カフェテリアプランとは、仕事のあり方に大きな変化が見られるこの時代に合った福利厚生メニューのこと。新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、今注目を集めています。
目次
1.カフェテリアプランとは?
社員が福利厚生のメニューを選べる仕組みで、福利厚生の運用形態のひとつです。社員に一定のポイントを支給し、ポイントの範囲で福利厚生メニューから選択して利用できます。
働き方の多様化により一人ひとりにとって必要な福利厚生が多様化してきたため、カフェテリアプランを採用している企業が増えているのです。
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カフェテリアプランの名前の由来
カフェテリアプランの名前は、さまざまな飲食メニューから好きなものを選択して注文できる「カフェテリア」に由来しています。
カフェテリアプランの歴史
カフェテリアプランは1970年代にアメリカで誕生したといわれています。当時のアメリカでは社員のニーズが多様化し始めており、それぞれに合った福利厚生を提供できる仕組みがつくられました。
日本で初めて1995年にカフェテリアプランを導入したのはベネッセコーポレーションです。現在の日本も社員の価値観が多様化してきたため、カフェテリアプランを導入する企業は今後増えていくでしょう。
2.カフェテリアプランを導入する企業が増加している背景
現在日本では、カフェテリアプランを導入している企業が増えてきています。導入する企業が増えてきている背景として挙げられる2点について、詳しく説明します。
- ワークライフバランスの実現
- 非正規社員の待遇改善
①ワークライフバランスの実現
近年、働き方改革の影響や新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、社員のライフスタイルも多様化。
福利厚生による経済的な支援は社員のモチベーションを上げるものの、多様化した社員に対して画一的な福利厚生の制度を提供しても利用にはつながりません。そこで社員自身が福利厚生メニューを選択できるカフェテリアプランが、注目されているのです。
②非正規社員の待遇改善
カフェテリアプランは、非正規社員の待遇改善策としても注目されています。企業によっては正規雇用と非正規雇用の福利厚生の内容に差をつけている場合も少なくありません。
しかしパートタイム有期雇用労働法にもとづいて、企業は正規社員と非正規社員で差のない公平な福利厚生制度を提供しなくてはならないのです。社員の保有ポイントに応じて福利厚生を利用できるカフェテリアプランは、公平な制度といえるでしょう。
3.パッケージプランとの違い
パッケージプランとは、福利厚生サービスをまとめた(パッケージ化した)定額制プランのこと。ほか企業と提携し、その企業が提供するサービスに申し込んで利用します。そのためサービス内容の変更はできません。
一方カフェテリアプランは、企業ごとに福利厚生メニューをカスタマイズできます。そのためカフェテリアプランは社員のニーズを取り入れやすいのです。またパッケージプランよりも社員の満足が高くなる傾向にあります。
4.カフェテリアプランの制度概要
カフェテリアプランはどのような仕組みで運営されているのでしょうか。下記について解説します。
- ポイント制度
- メニューの種類
- カフェテリアプランの課税と非課税問題
- ポイントの申請、利用方法
①ポイント制度
カフェテリアプランではポイント制度を採用します。社員1人あたりに一定のポイントを付与し、社員は付与されたポイントを使って用意された福利厚生メニューから、サービスを好きなように選択するのです。
たとえば福利厚生費が10万円で1ポイント100円換算する場合、年間1,000ポイントが付与されます。
②メニューの種類
カフェテリアプランは従来の画一的な福利厚生サービスよりもメニューの幅が広く、社員のニーズに合わせて有効活用できます。企業は社員の意見や感想などから選択可能なメニューを改良し、ニーズに合わせて増やしていく必要があるでしょう。
ここではカフェテリアプランのメニューをご紹介します。
健康管理や医療のサービス
健康管理や医療のサービスとは、人間ドックやスポーツクラブ、歯科治療の補助などです。
育児、介護、生活補助
育児、介護、生活補助では、以下のサービスを提供する企業が多いようです。
