ビジネスクリティカルとは?【意味をわかりやすく解説】

ビジネスクリティカルとは、組織やその事業・業務にとって致命的に重要なもののことです。システムクリティカル、リスクマネジメントについても説明します。

1.ビジネスクリティカルとは?

ビジネスクリティカルとは、会社の経済損失や信用失墜など、失われると危機的な影響があるもののこと。クリティカルシステムとは、システムの障害によって生命や社会に甚大な影響をおよぼすもので、次の4つに分類されます。

  1. ビジネスクリティカル(会社の経済損失や信用失墜につながる)
  2. セーフティクリティカル(人命や自然環境の損失につながる)
  3. ミッションクリティカル(社会インフラやデータの損失につながる)
  4. セキュリティクリティカル(故意、あるいは盗難などにより、重要データの流出につながる)

「クリティカル」とは?

「危機的な・批判的な」という意味があり、ビジネスクリティカルの場合は「危機的な」という意味になります。ビジネスでは「致命的」と言い換えられるケースも多いでしょう。

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2.ビジネスクリティカル以外のシステムクリティカル

クリティカルシステム4つのうち、「ビジネスクリティカル」以外の3つについて詳しく見ていきます。

  1. セーフティクリティカル
  2. ミッションクリティカル
  3. セキュリティクリティカル

①セーフティクリティカル

安全性の維持・確保を最重要視すること。故障や障害が生じると、人命や自然環境の損失につながります。下記は、セーフティクリティカルな分野といえるでしょう。

  • 輸送機械(自動車、鉄道、船舶、航空宇宙など)
  • 化学処理や原子力発電などのプラント
  • 医療

これらの領域にかかわる機器や装置、制御・管制システムを設計・開発する場合、高い安全性や信頼性が重要視されるのです。

②ミッションクリティカル

それが欠けると業務の遂行に致命的な悪影響が出るほど重要なもののこと。組織には事業を遂行するため不可欠なシステムがあり、これが停止すると事業や組織の存続にかかわるほど重大な危機を招くのです。

たとえばIT分野では、24時間何があっても絶対に停止や誤作動があってはならないシステムをミッションクリティカルと呼びます。また停止によって混乱を招くような社会インフラも、ミッションクリティカルに含まれるのです。

  • 電力会社の送電システム
  • 鉄道会社の運行システム
  • 銀行の勘定システム

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③セキュリティクリティカル

故意または盗難などにより、重要データの喪失や流出につながるもののこと。データの喪失や流出は下記のように社内外の人間、ヒューマンエラーか故意か、などさまざまな要因が考えられます。

  • 持ち出したPCやUSBメモリーの紛失や置き忘れ
  • PCの誤操作による削除や漏えい
  • 内部犯罪や不正
  • 盗難
  • 外部からの不正アクセス

セキュリティクリティカル対策として考えられるのは、社内ルールの周知徹底や情報漏えいを防ぐツールの導入などです。

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3.ビジネスクリティカルが起こる5つのケース

企業にとって危機となるビジネスクリティカルはどのような場合に起こるのでしょう。代表的な5つのケースを見ていきます。

  1. 経営
  2. 財務
  3. コンプライアンス
  4. 災害
  5. セキュリティ

①経営

企業が経営を行ううえで生じるビジネスクリティカルは、下記のとおりです。

  • 経営判断ミスによる業績の悪化
  • 展開した事業が難航する
  • 競合企業が参入してくる
  • 商品のリコール
  • 人材の流出

これらは企業を経営していく以上、いつでも起こり得ることともいえます。十分な対策が必要でしょう。

②財務

財務上のビジネスクリティカルは、経営不振や売上低下などによる経営状態の悪化により生じます。その要因として挙げられるのは、下記のようなものです。

  • 事業の見通しをあやまる
  • 放漫経営
  • 景気の変動
  • 融資を断られる

対策として挙げられるのは、「資金繰りに注意する」「融資の返済が滞らないように管理する」といった事柄です。収支のバランスを大切にして、安定した経営をしましょう。

③コンプライアンス

経営リスクが生じるコンプライアンス違反として挙げられるのは、「粉飾決算」「経営者や従業員の不祥事」「製品の不備」など。

社会倫理に反する行動は、一般社会からの信頼や評判を低下させ、信用を失わせます。大きくバッシングを受ける可能性も高いです。これらのリスクを防ぐためにも全社にコンプライアンス順守を徹底しましょう。

