまい、各所での業務効率や生産性が低下してしまいます。

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2.引き継ぎが必要になるシーン

仕事・業務の引き継ぎが必要になるシーンは、以下のようにさまざまです。

  • 人事異動
  • 担当者の退職、休職
  • 進行中のプロジェクトへの合流、離脱
  • 新任者の加入により自分の業務を任せる場合

現担当者が今の仕事・業務から離れる場合は引き継ぎが必要です。離れたあと前任者が同じ会社にいたり、離れるのが一時的であったりしても引き継ぎを行います。

社外には、担当者の不在や離職の事実はわかりません。担当者が変わることで業務品質が低下しないよう、担当者が不在・変更となる場合、引き継ぎが不可欠です。

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3.引き継ぎの失敗がもたらすリスク

引き継ぎされない、あるいは引き継ぎが適切な方法で行われないと、以下のような可能性が高まります。引き継ぎの重要性を理解するためにも、引き継ぎの失敗がもたらすリスクを押さえましょう。

  1. 業務効率・生産性が低下する
  2. 社外からの信頼を損ねる
  3. ノウハウ・ナレッジを喪失する
  4. 後任者のストレスになる

①業務効率・生産性が低下する

うまく引き継ぎされないまま前任者がいなくなってしまうと、これまでどのように仕事を進めていたのかが確認できなくなります。仕事の進め方がわからない状態では、業務効率や生産性が低下してしまうでしょう。

上司や関係者に都度質問しながら仕事を進められるものの、相手の業務に支障をきたす恐れがあります。また、前任者が社内にいる場合も質問できるでしょう。しかし、前任者にも新たな仕事があるため、対応する余裕がない場合も多いです。

②社外からの信頼を損ねる

顧客や取引先といった社外からの信頼は、現担当者の努力もあって築けているもの。担当者が変わることで、少なからず社外の関係者に迷惑をかけてしまうでしょう。そうしたリスクをなくし、前任者が築いた信頼を失わないためには引き継ぎが重要です。

引き継ぎが失敗して社外関係者の信頼を失ってしまっては、企業自体の信頼喪失につながり、業績に影響する恐れもあります。担当者の変更は企業都合であるため、取引先や顧客に不利益が生じないようしっかりと引き継ぎすることが大切です。

③ノウハウ・ナレッジを喪失する

仕事・業務には、マニュアルにはないノウハウやナレッジがいくつも存在します。そのため、マニュアルだけですべては引き継げません。引き継ぎがうまくいかないと、前任者のノウハウやナレッジを喪失することにもつながります。

中長期的に見て、社内にノウハウやナレッジが蓄積しないことは大きな損失です。つまり、組織の未来のためにも引き継ぎは欠かせません。

④後任者のストレスになる

引き継ぎが失敗することでスムーズに仕事が進められなかったり、関係者に迷惑をかけてしまったりするのは後任者です。そのことが原因で仕事の評価が下がってしまったり、前任者と比較されたりして、ストレスを抱えてしまう可能性も考えられます。

さらに、仕事の引き継ぎによるストレスがトリガーとなり、最悪のケースでは離職に発展する恐れもあるでしょう。

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4.引き継ぎがうまくいかない原因

引き継ぎがうまくいかない原因は、下記のようにさまざまです。自社に上記のような原因に当てはまっていることはないかを確認してみましょう。

  1. 口頭だけで引き継ぎしている
  2. 業務が属人化している
  3. 十分な引き継ぎ期間がない
  4. 引き継ぎ資料が散在している
  5. 引き継ぎに必要な資料や情報が十分でない
  6. 引き継ぎ内容と実際の業務内容が異なる

①口頭だけで引き継ぎしている

引き継ぎが面倒くさい、なんとかなるなどの安易な考えにより、口頭だけで引き継ぎを行わないよう注意が必要です。口頭での引き継ぎはその場では理解できたとしても、時間が経つと忘れてしまうもの。

また、口頭では情報が整理できず、引き継ぐ側にも抜け漏れが生じやすくなります。結果、引き継ぎがうまくいかず、後任者にも不安が残ってしまいます。

②業務が属人化している

長年同じ人が担当している業務に引き継ぎが必要になった場合は要注意です。業務が属人化しており、前任者以外その業務のことを何もわからないといったケースもあるでしょう。

