2011年の東日本大震災以降に提唱されたスーパークールビズとは、一体なんでしょうか。クールビズや地球温暖化対策なども含めて解説します。
目次
1.スーパークールビズとは?
スーパークールビズとは、「ノーネクタイやノージャケットなどカジュアルな服装をする」「グリーンカーテンを使う」「室温を28度設定に」などを通じて、暑い夏を快適に過ごしながら電力の使用を抑えるという取り組みのこと。
スーパークールビズは、従来のクールビズにはなかった、服装の更なるカジュアル化も認められています。日常生活を工夫して、クールビズの取り組みをさらに徹底させるものとして注目されているのです。
スーパークールビズはいつから始まった?
スーパークールビズの始まりは、2011年5月にさかのぼります。2011年3月に起きた東日本大震災の影響で電力不足が予想されました。それをきっかけに、従来のクールビズをさらに進化させたスーパークールビズが誕生したのです。
2.スーパークールビズの目的、広まった背景
スーパークールビズの広まった背景には、2011年の東日本大震災があります。
東日本大震災では、福島第一原子力発電所が重大な事故を起こしました。事故後に想定された電力不足による日本社会の混乱を避けるため、クールビズを進化させたスーパークールビズに取り組んで、国民全体で節電に貢献することになったのです。
3.スーパークールビズとクールビズの違い
クールビズは、スーパークールビズ以前に行われていた取り組みです。2005年頃から始まり、環境省では毎年5月1日から9月30日までを実施期間として想定しています。
目的は、地球温暖化の防止や省エネで、具体的な取り組みは、ノーネクタイやノージャケットのキャンペーンなどです。
4.スーパークールビズの特徴
スーパークールビズの特徴は3つあります。一体どのようなものでしょうか。
服装に関しては男性向けを想定
女性の服装に関しては、ファッションの幅が広いため、どこまで服装を容認するのか、ガイドラインの作成が難しくなっています。
しかし、ビジネススーツが主流である男性のビジネスファッションに関してはガイドラインが作成しやすいです。そのため、スーパークールビズは、男性向けを想定したものになっているといえます。
かなりカジュアルな服装も許容
スーパークールビズでは、クールビズで容認されていたノーネクタイやノージャケットのほか、ポロシャツやアロハシャツ、チノパンやスニーカーといったファッションが新たに認められているのです。
硬いイメージの官公庁でもアロハシャツを着て勤務している人を見かけるでしょう。このようにスーパークールビズでは、従来のビジネスファッションの枠組みを大きく超えた軽装が認められています。
働き方の見直し
スーパークールビズは、単に服装を軽装化して暑さを軽減するだけでなく、働き方そのものを見直すきっかけにもなりました。
その事例が、勤務時間の朝型へのシフトで、就業時間を前倒しして涼しい朝に仕事をこなしてしまうライフスタイルが推奨されました。さらに、夏休みを長めに取得、在宅勤務の推奨、残業や休日出勤をしないといった働き方の見直しも積極的に行われたのです。
5.スーパークールビズのメリット
スーパークールビズには、2つのメリットがあります。
楽な服装で仕事ができる
ワイシャツと比較してやわらかい素材のポロシャツ・アロハシャツなどを着用するため、業務を楽に進められます。体への負担を少なくしながら働けるのは大きなメリットでしょう。
電力消費や社員の疲労軽減
働く時間を前倒しして朝型に切り替える、気温が上がらない時間に業務や移動を開始するといった働き方の変革は、電力消費の抑止にもつながります。また、暑い中で仕事をしなくて済むため、社員の疲労も軽減できるでしょう。
6.スーパークールビズのデメリット、問題点、課題
メリットが多く見えるスーパークールビズにもデメリットがあるのです。3つの観点から、デメリットを解説しましょう。
職場によって基準が違う
職場によって、「制服がある」「カジュアルな服装は不適切」という場合も。たとえば、衛生関係や危険物取り扱い業務に就いている場合、業務に適した服装で就労しなくてはなりません。
スーパークールビズといっても、従業員全員がカジュアルな服装でいいわけではないのです。このように職場や業務によって服務基準に違いがあることは、デメリットのひとつでしょう。
浸透していない
2005年にスタートしたクールビズは、時間の経過とともにある程度社会全体に認知されました。しかしスーパークールビズは広く浸透しているとはいえません。そのため、従業員の軽装が周囲に不快感を与えてしまう可能性もあるのです。
不公平
男性の場合にはある程度のガイドラインがあるため、その基準に沿って軽装を実施できます。しかし女性の場合、ファッションが多様であることを理由に、ガイドラインが存在しません。
その結果、どの程度軽装にしていいか分からず、従来の服装のままで過ごしてしまうことも多いようです。
7.近年のスーパークールビズ
2015年を最後にスーパークールビズは提唱されていません。2019年を見てみても、発表されているものはスーパークールビズではなく、単なるクールビズだけなのです。
軽装化が認められたスーパークールビズは姿を消し、以前から提唱されているノーネクタイ、ノージャケットのクールビズだけになってしまいました。
8.COOL CHOICEとは?