- 子ども費用補助
- 保育園や託児所補助
- 介護関連費用補助
- 家賃補助
- 住宅融資利子補給
- 社員食堂補助
資産活用
資産活用のサービスとは、FP相談費用補助や財形貯蓄奨励金、持株会奨励金などです。
自己啓発
自己啓発のサービスとは、資格取得や各種スクール、語学学校や通信教育の補助などです。
レジャー
レジャーのサービスとは、宿泊や旅行、チケット購入やイベント、レジャー施設利用の補助などです。
③カフェテリアプランの課税と非課税問題
カフェテリアプランで選択できる福利厚生メニューには、課税対象になるサービスと非課税扱いになるサービスが混在しています。カフェテリアプランのポイントに対する税金については、国税庁が見解を述べているのです。
国税庁の見解
国税庁は基本、利用した福利厚生の内容に応じて課税か非課税かを判断するとしています。ただし福利厚生費として課税されない経済的利益とするには、役員や社員にとって均等でなければなりません。
社員の職務上の地位や報酬額に応じて異なるポイントが付与される場合、カフェテリアプランのすべてが課税対象となる点に注意しましょう。また非課税とするには現物給付でなければなりません。
課税対象となるメニュー
「地位や役職によって付与されるポイントに変化がある」「金券やギフト券など購入補助になるような換金性のあるメニュー」の場合、課税対象です。
費用補助のサービスによっては課税対象になるものも多いでしょう。もし同じ費用補助でも社員の健康管理を目的とした健康診断費用であれば、課税対象にならないと考えてよいでしょう。
④ポイントの申請、利用方法
カフェテリアポイントは一体どのように付与され、使用するにはどうしたらよいのでしょうか。ここでは一般的なカフェテリアポイントの申請方法から、カフェテリアポイントの利用方法までを説明します。
会員サイトでの申し込み
カフェテリアプランを提供しているサイトから会員登録すると、サイト内にポイントが貯まります。その後、ポイントを使って自身が利用したい福利厚生サービスを選択し、必要な手続きを行うと、選択した福利厚生を受けられるのです。
なお具体的な操作方法は提供サイトによって異なります。不明点があった際は、担当部署やサポートに確認しましょう。
カスタマーセンターでの申し込み
カスタマーサービスから電話を利用するとカフェテリアプランに申し込めます。この場合、受け答えをすべて口頭で行って登録するため、会員IDやパスワードといった必要な情報は、事前に用意しておきましょう。
登録が完了したら、貯まったポイントを使って福利厚生サービスを選択します。なお提供元によって電話やメール、FAXなど申請の方法はさまざまです。マニュアルに記載されている方法で申請しましょう。
5.カフェテリアプランのメリット
近年、導入する企業が増加している点からも分かるとおり、カフェテリアプランにはさまざまなメリットがあります。どんなメリットがあるのか、見ていきましょう。
- 公平性が保たれた福利厚生の実現
- 社員のニーズに応えられる
- 福利厚生費の管理がしやすい
- 企業からのメッセージを伝えられる
①公平性が保たれた福利厚生の実現
従来の画一的な福利厚生サービスと違い、カフェテリアプランは社員一人ひとりがライフスタイルに合わせた福利厚生サービスを選択できます。選択肢が広がるため、誰かが優遇されていて、誰かは優遇されていないといった不公平感が発生しにくくなるでしょう。
②社員のニーズに応えられる
今までの日本社会の福利厚生サービスは基本、企業が社員に対して一方的に与えるだけのものでした。カフェテリアプランを導入すれば、社員が自分にとって本当に必要な福利厚生を選べるようになるのです。
また一律のサービスでないため、少数が求めているサービスも追加できます。これらは、社員の満足度向上にもつながるでしょう。
③福利厚生費の管理がしやすい
カフェテリアプランでは、まずは社員にポイントを付与します。年間の予算上限は「社員数×年間付与ポイント」となるため、ポイントを付与すれば予算の上限を事前に決定できるのです。
予算の上限を変更する際は、付与する一人あたりの付与ポイント数を変更すればよいので、予算管理の手間を軽減できるでしょう。
④企業からのメッセージを伝えられる
カフェテリアプランを使えば、企業が社員に対して求めている内容をメッセージとして伝えられます。なぜなら企業側が自由に、カフェテリアプランのメニューを設定できるためです。
