「役員」と「みなし役員」の違いは何でしょうか。同じようですが、法律によって役員の範囲が異なるとされています。みなし役員の詳細、判定要件、そして報酬がどのような扱いになるのか、みていきましょう。
みなし役員とは?
みなし役員とは「税法上の役員」を指します。役員には、会社法上と税法上の2種類があるのですが、税法上の役員は、会社法上よりも適用範囲が広くなっているのです。
この税法上で一定の要件を満たすと、その者は「ほぼ役員と同じ」とされ、みなし役員になります。
みなし役員に該当する社員は、給与や賞与に制限が入ります。経費として計上するためには、一定の条件を満たす必要があるので、注意が必要です。
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みなし役員の要件と判定とは?
みなし役員と見なされる要件と判定は何でしょうか。要件は以下の2つです。
- 顧問や相談役といった会社の社員ではないが、役員と同じくらい経営に携わっていること
- 同族会社(会社の株主が3人以下。その内訳が家族や配偶者であるなど条件を満たした個人や法人で、かつ持ち株や出資金の合計が会社発行のものの半分以上である場合)の社員でかつ、経営に携わっていること
どちらも「経営に携わっている」ことが共通点として挙げられますが、境目としては、「会社で重要な決定をする場合」に参画しているかどうか、といわれています。つまり、助言程度の参画であれば、みなし役員ではないということです。該当の人材がみなし役員として適用されるかどうか迷った際は、専門家に相談し、判定を受けた方がよいでしょう。
みなし役員の報酬と税務上の扱い
みなし役員の報酬は、税務上は「役員給与」です。そのため、制限が入ります。
通常の従業員ですと、会社とは雇用・被雇用関係になりますが、役員の場合は、会社とは委任関係です。つまり、役員は「経営側」という立場になり、給与について自身で自由に裁量できます。すると、税務上何らかの操作を行うことが可能なので、制限があるのです。
役員給与や賞与を経費にしたい場合には、条件を満たさなければなりません。
1つ目は定期的に同額を支給するというもの。しかし、報酬の額を変える場合、変更時期が定められています。
2つ目は、事前に「支給する予定の金額を申し出る」というもの。
申し出た額と異なる金額を支給した場合は経費にはなりません。3つ目は、利益と連動した給与を支給するというもの。しかし、これの対象は非同族会社のみです。また、中小企業は対象とならないこともあります。
役員とみなし役員は、職務におおきな違いはありませんが、経費、税務のうえでは違いが出てくるので、自社にとってどちらがよいのか、よく検討しましょう。