ブルーカラーとは? ホワイトカラーとの違い、業種・職種

ブルーカラーとは、一体何のことでしょう。似た言葉や業種、向いている人の特徴などについて解説します。

1.ブルーカラーとは?

ブルーカラーとは、製造業や建設業、鉱業といった生産現場で生産工程などに従事する、作業員・技術者といった労働者のこと。英語で「Blue Collar」と表記します。

Blue(青)・Collar(襟)であり、肉体労働従事者が青い襟の作業服を着ていたことからその名がつきました。

差別用語ではない

ブルーカラーという言葉を「ホワイトカラーよりも劣っている」といった意味合いで使用する人もいます。しかし本来、ホワイトカラーやブルーカラーは差別用語ではありません。

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2.ブルーカラーと似た語

ブルーカラーと類似する言葉は数多くあります。それぞれ意味を持っており、ビジネスをはじめさまざまなシーンで活用されています。それぞれについて解説しましょう。

  1. ホワイトカラー
  2. グレーカラー
  3. ゴールドカラー
  4. メタルカラー

①ホワイトカラー

「頭脳を生かした」「デスクワーク中心で安全が確保されている」「一般的に賃金が高額」といった特徴を持つ労働者のこと。白いワイシャツを着て仕事をしていたことから、ホワイトカラーと呼ばれるようになりました。

ホワイトカラーに分類される業種や職種は、「一般事務」「営業事務」「企画」「総務事務」「経理事務」「エンジニア」「弁護士や税理士」など。このほか、特定分野に関する専門的研究などをホワイトカラーに分類する場合もあります。

デスクワークが中心となるため、ブルーカラーと比べて、労働災害に巻き込まれる可能性は低いでしょう。また会社の生産性に直接関与せず、デスクワークで仕事が完結するといった面が見られます。

ホワイトカラーはデスクワークが中心ですので、業務量によっては精神的負担が大きくなりやすいです。

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②グレーカラー

ホワイトカラーとブルーカラーの中間に位置する労働者、もしくはどちらにも当てはまらない労働者のこと。

1950年代の技術革新により、労働者が従事する労働に大きな変化が起こり、単純に区分けができない職種の多くを、グレーカラーと呼ぶようになりました。たとえば専門職や技術職などです。

③ゴールドカラー

企業に雇用されていても、「高いマネジメント能力がある」「自らキャリアを形成する」「形式上は組織に帰属していても、組織に依存せず誰からも使われない」という特徴がある労働者のこと。ホワイトカラーから分離した知的ワーカーで、具体的に該当するのは下記のような職種です。

  • 起業家
  • コンサルタント
  • 研究職
  • 技術開発職

④メタルカラー

人工知能搭載ロボットを開発するといった、新たなイノベーションが創造できるような技術開発を行っている創造的工業技術者のこと。

産業の高度化にともない、従来のカラーにあてはまらない技術的な職種も生まれてきました。そこで、より付加価値の高い技術的な仕事に従事する労働者をメタルカラーと呼ぶようになったのです。

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3.ブルーカラーに分類される業種や職種

ブルーカラーに分類される業種や職種があります。ここでは、ブルーカラーの業種・職種をあげてそれぞれ詳しく解説します。

  1. 農林水産業
  2. 建設や土木
  3. 鉱業
  4. 運送業
  5. 製造業
  6. 整備や修理
  7. 清掃や警備

①農林水産業

第一次産業に分類されている業種です。農業(畜産業)・林業・水産業で構成されています。

どの業種も、自然の恵みを利用して私たちの生命活動を支えるもの。しかし厳しい仕事であるため高齢化も進み、若手の働き手不足が深刻な問題になっています。

②建設や土木

マンションやビルなど建物の建設、橋や道路、ダムなどの公共工事、掘削などを行う仕事のこと。建築作業員や土木作業員、解体作業員や塗装工事などがあります。法令にもとづいて建築をしたり用途に応じて建材を使い分けたりする技術、知識が必要です。

③鉱業

「露頭やボーリング・コアで鉱石情報モデル化する」「鉱体に続く坑道を造り、鉱石を掘り出す」「掘り出した鉱石を破砕や磨鉱し、必要な鉱物を回収する」という仕事です。

鉱石や鉱物に関する専門知識や安全に進めるための技術、チームワークやマネジメントスキルが求められます。

④運送業

商品の大量輸送や個人宅への宅配、バスや鉄道、飛行機などの運転、倉庫内でのフォークリフト作業や大型プラントにかかわる大型建造物の運搬などを行う業務です。

インターネットの普及にくわえコロナ禍の影響を受け、買い物をオンライン上で済ませる消費者が多くなりました。これらにより運送業の業務量が急速に増大しています。

⑤製造業

日常用品物や自動車やバイク、家電製品や建材、家具など、わたしたちが使用するさまざまなモノを製造する業種です。

製造ラインでの作業や品質管理、製品の仕分けや検品、梱包や品数管理など、実際にモノを製造する以外にもさまざまな仕事を担っています。マニュアルもあり、未経験からでも始められる場合が多いです。

⑥整備や修理

「電気やガス、水道などインフラサービスのトラブルを解決する」「身の回りの機械や産業用機械などさまざまな機器や機械を修理する」といった仕事です。エネルギー産業や環境分野にもかかわる仕事のため、注目を集めています。

