アライアンスとは? 意味や使い方、M&Aとの違いをわかりやすく

ビジネスでよく耳にするアライアンスは、何気ない会話の中でも使われており、今やビジネス用語として定着しています。しかし、アライアンスとは一体なんでしょう?

アライアンスが具体的にビジネスシーンにおいてどのような場合に使われる言葉なのか、よく分からない人もいるのではないでしょうか?

ここでは改めてアライアンスについて見ていきます。

1.アライアンスとは?

アライアンスとは、複数の異業種企業が、互いの利益を上げる、業務を拡大させる、新規事業を立ち上げる、といった目的で、業務提携を交わすことです。業務提携という経営スタイルには、互いの企業が持つ資産を活用していくというメリットがあります。

また、

  • 顧客に対して迅速に対応できる
  • 既成の業界価値にとらわれない、新たな戦略が可能

といった相乗効果も得られるのです。

英語:アライアンス(alliance)の意味は?
アライアンスとは、英語で
  • 同盟
  • 連合
  • 提携
  • 縁組
といった意味を持つ言葉です。それぞれ異なる立場の個人や団体が協力関係を築くことで、さらなる発展を目指していくというニュアンスで使われます。

アライアンスとは、異業種の企業同士が事業提携して、さらなる「事業の拡大」「利益の追求」を目指した経営スタイルのこと。

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2.アライアンスの言い換え

アライアンスという言葉を日本語で言い換える場合、

  • 縁組
  • 同盟
  • 連合
  • 提携
  • 協定
  • 協力
  • 協業

といった言葉を用いるのが適しています。

ビジネスにおいてアライアンスという言葉が使われる場合、企業同士の提携関係を指すことが一般的ですので、

  • 企業同盟
  • 企業連合
  • 企業提携

といった言い換えもできます。

アライアンスは提携といった意味を持つ言葉です。ビジネスでは企業同盟や企業連携という言葉に言い換えられます。

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3.アライアンスに関する言葉の例

アライアンスとは、企業提携した経営スタイルのこと。しかし、具体的にどのような場合にこの言葉が使われているのでしょう。ここでは「アライアンス」に関するビジネス用語を取り上げて、その内容を説明します。

具体例①アライアンス契約

アライアンス契約とは、複数の企業が業務提携していく際に取り交わす契約のこと。

資金や技術、人材や情報などを互いに出し合って運用していく場合、アライアンス契約の規定にもとづいて行われます。

具体例②アライアンス事業

アライアンス事業とは、業務提携した他企業と共同で行う事業のこと。

業務提携を交わすことで、既存事業の拡大や新規事業の立ち上げなどが可能になり、業界全体の底上げにもつながっていきます。

具体例③ストラテジックアライアンス(アライアンス戦略)

ストラテジックアライアンスとは、業務提携したことで行われる企業間の経営戦略のこと。

  • それぞれの企業が持つ資産を共有し合う
  • それによって相互にメリットを享受する

といった戦略が取られます。

具体例④アライアンスパートナー

アライアンスパートナーとは、業務提携した相手企業のこと。

他企業と協力関係を築くことで、

  • 事業の拡大と利益の追求
  • 自社の苦手分野に対して知識やノウハウなどが習得できる

といったメリットがあります。

具体例⑤ミスアライアンス

ミスアライアンスとは、その名の通り失敗してしまったアライアンスのこと。ビジネスでは業務提携に失敗したことを指し、英語を直訳すると「不釣り合いな結婚」を意味した言葉となります。

