黒字倒産とは? 起こる原因、回避するための対策をわかりやすく

黒字倒産とは、帳簿上は利益が出ているにもかかわらず、手元の現金が不足して支払いができずに倒産すること。起こる原因や回避するための対策などについて解説します。

1.黒字倒産とは?

黒字倒産とは、企業の会計帳簿は黒字(利益が出ている)にもかかわらず、実際の資金が不足して倒産すること。

黒字倒産が発生する主な原因は、キャッシュフローにあります。売上は計上されているものの、実際の現金回収が遅れると、支払うべき資金が不足して倒産してしまうことがあるのです。

たとえば掛取引(かけとりひき)を行うと、商品やサービスを提供した時点では代金を受け取らず、一定期間後に支払われます。つまり売上を計上するタイミングと、実際に現金が手に入るタイミングがずれるのです。

帳簿上は黒字であっても手元の現金が不足すると、支払いや借入の返済が困難となり、倒産にいたる可能性があります。

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2.倒産企業に占める黒字倒産の割合

黒字倒産は珍しい現象ではなく、キャッシュフロー管理が難しい業界や、急な大規模投資を行った企業などで黒字倒産が見られています。

東京商工リサーチの『2020年「倒産企業の財務データ分析」調査』によると、2018年から2020年までのあいだで黒字倒産した企業の割合は次のとおりです。

2020 2021 2022 2023
赤字倒産 53.2% 61.0% 62.9% 68.0%
黒字倒産 46.8% 39.0% 37.1% 32.0%

※黒字倒産率=100%から赤字倒産の割合を引いた数値

黒字倒産の割合は減少傾向にあるものの、全体の約3割から約4割を占めているのが現状です。

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3.黒字倒産が起こる原因

黒字倒産は、表面上の業績が良好でも、実際の経営環境が厳しいことを示しています。黒字倒産の原因は、収支管理の不備、多額の負債、在庫管理の問題などさまざま。これらの要因がどのように企業の破綻を招くのかを説明します。

収支管理ができていない

収入と支出とのバランス調整がうまくできず、資金繰りが困難になり、黒字倒産する可能性があります。

帳簿では売上として計上していても、取引代金の入金が完了していない場合、まだ手元にそのお金はありません。このズレを見落してしまい、自社が支払いをするときに現金不足が発覚し、負債が増えてしまう恐れがあるのです。

また帳簿上の利益のみを見て余裕があると勘違いしてしまい、経費や投資などに回した結果、資金繰りが厳しくなるケースも見られます。

多額の負債を抱えている

多額の負債を抱えていると、企業が利益を上げていても借入金や負債の返済で相殺されてしまい、手元に資金が残りにくくなります。

起業時は資本金、材料や製品などの仕入れ、従業員の人件費、設備の導入などでまとまった資金が必要となり、借入をすることも少なくありません。

さらに起業後は運転資金のほか、事業拡大に向けて広告や事業所の増加、新事業の立ち上げなどで費用がかかります。このようなときにも借入が必要かもしれません。さらに負債が多いと多額の利息も発生します。

利益があっても返済に充てられてしまい、資金繰りが悪化して経営が困難になる可能性があるのです。

在庫管理ができていない

適切な在庫管理が行われず、過剰な在庫を抱えていると、次第に資金が不足して経営難に陥る場合があります。

帳票上では在庫を企業の資産に含めるものの、在庫のままでは利益を生みません。そのため在庫過多の場合、利益にならない仕入れを行っていることを意味します。仕入れによる支出が増えたうえに、この在庫が売れなければ入金が発生しない状況となるのです。

在庫を適切に管理するには、定期的に交差比率(在庫の効率性と利益性を示す指標。交差比率が高いと、在庫が効率的に売れていて利益が高い)を確認し、在庫の適正量を維持することが重要です。

交差比率を求める計算式は次のとおりです。

  • 交差比率=在庫回転率×粗利益率
  • ※在庫回転率=売上高÷平均在庫額
  • ※粗利益率=粗利益÷売上高

黒字倒産を避けるためにも、交差比率を考慮しつつ需要に合わせた仕入れを行うことが大切です。

掛取引が多くなっている

売掛取引の割合が多い企業は、決済期間までの収支バランスが崩れる可能性があります。

掛取引とは、商品やサービスが納品されたのち、一定期間を経てから支払いが行われる取引形態です。掛取引の決済時期は、納品から1か月後から2か月後が一般的、売掛で販売した商品やサービスの代金は、その場で得られません。

売掛金が未収でも、自社では経費などの支払いが発生するため、現金が必要です。このとき手元の現金が不足していると、支払い遅延や経営の悪化を引き起こす可能性があります。

