上場廃止とは? 株や社員はどうなる? 廃止理由、メリット

上場廃止とは、その企業の株式が証券取引所で公開されなくなること。上場廃止の理由、基準、社員への影響、メリットなどについて解説します。

1.上場廃止とは?

上場廃止とは、その企業の株式が証券取引所で非公開となり、取引所で売買できなくなること。上場廃止の理由では、以下の2つが考えられます。

  1. 企業が自ら上場を取りやめた
  2. 上場廃止の基準に該当し、証券取引所の判断で取引終了となった

ただし上場廃止には一定の手続きや審査があり、即日廃止されるわけではありません。

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2.上場廃止後の株はどうなる?

企業が上場廃止になっても、その株式は上場廃止日まで「整理銘柄」と見なされ、通常1か月ほどは取引所で売買を続行できます。整理銘柄とは、上場廃止基準に該当し、廃止が決定した株式のことです。

上場廃止の実施以降は、取引所での売買が停止されますが、個人間の取引は可能。また上場廃止後でも、その株を保有する株主は議決権(株主総会の議題に対して賛否の投票ができる権利)や、配当請求権(企業の利益から配当を受け取る権利)を認められます。

なお戦略的な上場廃止であれば株価が上がることもあるものの、業績不振などが原因の場合、一般的に株価は下がります。

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3.上場廃止後の社員はどうなる?

上場廃止する企業は業績の悪化や経営問題を抱えている場合も多く、社員が不利益を被ることもあります。どのようなリスクが発生するのか、説明しましょう。

待遇が悪化する可能性がある

上場廃止が決定すると、給与やボーナスの削減、福利厚生の見直しなどが行われ、社員の待遇が悪化する可能性があります。

上場廃止した企業は投資家などからの出資を得られなくなるため、自社で資本を確保しなければなりません。そのため経費削減の一環として、賃金のカットといった対応もありえるのです。

業績の悪化による上場廃止の場合は、売上や利益も減少していることも多く、やむを得えず給与引き下げに踏み切ることも少なくありません。

人員整理にまで至った事例

株式会社東芝は、経営再建を理由に2023年に上場廃止に踏み切りました。上場廃止が決定した同社は、経営再建のためにいくつかの事業を売却。それでも売上は伸び悩み、事業を売却したことで人員過多になってしまいます。

上場廃止以前から同社は、コスト削減の一環としてリストラ(人員削減)を計画。2024年2月に最大4,000人もの早期退職者募集を正式に発表しました。

社会的信用が低下する可能性がある

上場企業は一定以上の経営状況や財務状況が担保されており、倒産などのリスクが低い企業だと見なされます。そのような上場企業の社員は安定した収入が見込まれるとして、金融機関の審査などで有利になることも少なくありません。

一方上場廃止した企業の社員は、業績不振などによるリストラの可能性があり、収入の安定性が懸念されます。そのため住宅ローンやクレジットカードの作成などの審査で不利になる可能性もあります。

モチベーションが下がる可能性がある

上場廃止後に、自社の社会的な信用や評価が下がる、待遇が悪化する、人員整理が行われるといった状況に陥ると、社員のモチベーションが低下する可能性があります。上場廃止により自社への誇りや信頼が揺らぐと、社員は企業に対する愛着や忠誠心を失いかねません。場合によっては、より待遇のよい企業へ転職することもあります。

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4.上場廃止の理由一覧と上場廃止基準

企業が上場を維持するには、証券取引所が定める基準に適合しなければなりません。上場廃止の主な理由と基準について説明します。

上場廃止基準に該当する

証券取引所の上場廃止基準に当てはまると、一定期間を経たのち強制的に株式を公開できなくなります。上場企業には、財務状況や経営の透明性、ガバナンスの観点から厳しい基準が設けられており、これらの基準に合致しなくなる状況が発生した場合、上場廃止が決定するのです。

たとえば深刻な経営問題が発生したり、財務状況の急激な悪化が見られたりした場合などが挙げられます。

上場維持基準への不適合

上場維持基準とは、企業が証券取引所に上場を続けるためにクリアしなければならない要件のこと。主な上場維持基準は、「株主数」「売買代金」「一定の利益水準」「時価総額」などです。

上場維持基準を満たせないまま、原則として1年(売買高が未適合の場合は6か月)を超えると上場廃止が決定します。

上場を維持するには、上場維持基準に不適合となったときから一定期間内に、上場維持基準を満たすための取り組み、およびその実施時期をまとめた計画書を提出しなければなりません。計画書の提出期限は、どの基準を満たせなかったのかで変わります。

有価証券報告書等の提出遅延

上場企業は、関連省庁および証券取引所へ定期的に有価証券報告書や四半期報告書を提出しなければなりません。法定期限から1か月が経過しても提出されない場合、上場廃止が確定します。