企業提携した際に取り交わす契約や相手企業を指す場合などに、アライアンスという言葉が用いられます。

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4.アライアンスの語源・歴史

英語圏ではビジネスや経営にかかわらず、あらゆる分野で提携が行われる際に古くから用いられてきた言葉だとされています。

1997年に世界的規模で設立された航空連合「スターアライアンス」の話題から、日本でもこの言葉が頻繁に使われ始めました。

その背景にあるのは、

  • 急速に進んだ経済のグローバル化
  • 国際的な企業提携の活性化
  • IT革命による情報技術の発展

そして、ビジネス用語として定着していったのです。

国際的に企業提携が行われ始めた90年代後半から、日本でもアライアンスがビジネス用語として用いられるようになりました。

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5.アライアンスとM&Aの違い

M&Aは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」を略した言葉で、

  • 複数の企業が合併
  • 1つの企業による他企業の買収

といった経営戦略を指します。

アライアンスは連合や提携といった意味で、

  • 協力関係を築いていく
  • それによって互いにメリットが享受できる

といった経営スタイルです。アライアンスはあくまで業務提携のことで、合併や買収によって1つの企業に吸収されるM&Aとは、意味合いが異なります。

それぞれのメリット・デメリット

アライアンスのメリット・デメリット

アライアンスは業務提携のため、それぞれの企業の独立性が保たれる、事業におけるリスクの分散というメリットがあります。

一方で自社の技術やノウハウが流出するリスクを伴うなどがデメリットとして挙げられます。

M&Aのメリット・デメリット

M&Aは1つの企業として統合されるため、迅速なスピードで事業を拡大できる、技術やノウハウの流出が最小限に抑えられるというメリットが挙げられます。

しかし、現場で摩擦や衝突が生じる可能性がある、事業リスクが分散されないといったデメリットもあるのです。

アライアンスは業務提携を、M&Aは合併や買収を意味しており、それぞれ経営スタイルが異なります。

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6.アライアンスと請負の違い

請負とは、元請け(注文者)が下請け(請負人)に仕事を依頼し、仕事の結果によって報酬を支払うといったビジネス契約を指した言葉のこと。

そういったことから共同で事業を行うにしても、元請けと下請けとでは業務上での立場が異なるため、企業間に上下関係が発生します。

それに対してアライアンスは、企業同士がパートナー関係を築き、対等な立場から事業を行うという業務提携のため、企業間で上下関係は生じません。

アライアンスとパートナーシップの違い

パートナーシップは、英米法で認められている共同企業の形態の一つです。

2人以上の人間が、金銭や労務、技術などを出資し合うといった営利行為関係もしくは契約のことを表すために、この言葉が用いられています。日本の合資会社、合名会社もこの形態に近いといえるでしょう。

アライアンスは合資会社や共同企業とは違い、自社の独立性を保持したまま他企業と業務提携を結ぶため、パートナーシップには当てはまりません。

業務提携と資本提携の違い

業務提携とは共同で事業を行うに当たって、必要とされる技術やノウハウ、人材、販売経路などを企業間で共有すること。それによって、経営戦略の実現やイノベーションの創出といった効果を相互の企業にもたらします。

資本提携とは、支配権や経営権、拒否権が発生しない程度に互いの株式を保有し合い、業務提携よりもさらに強固な信頼関係を築くこと。資本提携を交わすことで増資が実現できるため、広い観点ではM&Aの一種ともいえます。

アライアンスは企業同士が対等な関係で事業を行うことであり、請負やパートナーシップ、資本提携とは異なります。

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7.企業がアライアンスを行う目的

NTTデータ経営研究所が「アライアンスを実施した企業」もしくは「実施予定という企業」を対象に、「どのような目的でアライアンスが行われるのか」について調査を行いました。ここでは全体の10%以上を占める回答を紹介します。

  • 既存市場での新しい製品・サービスの開発(41.2%)
  • マーケットシェアの拡大(36.2%)
  • 新しい市場での新しい製品・サービスの開発(34.6%)
  • 国内外販路拡大(18.9%)
  • コスト削減(18.4%)
  • 技術や知識・ノウハウ・人材の補完(18.2%)

企業がアライアンスを行う目的として挙げられるのは、「既存もしくは新しい市場での製品やサービスの新開発」「マーケットの拡大」です。

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8.アライアンスで得られる効果

企業がアライアンスの実施によって得られるメリットは、下記のとおりです。

  1. 比較的低コストで実施でき、経営資産を活用できる
  2. 業界内での企業競争力が向上
  3. 自社の独立性を維持できる
  4. 協力関係の解消が容易

メリット①比較的低コストで実施できる

アライアンスは容易に契約の締結や解消が行えるため、コストパフォーマンスの面から見ても優れています。

  • 合併や買収とは違って、膨大な時間と莫大なお金がかからない
  • 提携した相手企業からコントロールされることがない
  • 企業間で不必要なストレスや不満を感じることもない
  • 自社の経営資産を任意に活用することが可能

