直行直帰とは?【どんなルール?】勤務時間、メリデメ

直行直帰とは、会社に出勤せず、自宅から直接営業先や作業現場などへ出向き、仕事が終わったら直接自宅に帰ることです。直行直帰の労働時間や管理方法、メリット・デメリット、交通費や直行直帰が多い業界について解説します。

1.直行直帰とは?

直行直帰とは、「会社に出勤しないで自宅から直接営業先や作業現場など目的地に出向き(直行)」「仕事が終わっても会社に寄ることなくら直接自宅に帰る(直帰)」こと。

直行直帰が多いのは、外回りの営業やホームヘルパー、ベビーシッターや家庭教師といった、毎日異なる訪問先で業務やサービスを行う職業です。「営業先や仕事をする場所が、勤務先より自宅に近い」「勤務先へ出勤、帰社するより効率がよい」場合に行われます。

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2.直行直帰を含む労働時間の管理方法

直行直帰することが多い人は、タイムカードやICカードなどで労働時間を記録できません。ここでは労働時間の管理方法を紹介します。

労働時間の明確化

直行直帰の場合、労働時間があいまいになりがちなので、あらかじめ労働時間を明確に定めるとよいでしょう。1日のスケジュールを全体共有する・日報を上司にあげるといった報告をつねに行うと労働時間が明確になります。

直行直帰の労働時間の算出方法

  • 直行したときの始業時刻は最初の訪問先への到着時間
  • 直帰する時の終業時刻は最後の訪問先を出た時刻

とします。ルートセールスの場合、下記2つの方法になるでしょう。

  1. 所定始業時刻に業務開始し、所定終業時刻に業務を終了と強制的に決めてしまう
  2. 事業場外みなし労働時間制を導入する

直行直帰届出書

直行直帰の届出を労働者に義務づけ、届出には日時や目的、直行直帰の理由などを記入してもらいましょう。労働時間や業務内容の管理を行うためにも、業務開始・終了の連絡と事後報告などの義務化も運用ルールに必要です。

事業場外みなし労働時間制の適用

事業場外みなし労働時間制とは、会社の外で仕事をする際、所定の時間を労働したものとみなす制度のこと。この制度を利用すると、実際の労働時間が算出しにくい場合でも、労働時間を算出しやすくなります。

事業場外みなし労働時間制が認められる条件

事業場外みなし労働時間制が認められる条件は次のとおりです。

  • 労働時間の算定が困難である
  • 会社以外の場所で働いている

実務上の負担が少ない制度とはいえ、導入には厳しい条件をクリアする必要があります。

労働時間の算定が困難

労働時間の算定が困難という状況でなければ、制度の導入はできません。たとえ、1日中外回りの営業でも、スマートフォンやタブレットを利用して社内システムでスケジュール管理ができるなら、労働時間の把握は可能といえるのです。

会社以外の場所で働いている

在宅勤務や営業職、添乗員などオフィス以外の場所で働いている人が対象です。

会社外で働くのは、労働時間の一部でも可能となります。たとえば会社以外の場所で5時間、会社内で3時間働いた場合、社外での労働は8時間とみなされるため、8時間+3時間=11時間の労働になるのです。

事業場外みなし労働時間制で残業代が発生するケース

事業場外みなし労働時間制を採用していても、残業代が発生するケースもあります。それは下記のとおりです。

  • 事業場内で労働に従事していたケース
  • 労働時間が所定の労働時間を超えるケース

2つのケースについて見ていきましょう。

事業場内で労働に従事していたケース

労働基準法第32条の1では「1日につき8時間、1週間につき40時間」を法定労働時間と定めています。もし事業場外と事業場内の労働時間が法定労働時間を超えている場合、超過した時間は残業として扱われるのです。

労働時間が所定の労働時間を超えるケース

所定労働時間が8時間でも、業務を遂行するために平均で9時間30分かかるなら、9時間30分働いたとみなされます。この場合、法定労働時間である1日8時間を超過した1時間30分の残業代を支払う必要があるのです。

勤怠管理ツールの導入

勤怠管理をより正確に効率的に行える勤怠管理システムを導入すると、管理が楽になります。スマートフォン用アプリやブラウザなどを通して、いつでもどこでも勤怠の記録や管理ができるものも増えているのです。

