バッファとは?【意味を簡単に】使い方、言い換え、メリット

ビジネスにおけるバッファとは、スケジュールや予算に持たせる余裕のこと。ここでは例文、バッファを持たせるメリット、管理手法などを解説します。

1.バッファとは?

バッファとは、スケジュールや予算に持たせる余裕のこと。もともと「余裕」「緩衝」「ゆとり」の意味を持つ英語です。IT業界で用いられてきたものの現在、多くのビジネスシーンでも使われています。

バッファの言い換え方

ビジネスシーンでバッファを言い換える場合「余裕」「ゆとり」などが適切です。たとえば以下のように言い換えられます。

  • 日程の余裕
  • 予算のゆとり
  • 人材の余裕

在庫など「モノ」に対しては「予備」とも表せます。

バッファの英語での意味は?

バッファは英語で「buffer」と表記され、名詞では「緩和材」「緩衝装置」「緩衝国」など、動詞では「和らげる」「保護する」などと訳されます。

バッファの対義語

バッファの明確な対義語はありません。あえて日本語で対義語を作るなら「余裕がない」「手一杯」などの言葉が挙げられます。バッファがない状態を表すならば、「切迫した」「ひっ迫した」「差し迫った」などと言い換えられます。

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2.ビジネスにおけるバッファの意味

ビジネスシーンでも時間や予算、人員や在庫などに対する「余裕」や「予備」などの意味で使われます。また「緩衝」という意味で、仲介やサポートで間に入る人を「バッファ(またはバッファー)」と呼ぶケースもあるのです。

またもともと「バッファ」はIT業界で使われていました。これはパソコン内に一時的に情報を保存する領域を指します。

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3.バッファを持たせるメリット

スケジュールや予算にバッファを持たせておくと、ビジネスを円滑に進められるようになります。ここではバッファを持たせるメリットを3つ解説しましょう。

  1. イレギュラーな事態に備えられる
  2. 焦りによるミスを防げる
  3. 業務効率化につながる

①イレギュラーな事態に備えられる

複数のメンバーが参加する中長期的なプロジェクトでは、すべての工程が予定どおりに進むとは限りません。体調不良によるメンバーの欠勤やミスによる作業の手戻りなどが起こりえるからです。

プロジェクトのスケジュールでは、このような事態に備えてバッファを取ります。具体的には、各タスクの目標完了の時間を最短に設定し、スケジュールの最後にバッファ期間を設けるのです。

②焦りによるミスを防げる

スケジュールに余裕がなく時間に追われる状態が続くと、焦りから集中力が低下し、普段しないようなミスを起こしてしまうでしょう。

ミスに対処する時間を取られてさらにスケジュールへの焦りが高まり、ミスを誘発するという悪循環に陥る恐れもあります。また焦りや不安からメンバー間の人間関係が悪化する可能性もあるのです。バッファを持たせておけば、焦りによるミスを防げます。

③業務効率化につながる

意識的にバッファを作るのも可能です。自分の担当業務において通常の作業時間よりも短めにスケジュールを引き、時間内に作業を終わらせると、スケジュールの最後にバッファを作れます。

通常よりも短時間で業務を完了できているため、業務効率も向上しているのです。

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4.バッファの使い方と例文

IT業界以外では、「余裕」「ゆとり」という意味でバッファという語を使います。ここではバッファの使い方と例文を紹介しましょう。

ビジネスにおける主な使用シーン

業界によって特定の意味を持つ場合もありますが、一般的なビジネスシーンでは、「物」「時間」「人」「予算」などの余裕やゆとりを指します。

たとえばIT業界でプロジェクトに関して使う場合は「納期や予算の余裕」などを意味し、製造業界では「予備や在庫の余裕」を指すなどです。また一般企業では、誰かをサポートする役割を「バッファ(バッファー)」と呼ぶ場合があります。

ビジネスシーンで使える例文

余裕やゆとりを意味するバッファは「持たせる」「取る」と表し、仲介やサポートを指す場合は「なる」と表現するのが一般的です。ここでは3つの例文を紹介しましょう。

  1. バッファを持たせる
  2. バッファになる
  3. バッファを取る

①バッファを持たせる

「バッファを持たせる」は、「自らがコントロールし、余裕を持って進める」という意味で使われます。この場合の例文は次のとおりです。

  • 納期に間に合うよう、あらかじめスケジュールにバッファを持たせる
  • システム開発費の見積りは800万円だが、バッファを持たせて1,000万円で予算を組む
  • プロジェクトの人員計画にバッファを持たせていたおかげで欠員をカバーできた

②バッファになる

「バッファ(バッファー)になる」は、間に入ってクッションになるという意味になります。この場合の例文は次のとおりです。

  • このプロジェクトは横断的な部署提携が必要なので、バッファになって進めてください

緩衝や仲介といった役割を指す際は、「○○をする人」という意味を持たせて「バッファー」と表される傾向にあります。

③バッファを取る

「バッファを取る」は、余裕を設けるという意味です。先に上げた「バッファを持たせる」とほぼ同義であるものの主に時間的な余裕を指し、「時間」を「バッファ」に置き換えられます。この場合の例文は次のとおりです。

  • この仕事は複雑なので、バッファを5日ほど取ることにした
  • 次の議題が多いのでバッファを取っておいたほうがよい

バッファの間違った使い方

「バッファをなくす」という使い方は正しくありません。バッファは時間や予算などの余裕やゆとりを指すものの、「精神的な余裕」は含まないからです。

たとえば誰かが納期に追われて焦って慌てている様子を「あの人はバッファをなくしている」と表しません。「スケジュールのバッファがなくて追われている」という使い方が適切です。

