クールビズとは? 実施状況、実施期間、服装、服装以外の取り組み、事例

クールビズとは、夏の軽装によって冷房の使用を節約しようとする取り組みのことです。ここではクールビズが実施されるようになった背景や実施状況、服装以外の取り組みなどについて解説します。

1.クールビズとは?

クールビズとは、過度な冷房に頼らず、夏を快適に過ごすライフスタイルのこと。夏の取り組みとしてすっかり定着したクールビズは、2005年に地球温暖化対策の一環としてはじまりました。

暑さや寒さの感じかたは人によって違うもの。冷房が同じ温度で設定されていても、暑いと感じる人もいれば寒いと感じる人もいます。

個々の事情に応じて柔軟な服装を選択し、一人ひとりが働きやすい軽装で働ける、さらに柔軟な働き方をサポートする省エネ、省CO2を図る取り組みがクールビズなのです。

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2.クールビズが開始された背景

クールビズは地球温暖化対策の施策「COOLCHOICE」の一環としてはじまりました。語源となっているのは、涼しい服装でビジネスに取り組むことを推奨する、英語の「CoolBiz」。

2005年の開始当初は受け入れられないシーンもありました。しかし省エネ対策や環境問題など時代的背景が後押しして現在、多くの企業で実施されているのです。

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3.クールビズでの適正な室温とは?

環境省では、クールビズによる適正な室温の目安を28℃としています。しかし外気温や湿度、立地や低物の状況などさまざまな要因によって実際の温度は上下するため、28℃はあくまでも目安にすぎません。

クールビズは設定温度を28℃に設定することではなく、あくまでも「過度な冷房に頼らず室温を管理するスタイル」を指しているのです。

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4.クールビズの実施状況

クールビズの取り組みが始まってしばらく経ちました。クールビズの認知度、実施率はこの間にどう変化したのでしょうか。

2005年の導入初年度、クールビズの実施率はわずか30.9%でした。しかし2017年には61.5%と倍近くまで伸びています。日本気象協会による調査では、9割以上のオフィスワーカーがクールビズを知っていると回答したほどです。

地域別の実施状況

同調査によると、クールビズの実施率がもっとも高かったのは関東甲信越地方の75%。さらに沖縄地方と中国地方が同率の70%、近畿地方が65%と続きます。

クールビズの開始時期も、地域によって違いがみられました。環境省が推奨する5月に先駆けて沖縄地方では早ければ3月から、約半数の人が4月からクールビズを開始しています。

そのほかの地域でも5月には4割、6月にはほぼすべての地方でクールビズを開始しているとわかりました。

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5.クールビズの実施期間

クールビズはいつ実施されるのでしょうか。

2021年から実施期間の呼びかけが廃止

2019年、環境省ではクールビズの実施期間を5月1日から9月30日までと定め、環境省のホームページでクールビズの実施期間を発表していました。

しかし地域によって気温差が生じますし、人によって温度の感じかたも変わります。そのため2021年からは、環境省によるクールビズ実施期間の呼びかけを廃止しているのです。とはいえ、クールビズの取り組み自体が廃止されるわけではありません。

これまでどおり5月1日から9月30日までの期間を目安として、一人ひとりが服装や室温を調整し、快適に過ごせる環境を整えることが求められているのです。

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6.クールビズの服装

クールビズの実施に際して頭を悩ませるのが、服装に関するマナー。クールビズにおける服装はもちろん業種や職種、企業風土などによるものの、いずれにせよ最低限のルールが存在します。ここではクールビズの服装について詳しく説明しましょう。

環境省が定めている服装

オフィスカジュアルが進んでいるとはいえ、まだまだジャケット着用、ネクタイ着用を是とするビジネスマナーは残っています。環境省では、クールビズおよびスーパークールビズにおける服装のガイドラインを、以下のとおり定めているのです。

クールビズ

環境省が定めるクールビズの基本は、ノーネクタイ・半袖シャツ。徹底されてはいないものの「ノージャケット」「かりゆしシャツ」「チノパン」も可とされています。

クールビズでは、シャツの素材を涼しく感じられるものにしたり、襟元から見えないインナーを着たりと細かい配慮も求められるのです。

スーパークールビズ

クールビズよりさらに進んで、冷房節約ではなく冷房なしでも仕事ができる服装を、と考案されたのが「スーパークールビズ」。環境省が定めるスーパークールビズの基本は下記のとおりです。

