アクションプランとは、目標を達成するために必要なタスクを管理する行動計画です。アクションプランがあると目標達成のプロセスややるべきタスクが明確になるため、効率的に行動できます。
アクションプランとは何か、そしてアクションプランの書き方や実施のポイント、具体例などを見ていきましょう。
目次
1.アクションプランとは?
アクションプランとは、目標を達成するための具体的なプロセスを示す行動計画のこと。業務の把握と適切な管理を目的に「誰が・いつまでに・何をするのか」をふまえた計画を具体的にタスクに落とし込むと、効率的な目標達成に役立つのです。
アクションプランは中長期的または短期的に設定するもので、事業目標には中期的な目標を達成する短期目標が設定される場合が多くみられます。目標に応じて長期的・中期的・短期的な内容で使いわけると、アクションプランを有効活用できるでしょう。
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2.目標達成になぜアクションプランが必要なのか
事業計画にもとづく目標達成は、社内外のさまざまな人や部門との連携が必要となるため複雑化しがちです。そのため、目標が確実に達成されるよう、具体的な行動をタスクに落とし込む必要があります。アクションプランの必要性を詳しくみていきましょう。
- タスクを明確にするため
- 目標達成までの効率化のため
- スケジュールと進捗把握のため
①タスクを明確にするため
目標達成までにやるべきことをタスクとして細分化し「いつ・誰が・何をするのか」具体的に落とし込みます。これにより「いつまでに誰が何をすべきか」「反対に何をしなくてよいか」が明確になるのです。
つまり、アクションプランの存在によってで目標達成までのアクションを取捨選択できるようになり、道筋が明らかになります。
細分化したタスクは目標達成までの小さなゴールであり、ひとつずつ達成すると着実に大きなゴールに近づいているとわかります。そのため、従業員のモチベーションやエンゲージメント維持にも効果的です。
②目標達成までの効率化のため
アクションが取捨選択できると、目標達成までのタスク完了が効率化します。タスク一つひとつが効率化されれば、目標達成までもが効率化されるでしょう。くわえて、時間や予算、人材などリソースの最適活用にも有効です。
また、達成までにやるべきことが明確になっているため、実行予定のアクションも把握でき、事前準備もできます。
たとえば、いつまでにやるべきかわかっていればタスクの優先順位がつけられますし、誰が担当すべきかわかっていれば、必要なときにすぐ連携が取れるでしょう。業務に発生する時間の無駄を省き、最短距離で目標達成に近づけるのです。
③スケジュールと進捗把握のため
アクションプランがあると、各タスクの対応者や業務内容、期限が明確になります。全体のスケジュールが共有されるとプロジェクト全体を俯瞰でき、現状把握しながら適切なスケジュール管理が可能になるのです。
また、進捗が管理しやすくなるため、進行の遅れがあればすぐに軌道修正できます。遅延や問題が発生したときの原因究明にも役立つでしょう。
3.アクションプランを立てるメリット
アクションプランを立てるメリットは、以下5つです。詳しく解説していきます。
- 業務効率化につながる
- 今やるべきことが明確になる
- 現状を客観的に把握できるようになる
- 進捗を管理しやすくなる
- モチベーションが維持できる
①業務効率化につながる
従業員は各々がいつまでに何をやるべきかが明確になっているため、各タスクを効率的に実行できます。
迷うことなくやるべきことに取り組めるため生産性が向上するだけでなく、先の行動計画も明確であるため行動に向けた準備も可能です。スムーズに業務に取り組めるでしょう。
アクションの取捨選択ができるため、目標達成に向けて本当に必要な行動のみ行える点は大きなメリットです。
②今やるべきことが明確になる
タスクや目標が細分化されたうえでやるべきことが明確になっているため、今やるべきアクションがわかります。さらに期限も設定されているため、優先順位をつけながら効率的に業務を遂行できるでしょう。
