キャリアコンサルティングとは?【意義とメリット】相談内容

キャリアコンサルティングの意味やメリット、実際の流れなどについて、さまざまな項目から詳しく解説します。

1.キャリアコンサルティングとは?

キャリアコンサルティングとは、労働者が自分に合ったキャリアを築くために受ける支援のこと。相談者と個別にカウンセリングして、スキルや経験、価値観や興味関心などをもとに、理想とするキャリアを考えます。

キャリアコンサルティングを受けると自分の適性がわかるため、希望とするライフスタイルを見つけられるでしょう。

コンサルティングとカウンセリングとの違い

カウンセリングとコンサルティングは、それぞれ次のような意味があります。

  • カウンセリング…相手の身になって一緒に解決していく。主人公は相談者とカウンセラーのふたり
  • コンサルティング…主人公はコンサルタントひとり。専門家として相談者にノウハウや助言を与える

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2.キャリアコンサルティングのメリット

キャリアコンサルティングを行うメリットを従業員と会社、それぞれ見ていきましょう。

  • 従業員…第三者の専門家からアドバイスをもらい、キャリアプランが明確になる
  • 会社…組織全体が活性化し、生産性の向上や離職率の低下が見込まれる

従業員側

キャリアコンサルティングは従業員にとってどのようなメリットがあるのか、3つの項目について解説します。

  • キャリアプランの明確化
  • 客観的なアドバイス
  • 新たな適性や価値観の発見

①キャリアプランの明確化

自分のキャリアについて相談できる人は、なかなかいないもの。年齢を重ねてライフステージが変わるに連れ、転職や起業に関して漠然とした不安が生まれてくるものです。

キャリアコンサルティングでは、このような漠然としたキャリアの不安を整理できるうえ、アドバイスをもらえます。それによりキャリアプランも明確にできるでしょう。

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②客観的なアドバイス

自分だけで将来のキャリアを判断しようとすると、自分の思い込みや基準で評価をしてしまい、適性ではない結論に至る可能性も高いです。

キャリアコンサルティングを利用すると、客観的で公平な視点からキャリアに関する意見をもらえます。また第三者の立場から相談者に見合ったキャリアプランを提案してもらえます。

③新たな適性や価値観の発見

自分自身の思い込みや基準から、適性や価値観を適切に把握できない場合も多いです。キャリアコンサルティングでは、客観的な分析によって、次のような新しい発見ができます。

  • 自分では気付かなかった適性
  • 思い込みにより埋もれていた価値観の明確化

自分では気づかなかった適性や価値観などを発見できれば、キャリア形成の大きなモチベーションになるでしょう。

会社側

キャリアコンサルティングは会社にとってどのようなメリットがあるのか、3つの項目について解説します。

  1. 離職率の低下
  2. 業績や生産性の向上
  3. 組織の活性化

①離職率の低下

キャリアコンサルティングを支援すると、従業員にとっては自身のキャリアを大切に考えてくれる会社だと映ります。

そのため、長く働きたいと考える従業員が増えて離職率の低下につながるのです。働き方が多様化しているなか、正社員やパート、そしてテレワークといったさまざまな労働形態に理解があるほど、会社への評価は高くなります。

②業績や生産性の向上

外部からキャリアコンサルタントを招いて従業員向けにキャリアコンサルティングを行うと、従業員の悩み解消に役立ちます。

このような場なら、従業員が普段話せないようなことも相談できるでしょう。社内では他の人に話せないキャリアについて相談できるため、従業員が納得して働けるように。そしてこれが業績や生産性の向上につながるのです。

③組織の活性化

キャリアコンサルティングとキャリア研修を組み合わせる「セルフキャリアドック」により、組織の活性化が期待されます。

セルフキャリアドックを実施すると、育児や介護で休業している労働者の円滑な職場復帰やセカンドキャリアを考えているシニア社員の活性化などが見込めます。それにより、組織全体が活発になるのです。

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3.キャリアコンサルティングの相談内容

キャリアコンサルティングの主な相談内容として、次の3つを紹介します。

  1. キャリアアップ
  2. ワークライフバランス
  3. メンタルヘルス

①キャリアアップ

具体的なテーマとして挙げられるのは、次のようなものです。

  • 会社での将来、働くことへの将来について
  • 会社でこのまま働くか、転職するべきか

こうした相談に対してカウンセリングでは、そう思った原因を掘り下げたり、悩みに対していろいろな方向から捉えるようにしたりしていきます。

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②ワークライフバランス

仕事と私生活の両立を目指す「ワークライフバランス」の相談もあります。相談の内容として挙げられるのは、次のようなものです。

  • 出産後に仕事復帰してワークライフバランスを保てるか
  • ワークライフバランスを考えて転職したい

こうした悩みに対して、どういうスタイルで働きたいのかを明確し、長期的なキャリアの構築や転職先の選び方をアドバイスします。

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③メンタルヘルス

キャリア支援でも「メンタルヘルス対策」は切り離せないテーマです。メンタルヘルスが不調のままでは、復職後に再び休職してしまうかもしれません。

キャリアコンサルティングでは、メンタルヘルスの不調の原因を深掘りします。そして慎重に解決策を探り、トラブルの早期発見を目指すのです。

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4.キャリアコンサルティングの流れ

キャリアコンサルティングでは、相談者をさまざまな形で支援します。そして、これから紹介するような流れでキャリアプランの作成と実現をサポートします。

STEP.1
キャリアビジョンの明確化
漠然と今後のキャリアについて不安があっても、「自分が何を目指したらよいかわからない」「スキルアップといっても何を始めたらよいかわからない」相談者も多く存在します。

