アジェンダとは、会議のタイムテーブルや課題や議題をまとめた文書のこと。ビジネスでの使用シーン、アジェンダを作成するメリットなどを解説します。
目次
1.アジェンダとは?
アジェンダとは、会議の議題として予定している内容をまとめた文書のこと。もとはラテン語で、「実行に移されるべき事柄」を意味します。外資系企業では、会議の議題をまとめた文書をあらかじめ参加者へ提示し、この文書をアジェンダと呼んでいました。
日本でアジェンダという用語が普及したきっかけは、1992年の国連環境開発会議(地球サミット)で採択された「アジェンダ21」という文書にあります。
アジェンダを日本語で言い換えると?
日本語での言い換えは、「行動計画」「実施計画」「議題」「検討課題」「協議事項」など。また「会議の予定表」と近い意味で使われる場合もあります。なお先述した「アジェンダ21」は、各国が実行すべき行動計画という意味です。
2.アジェンダという言葉の使い方
アジェンダは、会議の議題として予定している内容をまとめた文書なので基本、ビジネスや政治の会議で使われます。ここではアジェンダの具体的な使用シーンと使用例を解説しましょう。
ビジネスにおける使用シーン
予定表を意味するアジェンダは基本、会議の情報共有を目的として使われます。議題や検討課題、協議事項などを事前に全員へ共有し、会議をスムーズに進めるためです。
共有の方法として、会議前や会議の場でアジェンダを「紙やメールなどで全員に配布する」「口頭で説明する」「プロジェクターで映し出す」などが挙げられます。
アジェンダを用いた例文
前後の文脈によって、アジェンダの意味が変わります。
- 予定表の意味:「来週の会議に向けて、アジェンダを作成してほしい」
- 議題の意味:「本会議のアジェンダは各部門におけるコスト削減です」
- 行動計画の意味:「先日の会議で決定したアジェンダに今日から取り組む」
なお政府や公官庁は、取り組むべき政策という意味で使う場合もあります。
3.アジェンダとレジュメの違い
アジェンダと似た言葉にレジュメがあり、いずれも「予定」の意味を含むため混同しやすい語です。違いを解説しましょう。
レジュメとは?
発表内容を要約した文書のこと。語源はフランス語の「résumé(要約)」です。
大学の研究発表や講義などで使われます。たとえば講義前に配られるプリントもレジュメのひとつ。ビジネスシーンでは、会議の内容を要約した文書レジュメと呼ぶ場合があります。また外資系企業では、履歴書や職務経歴書を指す場合もあるのです。
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違いと使い分け
予定している内容をまとめた文書はアジェンダ、発言する内容の要点をまとめている文書はレジュメです。そのためそれぞれの文書を作成する人が異なります。なおアジェンダは会議のファシリテーター(進行役)が作るのが望ましいと言われています。
ただし会議の議題として予定している項目にくわえ、それぞれ予定している内容の要点も記載した文書を作成した場合、アジェンダとレジュメの両方の意味を持つことになるでしょう。
4.ビジネスでアジェンダを作成する意味・重要性
アジェンダは、会議をスムーズに進めるために必要です。参加者は時間を割いて会議やミーティングに参加します。限られた時間のなかで効率的に進め、結論を導き出さなければなりません。
アジェンダがあれば会議の「5W1H」が明確になり、参加者が議論の方向性やテーマを見失わずに会議を進められます。
5W1Hとは、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(なにを)」「Why(なんのために)」「How(どのように)」6つの要素のこと。
とくにアジェンダでは「Why」にあたる「目的」を記載しておくと、参加者に会議の意図を伝えやすくなります。
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5.アジェンダを作成するメリット
限られた時間を有効活用するためには、良質なアジェンダを作成する必要があります。アジェンダで事前に会議内の予定を共有すると、会議が横道に逸れにくくなるからです。ここでは、アジェンダを作成するメリットについて解説します。
- 会議前に認識を統一
- 会議の効率化
- 意見交換の円滑化
- 議論のズレを防止
①会議前に認識を統一
会議前に「この会議は何の目的で行われるのか」「何を協議し、何を決めなくてはならないのか」などを周知でき、参加者の認識を統一できます。
目的や内容、決議すべき項目が明確になっていないと、議題が逸れ、時間内に結論へたどり着けなくなるかもしれません。何回も会議を重ねれば、人件費を無駄にし、業務効率も低下してしまうでしょう。
このような非効率的な会議にしないためにもアジェンダを作成し、事前に全員が会議の目的や決議事項などを理解しておく必要があります。
②会議の効率化
アジェンダは会議の議題を示すだけではなく議事日程や計画表としての側面があるので、会議を効率化させます。
一般的にアジェンダにはタイムスケジュールも記載するため、アジェンダどおりに会議を進めていけば、ひとつの議題に余計な時間を取ってしまう心配がありません。会議が長引くのを防ぎ、無駄な時間を削減できるのです。
また複数の議題があると、ある議題を議論し忘れる恐れもあります。アジェンダにすべての議題を記載しておけば、見落さずに議論でき、効率的に会議を進められます。
③意見交換の円滑化
アジェンダを提示しておくと、議題に対する意見交換が円滑化します。事前に議題を共有できるため、参加者はなにを話すべきか、あらかじめ考えておけるからです。多くの参加者が意見を述べるほど多角的な検討ができ、よりよい結論を導けるでしょう。
このような意義のある会議にするためには、参加者全員がアジェンダに目をとおしたうえで、会議に参加するよううながすことが重要です。またアジェンダを見て参加を希望した人を募る方法もあります。
