独立行政法人労働政策研究・研修機構の「第2回日本人の就業実態に関する総合調査」(http://www.jil.go.jp/press/documents/20141125.pdf)によると、「4人に1人が過去3年間でメンタルヘルスの不調を感じた」ということです。このようなメンタルヘルスによる休職と職場復帰があった場合、企業はどのような対応を取れば良いのでしょうか。
「職場復帰支援プログラム」とは?
「職場復帰」というのは、休職や一時的に退職していた社員が職場に戻る際に使われる言葉です。しかし、特にメンタルヘルスによる休職から職場に復帰する場合、職場復帰の方法を誤ってしまうと、再度体調を崩し、休職状態に戻るということにもなりかねません。また、メンタルヘルスが原因での休職は長期に及ぶ場合も多く、会社側から職場復帰を支援する必要があります。
そこで、厚生労働省中央労働災害防止協会では、各企業が職場復帰支援のためのプログラムを策定し、職場復帰支援を行うことが望ましいとしています。
メンタルヘルスによる休職があった場合は、場当たり的な対応ではなく、あらかじめ対処方法を検討して的確な支援を行うようにしましょう。
5つのステップで段階的な職場復帰支援を
厚生労働省では、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を作成し、企業の職場復帰支援を応援しています。
各企業の業種や、求職者の職種、休職の状況などによっても、職場復帰のための支援プログラムは異なりますから、この手引きの内容を参考に、各企業に合った職場復帰支援を行いましょう。
手引きでは、職場復帰支援プログラムは、以下の5つのステップで行うこととされています。
<第1ステップ>病気休業開始及び休業中のケア
<第2ステップ>主治医による職場復帰可能の判断
<第3ステップ>職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成
<第4ステップ>最終的な職場復帰の決定
職場復帰
<第5ステップ>職場復帰後のフォローアップ
厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きによる」(https://kokoro.mhlw.go.jp/brochure/worker/files/H25_Return.pdf)
職場復帰までの支援プログラム
職場復帰支援は、休業開始時期から始まります。メンタルヘルスに悩む社員が不安なく回復に専念できるよう、休業中の「傷病手当金の手続き方法」、「休業可能期間」、「会社独自の支援(あれば)」などについてわかりやすく説明するよう努めましょう。
次に、職場復帰の申し出があった後のケアです。主治医に復職できるまで回復した旨の診断書をもらい、それを元に本当に業務が可能なのか判断をします。主治医は仕事内容に詳しいわけではないため、主治医の判断があったからといって安易に復職させるのではなく、本人の意思や職場の状況を踏まえた総合的な判断が必要です。
復帰が決定したら、復帰日や復帰後の配置、復帰直後の仕事をフォローする人員などについて決めていきます。復帰後、無理なく仕事に入れるよう環境を整えておきましょう。
その後、本人や主治医、復帰後の部署と連携して実際の職場復帰となります。
職場復帰後のケアも大切に
メンタルヘルスによる休職が起こった場合は、職場復帰をした後のケアにも配慮が必要です。特に、業務が忙しすぎることや、仕事内容が合わずに発症したなどという場合は、再度同じことが起こることがないように働き方を見直しましょう。
また、万が一再発が疑われる場合は、早期に主治医の診察や治療を受けられるようにし、状況が悪化しないようにする必要があります。メンタルヘルスのトラブルは再発しやすいため、十分な注意が必要です。
職場復帰後は、最初から重い仕事を任せるのではなく、徐々に業務に戻れるように部内で協力し合いましょう。スムーズな職場復帰のためには、周囲の協力が不可欠です。ヒアリングや本人の状況の確認をこまめに行い、業務内容や業務量を調整していくようにしてください。