あくまでもバッファは、時間や人員など物理的な余裕を意味します。

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5.ビジネス以外でのバッファの意味

一般的なビジネスシーンでは、余裕やゆとりといった意味でバッファという語を使います。しかし業界によっては、特殊な意味を持つ場合もあるのです。ここでは特定の業界や分野におけるバッファの意味を解説します。

IT業界

IT業界におけるバッファは「一時的な保存領域」を意味し、この役割を担う記憶装置を「バッファメモリ」と呼ぶ場合があります。

プリンターのバッファメモリが身近な例でしょう。パソコンのCPUからプリンターへデータを送信するものの、プリンターはパソコンよりもデータの処理速度が遅いため、全データを受信するまでに時間がかかります。

そこでプリンターは専用のバッファメモリへデータを格納し、全データがそろってから印刷を実行するのです。

バッファオーバーフロー

バッファ領域を超えるデータ量が保存され、超えた分のデータがあふれてしまう状態のこと。プログラミングの不具合で生じる場合もあるものの、悪意のある第三者によって故意的に引き起こされることも少なくありません。

バッファオーバーフローを利用すると、プログラムの処理内容を書き換えられるからです。バッファオーバーフローを利用して悪意のあるプログラムを実行させて、Webサイトを改ざんした事例が実際にありました。

金融業界

金融業界では、資金にゆとりを持たせておくことを意味します。

代表的な使い方が「資本バッファ(または資本バッファー)」です。不測の事態が生じても金融機関の資金繰りが悪化しないよう、一定以上の割合で自己資本に上乗せする資本を指します。

なお積み増しする割合は、「バーゼル3」という世界的な銀行自己資本規制で定められているのです。

動画

動画配信サービスでは、動画再生時に「バッファリング」を実行しています。

バッファリングとは動画のストリーミング再生を始める前に、数秒間から数分間分の動画データを保存する処理のこと。バッファリングに要する時間は、ネットワーク回線の速度によって変動します。

このバッファリング分のデータを再生している間に、続きのデータがダウンロードされるのです。もしインターネット回線の遅延でデータの送信が中断されても、バッファリングされた分のデータは視聴できます。

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6.バッファの管理手法「CCPM」とは?

プロジェクトの予算や納期に対して、実際のコストやスケジュールをギリギリに調整してバッファを作る管理手法のこと。「Critical Chain Project Management」の略称で、クリティカルチェーンマネジメントと呼ばれます。

なお調整されたバッファは、プロジェクトの納期前にまとめるのが一般的です。

CCPMは企業経営でも活用されています。たとえばシステムインテグレータ社では、全社の予算を決めたあとに、各部門の予算を5%積み上げてバッファを設置しました。ある部門が予算に達しなくてもほかの部門でカバーでき、予算を達成しやすくなるからです。

ここではCCPMの定義やメリット、進め方を解説します。

CCPMのメリット

CCPMを導入するメリットは、プロジェクトの遅延や停滞を防ぎ、組織やプロジェクトのパフォーマンスを最大化できること。組織やプロジェクトのパフォーマンスを最大化できる理由には、主に以下の3つがあげられます。

  1. 各タスクに必要最低限の日数を設定するため、全体のスケジュールを可視化しやすい
  2. 遅延しているタスクを把握しやすくなり、優先順位を設定しやすい
  3. メンバー全員がプロジェクト全体の進捗がしやすくなり、遅延タスクをサポートする体制を作れる

CCPM管理の進め方

CCPM管理は、「プロジェクトのゴールを決定」「タスクの洗い出し」「バッファの設定」という流れで進めます。CCPMを導入する手順を解説しましょう。

STEP.1
ODSCを決定
プロジェクトのゴールである「ODSC(これから手掛けるプロジェクトの完成イメージを共有するために決める3項目)」を明確にします。以下の3つの要素に含まれる単語の頭文字を集めてODSCと呼ばれるのです。

  • 目的(Objectives)
  • 成果物(Deliverables)
  • 成功基準(Success Criteria)
STEP.2
ゴールから工程を特定
ゴールにたどり着くまでに必要となる工程とタスクを洗い出します。工程の洗い出しでは、記載漏れを防ぐために後ろの工程から前の工程へ向かって進めるのです。

一般的にタスクの洗い出しは、WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構造図)を作成してまとめていきます。WBSでは、工程ごとにタスクを細分化し、実行する順に並べて開始日や期限、担当者などを決めていくのです。

STEP.3
スケジュールの末にバッファを設定
プロジェクトのバッファを設定します。

まず各タスクにおいて、通常の進行で要する時間数と、最短で問題無く作業を完了するのに必要な時間数を算出し、それぞれの時間数を合計。ふたつの時間数の差分をバッファとみなし、プロジェクトの最後に設定します。

いずれかのタスクで遅延が生じたら、バッファの時間数から遅延した時間数を差し引いていくため、プロジェクの管理者は各タスクの進捗とバッファの残量をつねに把握しておく必要があるのです。

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7.バッファと混同しやすい言葉との違い

バッファと混同しやすい語に、「バッファー」や「キャッシュ」があります。ここではそれぞれの意味を解説します。

バッファー

業界や職種によって、「バッファ」を「バッファー」と伸ばして表記します。「バッファー」は基本「バッファ」と同じ意味です。しかし緩衝や仲介する人を指す場合、「バッファー」と呼ぶ場合が多いでしょう。

キャッシュ

「キャッシュ(Cache)」はIT技術のひとつ。CPUの処理を高速化するために、使用頻度の高いデータを一時的に記憶領域へ保管する仕組みのこと。一方「バッファ」は、通信速度や処理速度の差を埋めるために、データを一時的に保管する領域を指します。