部長とは? 役割と仕事内容、課長との違い、なる人の特徴

部長とは、組織内において部署や部門の責任者となる上級管理職であり、経営層の一員とみなされる人のこと。本記事では、部長の役割や課長との違い、主な仕事内容などについて解説します。

1.部長とは?

部長とは、組織内において部署や部門の責任者となる上級管理職であり、経営層の一員とみなされる人のこと。部長は、部署や部門にかかわる最終的な意思決定ができ、新規事業の立ち上げなどにも関わることもあります。

序列における部長は課長の上席であり、部長の上は各部長を束ねる「本部長(会社によっては事業部長)」です。

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2.部長の役割

部長のもっとも大きな役割は、自部門の成果を上げて収益を増大させること。今月や来月といった直近の収益だけではなく、中長期にわたって利益を生み出せる仕組み作りや組織作りをおこなう必要があります。主な役割は以下の3つです。

  1. 戦略の立案と実行
  2. 事業や組織の変革
  3. 経営資源の管理と活用

①戦略の立案と実行

部長には、会社の経営戦略を部署単位に落とし込み、部門戦略の立案および実行する役割があります。具体的には、部下やメンバーに会社の経営方針や事業目的を理解させ、目標達成に向けてチームを団結させなければいけません。

②事業や組織の変革

部長は、時代を先読みし、さらに収益を増大させるために業務や組織の改善や改革などをおこないます。たとえば新事業や新ビジネスモデルの創出、新市場の開拓、幅広い人材の活用などが当てはまります。

③経営資源の管理と活用

部長は事業や組織を成長させるために経営資源を管理し、最大のパフォーマンスを生む活用方法を考案および実施します。経営方針や戦略にもとづいて組織の成長に必要な資源を配分し、部下を動かして業績を上げ、組織を成長させる役割を担っています。

とくに、業務を遂行する「ヒト」の分配を最適化させることが重要です。

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3.部長と課長の違い

課長から部長へ昇進した場合、課長の延長だと考えていると役割や責任の違いに戸惑うかもしません。ここでは部長と課長の4つの違いを解説します。

  1. 立場の違い
  2. 経営層からの期待の違い
  3. 責任範囲の違い
  4. 業務内容の違い

①立場の違い

部長と課長は、どちらも管理職に該当しますが、部長の階級は課長より上で、以下のような違いがあります。

  • 部長:間接的にマネジメントする立場であり、経営側の視点で戦略を立て、遂行は課長に任せる
  • 課長:直接的にマネジメントする立場であり、現場の社員を管理し、必要に応じて自身も現場の業務へ参加する

②経営層からの期待の違い

以下の通り、経営層から求められていることにも違いがあります。

  • 部長:経営陣と連携し、組織の成長促進や業績拡大を実現する
  • 課長:現場を統括し、部署の目標達成に貢献する

③責任範囲の違い

部長は部署や部門の管理者であるため、その責任範囲も大きくなっています。

  • 部長:部門や部署全体に対する最終責任を持つ
  • 課長:現場のみに対する責任を持つ

④業務内容の違い

部長の業務は経営視点で、課長の業務は現場視点です。

  • 部長:経営層との連携を図りながら自社の運営をサポートする
  • 課長:現場のトップとして部署や部門の目標達成をサポートする

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4.部長の主な仕事内容

部長に求められていることは、成果を出すことです。成果を出すためにはどのような仕事をしているのか、具体的な仕事内容について解説します。

  1. 経営戦略の浸透と実行
  2. 他部署や外部との連携と交渉
  3. 上層部と現場の橋渡し
  4. リスク管理
  5. 働きやすい環境を整備
  6. 部下の育成と評価
  7. 業務拡大と改善

①経営戦略の浸透と実行

部長には、会社の経営戦略を部署単位に落とし込み、実行する役割があります。たとえば部下やメンバーに会社の経営方針や事業目的を理解させ、目標達成に向けてチームで団結させる必要があるでしょう。

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②他部署や外部との連携と交渉

部長は、他部署や社外のパートナー、取引先との交渉・調整を行っています。交渉や調整を上手く進めるには、課長との密接なコミュニケーションと、双方にメリット・満足をもたらすネゴシエーションスキルが重要です。