「今やるべきことがわからない」「仕事の進め方がわからない」状態は生産性の低下を招くもの。アクションプランがあれば、従業員に明確な行動指針を提供し、生産性を上げながら目標達成に取り組めます。
③現状を客観的に把握できるようになる
目標達成までのプロジェクト全体が俯瞰できるため、進捗が見える化され、現状を客観的に把握できます。
そのため進行の遅れを発見しやすく、問題があれば軌道修正もしやすくなるのです。また理想とのギャップも測りやすくなり、ギャップを埋めるための行動が明確になります。
④進捗を管理しやすくなる
各タスクには期限が設けられているため、進捗が見える化したうえでタスクを管理できます。計画どおりに進んでいるか、そうでない場合はどの段階で遅れや問題があるのか、が見える化するのです。
また進捗を管理できれば、担当者に対して適切なアドバイスや指示が出せるうえ、遅れを取り戻すための対処も可能になります。
⑤モチベーションが維持できる
細分化されたタスクは、完了するごとにひとつのゴールを達成します。そのため、数々のタスクに取り組んだ結果、最終的に目標が達成できるのです。
過程が見える化するため、着実に目標に近づいているとわかれば、モチベーションを維持しつつ取り組めるでしょう。
また、ゴールに到達した成功体験を積み重ねられるため、達成感も得られます。モチベーションを維持できれば生産性も向上し、結果的に目標達成までの効率化、業務内容の質向上につながります。
4.アクションプランの書き方
アクションプランの書き方に決まった書式・形式はないため、自社で管理しやすい書き方で問題ありません。
迷った場合は、管理しやすく、かつ見やすい書き方として「ガントチャート」がオススメです。ExcelやPowerPointで手軽に作成でき、テンプレートも豊富にあります。
またITツールの機能を使って作成する方法もあります。ツールによっては人材情報と連携でき、効率的に作成可能です。ここでは、下記6つのステップからアクションプランの書き方を解説します。
- 目標を設定する
- タスクをリストアップする
- リソースを割り当てる
- タスクの優先順位を決める
- 期限を設定する
- 実行・モニタリングを行う
①目標を設定する
まずは、ゴールとなる目標を設定します。プロセスを考えやすくするため、目標は数値化しましょう。たとえば「年度中に○万円の売上達成」をKGIとした場合、KPIは「月○万円の売上確保」「新規受注数◯件の達成」といった内容になります。
大きな目標を達成するための目標を細分化し、年単位の目標である場合は週・月・四半期と短いスパンの目標に落とし込むとよいでしょう。
②タスクをリストアップする
次に、目標を達成するための具体的な行動(タスク)をリストアップします。なぜならKPIにもとづいてタスクも細分化されるからです。タスクは目標と関連させ、タスクを完了することが目標達成につながるようにします。
その際は「週のテレアポ○件」「月の商談○件」などといったようにタスクを数値化し、行動しやすいよう工夫しましょう。進捗を見て、追加すべきタスクがあれば適宜追加していくのも大切です。
③リソースを割り当てる
各タスクにかかる工数をふまえ、予算や人材などのリソースを割り当てます。とくに工数の見積もりは重要です。うまくいかないと実行不可なアクションプランになってしまう恐れもあります。
また人材はスキルや適性、経験や現状を考慮して、割り当てましょう。業務の偏りがないようにリソースを割り当てられれば、より円滑にタスクが進みます。そして、軌道修正が必要にならないよう、リソースは綿密に検討しましょう。
もし実行してからでないとリソースを割り当てられない状況のときは、後で割り当てるべきリソースを書き出し、そのあとで対応しても問題ありません。
④タスクの優先順位を決める
アクションプランに則ってより効率的に進めるため優先度の高いタスクと余裕のあるタスクに分類して、タスクの優先順位を決めます。
優先順位をつければ「前のタスクが完了してから始めるタスクがある」といった、タスクの相関と依存関係が明確になるのです。
計画段階でこの順序に違いが生じると、いざアクションプランを実行した際に遅れが生じる恐れもあります。
⑤期限を設定する
いずれのタスクも余裕を持って期日を設定し、優先度の高いタスクから近い日程で期日を設定しましょう。期日を決めると、進捗と全体が見える化します。