COOL CHOICEとは、地球温暖化防止のために政府が提唱している国民運動です。
パリ協定の採択
パリ協定とは、第21回気候変動枠組条約締結国会議の開催地であるパリで2015年に採択された地球温暖化対策に関する国際的な協定のこと。
京都議定書の後継となり、温室効果ガスの排出の削減と経済活動の両方の実現について多国間の共通目標として、下記の事柄を掲げています。
- 世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較して1.5℃に抑えるよう努める
- 温室効果ガス排出量をピークアウトし、排出量と吸収量とのバランスを図る
COOL CHOICEの概要
COOL CHOICEでは、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度と比較して26%削減するという目標を掲げています。異なる観点から広い視野を持って地球温暖化対策を考え、行動していこうとする政府提唱の国民運動なのです。
- 脱炭素社会づくりに貢献する製品への買い替え
- ライフスタイルの選択
WARMBIZ(ウォームビズ)
WARMBIZ(ウォームビズ)とは、環境省が行っているキャンペーンで、クールビズの秋冬版です。衣食住の3つの視点から室温20度で快適に生活するために、下記のような内容を挙げています。
- マフラー、手袋、レッグウォーマーを活用
- 機能性素材の下着やセーターを選ぶ
- 身体を温める根菜類やしょうがなどの食材を上手に使う
- 一部屋に集まり暖房や照明を節約
- 断熱シートや二重サッシを活用
ECO DRIVE(エコドライブ)
ECO DRIVE(エコドライブ)とは、警察庁や経済産業省、国土交通省や環境省といった各省庁が中心となって推進している取り組みで、といった取り組みのこと。
- 加速や減速、車間距離などの観点から環境に与える負荷を軽減した自動車の使用を推奨
- 自動車の燃費をよくしていく施策を推奨
また、下記のように気軽に始められる取り組みも推奨しています。
- 無駄なアイドリングをストップする
- 社内のエアコンを適切に使用する
- 不要な荷物を車内から降ろす
SMART MOVE(スマートムーブ)
SMART MOVE(スマートムーブ)とは、日常生活で移動する際、「酸化炭素の排出が少ない移動方法」「地球に優しい移動方法」を選択する取り組みのこと。
たとえば、自動車の使用を控え、「公共交通機関を利用する」「自転車で買い物に行く」「徒歩で移動」などを推奨しているのです。
またスマートムーブは、二酸化炭素の排出量を低減するだけでなく、下記のような副次的な効果も見込めます。
- 徒歩など身体を使う機会が増えるため、健康に近付く
- 従来の移動手段では分からなかった新しい景色を知る
あかり未来計画
あかり未来計画とは、節電や地球温暖化対策の一助になるよう、家庭や職場で使用されている白熱電球による照明を、省エネ機能に優れたLED照明・有機EL照明などへ切り替える計画のことで、環境省や経済産業省が推進します。
一つ一つを変えながら、全体として大きな節電効果を生み出し、生産性や快適性などを維持しつつ省エネを進める取り組みとなっています。