企業の生産性を高める方法のひとつに、インフォーマルグループを利用するというものがあります。しかし、インフォーマルグループは時として問題を起こす場合もあります。フォーマルグループとインフォーマルグループの違いや、その利用方法について考えてみましょう。
「インフォーマルグループ」とは?
インフォーマルグループとは、系統だって組織された公式団体であるフォーマルグループに対して、趣味や性格によって非公式に組織、または自然発生的に生まれた非公式の団体のことです。
フォーマルグループには、企業や官公庁などがあります。これらの組織は、組織図をはっきりと描くことができ、それぞれの指揮系統や所属する人員の序列がはっきり定められています。そのため、秩序を持って組織だった活動を行うのに適しているといえるでしょう。
ところが、自然発生的なインフォーマルグループには、このような公式の序列がない場合もあります。自然と発言力の強い人物が出てくることはあっても、系統だった序列を決めたり、それを明示したりすることはインフォーマルグループではあまりありません。
インフォーマルグループの例
インフォーマルグループの例として、企業内で自然に発生する「仲の良い仲間」や、「いつもランチに行く仲間」、「しばしば飲み会を開催している仲間」などが挙げられます。こうした仲間は、性格や考え方が似通っていることや、仕事に対するスタンスが近いといった理由で自然と固まってできるものです。
また、社内で結成される野球サークルやゴルフサークルなどの趣味の集まりもインフォーマルグループと称されることが多いものです。これは、社員が自発的に集まってできるものですから、会社公認のサークルであってもインフォーマルグループの一種ととらえることが出来るでしょう。
このように、インフォーマルグループは、フォーマルグループに比べて構成人員同士の仲が良く、プライベートな付き合いを行う傾向が強いという特徴があります。
生産性を高める非公式集団とそうでない非公式集団
インフォーマルグループは、非公式集団と言い替えることもできます。こうした非公式集団には、企業にとって利益のあるものとそうでないものがあります。
利益の大きい非公式集団
従業員同士のコミュニケーションを高め、ストレス発散にも役立つサークル活動や、企業窓口に相談するほどではない悩みを気軽に相談できる横のつながりなどは、企業にとってもメリットのあるものです。そのため、サークル活動に対しては、福利厚生の一環として補助金を出す企業もあります。
問題のある非公式集団
実際の組織の序列とは関係のないところで生まれる上下関係は、業務の妨げになります。また、集団の中にやる気のない従業員がいた場合、それが集団全体に波及していき、業務効率が低下する場合もあります。このような現象を起こす非公式集団は、企業のためになりません。
インフォーマルグループの上手な利用
社内のインフォーマルグループは、うまく利用することで従業員の満足度を高めたり、意欲を向上させたりする働きが期待できます。また、インフォーマルグループと企業が良い関係を築くことで、従業員の持つ不満を察知し、業務改善の手がかりが見えることもあります。
また、インフォーマルグループは、従業員のメンタルヘルス対策にも役立ちます。社内に悩みを分かち合えるプライベートな仲間がいることで、ストレス発散や相談しやすい環境が作れるためです。
このような良い効果をもたらすインフォーマルグループは、サークル活動を支援することや、社内でのレクリエーションや従業員同士のコミュニケーションを高めていくことで作ることができます。