特定のジャンルを極めた「T型人材」は、時代の変化やニーズに対応することができる人材として注目を集めています。今回は、人事担当者が知っておきたい人材の型、T型人材、I型人材、π型人材、H型人材とキャリア形成について紹介します。
「T型人材」とは?
「T型人材」とは、特定の分野を極め、専門的な知識や経験とスキルを蓄積し、これらを軸にして、その他の幅広いジャンルに対しても知見を持っている人材のことを指します。英語で「T」の文字の縦を「専門性」、横を「視野の広さ」に見立て、「T型人材」と呼ばれています。
従来、重用されてきたような、1つのジャンルの専門家である「I型人材」に代わり、創造性のある人材が必要とされるようになりました。専門性と実務を融合させるためには、「T型人材」のように、幅広く知見を持つ人材が重要な存在になるのです。
さらに、T型を進化させた、専門分野に複数精通しており全体の調整が可能な「π型人材」も注目を集めています。
I型人材とπ型人材、そしてH型人材とは?
・I型人材
従来の日本企業が重用した、1つの専門ジャンルを極めた人材のことです。特に技術職に多く、営業や企画など異動の多い職種では少ないといえます。
・π型人材
π型人材は、異なる分野2つ以上の専門的な知識を極めた人材で、「ダブルメジャー」とも呼ばれます。
専門性が高い分野の深い知識を複数持つことで、ひとりでも独創的な発想をすることができるのが特徴です。
・H型人材
H型人材は、強い専門性を誇る分野が1つあり、他人の専門性を横軸で繋げられる架け橋となる人材です。このような他者との連携をする力も、今後求められる人材の重要なポイントとなります。
時代のニーズに即したキャリア形成とは?
前述のように、「I型人材」から「T型人材」、そして「π型人材」へと、注目が移り変わってきています。
しかし、専門性を極めた人材というのは、新卒採用で発掘できるわけではなく、計画的なキャリア形成を考え、研修・教育を行うことが必要不可欠です。
つまり「どんな人材を育成したいのか」という、明確な目標を定めた研修プランの立案が求められているのです。
ビジネスでイノベーションを起こすためには、異なる分野の融合が必要です。異なる2つの分野の軸足を持つ「π型人材」を育成することは、企業にとっても非常に重要な課題といえます。
時代のニーズに即したキャリア形成を行うために、まずは従来同様に「I型人材」の育成を行い、そして「T型人材」から「π型人材」へとステップを踏めるようなカリキュラムを作成しましょう。
ここで注意したいのが、年齢を重ねてしまうと新しい療育にチャレンジするのに抵抗を感じることが多い点です。
つまり「I型人材」の育成を行いながら、なるべく早い段階で全体像を把握できるように、職場異動・職種移動などを行い、「T型人材」になるための教育・研修を行うことが大切なポイントになります。