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④災害

自然災害や事故などの災害によって起きるリスクについても、対策を取ります。災害の種類として挙げられるのは、下記のようなものです。

  • 台風や地震などの自然災害
  • 設計ミスや操作ミスなどによる災害や事故
  • 感染症のまん延
  • 交通機関の事故

災害が起こると、従業員の人的被害や工場の稼働停止、社屋の損害など深刻な影響が起きてしまうでしょう。災害はいつ起きるか予測できず、また避けられません。避難訓練や事故防止策など、あらかじめ十分な対策を講じておきましょう。

⑤セキュリティ

ビジネスクリティカルとなるセキュリティ上の問題として代表的なものは、情報漏えい。近年、テレワークの普及にともない、従業員の不注意や不正によって情報漏えいの危険性が高まっています。

データの取り扱いに関する指導の徹底や各種データへのアクセス権限の設定などを、行う必要があるでしょう。

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4.ビジネスクリティカルを防ぐリスクマネジメントのポイント

ビジネスクリティカルへの対処法として有効なリスクマネジメントとはリスクを組織的に管理し、損失などの回避または低減を図るプロセスのこと。そのポイントを紹介します。

  1. 予防する
  2. 軽減する
  3. 容認する
  4. 移転する

①予防する

まずリスクが発生する可能性を最小限に抑えるため、「予防」を検討します。下記について検討し、予防策を講じましょう。

  • 通常業務のなかで想定されるリスク
  • 災害や事故のような予測しにくいリスク

さまざまなケースを想定し、確認や準備を進めてリスクを防止できれば、被害の発生や影響も減らせます。

マニュアルを遵守する

ビジネスの現場にてマニュアル遵守の徹底は、人為的なものを原因とした多くのリスク管理に有効な方法です。リスク対策マニュアルを作成し、従業員に周知しておきましょう。

マニュアル遵守の徹底は、人為的な事故や現場での接客対応、従業員の不祥事といったコンプライアンスの違反などに対して、どの業種でも可能な基礎的なリスクマネジメントです。

社内教育を徹底する

コンプライアンスやセキュリティに関するリスクを防ぐためには、社内教育が重要です。研修やe-ラーニングなどで教育プログラムを進め、従業員にコンプライアンスやセキュリティに関して正しく理解させましょう。

コンプライアンスの意識は世代や立場によっても違いがあります。役員や幹部社員、管理職や中堅社員、新入社員のように、役職や年代ごとに実施するとよいでしょう。

専門部署をつくる

リスク管理は多岐にわたります。担当従業員が他業務との掛け持ちでは、行き届かない点も出てくるもの。社内にリスク管理専門の部署を設置するとよいでしょう。

そこにはリスク管理の知識や技能を身につけた人員を、配置します。リスク対策マニュアルの作成や見直し、社内教育や経営陣への提言などを専任で行うのです。

②軽減する

しっかりと予防策を講じているつもりでも、リスクが発生してしまうときはあります。そこでリスクを軽減し、影響を最小限に抑えるために対策を行うのです。たとえば地震への備えを例に見ると、下記のようになります。

  • 地震に備えて建物の耐震補強工事をする
  • 従業員用の防災グッズを備え、避難場所を確保する
  • 非常用電源を確保する

③容認する

発生頻度が少なく影響力も小さいリスクであれば、容認して受け入れてしまう」といった対処法もあります。重要性の低いリスクに対しては容認し、多額のコストをかけないようにするのです。

そのためには、あらかじめ起こり得るリスクの評価・分析をして、経営に大きな影響を与えるリスクと影響が少ないリスクとを選別しておきましょう。

④移転する

将来、発生が見込まれるリスクを第三者に負わせるのも、対処法のひとつ。典型的なものは保険への加入です。保険料を支払うと、リスクが生じた際の損失は保険会社が引き受けます。

ほかにも災害の発生に備えて事業拠点を全国各地に設けたり、重要なデータの保存にクラウドサービスも活用したりする対策があります。

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