これらの提出が遅れると投資家や市場に対する信頼が損なわれるため、証券取引所においても厳しいペナルティを定めているのです。

ただし提出期限の延長を申請し、承認された場合は、延長期間終了後の8日目(休業日を除く)が提出期限とされます。

虚偽記載または不適正意見等

財務諸表や経営状態に関して、正しくない情報を故意的に提出する報告書へ記載した場合、虚偽記載と見なされて上場廃止基準に抵触します。たとえば収入や当期純利益が過大に記載されていたなどです。

また企業は、監査法人による監査報告書や四半期レビュー報告書も証券取引所へ提出しなければなりません。これらの報告書において、監査法人が以下の記載をした場合も上場廃止と判断されます。

  • 不適正意見:財務状況が適正に記載されていない
  • 意見不表明:重要な監査を実施できず、適正に表示しているかの結論を出せない

特別注意銘柄等

特別注意銘柄とは、上場廃止はまぬがれたものの、内部管理体制の強化が必要だと見なされた株式のこと。投資家へその銘柄のリスクを伝えるのが目的です。特別注意銘柄に指定されると通常1年間の猶予が与えられ、その期間内に問題を解決し、証券取引所の審査に合格すると特別注意銘柄の指定が解除されます。

特別注意銘柄が上場廃止されるケースは次のふたつです。

  • 猶予期間が終わるまでに内部管理体制が改善されず、今後の改善も見込まれない
  • 審査後に特別注意銘柄の指定が継続された場合、指定継続が決まった事業年度の末日から3か月を超えても改善が見られない

上場契約違反等

企業が上場する際に、「新規上場の申請に係る宣誓書」や「上場契約書」を提出しなければなりません。これらの内容に違反した企業は上場廃止の対象です。新規上場の申請に係る宣誓書に違反した場合、企業は1年間の猶予期間内に、違反を解消しなければなりません。

たとえば上場契約書に、「証券取引所が定める規程や措置に従う」といった記載があります。この契約書に承諾にしたにもかかわらず、規程や措置を守らない企業は、上場契約違反等に該当するでしょう。

その他

そのほかの上場廃止の理由としては、次のようなケースが挙げられます。

  • 銀行取引が停止された
  • 破産手続、再手続生、更生手続を行った
  • 事業活動を停止した
  • 裏口上場(非上場企業が上場企業を合併して実質的な存続会社となり、新規上場審査を免れて上場を果たすこと)など不適切な合併が行われた
  • 第三者割当増資(新株を特定の第三者に割り当てて発行すること。これにより、第三者割当増資を受けた株主が、議決権のある株式の過半数を保有する株主主要株主になると、既存株主の影響力や利益を低下させる恐れもある)により主要株主が変わり、健全な取引を保てなくなった
  • 株式の管理を代行機関に任せていない
  • 株式の譲渡を制限した
  • 親会社の完全子会社となった
  • 手続の不備などで銘柄が指定振替機関の取り扱い対象外となった
  • 株主の権利を不当に制限した
  • 特定の者が全株式を取得した
  • 株式等売渡請求(少数株主が有する他社の株式を強制的にすべて取得すること。同意を得ずに少数株主の排除することを意味)によって株式を取得した
  • 複数の株式を統合した(複数の株式を1株に統合すると、少数株主の影響力が低下する)
  • 反社会的勢力が企業に関与している
  • そのほか(公益または投資者を保護するために上場廃止が適切と判断された)

経営戦略のひとつ

上場廃止すると自社の株式を大量に保有される心配がなくなります。そのため経営戦略の一環として自主的に上場廃止を行う場合もあるのです。メリットは敵対的買収のリスクを回避し、株主を気にせず経営の自由度を高められること。実際に経営戦略上の理由鵜から上場廃止した大企業も少なくありません。

MBOやM&Aによる上場廃止

MBO(経営陣による買収)やM&A(企業の合併・買収)とともに上場廃止が行われることもあります。

MBOでは企業の経営陣が、M&Aでは存続する企業や親会社が、すべての既存株主から株式を買い取り、経営権を取得。MBOやM&Aは上場廃止基準に該当するため、株式の買い付けが完了したのちは必然的に上場廃止手続きを進めることになります。

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5.上場廃止のメリット

上場廃止は社員にとって不利にはたらく可能性があるものの、企業にとっては経営における大きなメリットがあるのです。

経営の自由度が上がる

上場廃止で議決権を得る株主が減少し、経営をコントロールしやすくなります。上場廃止が決定すると、株主や投資家が自主的に株式を売却する傾向にあるからです。

上場中は株主や投資家の意向や評価と向き合わなければなりません。また株主や投資家は、より多くの配当金を得るために、短期的な利益を追求する傾向にあります。しかし上場廃止後は外部からの干渉が減るため、長期的な事業戦略や大規模な改革や改変に着手しやすくなるのです。

