企業間競争が激しさを増す中、企業を支える人材の確保と育成が求められています。この記事では、中長期的な成長を目指し、コア人材の育成に取り組む企業の動向について紹介します。
コア人材とは?
コア人材とは、事業の中核となって企業を支え、経営をコントロールする人材のことです。一方、パートタイム労働者や派遣労働者、アルバイト、契約社員などの流動的労働力は、フロー人材と呼ばれています。
近年、経営のスピード化や効率化に伴い、企業を担うコア人材候補を確保し、育成することが重要な課題となっており、人事においてもコア人材とフロー人材を効率よくミックスして管理することが大切です。
コア人材の特徴
日本の企業を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。このように厳しい競争時代を乗り切り、企業が発展するため、社内の各組織においてビジョンを描き、新たな事業を創造することができるコア人材が注目されています。
それでは、コア人材にはどのような特徴があるのかみてみましょう。野村総合研究所のインタビュー事例では、中小企業経営者が考えるコア人材の特徴として、「給与以上の理念の実現や顧客価値の創造を求めて働く」「自らの仕事を作品として磨き上げる」「その分野で右に出る者がいない」などを挙げています。
また、コア人材の離職の原因としては、「納得できる給料ではない」「希望に沿った仕事や機会が与えられていない」「社長または経営陣と意見が合わない」などの理由を挙げています。さらに、コア人材の離職と企業業績の関連を分析し、コア人材の離職が少ないほど、企業業績が良いという結果を発表しています。
コア人材を育成する取り組み
人材採用が難しい時代になり、即戦力としてのコア人材を採用し定着させることも難しくなっています。そのため、コア人材のスカウトなどの採用活動が活発化しています。また、長期的な取り組みとしてコア人材候補の内部育成を目指す企業も増えています。
これまで多くの企業でOJTを人材育成の基本としています。しかし上司が忙しく、部下や後輩に仕事を教える余裕がなくなりOJTが機能しなくなることや、企業内で社員が持つ強みや能力などに関する情報がうまく共有されずに優秀な人材が埋もれてしまうことが、コア人材の育成を困難にしています。
このような状態を改善するため、職場全体でのOJTの整備や、人的情報をイントラネット上で把握できる仕組みを構築することが大切です。
また、社員の配置を定期的に変え、さまざまな職務を経験させる従来型の人材育成手法ではなく、より効率的な取り組みを試みる企業も増えています。コア人材を育成するための具体的な取り組み例は以下の通りです。
- 特定プロジェクトの推進や、子会社経営などの厳しい体験をさせ、乗り越えた人材を登用する
- 失敗を許容し経営者と接触する機会が多い組織をつくる
- 成果に応じた評価体系や相応の報酬を支払う
経済の上昇傾向が続けば、コア人材やコア人材候補者のような優秀な人材は、自身のやりがいや目的を達成できない企業には定着しないことが予想されます。コア人材の育成を重視し取り組む企業は、コア人材のやる気を引き出し方、その成長のメカニズムを理解する必要があるでしょう。