この場合、適切に引き継ぎを行ったとしても、あとからわからないことが出てきます。しかし、前任者以外わからないため後任者は誰にも頼れず結果として、その業務が滞ってしまいます。

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③十分な引き継ぎ期間がない

よくある原因に、十分な引き継ぎ時間がなかったというケースもあります。これは、引き継ぎ量や業務量が多い、異動や退職までに日数がない場合に起こりやすいです。異動や退職、休職などが発生する場合は、引き継ぎ期間も考慮して計画的に進めましょう。

④引き継ぎ資料が散在している

引き継ぎ資料が各所に散在していと、スムーズな引き継ぎが難しくなります。また、紙ベースで引き継ぎ資料を作成している場合、資料がなくなってしまう可能性もあるでしょう。紛失のリスクや管理の手間を考えると、引き継ぎ資料はデータとして管理することが望ましいです。

よって、すべての引き継ぎ内容がどこにあるのか一目でわかるよう、資料をわかりやすくまとめておくことが重要です。引き継ぎ後に必要な資料をすぐに見つけられる仕組みを整えれば、業務効率の向上にもつながります。

⑤引き継ぎに必要な資料や情報が十分でない

引き継ぎを口頭の説明中心に行い、最低限の資料や情報しか用意しないと、引き継ぎがうまくいかなくなりやすいです。業務を引き継いだあと、資料を見返したり、情報を補足したりしながら覚えていく必要があるため、説明を受けただけでは不十分といえます。

さらに、前任者が作成した引き継ぎ資料を更新せずに使い回すのも要注意です。古い情報では現状の業務に役立たず、結果として引き継ぎが不完全になる可能性があります。また、資料がわかりにくいと後任者が正確に業務を引き継げません。適切な引き継ぎの妨げとなります。

⑥引き継ぎ内容と実際の業務内容が異なる

引き継ぎ資料があっても、それが実際の業務内容と異なるといったケースもよくあります。複数のタスクを並行して進める仕事では、プロセスの複雑などから、引き継ぎ資料の情報だけではスムーズに仕事が進められないこともあるでしょう。

また、メインタスクの引き継ぎしかなされず、ほかタスクとの相関関係や重要性がわからず、業務の進め方そのものが間違ってしまう事態も起こりかねません。実際の業務内容に即した引き継ぎを行うためにも、業務を進めるなかで引き継ぎ準備を並行することがポイントです。

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5.引き継ぎの具体的なやり方

引き継ぎは、以下ステップで進めていきます。引き継ぎをうまく進めるためにも具体的なやり方を確認しましょう。

  1. 引き継ぐ業務をすべて洗い出す
  2. 引き継ぎのスケジュールを決める
  3. 引き継ぎ資料を作成する
  4. 引き継ぎを実行する
  5. フォローを行う

①引き継ぐ業務をすべて洗い出す

まずは引き継ぎ対象となる業務をすべてリストアップします。業務を洗い出す際は、以下のように細分化して考えると抜け漏れを防止できるでしょう。

  • 日次:始業から就業までの業務
  • 週次:曜日ごとに行う業務
  • 月次:月初や月末に行う業務
  • 年次:四半期、半期など、年単位で行う業務

具体的な業務内容や流れ・手順のほか、タスクごとのだいたいの所要時間も示しておくとよいでしょう。

②引き継ぎのスケジュールを決める

判明した引き継ぎ量に合わせて引き継ぎスケジュールを決定します。引き継ぎにかかる時間や難易度などを考慮し、完了日から逆算して考えましょう。通常業務と並行しながら引き継ぎを進める必要があるため、無理のないスケジュールを立てることがポイントです。

③引き継ぎ資料を作成する

次に、実際に引き継ぎ資料を作成します。引き継ぎは口頭でも説明するものの、前任者がいなくなってからもわからないことは出てきます。その際に頼れるのは引き継ぎ資料です。後任者が見返してわかるよう、以下の内容を記載しましょう。