ときには、社外のパートナーや取引先との交渉や契約締結を行うこともあります。

③上層部と現場の橋渡し

部長は、上層部と現場の橋渡しを行っており、会社にとって重要な役割を担っています。経営者側と現場側の両方の視点を持ち、会社全体の目標達成に貢献する重要な役割です。

④リスク管理

部署や部門の運営において生じるさまざまなリスクの回避、および、発生したリスクへの対処を行うこともあります。部署の責任者として、部下のマネジメントやリスクマネジメント、コンプライアンス遵守などの業務を担当します。

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⑤働きやすい環境を整備

部長は、働きやすい環境を整備する必要もあるでしょう。毅然とした上司の態度は、部下から信頼を得られ、コミュニケーションが円滑に進み、結果的に部下が仕事をしやすい環境の構築につながります。

⑥部下の育成と評価

部長は、部下の育成と評価を行います。各社員のスキルや知識を認識したうえで、適切な配属をおこない、指導や評価をします。適切な配属や妥当な評価をおこなうことで生産性とモチベーションの向上を図れるでしょう。

⑦業務拡大と改善

部長は、経営者視点を持って、業務拡大と業務改善に取り組む責任者です。現状の人的資源で成果を出せるよう努めなければならないため、問題点や改善点を洗い出し組織の動きを変えることが重要です。

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5.部長に求められる能力・スキル

部長に求められる役割や仕事は多岐にわたります。どのようなスキルが求められるのかを解説します。

  1. マネジメントスキル
  2. 意思決定スキル
  3. コーチングスキル
  4. コンセプチュアルスキル
  5. 評価スキル
  6. コミュニケーションスキル

①マネジメントスキル

部長は、部署や部門を管理するため、マネジメントスキルが欠かせません。具体的に必要なマネジメントスキルは以下の3つです。

  • 業務マネジメントスキル
  • 人材マネジメントスキル
  • リスクマネジメントスキル

業務マネジメントスキル

部長には、業務達成のプロセスをデザインするスキルが必要とされます。ビジョンや目標を掲げ、業務プロセスを設計・実行し、部署メンバーの目標達成を支援します。

人材マネジメントスキル

部長は、信頼できる課長に仕事を任せ、戦略や組織編成に専念する必要があるため、人材マネジメントのスキルも必要不可欠です。部長は次期部長の育成と部下を育てられる課長の育成、働きやすい環境づくりに関する能力が求められます。

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リスクマネジメントスキル

リスクの周知やトラブルが起きたときの対処法を教育しなければいけないため、リスクマネジメントに長けている必要があります。チームで仕事をする際は、ミスを未然に防ぐために、リスクの周知や教育を徹底します。

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②意思決定スキル

部長は意思決定スキルに長けていなければいけません。もし意思決定力が不足していたら、組織のスピード低下や機会損失のリスクにつながる可能性があるためです。適切な決定には、状況を多角的に見極め、自らの先入観や偏見にも向き合う必要があります。

③コーチングスキル

部長にはコーチングスキルも必要です。コーチングスキルとは、相手の思考を引き出し、答えや意欲を引き出す能力のこと。指示やアドバイスだけでなく、課長やメンバーからの意見を引き出し、傾聴して質問することが大切です。

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④コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルとは、物事の本質を見極める能力の総称で、ロジカルシンキング・クリティカルシンキング・受容性・俯瞰力など10要素を含みます。

コンセプチュアルスキルは、現状を分析して中長期の計画を立てたり、問題の本質を見極めて根本的な解決を図ったりするために必要です。

人材育成や組織開発の指針とされる「カッツモデル」では、部長や課長においては、コンセプチュアルスキルがより重要視され、テクニカルスキル(業務遂行に関するスキル)の優先順位が下がっています。

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⑤評価スキル

部長は、評価スキルを持ち、部署全体のパフォーマンス向上につなげることが求められます。評価は昇進や昇格に影響を与える重要なものですので、過去の実績や成果と比較しながら客観的に部下の成長を評価します。

⑥コミュニケーションスキル

さまざまな相手とやり取りする必要があるため、コミュニケーションスキルは必須のスキルです。理解を促す伝達能力や相手の言葉を正確に読み取る能力が不可欠。様々なシーンでコミュニケーションが求められます。

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6.部長になる人の特徴

ミドルマネージャーになる人には、それなりの特徴や資質が見られます。部長に向いている人の特徴は以下のとおりです。

  1. 目標達成に意欲的
  2. 臨機応変な対応が可能
  3. 情報の収集と分析が得意
  4. コミュニケーションを重視
  5. メンバーを成長させるリーダーシップスキルを発揮
  6. 「コト」の責任も追究