迅速な対応、より高度な専門的な知識と技術が必要とされるため、経験を積むことが重要です。

⑦清掃や警備

オフィスビルや公共施設、マンションなどの住居や大型商業施設などの清掃や警備を行う業務です。

さまざまなフロアを移動したり不審者への対応が求められたりなど、体力と注意力も求められます。近年、働き手不足から、働きたい高齢者の活躍の場にもなっているのです。

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4.ブルーカラーとホワイトカラーの違い

ブルーカラーとホワイトカラーにはどのような違いがあるのでしょう。それぞれについて解説します。

  1. 給与
  2. 職場環境
  3. 求められる能力
  4. 転職

①給与

2020年に公表した経団連の「新規学卒者決定初任給調査結果」によると、下記のような結果になりました。全体でみれば、大卒以外かつブルーカラーのほうが給与は若干高くなっています。

  • 高卒や短大卒、大学院でブルーカラーのほうがホワイトカラーよりも初任給が高い
  • 大卒でホワイトカラーのほうがブルーカラーより初任給が高い

②職場環境

ホワイトカラーはオフィスで長時間のデスクワークです。そのため運動不足、内臓や分泌系の疾病、長時間残業などが問題視されています。

一方、ブルーカラーの職場は現場です。しかし労働時間が限定されたり、休日休暇が事前に設定されたりする場合が多いため、しっかりと休息を取れます。

③求められる能力

ブルーカラーは体を使った作業が多く、体力が求められます。また現場では高所作業や重機の取扱いなど危険を伴う業務が多いため、注意力も必要になるのです。

一方、ホワイトカラーに求められる能力は、専門知識やコミュニケーション能力、調整力や企画力などさまざまあります。

④転職

ホワイトカラーは、自身に蓄積したスキルやノウハウが社内でしか通用しない場合も多いです。そのため、転職が難しくなるときもあります。

一方、ブルーカラーは習得した知識やスキル、ノウハウが他社から求められるケースも多いです。そのため、転職は比較的スムーズと考えられています。

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5.ブルーカラーに向いている人

ブルーカラーに向いている人とは、どのような人なのでしょう。それぞれについて解説します。

  1. 集中力が高い人
  2. 専門的な技術を活用したい人

①集中力が高い人

ブルーカラーは、高所作業といった危険が伴う仕事やルーチンワークなどに携わります。そのため「高い集中力を発揮して気の緩みからくる危険を回避する」「緊張感を持って安全衛生に取り組む」「管理者の指示に的確に従える人」が向いているのです。

②専門的な技術を活用したい人

建築や土木に関する専門知識や重機操作といった技術を生かして仕事をしたい場合、ブルーカラーが向いています。また「オフィスに固定されない」「外で体を動かして仕事をしたい」「精神的なストレスから解放されたい」人にもおすすめです。

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6.ブルーカラーの将来性

ブルーカラーの将来性を担うのは、AIの発展です。現在、製造業を中心に機械や設備がインターネットとつながる「IoT」やAI(人工知能)を活用したオートメーション化、すなわち第四次産業革命が起こっています。

ホワイトカラーのようにAIに仕事を奪われるのではなく、IoTやAIを駆使して操作や検査、管理やメンテナンスなどを行うブルーカラーの存在に、期待が高まっているのです。

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7.外国人ブルーカラーの雇用に関する制度

ブルーカラー業種は、慢性的な人材不足に陥っています。厚生労働省発表「一般職業紹介状況(平成30年12月分及び平成30年分)」有効求人倍率をみると、下記のように人手不足は深刻です。

  • 建設・採掘の職業は5.40倍
  • 輸送・機械運転の職業は2.74倍
  • 自動車運転の職業は3.23倍

そこで人材不足を補うため、外国人の雇用に注目が集まっています。こうした外国人ブルーカラーの雇用に関する制度について、解説しましょう。

  1. 特定技能制度の創設
  2. 外国人技能実習制度

①特定技能制度の創設

2019年4月に新たに導入された在留資格です。人手不足が深刻化している下記14の業種で外国人が就労できるようになりました。

  • 建設業
  • 造船、舶用工業
  • 自動車整備業
  • 航空業
  • 宿泊業
  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食業
  • 外食業
  • 素形材産業
  • 産業機械製造業
  • 電気電子情報関連産業

特定技能1号

特定産業分野に属する相当程度の知識、または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。特定技能制度の14の在留資格では以下の要件などを求めています。

  • 在留期間は1年、6カ月または4カ月ごと更新、通算で上限5年まで
  • 技能水準は試験で確認
  • 日本語能力水準は生活や業務に必要な日本語能力について試験で確認

特定技能2号

建設業・造船、舶用工業の特定産業分野の熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。下記のような要件があります。

  • 在留期間は3年、1年又は6カ月ごとに更新
  • 技能水準は試験で確認
  • 日本語能力水準の確認は不要
  • 家族の帯同は配偶者と子については要件を満たせば可能
  • 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外

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②外国人技能実習制度

「出入国管理及び難民認定法」として実施していた制度を見直したもの。制度の目的は、技能実習の適正な実施や技能実習生の保護です。

「監理団体の許可制と技能実習計画の認定制」「優良な監理団体や実習実施者への実習期間の延長や受入れ人数枠の拡大」といった手厚い制度が導入されました。