  • ノーネクタイ
  • ノージャケット
  • 半袖シャツ
  • ポロシャツ
  • アロハシャツ
  • スニーカー
  • チノパン

「Tシャツ」「ジーパン」「サンダル」は、TPOに応じた節度ある着用に限り可とされています。

営業職が注意するべきクールビズのマナー

「自分が涼しく過ごせる服装こそクールビズ」と思いがちですが、前提にあるのは相手に不快感を与えないことです。ここではクールビズで注意すべきマナーについて、特に社外の人と接する機会が多い営業職を例に説明します。

ジャケット

真夏でも営業職はジャケットの着用が基本。これはビジネスシーンにおけるワイシャツが下着と同義に考えられているためです。すなわちジャケットを着ないと、下着姿のままお客様と会っているという意味になります。

クールビズはあくまでも社内における室温適正化の取り組み。取引先を訪れる際は、あらかじめ先方に確認しておくか、ジャケットの素材やシャツの色柄、ノーネクタイなどで調節しましょう。

シャツ

フォーマルなビジネスシーンでは長袖が基本。そのため半袖のワイシャツも、営業職にとってはNGです。

またノーネクタイに白無地のシャツは相手に無精な印象を与えます。だらしない雰囲気にならないよう、白襟のついたクレリックシャツやボタンダウンシャツ、織柄の入っているシャツや見た目に涼しい色合いのカラーシャツを着用しましょう。

ネクタイ

営業職の場合、ジャケットと同じくネクタイを着用した正装が基本です。自社でクールビズを推奨し、ノーネクタイが許可されていても、取引先によってはネクタイの有無で印象が左右される可能性もあります。

もちろん自社内や移動中などにネクタイを締める必要はありません。持ち運べる工夫をしておくとよいでしょう。

女性が注意するべきクールビズのマナー

男性のクールビズには「ノージャケット」「ノーネクタイ」という基本ルールがあります。対して女性はどのような服装が正解なのでしょう。ここでは女性が注意すべきクールビズの服装マナーについて説明します。

スカート

女性の場合、クールビズといっても露出ではない点に注意しましょう。太ももが半分以上見えているような短いスカートやショートパンツなど、露出度の高いものはNGです。

ボトムスを考える際は「膝下の丈」を意識するとよいでしょう。またスカートを着用する際は基本、ストッキングも着用します。体に張り付くような素材は選ばないようにしましょう。

インナー

クールビズにおける女性の服装は自由度が高くなるものの、透け感のある服装はビジネスシーンにふさわしくありません。インナーを選ぶ際は、ジャケットがなくとも透けないものを選びましょう。

夏用のシャツは冬用に比べて薄いつくりのものが多いため、下着が透けないよう注意が必要です。さらりとした着心地のインナーなら汗対策にもなります。

シャツやブラウス

カジュアルな服装が許されている自社内でも、シャツやブラウスの胸元を大きく開けるのはマナー違反。相手から下着が見えてしまうだけでなく、だらしない女性という印象を与えてしまいます。

首回りを楽にすると確かに涼しくはなります。しかし相手に不快感を与えないためにも、ボタンはひとつ、デザインによってはふたつ開ける程度に留めておきましょう。

清潔感と節度のある服装

クールビズにて、男性は清潔感、女性は露出を抑えた節度ある服装を意識しましょう。企業によって許可されている服装は異なるものの、男性の場合、半袖シャツやポロシャツ、スラックスやチノパンなどの着用が一般的です。

女性の場合は通気性のよい素材を選び、肌を露出しすぎないよう注意しましょう。ノースリーブやキャミソールなどは露出過多のため一般的にNGです。

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7.服装以外のクールビズの取り組み

クールビズに関する取り組みは服装だけではありません。ブラインドや断熱シート、冷感グッズなどを活用しても、冷房に依存しない職場環境をつくれます。このような服装以外のクールビズの取り組みについて説明しましょう。

  1. ブラインドや断熱シート
  2. 冷感グッズ
  3. 省エネ・節電
  4. 朝型シフト

①ブラインドや断熱シート

「設定温度は低いものの、窓際の席だけが暑い」「日差しが差し込むせいで体感温度が下がらない」と声があがる企業もあるでしょう。これらの問題を解決するには、ブラインドや断熱シートの活用が効果的です。