減価償却費が影響している

減価償却費とは、企業の固定資産(機械や建物など)取得費を、数年に分けて経費として計上するときの科目です。この減価償却費が、黒字倒産の原因となることがあります。

たとえば企業が500万円で大型機械を購入し、一括で支払ったとしましょう。500万円を10年間で償却する場合、毎年50万円を減価償却費として計上。機械を購入した年度の減価償却費は50万円となりますが、実際には500万円の支出があったのです。

このような帳簿と手元の現金との差異が増えてしまい、資金不足に陥って倒産する可能性があります。

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4.黒字倒産が起こるリスクの確認方法

黒字倒産のリスクをおさえるには、「財務三表」および「資金繰り表」の作成と確認が重要です。それぞれの確認方法について説明します。

財務三表の確認

財務三表とは、企業の財務状況や業績を示す主要な3つの報告書で、次の書類を指します。それぞれの報告書の特徴と確認方法について説明しましょう。

  1. キャッシュフロー計算書
  2. 貸借対照表
  3. 損益計算書

①キャッシュフロー計算書

企業の一定期間における現金(キャッシュ)の流れ(フロー)を示す財務報告書です。企業がどのように現金を獲得(キャッシュイン)し、使用(キャッシュアウト)したかを記載します。キャッシュフロー計算書は、主に3つの区分に分けられます。

  • 営業活動によるキャッシュフロー:売上収益、仕入れ支出、給与支払、利息および税金の支払など、主に企業の本業から得られる現金の流れを記載
  • 投資活動によるキャッシュフロー:設備投資、株式や債券の売買、不動産の取得や売却など、資産の購入や売却による現金の流れを記載
  • 財務活動によるキャッシュフロー:株式の発行や償還、借入金の増減、配当金の支払など、資金調達や返済に関する現金の流れを記載

上場企業には、キャッシュフロー計算書の作成と提出が義務づけられています。中小企業に作成の義務はないものの、収支の流れを確認するためにも作成しておいたほうがよいでしょう。

②貸借対照表

企業の資産、負債、および純資産の状況を特定の時点で示す財務報告書です。この報告書に記載されている「自己資本比率」が、黒字倒産リスクに影響します。

自己資本比率は、企業の総資本に対する自己資本(純資産)の割合を示す指標です。
次のように計算します。

自己資本比率=純資産÷(純資産+負債)×100

自己資本比率が高いほど、借入の必要性が低くなるため、負債による黒字倒産のリスクが低下。一般的に自己資本比率が30%を下回ると経営悪化の可能性が高まるとされます。

ただし業界や企業の状況に応じて、最適な比率は異なるため、業界の標準や企業の戦略を考慮することも重要です。

③損益計算書

損益計算書は、企業の一定期間における収益、費用、および利益を示す財務報告書です。

損益計算書上では黒字でも、売掛や減価償却などで実際には現金が不足している可能性があります。そのため損益計算書を用いて利益がどのように発生しているかを確認し、キャッシュフロー計算書と比較することが重要です。

また黒字倒産は避けられても、決算で赤字になる可能性があります。赤字の兆候を察知するためにも損益計算書が有用です。

損益計算書に次のような状況が見られた場合、赤字リスクが高まります。

  • 売掛金の増加
  • 売上原価の増加
  • 営業利益や経常利益の減少
  • 販管費や管理費の増加

資金繰り表の作成

資金繰り表とは、企業の資金の流れを計画的に管理するための財務表です。主に短期的な資金の動きを予測し、資金不足や資金余剰といった問題を事前に把握できます。

一見キャッシュフロー計算書と似ているものの、双方の目的は異なるのです。

キャッシュフロー計算書の目的は、過去の一定期間における現金の流入と流出を把握すること。一方の資金繰り表は未来の資金の流れを予測します。

資金繰り表で先の資金不足リスクを発見した場合は、新たな資金調達の方法を検討する必要があるでしょう。たとえば次のような手段が考えられます。

  • 金融機関からの借入
  • 資本金の増資
  • 不必要な支出の削減
  • 支払いの延期

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5.黒字倒産の回避方法

黒字倒産は、企業が利益を上げているにもかかわらず、資金繰りの問題で倒産するリスクを指します。このリスクを回避するには、企業の財務状況を正確に把握し、資金の流れを効果的に管理することが重要です。以下に、黒字倒産を回避するための具体的な方法を説明します。

①財政状況を把握する

企業が黒字倒産を回避するためには、まず自社の財政状況を正確に把握することが不可欠です。財政状況を理解するためには、先に説明した財務三表に加えて、「株主資本等変動計算書」と「個別注記表の財務指標」を分析する必要があります。