上場コストを削減する

上場維持にかかる証券取引所への上場料、TDnet(証券取引所の適時開示情報伝達システム)使用料、監査費用などのコストを削減できます。

年間上場料は市場や新規上場日によって異なるものの、最小で48万円、最大で456万円です。TDnet使用料は一律年間12万円で、監査費用の目安は500万円から1,500万円といわれています。

上場廃止すれば、これらのコストを事業の運転資金として利用する、研究開発や業務改革などの経費にあてるなどで活用可能です。

敵対的買収を回避する

上場廃止すると、他社はその企業の株式を取得をしにくくなるため、敵対的買収のリスクを回避しやすくなります。

敵対的買収とは、企業が企業買収を目的として特定企業の株式を買占めること。過半数を超える株式数を保有した企業は、買収対象の企業に対して強力な影響力を持ち、実質的に経営を支配できます。

上場廃止は、他社による過剰な株式の購入を防ぐ買収防衛策のひとつなのです。

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6.上場廃止のデメリット

前段では上場廃止のメリットについて解説しましたが、場合によっては企業の運営や株主に対して悪影響を与える可能性もあります。

既存株主に不利益が発生する

上場廃止にともなって、既存の株主は金銭的なデメリットを受ける可能性もあります。

上場廃止が実施されると、その企業の株式は公開市場で売却できなくなり、株主は保有株式を現金化する機会を失うからです。また上場廃止の決定後には株価が大きく下がる恐れがあります。この場合、売却はできても株主が得られる売却益は減少するでしょう。

資金調達が困難になる

上場廃止後は、株式売却による短期的かつ多額の資金調達が難しくなります。そのため業績不振に陥っている場合は、事業への投資はもとより、経営継続に必要な資金が不足する恐れがあるのです。

資金が不足しそうな場合は、金融機関による融資や社債の発行など、株式に代わる資金調達手段をあらかじめ考えておく必要があるでしょう。

ブランドイメージが低下する

業績不振や規制違反が原因で上場廃止が決定された場合、市場や投資家からの信用が損なわれる可能性もあります。

企業イメージが悪化すると、顧客離れによる売上の低下につながる恐れがあるのです。また信用力が下がると、金融機関での融資や借入を断られるかもしれません。

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7.上場廃止の流れ

上場廃止のプロセスは、証券取引所の判断によるか、自主的な上場取り下げかによって異なります。それぞれについて解説しましょう。

上場廃止基準に抵触した場合

上場廃止基準に該当した場合の流れは次のとおりです。

  • 監理銘柄に指定:上場企業が上場廃止基準に該当する可能性があると判断された場合、まず「監理銘柄」に指定される。監理銘柄の指定期間は原則として6か月
  • 整理銘柄に指定:監理銘柄としての期間を経ても問題が解決されず、上場廃止が決定した企業は「整理銘柄」に指定される。整理銘柄の指定期間も原則として6か月
  • 整理銘柄の指定から1か月後に上場廃止:整理銘柄の指定から通常1か月後に企業の株式は正式に上場廃止とされ、株式市場での売買が停止される

監理銘柄とは?

その上場企業が上場廃止基準に該当する可能性があると判断され、証券取引所が特別な監視を行っている株式のこと。目的は、投資家に対して、その企業の経営や財務におけるリスクが高まっていると知らせること。なお監理銘柄でも市場での売買は可能です。

整理銘柄とは?

上場廃止が正式に決定した株式のこと。企業が上場廃止基準に該当する場合や、上場企業が自ら上場を取り下げた場合に整理銘柄と指定されます。

整理銘柄を指定する目的は、投資家に上場廃止が決定したことを知らせ、最終的な売買の機会を提供すること。上場廃止が実施されるまでの間は、市場での整理銘柄の売買が可能です。

自主的に上場廃止した場合

企業が自主的に上場廃止をする場合の流れは次のとおりです。

  • 臨時株主総会を開催:企業が臨時株主総会を開催し、株主へ上場廃止の議案を提示。議決権を持つ株主から3分の2以上の賛成を得られた場合に上場廃止が決定する
  • 整理銘柄に指定:企業から証券取引所へ上場廃止を申請。その企業の株式は「整理銘柄」に指定される
  • 整理銘柄の指定から1か月後に上場廃止:整理銘柄に指定されてから通常1か月後、その株式は上場廃止が実施される

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8.上場廃止後の再上場は可能か?

上場廃止が実施されても、審査基準を満たせば再上場が可能です。再上場時は新規上場時と同等の基準で審査が行われ、企業の財務状況や経営体制、業績などが詳細にチェックされます。

ただしMBO(経営陣による株式取得)の場合、審査でMBOの目的や実施過程が厳しく確認される点に注意が必要です。経営陣が株価を意図的に下げたあとに低価格で株式を取得し、その後業績を回復させて利益を獲得することを防ぐため、上場審査が厳格になります。


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◆資料内容抜粋 (全31ページ)
・人事評価システム「カオナビ」とは?
・人事のお悩み別 活用事例9選
・専任サポートについて   など