熱の移動を抑えるガラスフィルムを使用すれば、夏場はもちろん冬の冷気も抑えられます。遮熱機能付きブラインドにして、室内の気温上昇を緩和するのも効果的です。

②冷感グッズ

うちわや扇子、小型扇風機などの冷感グッズも体感温度を下げるのに適しています。ひんやりとした座面シートを使えば、熱を持ちやすい大腿部を集中的に冷やせるでしょう。デスク用の小型扇風機なら風が当たるのは自分だけになるため、周囲に迷惑をかけません。

自分が暑いと感じていても、隣の社員は肌寒いと感じている可能性もあります。冷感グッズを活用する際も、周囲への気配りは欠かさずに。

③省エネ・節電

クールビズの実施にはオフィスの省エネ、節電対策も必要です。照明が明るく点灯し、室内のいたるところでパソコンやコピー機が稼働しているオフィスは多くの電力を消費し、機器本体からも熱を発しているもの。

OA機器のなかにはエネルギーの消費を抑える「省エネモード」が搭載されているものもあります。機能を活用して、使用していない機器のエネルギー消費を抑えましょう。

④朝型シフト

日中に比べて涼しい午前中に仕事ができれば、冷房の使用を抑えられます。

また朝型シフトには夜の残業を減らす効果も期待できるのです。朝の早い時間に仕事をはじめて、夜遅くならないうちに帰宅できれば、冷房の使用だけでなく照明に使用していた電力の節電につながります。

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8.クールビズについてよくある疑問

「来週からクールビズで」「クールビズでお越しください」といわれても、「どこまでがクールビズなのかわからない」「本当にクールビズで行っても大丈夫なのか」と悩む人も多いでしょう。ここではクールビズでよくある疑問について説明します。

面接の時はどうしたらいい?

夏の就職活動における悩みのひとつが、企業側から「面接にはクールビズでお越しください」といわれた場合。

たしかにクールビズに対して否定的な企業や、クールビズ対応が難しい職種もあります。しかし指示があった場合は基本、クールビズで面接に臨んでも問題ありません。心配であればネクタイを着用して会社の近くまで行き、社員の服装を見てから判断しましょう。

ボタンをどこまであけていい?

シャツのボタンをどこまであけてよいのかも、よくある疑問のひとつ。首元を緩めて涼しくする際、ボタンをはずし過ぎると先方にだらしない印象を与えてしまいます。

シャツの一番上のボタンは基本、はずしていても問題ありません。またボタンダウンシャツを着用する際は、襟立ちのよさを失わないよう襟先のボタンは閉めたままにしておきましょう。

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9.クールビズの取り組み事例

2005年の導入開始以来、さまざまな企業がクールビズに取り組んでいます。服装の調整や冷感グッズの活用にくわえ、企業風土にあったユニークな取り組みも行われているのです。ここでは具体的なクールビズの取り組み事例を3つ説明します。

愛知県

愛知県では区役所や教育施設などに「緑のカーテン」を設置してクールビズに取り組んでいます。日の当たる窓や壁をアサガオやゴーヤなどのつる性植物で覆う「緑のカーテン」には、夏の強い日差しを和らげる効果があるのです。

ケイエフ

土木工事用資材の開発や販売を行うケイエフでは、社用ポロシャツを製作しました。夏場の業務はこのポロシャツを着用した「スーパークールビズスタイル」で行っています。快適な服装で節電を心掛けた業務を実現している企業の実例です。

クロックス・ジャパン

室温28℃設定を徹底するためクロックス・ジャパンでは、ノーネクタイ、ノージャケットにくわえてTシャツや半ズボンなどの着用を推進しています。室内では自社シューズやサンダルを着用し、スーパークールビズにふさわしい職場環境を実現しているのです。

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10.スーパークールビズとは?

「スーパークールビズ」とは、クールビズで掲げる「28℃の冷房設定温度でも快適に過ごせる」指標にくわえて「冷房を使わなくても仕事に取り組める服装」を推奨した取り組みのこと。

ノーネクタイ、ノージャケットのクールビズにくわえて、ポロシャツやアロハシャツなどの着用が認められています。実際に沖縄県ではアロハシャツに似た「かりゆしウェア」を着用して、観光アピールにも活用しているのです。