朝活とは、朝の時間帯に活動することです。朝活が広まった背景やメリット、効果、注意点、取り組みやすい朝活、企業事例についてなどを解説します。
目次
1.朝活とは?
朝活とは、朝の時間を有効に活用して活動すること。一般的に「学校や仕事に行く前の1〜2時間」「朝ごはんを食べる前までの1時間程度」を指します。
目的は、その時間を自分の趣味やスキルアップのために有効活用し、生活を充実させること。「早起きは三文の徳」という言葉があるように、朝早く起きて早く眠り、生活リズムを整えていくと心身ともにメリットがあるとされているのです。
2.朝活が広まった背景
朝活が広まった背景にあると考えられるのは下記の2つです。以下で詳しく説明しましょう。
- 働き方改革による生産性向上
- SNSの普及
①働き方改革による生産性向上
朝活が広まったのは、「働き方改革」による生産性向上の動きがあげられます。残業時間が制限され、社内で仕事が思うようにできない人が増えました。そうしたビジネスパーソンが早起きして、朝時間の有効活用に取り組み、生産性向上につなげているのです。
- やらなければならない仕事をやる
- 趣味
- スキルアップ
- 健康増進
- サイドビジネス
などで幅広く活用されています。
②SNSの普及
SNSの普及も考えられます。朝活が一般に広く浸透し始めた時期と、日本語版ツイッターのリリース時期がちょうど同じ頃です。
これまで個人で行っていた活動を、不特定多数に向けて発信できるようになったため、早起きの習慣がある人同士での朝活コミュニティがいたるところで生まれました。メディアでも取り上げられ、広く知られるようになったのです。
3.朝活をしている人の割合
転職サイトを運営するビズリーチが、登録会員1,995人を対象にアンケートを実施。その結果始業前になんらかの「朝活」をしている人が6割にのぼると判明しました。その内容について、「運動する」と答えた人が3割を超えていたのです。
朝の運動は、健康増進や仕事がはかどるといったメリットがあります。そのため実践する人が多いようです。
4.朝活を導入する企業が増加
個人だけでなく、企業として朝活を取り入れているケースもあります。詳しく紹介しましょう。
福利厚生としての「朝活」
福利厚生の一環として朝時間を活用している企業があります。Nagisaでは、毎週月曜日の朝にフルーツ提供を行っているのです。
- 社員からは、
- 美容にも健康にも嬉しい
- 毎週楽しみ
- 社員同士が仲良くなれた
との評価があります。
またLINEでは無料で朝食を提供。社員が飽きないようメニューを工夫しており、クリスマスにはドーナツやハンバーガーなど普段と違うものを用意しているのです。
自社サービスとしての「朝活」
英会話教室の「イーオン」は、ビジネスパーソンの通学希望に応え、平日の朝7:30より「早朝レッスン」プログラムを新設。また日本最大級の朝活コミュニティ「朝渋」は、3つの活動を展開しています。
- 新刊著者を招いたトークイベント
- 仲間と朝活を楽しむオンラインコミュニティ
- 本気で早起き習慣を身につける短期集中プログラム
5.朝活のメリットや効果
朝活のメリットは生産性の向上や健康増進、スキルアップなど多彩です。メリットや効果を詳しく見ていきましょう。
- 通勤混雑の回避
- 生産性の向上
- 社員の生活リズムが整う
- 学びの成果が出やすい
①通勤混雑の回避
多くのビジネスパーソンが同じ時間帯に出勤すると、電車や道路が混み合います。しかし朝1時間でも家を早く出れば、電車では座って通勤でき、道路もそれほど混雑していないので、朝の通勤による体力消耗や精神的ストレスが緩和されるでしょう。
始業時刻を1時間前後前倒しする「朝型勤務」を導入する会社も増えています。
②生産性の向上
朝食をしっかり食べると、仕事の効率や生産性が上昇するとされています。
脳にとって唯一の栄養素はブドウ糖。朝食でしっかり補充すると脳にスイッチが入り、行動のパフォーマンスを高められるそうです。結果、読書や勉強によって得られる効果が高まる、と期待されています。
③社員の生活リズムが整う
早起きをすると気持ちが前向きになり、心身ともに健康になるといわれています。
早起きにて網膜に光を浴びると、心身の安定に寄与するセロトニンと呼ばれる脳内物質が分泌。そしてセロトニンが十分に分泌されると、夜の寝つきを良くするメラトニンが多く分泌されます。
朝早く起きると、質の高い睡眠が促されると同時に生活リズムも整うのです。
④学びの成果が出やすい
朝学んだことは、成果が出やすくなるといわれています。
たとえば朝活イベントで学んだことは、その日のうちに試したり実践したりできるため、学びの成果が出やすく、しっかりと身につく実感もあるでしょう。一方、夜に学んだことは一晩寝てしまうため内容が薄れてしまったり覚えていなかったりする場合があります。
6.朝活に取り組む際の注意点