①目標達成に意欲的

プレイヤー時代から目標達成への意欲が高く、試行錯誤しながら成果を高めていた人は部長に適性があるといえます。なお成果を出すには、スキルや知識の向上やプロセスの改善などが求められるでしょう。

②臨機応変な対応が可能

部長になるためには、臨機応変な対応ができる必要があります。不測の事態を予測し、計画や決断に対して柔軟な修正ができるのが理想的です。不測の事態を恐れず、チャレンジ精神を忘れずに進んでいけるでしょう。

③情報の収集と分析が得意

部長になる人には、情報の収集と分析が得意という特徴があります。市場の状況やトレンド、自社の業績など様々な情報から自社の課題やリスクを導き出せる人は中間管理職に向いています。

④コミュニケーションを重視

部長になる人は、コミュニケーションを重要視し、良好な人間関係を築く努力をしています。信頼を築くには、人当たりを良くし、ときには社内外のイベントにも参加するとよいかもしれません。ただし、無理はせず、本当に必要な活動に集中することがポイントです。

⑤メンバーを成長させるリーダーシップスキルを発揮

リーダーシップとは、チームのビジョンや方向性を示し、メンバーをけん引するスキルのこと。共通した目的や目標を定めて浸透させ、信頼関係を築くことが重要であり、これによりメンバーの貢献意識やコミュニケーションが生まれます。

ただし、メンバーを率いるだけではなく、経営者の目線を持ってメンバーの成長につながる采配ができるリーダーシップが望ましいでしょう。

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⑥「コト」の責任も追究

部長は、トラブルが生じたときに、自分や部下に対して責任を追及するだけではなく、人ではなく「コト」にも原因があるかもしれないと考えられる人が望ましいとされています。

たとえば、システムやマニュアル、業務のプロセスなどが原因でミスが生じるケースもあるでしょう。「自分の力がおよばなかった(自責)」「部下の能力が低かった(他責)」で終わってしまうと、何をどう改善すればよいかにつながらないこともあります。

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7.部長に向いていない人

部長といった管理職に必要なスキルや能力は研修で向上させることもできますが、特定の性質や特徴がある場合は修正が難しく、その人は部長に向いていない可能性があります。部長といった管理職に向いていない人の特徴を解説します。

  1. チームプレーが苦手
  2. 自身の成功体験に固執
  3. 部下への態度が不平等
  4. 感情的

①チームプレーが苦手

部長は他者と協力しながら業務を進める必要があるため、チームプレーが苦手で自分一人でやり遂げようと考える人は部長に向いていません。

たとえば人に仕事を任せられない、人と信頼関係が築けない、部下の育成をしないなどの特徴がある場合、そもそも管理職には向かないでしょう。

②自身の成功体験に固執

自分はこのやり方で成果を出してきたという自負から、自身のやり方に固執してしまう人も部長には向きません。こういった人は、部下にも自身の方針や手法を押し付ける傾向がありますが、必ずしも同等の成果が出るとは限りません。

部下の能力を引き出すには、自身の成功体験から成功へのロジックを導くことが重要です。

③部下への態度が不平等

部長に向かない人の特徴として、部下への態度が不平等というものが挙げられます。偏った対応は信頼を失ったりや組織のパフォーマンスが下がったりすることにつながります。平等さを持って部下に接する姿勢が必要です。

④感情的

怒りや不満が優先されると、チームの士気を低下させ、部下の意欲を抑制することにつながるため、部長にとって感情のコントロールは必要不可欠です。アンガーマネジメントやマインドコントロールのトレーニングができるようになることが求められます。

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8.部長になるために必要なこと

最後に、部長になる方法や昇格するためにやるべきことを解説します。ポイントは以下の2つです。

  1. 社内で昇格
  2. 部長候補の求人に応募

①社内で昇格

現在所属する会社で部長になるなら、課長から部長へ昇格する方法がもっとも一般的です。会社で設けられている基準(人事評価や勤続年数、昇格試験や面接、本人の能力や適性など)をクリアする必要があります。

上司へ意思を明確に伝える

部長になりたい意識があるなら、上司や周囲に明確に伝えておく必要があるでしょう。まずは、上司に相談し、その後他の上役にも伝えることが大切です。

②部長候補の求人に応募

転職活動をして、部長候補の求人に応募する方法もあります。会社によっては、部長候補として採用し、能力を見極めてから部長に昇格させることがあります。