これら5つの書類の役割と内容は、次のとおりです。

  • 貸借対照表(B/S:Balance Sheet):資産、負債、自己資本の3項目で構成される書類。現金残高、借入額、自己資本比率など確認する。
  • 損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement):一定期間の収益と費用をまとめ、利益または損失を示す書類。売上高から直接のコストを引いた売上総利益から、経費や営業外収益を加減し、最終的な純利益を計算する
  • キャッシュフロー計算書::一定期間の現金の流入と流出を記録した書類。営業活動、投資活動、財務活動の3区分における現金の流れを確認し、資金繰りの健全性や現金の使い方を把握する
  • 株主資本等変動計算書:一定期間内の株主資本の変動を示した書類。株主資本の増減、配当の支払い、利益剰余金の変動などから、純資産の変化を把握する
  • 個別注記表:財務諸表の各項目に関する補足情報や説明をまとめた表。経営状況を把握するためにも、財務三表に関する注記は必ず確認する

②入出金のタイミングを把握する

資金繰りの安定性を保つには、資金繰り表を用いて入出金のタイミングを把握することが重要です。

とくにチェックすべきは、ひと月のなかで支出や収入が発生するタイミングと、それぞれの金額。この時点で現金不足が判明した場合、融資や資産の売却など、何かしらの手段で現金を確保する必要があります。

資金繰り表は将来の現金フローをチェックするものの、作成時はまず過去1年分の現金の流れを分析し、収入や支出のパターンを理解するとよいでしょう。過去のフローも参考にしながら、今後1年分の資金繰り計画を立て、収入と支出の予測を行います。

より高精度な計画となるため、資金不足リスクの有無を判断しやすくなるでしょう。

③売掛金の入金時期を早める

売掛金の入金時期を早めると、キャッシュフローが安定し、現金不足による黒字倒産を回避しやすくなります。ただし入金時期を早めると、取引相手の資金繰り計画が変わってしまうかもしれません。早期支払いの交渉時には相手の負担を最小限に抑える方法やメリットを提案することが重要です。

たとえば次のような提案が挙げられます。

  • 期日前の支払いに対する割引を提供する
  • 早期支払いをした場合、将来の取引において優遇措置を講じる
  • 早期支払いにともなって、納品も前倒しで行う
  • 限定商品や特別なサービスを提供する

また取引相手の納得や理解を得るため、早期支払いの必要性を率直に説明するのも手です。このとき内部事情をすべて話す必要はなく、「新事業に向けた資金調達」などと伝えるとよいでしょう。

④ムダな在庫を減らす

過剰在庫は早期に利益化しにくいうえ、保管コストや在庫劣化による破棄リスクを増大させます。そのため結果的にキャッシュフローの悪化につながる恐れもあるのです。

在庫の回転率を向上させるには、需要予測を正確に行い、徹底した適正在庫の維持を心がけるとよいでしょう。長期間動きのない在庫や売れ残り商品をチェックし、正攻法で売れない場合は値下げ販売も検討します。

また発注のタイミングと量を最適化し、必要なときに必要なだけの在庫を確保する方法を確立できると、ムダな在庫をより減らせます。

⑤金融機関との関係性強化

金融機関との良好な関係を築いておくと、借入が必要になった際に融資の相談をスムーズに進められるため、資金不足による黒字倒産を回避しやすくなります。関係強化に有用な方法は次のとおりです。

  • 面談などで定期的にコミュニケーションを取り、自社の経営状況を正確に伝えておく
  • 本業の業績を伸ばし、良好なフリーキャッシュフローを維持する
  • 金融機関との取引回数を増やす
  • 借入をしたら必ず期限内に返済する

金融機関からの信頼を高めると、融資の審査で有利にはたらく可能性があります。

⑥キャッシュフロー経営を取り入れる

キャッシュフロー経営とは、手元の現金や資金の流れを管理し、収支のバランスを保つ経営手法です。この経営方法では、どのように現金を得て、どのように現金を使っているかを詳細に把握し、当座の事業継続に必要な現金や資金を計画的に確保します。

売掛金の回収遅延や過剰在庫が発生した、あるいは減価償却の計上が行われると、帳簿上の数字と実際の現金額が一致しなくなるでしょう。この差異に気づくのが遅れて、黒字倒産した企業も少なくありません。

経営判断をする際は、帳簿の数字だけではなく、現金の流れを正確に把握するキャッシュフロー経営も重視しましょう。キャッシュフロー経営で収入と支出のタイミングを詳細に管理し、必要な資金を正確に見積もると、黒字倒産のリスクを回避できます。


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◆資料内容抜粋 (全31ページ)
・人事評価システム「カオナビ」とは?
・人事のお悩み別 活用事例9選
・専任サポートについて   など