  • 業務内容(概要や目的)
  • 業務の進め方・手順
  • 業務のスケジュール
  • 注意点、ポイント
  • 過去に起こったミスやトラブル、その対応方法
  • データの保管場所・保存方法
  • 関係者の連絡先・問い合わせ先

後任者は、その業務を初めて担当するケースがほとんどでしょう。第三者が見てもわかりやすい資料を作成するためにも、相手の立場になり、客観的な視点で作成することが大切です。

④引き継ぎを実行する

あらかじめ決めたスケジュールに沿って、後任者に引き継ぎを行います。引き継ぎ資料を渡すだけでなく、口頭で説明したり、実際に一緒に業務を進めたりして引き継ぎましょう。一方的に伝えるだけにならないよう、相手の理解度を確認しながら進めることがポイントです。

⑤フォローを行う

後任者は、引き継ぎ時に何がわからないかもわからない状態です。そのため、引き継ぎ当日だけですべてを理解するのは難しいでしょう。実際に業務を進めるなかであとからわからないことが出てくる可能性もあります。社内にいる間はできる限りのフォローを提供するとよいでしょう。

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6.引き継ぎをスムーズに行うためのポイント

引き継ぎをスムーズに行うためにも、以下のポイントを確認しましょう。

  1. 相手のスキルや理解度に合わせて引き継ぎを行う
  2. 口頭説明のみで進めない
  3. 引き継ぎ資料とマニュアルの違いを理解する
  4. 関係者も巻き込んで引き継ぎを進める
  5. 情報共有を徹底する

①相手のスキルや理解度に合わせて引き継ぎを行う

一方的に伝えるだけでの引き継ぎでは、相手が理解できない可能性も高いです。また、経験が浅い後任者に対して、専門用語を使って説明しても理解が難しいでしょう。

できるだけ引き継ぎは相手のスキルや経験、理解度に合わせて実施することが大切です。都度理解度を確認し、わからないことがあればその場で質問を受け付けるなど、相手のペースに合わせたコミュニケーションを心がけましょう。

②口頭説明のみで進めない

口頭説明のみで引き継ぎを進めてはなりません。なぜなら、実際に業務を進めるなかでわからないことがたくさん出てくるからです。口頭説明だけなら、引き継ぎ自体はスムーズに進むものの、その後の手間や労力が大きくなり、結局は適切に引き継げていないのと同じ状況になってしまいます。

③引き継ぎ資料とマニュアルの違いを理解する

業務マニュアルがあるからと、引き継ぎ資料の作成を怠ってはなりません。どちらも業務内容や手順が記載された書類であるものの、後者はより実態に即した業務内容を記載する書類です。

マニュアルは網羅的な内容であるため、それだけでは実際の業務内容を補完できません。引き継ぎ資料とマニュアルは別物ということを理解し、引き継ぎ資料は必ず作成しましょう。

④関係者も巻き込んで引き継ぎを進める

前任者と後任者の間だけで引き継ぎを進めず、関係者を巻き込むこともポイントです。関係者を巻き込んで引き継ぎすると、前任者がいなくなったあとに後任者が頼れる人をつくれます。そうすることで、後々スムーズに業務を進められるでしょう。

また、社外の関係者との引き継ぎも忘れないように気をつけます。なんの連絡もなく突然担当者が変わることは先方にとって失礼であり、迷惑をかけてしまう恐れもあります。信頼関係を維持するため、そして礼儀としても事前に引き継ぎを行うことが大切です。

⑤情報共有を徹底する

引き継ぎは情報共有を徹底することもポイントです。具体的には、チーム全員が見られる共有フォルダに引き継ぎ資料を保管したり、引き継ぎのログを残したりするようにしましょう。

情報共有には、コミュニケーションツールや情報共有ツールなどの活用がおすすめです。チーム内でデータや引き継ぎのログを共有できるほか、コミュニケーションツールなら対面の時間が取れない場合の引き継ぎやフォローにも活用できます。

引き継ぎ自体がブラックボックス化しては、前任者がいなくなった後のフォローが難しくなってしまうため要注意です。


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◆資料内容抜粋 (全31ページ)
・人事評価システム「カオナビ」とは?
・人事のお悩み別 活用事例9選
・専任サポートについて   など