年金の運用方式のひとつである「キャッシュバランスプラン」が注目を集めています。
キャッシュバランスプランの導入を考える際に人事担当者が知っておきたい、確定拠出型・確定給付型年金の違いや年金給付額の計算式について紹介します。
キャッシュバランスプランとは?
キャッシュバランスプランとは”Cash Balanceplan”の頭文字をとって「CB」と略されることもあります。確定拠出型年金と確定給付型年金の2つの特徴を備えた年金です。従来の確定給付型年金と同様に、掛け金と利息の積み立てを毎年行いますが、利息に関してはその年の金利の状況によって変動させることが可能です。
人事担当者がキャッシュバランスプランの導入で注意したいのが、利息の利率を企業が保証することになっている点です。つまり、運用実績の結果によっては、企業に追加負担が生じてしまうケースがあるので注意しましょう。
確定拠出型・確定給付型年金とは?
キャッシュバランスプランについては、先ほど紹介しましたが、ここで厚生年金の一般的な形である確定拠出型・確定給付型年金について紹介します。
・確定拠出型年金
労使の合意に基づき確定拠出年金制度を取り入れている企業の従業員が加入対象になっている年金です。掛け金に関しては、企業からの拠出に加え、規約に定めることで、一定の条件を満たせば個人からも拠出可能となります。
確定拠出型年金では、加入者(加入企業)自身が資産運用の指図を行うので、将来受け取ることができる年金の金額は、運用実績次第で異なります。
・確定給付型年金
給付する年金の金額を予め確定させ、給付金額に必要な掛け金の年金数理計算を行って企業が拠出する制度です。規約型企業年金と、別法人としてつくった基金が運用を行う基金型企業年金の2つに分けられます。規約型には従業員数の制限はありませんが、基金型の場合は原則として300人以上という制限が設けられています。
掛け金に関しては、企業が負担することになりますが、従業員が同意すれば、1/2を上回らない範囲で従業員の負担とすることも可能です。
年金給付額の計算式
厚生年金の給付金は、国民年金とは異なり、給与が高ければ高くなるほど高額になります。
年金給付額の計算式には、以下の3つがポイントになります。
・平均給与
加入期間中の平均の給与金額です。
・厚生年金の加入期間
・一定乗率
「本来水準(5.481/1000)」と「従前額保障×スライド」の2つを使用して計算を行い、高い方を給付しています。
さらに、20年以上被保険者期間があるなど、規定されている条件をクリアしている場合に限り、「加給年金」が支給されるケースもあります。
計算式は次の通りです。
賞与を含まない平均標準報酬月額(万円)×生年月日に応じた率×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額(万円)×生年月日に応じた率×平成15年4月以降の被保険者期間の月数
人事担当者は、キャッシュバランスプランの導入を検討する前に、自身の年金給付額を算出することで、どんな制度が企業・従業員双方にとってプラスになるのかを考えてみると良いでしょう。