メリット②企業競争力が向上

アライアンスを実施することで、自社の弱点を克服できるようになります。

  • 自社になかったノウハウや経営資源を保有する企業と業務提携を結ぶ
  • 自社単独ではどうすることもできなかった困難な課題を解決へと導く

といったメリットがあるため、顧客に対して新たな価値を提供できるようになるのです。さらなる企業成長と発展が見込めるでしょう。

メリット③独立性を維持できる

業務提携とは、パートナー企業の経営資源を活用させて、各社それぞれが掲げる経営戦略を実現するための施策のこと。そのため互いの資本を持ち合う必要がありません。

両者の経営面での独立性を保ちながら、

  • 生産性向上
  • 売上高増加
  • コスト削減
  • 新技術の開発
  • イノベーションの創出

といった経営戦略が目指せます。

メリット④協力関係の解消が容易

直接的な利害関係が存在する資本提携と異なり、業務提携は協力関係の解消が比較的容易に行えます。

  • 市場環境に大きな変化が発生した
  • 自社の経営方針を見直さなければならない事態が起きた
  • 経営戦略を練り直す必要が生じた

といった際は、柔軟かつ迅速に業務提携を解消して、自社の態勢を立て直すことが可能なのです。

業務提携はコストがかからず、自社の独自性を保ったまま経営戦略が実現できます。協力関係の解消も容易です。

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9.アライアンスにおけるリスクや問題点

アライアンスには、リスクや問題点があります。

  1. 実効性があるのか、保証はできない
  2. 顧客の個人情報が漏洩するリスク
  3. 自社の技術やノウハウが流出するリスク

デメリット①実効性が保証されない

業務提携はあくまで協力関係を築くだけの契約ですので、実際に業務を遂行できるかどうかは、各社に委ねられています。

業務提携を結ぶ際のリスクとして、

  • 想定よりも経営戦略がうまくいくか、保証できない
  • 場合によってはアライアンスの効果が想定よりも下回ることも

などがあるのです。

デメリット②顧客の個人情報が漏洩するリスク

自社が情報セキュリティ対策を行っていたとしても、パートナー企業も同様の意識を持っているとは限りません。つまり、情報漏洩のリスクが発生するのです。

  • 業務提携を結ぶ前にしっかりと相手企業の情報セキュリティ意識を見極める
  • 業務提携終了後の情報の取り扱いについて業務提携契約書に明記しておく

など、情報漏洩リスクを最小限に抑えるための心掛けが必要でしょう。

デメリット③自社の技術やノウハウが流出するリスク

顧客の個人情報同様に、パートナー企業のセキュリティ対策の意識が低ければ、自社の技術やノウハウが外部に流出してしまうでしょう。こうした技術やノウハウの流出を防ぎ、情報漏洩のリスクを回避する方法として考えられるのは、

  • 契約書に秘密保持条項を規定する
  • 別途、秘密保持契約書を取り交わす

などです。

アライアンスは実効性が保証されず、顧客の個人情報の漏洩、自社の技術、ノウハウの流出といったリスクが伴います。

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10.アライアンスの種類

業務提携には、主に3つの形態があります。

  1. 自社製品の供給不足を解消する「生産提携」
  2. 市場シェアの拡大、売り上げや知名度のアップを目的とした「販売提携」
  3. 技術支援や技術提供、新技術の共同開発などを行う「技術提携」

①生産提携

生産提携とは、自社製品の需要が好調で生産が追いつかず、供給が不足してしまった場合の解消策として、パートナー企業に生産や製造の一部を委託すること

自社は生産能力の補充、受託側は工場の設備稼働率を高めることができます。品質保持のために、製造仕様書による詳細な指示や管理が必要です。

②販売提携

販売提携とは、「市場シェアの拡大」「売り上げや知名度アップ」を目的に、両社がすでに構築している販売チャネルを活用していくこと

  • 技術力や商品力はあるが販売や営業力のノウハウが弱い
  • 新規分野などで販売ルートを持たない

といった場合、すでに販売ルートや販売ノウハウを持っている企業に販売を委託します。

③技術提携

技術提携とは、互いの独自技術やノウハウ、優秀な人材を持ち寄ること。パートナー企業の保有する技術やノウハウ、人材を活用することにより、

  • 自社の技術力向上
  • 優秀な人材の育成
  • 高度な技術の開発
  • 開発速度の向上
  • 開発リスクの分散

などが実現できます。その他、技術の支援や提供などから新製品の共同開発などを行うことも。

アライアンスには、「生産提携」、「販売提携」、「技術提携」の3種類があります。

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11.アライアンスを締結する方法

業務提携の締結は、9つのステップで構成されています。

STEP.1
なぜ業務提携を実施するのか、目的を明確にする
STEP.2
自社の「強みと弱み」をきちんと見極める
STEP.3
提携候補となる企業先をリストアップ
STEP.4
提携先の候補となる企業の経営戦略や業務内容を正確に把握
STEP.5
提携先の企業を決定して、基本合意書を締結
STEP.6
提携内容の詳細を決めていく
STEP.7
業務提携契約書を作成して、両社の間で契約を締結
STEP.8
取り交わした提携契約に基づいて業務を開始
STEP.9
業務提携によって得た成果を評価

業務提携を締結する際は、まず自社の目的を明確にしましょう。候補先の企業をよく調べ、契約を交わす前に詳細に提携内容を決めていくことが重要です。