④議論のズレを防止
アジェンダで論点を共有できるので、議論のズレを防止できます。たとえばアジェンダどおりに会議が進んでいない場合、ファシリテーターが「話を議題に戻しましょう」と参加者へ伝えやすくなり、議論のズレを修正できるのです。
アジェンダは予定という意味も持ちます。しかし大きな役割は論点を明確化することだといえるでしょう。
6.アジェンダの具体例
アジェンダには、下記のような内容を記載します。具体的な作成事例を紹介しましょう。
- 会議名
- 日時
- 場所
- 目的
- 議題と所要時間
- 参加者
- 配布資料
- 備考欄
会議名
- 2023年上期 採用戦略会議
場所
- 大阪支店 第1会議室
日時
- 2023年1月9日(月) 13時から15時
目的
- 2023年 採用計画の共有および方針の決定
議題
- 採用計画の概要を説明/13時00分から13時10分
- 各部署の人材状況報告/13時00分から13時30分
- 議題① 採用計画の検討/13時30分から14時
- 議題② 選考プロセスの検討/14時から14時30分
- 議題③ 採用の媒体選定/14時30分から14時50分
- 質疑応答/4時50分から15時00分
参加者
- 横井人事部長
- 中谷課長(開発部)
- 高橋課長(営業部)
- 阿部
配布資料
- レジュメ
- 採用関連資料
備考
- 本会議に関するお問い合わせは、阿部までお願いいたします。
7.アジェンダ作りのポイント
アジェンダ作りで押さえておきたいポイントのひとつは、先に述べた5W1Hです。ここではさらに4つのポイントを解説します。
- 質疑応答を踏まえて作成
- 参加者への事前共有を徹底
- 議事録を意識した項目を記載
- 会議の目的や決議する項目などを簡潔に記載
①質疑応答を踏まえて作成
会議の最後に質疑応答の時間を設けます。質疑応答があれば参加者はその日のうちに疑問を解決できるからです。質疑応答の時間は、振り返りも含めて10分程度で問題ありません。
しかし議題や報告が多いと質疑応答の時間を取れない場合もあります。その場合、アジェンダの作成者は、開催者と会議の内容を再検討すべきでしょう。
②参加者への事前共有を徹底
会議やミーティングを有意義なものにするためにも、事前に参加者へアジェンダを共有しましょう。
参加者に事前に情報を共有すれば事前に自分の意見や質問などをまとめておけるため、より有意義な会議になるからです。当日会議の進行を務めるファシリテーターへの事前共有も忘れてはなりません。
関連資料を事前に用意できる場合は、アジェンダとともに配布します。
③議事録を意識した項目を記載
アジェンダを作成する際は、会議やミーティングの議事録を作りやすい構成にします。
議事録は会議の結果を迅速に共有するため、会議の終了後24時間以内に作成し、提出するのが基本です。アジェンダを活用して議事録を作れれば、会議で決まった内容をスピーディーにアクションへ移せるでしょう。
また日時や議題、参加者など議事録の項目とアジェンダの項目は共通していますし、「アジェンダに沿って会議を進められたか」「会議の目的に対する結論を導き出せたか」などを把握しやすくなります。
④会議の目的や決議する項目などを簡潔に記載
アジェンダを作成する際は「議題」「報告内容」「会議の目的」「決議すべき項目」を明確にし、わかりやすく簡潔にまとめましょう。
会議やミーティングの目的は、何かしらの結論を導き出すこと。目的やゴールが不明瞭だと何を議論すればよいかがわからなくなり、議論が横道にそれる可能性もあります。
8.アジェンダの書き方
具体的にアジェンダの書き方と作成する際のポイントを解説します。
- 会議名
- 会議目的
- 参加者名
- 議題とタイムテーブル
- 配布資料
①会議名
会議名は、会議の目的に合った名称を記載します。
商品開発の会議であれば「〇〇商品開発会議」、プロジェクトであれば「〇〇プロジェクト」などが適切です。定期的に開催している会議であれば「定例会議」でも問題ありません。
②会議目的
会議の目的は決定や共有、報告などさまざま。何を目的としているかを明確に記載します。
たとえば先に挙げた具体例の目的は、「2023年 採用計画の共有および方針の決定」でした。これを「採用計画について」と記載すると、参加者はこの会議で何をするのかわかりません。
目的を具体的に記載すれば、参加者が意見や質問を事前に用意でき、結論を導きやすくなります。
③参加者名
参加者を記載する際は当日の参加者にくわえてファシリテーターやタイムキーパー、書記なども記載します。
このとき名前だけではなく、所属先も記載すとよいでしょう。議題と関連するプロジェクトのメンバーが参加するなら、そのプロジェクト名も記載します。「なぜこの会議にこの人が必要なのか」が明確になり、発言に説得力が増すからです。
④議題とタイムテーブル
議題のなかには、決定だけでなく報告や連絡も含まれます。議論のポイントを提示するために、会議の議題を明確にしましょう。それぞれの議題に「決定」「説明」「報告」などを含めると、ポイントが伝わりやすくなります。
また議題を詰め込みすぎると、何の話し合いかわからなくなりがちです。できる限り必要な議題に絞れば、本筋から逸れるのも防げるでしょう。なお2時間の会議で適切な議題数は3つほどといわれています。
議題が確定したらタイムテーブルを作成し、ひとつの議題にかける時間を決定。時間を区切らないと、時間内にすべての議題を進められなくなる恐れがあるからです。議題を詰め込みすぎて時間が足りない場合は、議題の数と優先順位を見直しましょう。
⑤配布資料
当日に配布する資料や前もって配布する資料がある場合、資料名と参照するページ番号などをアジェンダに記載します。
配布資料を記載すれば、会議に参加する人が「この議題について考えておこう」と前もって準備でき、質の高い会議となるからです。また会議の準備で資料の用意が漏れる心配もなくなります。