朝活にはメリットがたくさんあるとはいえ、無理に行うものではありません。朝活に取り組む際の注意点を紹介します。
- 社員のモチベーションを維持する
- 強制しない
①社員のモチベーションを維持する
朝活が大きな負担になってしまい、モチベーションが下がってしまうケースもあります。
なかには朝活を始めた結果、「出勤の準備をする時間がなくなってしまったため、このまま朝活を続けるのが難しい」という人もいるようです。
朝活で大切なことは、無理のない範囲での時間設定。「出勤の30分前まで」と作業時間に区切りを設けておくとよいでしょう。
②強制しない
朝活は強制するものでありません。体内時計の周期には個人差があるため、朝活に向かないタイプの人もいます。
夜型の人が早起きしようと努力すると、かえって睡眠不足になってしまいます。それが続くと、体調不良だけでなくメンタルヘルスの不調にもつながるでしょう。仕事のパフォーマンスが低下してしまうかもしれません。
7.企業が取り組みやすい「朝活」
朝活には決められた時間もすべき内容もありません。自分がやりたい活動をするのが一番です。取り組みやすい朝活を紹介しましょう。
- 資格取得などの勉強会
- 英会話
- 読書
- 朝食
- 朝ヨガ
- ウォーキング・ジョギング
①資格取得の勉強会
資格取得の勉強会を朝に行うのは、多忙な職場ならなおさらオススメです。仕事や急なアポイントなどに左右されず、じっくりと取り組めるでしょう。
終業後の勉強会では、一日仕事をして疲れている頭で勉強をするため、集中力ももたず何も身につきません。朝に勉強会を行えば、学んだことをその日の仕事に活用できます。
②英会話
英会話スクールでは、
- ビジネスパーソンを対象にした早朝レッスンプログラム
- 朝活英会話の講座
- 朝の時間帯にカフェで英会話を学べるイベント
など、早朝に英語のレッスンを受けられるサービスが充実しています。
朝は、
- 同僚からの飲み会の誘い
- クライアントへの急な対応
- 会社の打ち合わせ
などもなく、英会話に集中できる時間です。
③読書
毎朝30分を読書の時間にあてると、1年で何冊の本が読めるでしょうか。日々多忙なビジネスパーソンが読書量を増やすのは意外と難しいもの。毎朝の通勤電車で読んだり寝る前にベッドで読書をしたりでは、どうしても細切れになり集中力も散漫になりがちです。
朝活なら誰からも邪魔されず、静かに読書に没頭できます。コーヒーを飲みながら読書するのもおすすめです。
④朝食
「毎朝ご飯を作るのが大変」という人は、会社の同僚と朝早く出社して朝食を一緒に食べる機会を設けるとよいでしょう。同僚とのコミュニケーションにもなります。
タニタでは、健康プログラムの一環で、個人IDと紐付いた自動販売機での朝食提供を行っています。朝早い時間でなければ会社からの補助が出ません。よって朝活として利用できるのです。
⑤朝ヨガ
仕事前に朝ヨガを行うと、集中力ややる気アップへつながります。
ヨガは呼吸やポーズ、瞑想によって自分と向き合うと、心身の緊張も緩み、心の安定へとつながる可能性も高いでしょう。出社してもなかなか仕事に集中できない人は、朝ヨガで心身をクリアにし、交感神経を高める呼吸法やポーズを行うのがオススメです。
⑥ウォーキング・ジョギング
ウォーキングやジョギングなどを朝活に取り入れると、仕事への集中力と判断力が向上します。
人間の行動の9割をコントロールしている脳の「前頭前野」は、運動によって強化されるとわかっているのです。前頭前野の発達は、仕事はもちろん勉強でも、集中力と判断力の向上につながると判明しています。
8.朝活を取り入れている企業事例
社員のモチベーションアップやスキルアップ、コミュニケーションなど朝活を取り入れている企業が増えています。
- メルカリ
- レバレジーズ
- JTBベネフィット
①メルカリ
メルカリには、コーヒー好きが集まる「メルカリコーヒー部」があります。朝活としてブルーボトルコーヒーの企業向けセミナーに参加するといった活動を行っているのです。
自分たちの好きなことを学びながら、会社の同僚や先輩と交流する機会を作っているため、仕事上でのやりとりもスムーズに進むと好評です。朝活の満足度は100%とメンバーは声をそろえます。
②レバレジーズ
レバレジーズは、掃除と情報共有を朝活で行っているのです。
掃除はチーム制で2カ月に1回程度で当番が回ってきます。9時に掃除が終了した後は、身の回りに起こったいい話・いいことのシェアタイム「グッド・アンド・ニュー」を実施。4人程度のチーム内で、自分の周りの良かった話をとおして、価値観を共有します。
③JTBベネフィット
JTBベネフィットは、毎朝の朝礼での全社員ストレッチ体操を行うといった社員の健康保持に取り組んでいるのです。
月に2回ある全社朝礼では、毎回「社長からのメッセージ」として健康経営について伝えています。四半期ごとに開催される課長会議でも、健康経営について議論する時間を設けているのです。