「連合」と聞いて連想するのは、どのような組織でしょうか。
日本にはさまざまな連合がありますが、ここでは、企業や従業員との関わりの深い、「日本労働組合総連合会」について考えてみましょう。「組合」と「連合」の関わりや、「連合」の運動方針についてご説明します。
「連合」とは?
「連合」というのは、「日本労働組合総連合会」の略称です。英語では、Japanese Trade Union Confederationという表記になり、略称はJTUCです。1989年に結成され、結成と同時に国際労働組合総連合(ITUC)に加盟しています。
日本国内には、多数の労働組合があります。日本労働組合総連合会は、これらの労働組合のうち、連合に属する組合のナショナルセンターです。
連合には、47の地方連合会があるほか、各産業別の組織もあり、企業別の労働組合を取りまとめています。
現在の日本では、地方連合会よりも産業別の労働組合が主流となっています。なお、日本の労働組合には連合のほか、全労連や全労協なども存在しており、政治的背景や企業とのかかわり方に違いがあります。
日本労働組合総連合会の方針と運動内容
日本労働組合総連合会では、「ブラック企業問題」「残業問題」「セクハラ・パワハラ問題」など、労働に関するさまざまな問題の解決を目指した活動が行われています。
具体的には、春闘を行ったり、男女間格差に関する活動、『月刊連合』の発行などで、被雇用者の地位向上に努めています。
また、フリーダイヤルによる相談を受け付けており、正社員だけでなく、派遣社員やアルバイトなどの非正規雇用の従業員に対してもアドバイスを行っています。
具体的な企業との交渉に関しては、連合ではなく、各地域や企業の労働組合が行います。連合は、こうした労働組合の働きを取りまとめて支援するために存在している組織で、労働組合のない企業に勤める従業員向けに、組合の作り方の指導なども行っています。
企業における労働組合員
労働組合員は、企業に対して団体交渉などを行うことができます。企業は、この交渉を拒むことはできません。しかし、これはあくまでも交渉ですから、要求をすべて飲む必要があるというわけではありません。
また、労働組合員としての活動は、仕事ではないため、業務時間内に行うことは原則できません。労働組合との取り決めで、交渉など、一定の時間については賃金支給の対象とすると定めることはできますが、通常の労働組合員としての活動時間に対して企業が給与を支払う必要はありません。
労働組合員の中には、専従者として、企業を休職して労働組合員としての活動を主とした活動をする人物もいます。こうした専従者は、労働組合員の組合費から給与を得るため、企業が休職に当たって給与を支給したり、休職期間中を退職金算定時の勤続年数に含めることはできません。
労働組合はひとりでも作れる
中小企業の中には、労働組合がない企業も少なくありません。労働組合は、労働者が団結して企業に対して交渉を行うためにあるものですが、中小企業では、特にこうした制度が作られていないところもあるのです。
労働組合とは、企業に対して従業員に有利な就業条件等を求めるものですから、企業としては結成してほしくないという場合も多いでしょう。しかし、企業内で労働組合を作ろうという人が出た場合、それを阻止したり、労働組合員となった人に対して給与面や昇進面で差別をしたりすることは認められません。
労働組合はひとりでも作ることができるため、今現在労働組合がない企業でも、今後労働組合が作られる可能性があります。その時のためにも、正しい労働組合員や連合との接し方を学んでおきましょう。