キャリアコンサルタントは、まず相談者のこれまでの経験や関心があることをヒアリングし、どういう方向に進んでいきたいのか一緒に考えていくのです。

STEP.2
自己分析
自己分析は、自分自身の強みや弱みを解析するだけではありません。主体的に生きる力をつけるための手段だといえます。自己分析のステップは、大きくわけて次の2つです。

  • 現在の自分の肯定的な面を知る
  • 自分の能力や経験、価値観などを深く観察する

キャリアカウンセリングでは、相談の場で直接観察や評価をします。

STEP.3
仕事の理解
希望とするまたは興味のある職業について、理解します。職業を理解するには、その職業で行っている仕事の内容や目的はもちろん、どうすればその職業で働けるかといった、さまざまな側面を知ることが大切です。

具体的には、次のような項目があります。

  • 職業の内容
  • どのような人が働いているか
  • この職業で働くためにどうしたらよいか
  • この職業の歴史と展望
  • 主な労働条件
  • 問い合わせ先や関係団体
STEP.4
啓発的経験
啓発的経験とは、興味や関心をもった仕事がわかったあと、実際に仕事を体験してみること。仕事の体験をとおして、職業への理解がより深まって目指すべきキャリアがより明確になります。

仕事を体験する方法として挙げられるのは、次のようなものです。

  • インターン
  • ボランティア
  • 体験アルバイト
STEP.5
意思決定
キャリアに関する選択肢から意思決定し、今後のキャリア設計や目標の明確化などを行います。たとえば次のようなことが話し合われるのです。

  • 中長期的な目標と短期的な目標の設定
  • 能力開発や教育訓練などに関する情報の提供
STEP.6
プランの実行
これまでに作成したキャリアプランを実行に移すステップです。選択した職業で働くため、能力開発・選択した仕事への応募などを行います。

昨今、ポストについての公募制を取り入れている企業も増加。企業が積極的にキャリア形成を行って、個人の職業能力を発揮してもらうという目的があるためです。

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5.キャリアコンサルティングの注意点

キャリアコンサルティングを行う場合、何に気をつければよいのでしょう。事前に行うべきポイントについて、それぞれ解説します。

  1. 社内で実施する際は教育が不可欠
  2. 相談しやすい環境づくり
  3. 外部カウンセラーは得意分野を確認

①社内で実施する際は教育が不可欠

キャリアコンサルティングを社内で実施する際、とくに資格は必要ありません。ただしキャリアコンサルティングを行うスキルは求められます。

まず知識を蓄積するために体系的なキャリアコンサルティング教育を実施しましょう。また担当する社員に、キャリアコンサルティング講座の研修を受けさせます。

②相談しやすい環境づくり

キャリアコンサルティングには「カウンセリング」という意味合いもあるため、相談すること自体がネガティブに捉えられる場合も。また次のような理由で相談を避けてしまう人もいます。

  • 対面で話すと緊張してしまう
  • 相手の目線が気になってしまう

まずは対面しない形として社内でメール相談を行い、気軽にキャリアコンサルティングを受けてもらえる環境を作りましょう。

③外部カウンセラーは得意分野を確認

キャリアコンサルティングに携わる人によって違いがあるうえ、得意分野の領域はさまざまです。たとえば弁護士や法務人材、士業資格者などに特化したアドバイザーのみが在籍しているところもあります。

どうやってエージェントを選択したらよいかわからない場合は、スクリーニングを行って複数の企業に話を聞くとよいでしょう。

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6.キャリアコンサルティング制度とは?

厚労省が民間に委託する形で、キャリア形成サポートセンターを通じ、キャリアコンサルティングを実施している制度のこと。労働者とキャリアコンサルタントが面談し、課題を整理して解決していくのです。

厚労省はジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング制度の普及を促進しており、制度を導入する企業には「企業内人材育成推進助成金」を用意しています。

対象の事業主

キャリアコンサルティング制度の対象となるための要件は、下記のとおりです。

  • 人材育成制度を就業規則または労働協約に規定する
  • 労働組合の意見を聞いて事業内職業能力開発計画を作成し、従業員に知らせている
  • 職業能力開発推進者を選任している

支給要件

キャリアコンサルティング制度の支給要件は、次の3つです。

  1. すべての従業員にキャリア・コンサルティングを実施する計画を作成する
  2. ジョブ・カードを活用してキャリア・コンサルティングを実施する
  3. 資格を持つキャリア・コンサルタントが、キャリア・コンサルティングを実施する

助成額

キャリアコンサルティング制度の助成額は、以下のとおりです。

  • 制度導入助成額…30万円
  • 実施助成額…5万円

また従業員をキャリアコンサルタントとして育成した場合、15万円が加算されます。

申請までの流れ

キャリアコンサルティング制度を申請する流れは、次のとおりです。

  • キャリアコンサルティング制度の作成
  • 制度導入・適用計画届を労働局(またはハローワーク)へ提出
  • 制度の導入
  • 制度の適用
  • 終了日の翌日から2か月以内に申請

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7.キャリアコンサルティングで役立つ資格

キャリアコンサルティングで役立つ資格として、次の2つを紹介します。

  1. キャリアコンサルタント試験
  2. キャリアコンサルティング技能士

①キャリアコンサルタント試験

キャリアコンサルティング協議会が実施する国家資格試験のこと。下記のいずれかの要件を満たすと受験できます。

  • 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者
  • 労働者の職業の選択、職業生活設計または職業能力開発および向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する者
  • 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験または実技試験に合格している
  • 上記の項目と同等以上の能力を持っている

②キャリアコンサルティング技能士

2級と1級の2つにわかれ、試験等級に応じた「キャリアコンサルティング技能士」を名乗れます。国家技能検定として認定されているものです。この試験は実務経験がある人の技能レベルを認定するものなので、実務経験をもつ人だけが受験できる試験となります。