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3.直行直帰のメリット

直行直帰は時間の有効活用、労働者のモチベーションアップなどのメリットがあります。
詳しく解説していきましょう。

時間の有効活用

直行直帰は自分でスケジュール管理をして動けるため、時間を効率よく活用できます。

自宅から直接現場へ出向き、仕事が終わればそのまま帰宅できるので、出退勤時間のロスもなくなるでしょう。よって1件でも多くクライアントを訪問できたり現場での業務に長く時間をあてたりできるのです。

自由裁量によるモチベーションの向上

1日の流れに時間のしばりがないため、労働者が主体となって仕事に取り組めます。上司や先輩に指示された業務をこなすだけではなく、1日の業務を自分で管理するため、仕事に主体性が生まれ、モチベーションも高まるでしょう。

スケジュールの組み立てや管理がうまくなれば、もっと効率よく仕事をこなせます。

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4.直行直帰のデメリット

直行直帰のデメリットとして挙げられるのは、下記の3つです。詳しく解説しましょう。

  1. 業務プロセスや成果が見えにくい
  2. 正確な勤怠管理が難しい
  3. 労働者の自己管理能力に委ねられる

①業務プロセスや成果が見えにくい

企業は労働者に仕事での成果を求めます。成果が数字となって出ていれば問題ありません。しかし仕事ぶりから判断する場合、直行直帰では評価を判断するタイミングがないのです。

たとえ成果が上がらなくても、頑張って取り組んでいたという評価ができない点はデメリットでしょう。

②正確な勤怠管理が難しい

タイムカードの打刻をせずに仕事をするのが直行直帰なので、不正が行われる可能性も高いです。とはいえタイムカードがあっても、他人が打刻するのは可能となっています。

働き方改革関連法では「すべての労働者の労働時間の状況を客観的な方法で把握すること」とあるものの、タイムカード・出勤簿では、労働時間の客観的な把握は難しいものです。

③労働者の自己管理能力に委ねられる

直行直帰は、自身を管理する自己管理能力が大きく求められるのです。通常、上司や同僚に仕事をしている姿を見られています。しかし直行直帰スタイルは単独で動く時間が多いのです。

仕事をせずにゲームセンターで遊んだり、パチンコをしたりと怠けようと思えば、好きなだけ怠けられてしまいます。仕事に対する責任感をしっかりと持つ必要があるでしょう。

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5.直行直帰における交通費

警備員や営業職、工事など直行直帰するケースは多々あります。その際、交通費の請求はどうなるのでしょうか。

自宅から現場までの実費を支給

労働者が自宅から現場に直行する場合、自宅から現場までにおける合理的なルートで交通費を精算します。

直行する現場が一時的なものなら、通常の交通費精算で処理をして問題ありません。しかししばらくその現場に直行する場合、個別の交通費精算ではなく、別の方法を取る必要性が出てきます。

継続的な直行直帰の場合

一時的なものではなく、しばらくその現場に直行する可能性がある場合、勤務先を当該業務を行う現場として従来方式で支給します。

ただし所要交通費が同額であった場合、それは偶然の結果として処理するのです。すなわち、同額=同質ではないので、直行直帰をする労働者から、通勤経路の変更届を提出してもらう必要があります。

直行直帰届出書を提出

多くの企業では、直行直帰をする際は事前に、「直行直帰届出書」(直行直帰申請書)の提出をし、承認が必要となっているのです。ひんぱんに外出がある営業職は口頭でも承認される場合があります。

しかし非日常的な直行直帰の場合、文書を提出するルールを作ったほうがよいでしょう。また、出張の際は出張届を提出する必要があります。

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6.直行直帰が多い業界

直行直帰が多い業界として挙げられるのは、下記の3つです。それぞれ詳しく説明しましょう。

  1. 保険業界
  2. 医療業界
  3. 飲料業界

①保険業界

保険業界はクライアントの予定に合わせてスケジュールが組まれるため、直行直帰が多いです。「飛び込み営業」「クライアントから突然依頼がある」など現場に行く場合の多い仕事のため、直行直帰のほうが効率よく時間を使えます。

②医療業界

医療機器メーカーは、直行直帰型の営業が主流です。訪問先が病院の場合、日本全国のいろいろな場所に行きます。アクセスが不便な地域もあったり、ドクターの空いた時間を見計らって営業をしたりするため、直行直帰が最も効率的なのです。

③飲料業界

飲料業界は、直接担当している店舗に向かうため、直行直帰が一般的となっています。なぜなら1日に3〜4店舗の担当店舗を巡回し、売り場チェックや商品陳列、陳列スペースの交渉を行うなど、現場でやる仕事のほうが多いためです。