たとえば企業が「今後のために自己啓発を頑張ってほしい」と望んでいる場合、資格取得補助やスクール補助のようなサービスを実装するとよいでしょう。
6.カフェテリアプランのデメリット
カフェテリアプランは近年、増加傾向にあるとはいえ、導入へのデメリットも存在します。企業側はメリットとデメリットの両面を考えて、カフェテリアプランを導入するかどうか、検討しなければなりません。
- 手間とコストの負担が大きい
- 精算方式によっては社員から不満も
- 課税か非課税かが一律でない
①手間とコストの負担が大きい
カフェテリアプランではポイント制度を使用するため、導入の際は、全社員のポイントを管理するシステムが必要です。
しかしシステムを構築するとなれば多くの手間とコストがかかるでしょう。さらにシステムが完成した際は、運営のために人手と人件費が必要となります。
②精算方式によっては社員から不満も
カフェテリアプランのポイント制度に、「年度をまたぐと失効してしまう単年度精算方式」を採用している企業は多数あります。
つまりポイントを年度内に使い切らなければならなかったり、ポイントが消滅してしまったりするため、社員が企業への不満を募らせる原因となる可能性があるのです。
③課税か非課税かが一律でない
カフェテリアプランのサービスには、課税の対象になるものと非課税のものとが混在します。たとえば社員や役員に対して均等にポイントが付与されていない場合は課税、現物支給(換金性のないもの)であれば非課税です。
内容によって課税対象かどうかが異なるため、新しくサービスを追加する際は都度、条件を確認しなければなりません。不確定な要素が多いサービスについては、事前に税理士や税務署へ相談するとよいでしょう。
7.カフェテリアプランの導入から運用までの流れ
企業がカフェテリアプランを導入する場合、どうしたらよいのでしょうか。ここでは、制度設計から、導入後の分析や改善までの過程について説明します。
8.カフェテリアプランの導入企業割合とサービスの外部委託
カフェテリアプランを導入する方法は、自社による運営と、カフェテリアプランを福利厚生代行サービスへ委託する方法の2つです。ここではカフェテリアプランを導入している企業の割合と、カフェテリアプランを外部委託するメリットについて解説します。
2018年度カフェテリアプラン導入企業は16.6%
日本経済団体連合会の資料によると、2018年度までにカフェテリアプランを導入した企業は16.6%。なかでも84.6%が、社員総数1,000人以上の企業です。これは社員の規模が大きい企業ほど、運営コストを削減しやすくなる点が関係しています。
この数字は右肩上がりにあり、今後も成長していくと考えられるでしょう。
カフェテリアプランを外部に委託するメリット
カフェテリアプランを外部に委託するメリットは、以下のとおりです。
- 運営するうえで、オペレーションの手間を省ける
- 課題の分析を行い、適切なメニューを導入できる
- ヒアリングにもとづいた、メニューの設計や構築を任せられる
2019年度では1,682団体がカフェテリアプランの導入や運営を外部に委託しています。また外部委託の割合は2010年度から、上昇し続けているのです。
9.社員満足度の高いカフェテリアプランサービス
ここでは「ベネフィット・ステーション」と「WELBOX」が福利厚生として提供しているカフェテリアプランサービスをご紹介します。なおアウトソーシングを利用する際は、別途費用がかかります。その点を覚えておきましょう。
ベネフィット・ステーション
「ベネフィット・ワン」が運営する「ベネフィット・ステーション」では、現状をヒアリングして、合ったプランを設計してくれるのです。運用が始まったあとも、ニーズに合わせてメニューを変更できます。
旅行やレジャー、グルメやスポーツ、育児や学習など18ものカテゴリーが用意されているので、社員満足度につながりやすいでしょう。
WELBOX
イーウェルが運営する福利厚生サービス「WELBOX」は、綿密なコンサルティングとサポートに長けています。さまざまな環境や変化に合わせて、企業と社員の双方にメリットをもたらすような、福利厚生サービスを構築できるのです。
またパッケージサービスとカフェテリアプランを組み合わせられます。サービスのカテゴリーには健康や介護、宿泊やグルメ、育児や自己啓発などがあるため、ライフステージに合わせて選べるでしょう。