注意点は、一方的に期日を決めないこと。従業員のリソースを確認し、不都合のないスケジュールを組みます。期日ゆえに無理な残業が発生しないようスケジュールを調整しましょう。
⑥実行・モニタリングを行う
実際にアクションプランを実行し、進捗や達成度をモニタリングしながらアクションプランのPDCAを回していきます。追加のアクションや目標があれば適宜追加し、進捗や従業員の様子をふまえて、リソースを追加しても問題ありません。
5.アクションプラン実施のポイント
アクションプラン実施のポイントは、以下5つです。各ポイントについて詳しく解説します。
- 進捗を把握する
- KPIを整理する
- リスクを想定する
- 臨機応変に変更をくわえる
- 目的は「行動」すること
①進捗を把握する
アクションプランを有効活用するには、進捗管理が重要です。報告書の作成や定例会議の実施などから、進捗確認のタイミングを明確にしましょう。
また進捗は各タスクのKPIや目標の難易度などから適切な基準を設けて確認するのがポイントです。そうすると、進捗確認により遅れや課題を小さなうちに把握し、軌道修正できます。
②KPIを整理する
KPIに従って具体的なアクションが検討できるよう、アクションプランの作成前にKPIを整理しましょう。
例として「アポ件数月100件」「月のアクセス数を20%増やす」などが挙げられます。目標から細分化し、目標の達成に必要なKPIを設定するのがポイントです。
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③リスクを想定する
アクションプランを実行する際、必ずしもアクションプランどおりスムーズに進行できるとは限りません。起こりうるリスクを想定し、事前に対策や準備、代替案を用意しておくとよいでしょう。
タスク実行の滞りをなるべく減らす際のカギは「事前にどれだけリスクを想定でき、そのための対策ができているか」です。
④臨機応変に変更をくわえる
アクションプランどおりに進まないこともあるため、臨機応変に変更をくわえながら進めていきましょう。ひとくちに変更といっても「全体的に見直す必要があるのか」「部分的な変更か」「目標自体の変更が必要か」などさまざまな要素から検討するのです。
またアクションプランを実行する際は、PDCAサイクルを回していきます。変更有無の検討はC(評価)の部分で行いましょう。PDCAを効率的に回し、C(評価)の精度が高いほど効率的にアクションプランが実行できます。
⑤目的は「行動」すること
アクションプランは行動計画とアクション実行に焦点を置いたフレームワークです。よって目標達成の進捗確認が、目的ではありません。アクションが計画どおり進んでいるかを確認する際は、タスクごとに実行すべきアクションに焦点を当てましょう。
6.アクションプランの具体例
ここでは、アクションプランの具体例をご紹介します。
【営業】アクションプランの具体例
- 数値目標の決定
- 提案内容・数の決定
- 営業数を決定
①数値目標の決定
- KGI:年間売上2400万円
- KPI:月売上200万円
②提案内容・数の決定
- 月200万円を確保するために提案する商材、提案数を決定
③営業数を決定
- テレアポ100件/月
- 訪問営業10件/月
営業は具体的な数字に落としやすいため、アクションプランが作成しやすいでしょう。ポイントは、数値目標を達成するためには「どのように・どのくらい動けばよいか」を軸にアクションプランを策定することです。
【人事】アクションプランの具体例
①目標の設定
- KGI:新規事業の推進
- KPI:中途採用◯人確保
②採用したい人材の定義
- 適性やスキル、経験など、採用したい人材を定義
③中途採用の手段・採用までのスケジュール作成
- 求人媒体の選定・出稿(◯/◯まで)
- 応募の中から面接候補者の選定(◯/◯まで)
- 面接のスケジュール確定(◯/◯まで)
- 採用者の決定(◯/◯まで)
- 内定辞退防止のアフターフォロー
人事は定性的な業務も多く、アクションプランが立てにくいでしょう。着実に目標が達成できるアクションプランを作成するには、アクションプランで定数的に業務を管理することポイントです。