企業内大学を設立することは、たんに次世代のリーダー育成だけではなく、人材の底上げにもつながる大切なポイントです。人事担当者がおさえておきたい、企業内大学の目的と中長期的な広い視野での人材育成について紹介します。
「企業内大学」とは?
企業内大学とは、「コーポレートユニバーシティ」とも呼ばれ、CUと略されることもあります。企業内大学は、従来の社員研修で行われてきた教育とは異なり、将来のキャリアアップへつなげるための教育を行う場所です。
具体的には、専門的な知識と能力の取得だけではなく、次世代リーダーを育むことを目的としています。大学の講義同様に、必修と選択があり、履修計画をひとりひとりの目的に対応じて組み立てることができます。
企業内大学は、社内の教育研修を執り行う人事部ではなく、研修を行うために独立した部署が運営を行うケースがほとんどです。講師は受講内容に関する専門部署の社員や外部教育機関からの招へいのほか、経営トップが教壇に立つこともあります。
企業内大学の目的
技術の革新が進む中で、常に新しい知識の習得が求められ、学習内容を戦略的かつ整合化する必要があります。その意味で、必要な時に必要な学習ができる企業内大学は、ひとりひとりのニーズに合った教育を行うことができるのです。
また、少子高齢化のために労働人口が年々減少していく中で、優秀な人材をプールするためには、「選ばれる企業」である必要があります。
労働時間や報酬だけではなく、教育・研修制度の充実もまた、求職者が企業を選ぶ大切なポイントといえるのです。
企業内大学を設置することで、向学心のある求職者にアピールすることができます。人事担当者はこれらの目的やメリットなどを考慮したうえで、企業内大学の導入を検討しましょう。
中長期的な目線の人材育成
新世代の人材育成を考えたとき、多彩な教育を行うことはもちろんですが、中長期的な視点に立った経営戦略の立案と人材育成計画が必要不可欠です。
短期間で必要な知識を詰め込み、ひとりひとりの能力やニーズを無視した押しつけ型の教育では、教育効率が下がってしまします。
また企業内大学ではたんにリーダー育成にとらわれず、派遣社員などにも門戸を広げることで、従業員の底上げを行い、働く意識に対するしっかりとしたマインドセットを行いましょう。
働く意欲を高め、やる気を保ち続けることは、職場環境を良くすることにも効果的です。
そして企業内大学では、従来の終身雇用が前提となった教育スタイルではなく、戦略的に教育を行います。
企業内大学にかける教育費用は「コスト」ではなく、「投資」であるということを理解し、そのうえでいかに有効な未来投資を行うことができるのか考える必要があるのです。
自社にとっての「人材」の意味と価値を考え、それらを確立することが、企業内大学を成功させるための第一歩といえるでしょう。
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